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8月11日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:「予知」が無理でもやることは山のようにあるだろう 政府も地震学者も「やっているふり」

■備えを求めるなら原発をまず止めてくれ

 震災の「予知」は無理でも、政府が今やるべきことは山のようにある。南海トラフ巨大地震の被災想定地域は「原発銀座」だ。

 今回の注意情報の対象エリアには中部電力・浜岡原発、四国電力・伊方原発、九州電力・川内原発が林立する。うち浜岡1、2号機と伊方1、2号機は廃炉作業中。浜岡3~5号機、伊方3号機、川内1号機は定期検査のため停止中で、川内2号機は今も運転中である。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は、こう言った。

 「国民に巨大地震への備えを求める以上、政府も大きなリスクである原発を停止するのが自然な流れのはず。能登半島地震で石川の志賀原発は難を逃れたとはいえ、半島部の住民避難リスクが露呈しました。伊方原発も愛媛県の半島部の山あいにあり、巨大地震のリスク対策は不十分。いざ事故発生後に巨大地震で道路が寸断すれば住民は逃げ場を失い、津波が襲えば船での避難の道も絶たれてしまいます。福島の未曽有の事故を経験した地震大国にとって、原発再稼働は棄民政策としか言いようがないのです」

 東日本大震災と原発事故から13年以上が経過したが、今も約2万6000人の福島県民が県内外での避難生活を余儀なくされている。放射能汚染で故郷を奪われた人々の悲しみを決して忘れてはいけない。

 「日本の国土はいつ、どこで巨大地震が発生してもおかしくない。防衛よりも防災が大事で、戦艦よりも病院船、戦車よりもトイレトレーラーが必要なのに、岸田政権は“台湾有事”を前提とした空想的軍国主義に傾斜。現実的な危機対応能力が欠落しています。せめてイタリアのように災害発生から72時間以内に設置し、快適に過ごせる避難所の充実に予算を割いて欲しいものですが、軍拡路線はその余力を失わせるだけ。避難所暮らしの肉体的、精神的ストレスから多数の震災関連死を招く地震大国の被災者切り捨ては、永久に放置されたままです」(五十嵐仁氏=前出)

 阪神・淡路、中越、東日本、熊本、そして能登--。この国は過去30年で巨大地震をいくつも経験してきた。国民の犠牲と引き換えに得た教訓を生かそうとしない「やっているふり」のボンクラは、それだけで首相を続ける価値ナシだ。

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