8月13日(火) 自民党政治に対する追撃戦――その課題と展望 [コメント]
〔以下の論攷は『全国革新懇ニュース』2024年7・8月合併号、8月10日付、に掲載されたものです〕
首都決戦を戦う力を失った自民党
、
東京都知事選挙は現職の小池百合子知事が292万票を獲得して3選され、同時に実施された都議補選で自民党は2勝6敗となりました。政権党でありながら自民党は首都の首長選挙に独自候補を擁立できず、議員選挙でも敗北しています。自民党は首都で選挙を戦う力を失っていたのです。
また、独自候補を立てる必要性もありませんでした、小池候補に相乗りすればよかったからです。自民党都連は全力支援を打ち出しましたが表面には出ず、「ステルス戦法」を取りました。小池候補が政策論争を避け、政党との関りを避けたことも功を奏したようです。裏金問題で政治不信を高めた都民は、同時に既成政党への不信感も強めていたからです。
このような傾向は無党派層により強いものでした。それが石丸伸二候補にはプラスに、蓮舫候補にはマイナスに働きました。石丸候補がSNSを駆使して選挙戦を展開し、蓮舫候補はこの点で不十分であったことも、無党派や青年層へのアピールという点で明暗を分けました。劇場型選挙への変貌がトリックスターへの注目を強めたのかもしれません。
当選した小池候補の得票は石丸候補166万票と蓮舫候補128万票の合計294万票を下回っていました。石丸候補の選対本部長は元自民党関係者で、小池批判票を分断する役割を演じたことになります。蓮舫候補が属していた立憲民主党の支持団体である連合東京は小池候補を支援しました。このような分断や裏切り行為が蓮舫3位という結果を生み出したことを直視し、厳しく批判しなければなりません。
数々の自民党悪政を追撃するたたかいへ
都知事選の告示直後に通常国会が幕を閉じました。この国会では自民党派閥の裏金事件が焦点となり、改正政治資金規正法が成立しました。日本維新の会との間でひと悶着あったとはいえ、岸田首相の狙い通りの結果です。
しかし、その内容は抜け穴だらけで、企業・団体献金、政治資金パーティー、使途を公開しない政策活動費を温存し、政治資金をさらに不透明にするものでした。今後も「自民党とカネ」、裏金事件の追及を行うことが必要です。法の抜け穴を利用した不正蓄財の根を絶たたなければなりません。
通常国会では、生活や平和を脅かす悪法も次々と成立しました。十分な審議もなく、採決を強行した国会軽視は大きな問題です。暮らしや人権をめぐっては、子育て支援金を社会保険料に上乗せする子供・子育て支援法、永住許可を取り消せるようにした改定入管法・技能実習法、共同親権を導入した改定民法など、安全保障面では、陸海空自衛隊の統合作戦司令部設置を定めた防衛省設置法の改定、武器輸出を可能にする次期戦闘機共同開発条約、特定秘密保護の範囲を経済分野に拡大する経済秘密保護法、国による地方自治体への指示権を導入した改定地方自治法などが成立しました。国民の生活や権利が脅かされないか、その運用に対する監視が必要です。
能登半島地震の復旧・復興の遅れ、物価高の下での国民生活の困難、26か月連続での実質賃金マイナス、マイナ保険証の強硬導入、沖縄での米兵による性的暴行事件の隠ぺいなど、岸田政権の悪政には限りがありません。川崎重工の裏金による利益供与、特定秘密の不適切な扱い、パワハラや潜水手当の不正受給など防衛省・自衛隊の不祥事、自動車大手6社の認証不正やトヨタ系列企業の下請け法違反など企業犯罪も続発しています。岸田政権は末期症状を呈し、自民党内では「岸田下ろし」の動きが始まりました。
解散に追い込んで政権交代を
来年10月には衆院議員の任期が切れ、7月には都議会議員選挙と参院選が行われます。地方選挙で連戦連敗の岸田政権への追撃戦を展開し、解散・総選挙に追い込んで政権交代を実現しなければなりません。
追い込まれた自民党の狙いは「自民党をぶっ壊す」といって自民党を救った「小泉劇場」の再現にあります。それを許さず、野党は通常国会で実現した「反腐敗連合」を継続し、共産党も含む幅広い連携を形成しなければなりません。
とりわけ、地域や地方の草の根から市民のイニシアチブを生かして無党派層や青年層への働きかけを強めることが求められており、この点で革新懇の真価が問われています。今回の都知事選では、主要な駅頭で「ひとり街宣」が数千人にも広がるなど、新しい動きが始まりました。
都議補選では、知事選と結んで各選挙区で野党候補を一本化してたたかいました。足立区で勝利しましたが、多くは議席に結びつけられませんでした。勝利のためには力をさらに合わせることが必要ですが、維新や国民民主党、連合などによる野党勢力内での分断や裏切りを許さず、「活路は共闘にあり」という原則を貫くことが必要です。
14年ぶりに保守党から労働党への政権交代を実現したイギリス、事前の予想を覆して左派の「新人民戦線」が第一党となって極右内閣を阻止したフランスに続きましょう。
政治は動かすことができる、歴史は変えることができるということを、この日本でも実証しようではありませんか。
首都決戦を戦う力を失った自民党
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東京都知事選挙は現職の小池百合子知事が292万票を獲得して3選され、同時に実施された都議補選で自民党は2勝6敗となりました。政権党でありながら自民党は首都の首長選挙に独自候補を擁立できず、議員選挙でも敗北しています。自民党は首都で選挙を戦う力を失っていたのです。
また、独自候補を立てる必要性もありませんでした、小池候補に相乗りすればよかったからです。自民党都連は全力支援を打ち出しましたが表面には出ず、「ステルス戦法」を取りました。小池候補が政策論争を避け、政党との関りを避けたことも功を奏したようです。裏金問題で政治不信を高めた都民は、同時に既成政党への不信感も強めていたからです。
このような傾向は無党派層により強いものでした。それが石丸伸二候補にはプラスに、蓮舫候補にはマイナスに働きました。石丸候補がSNSを駆使して選挙戦を展開し、蓮舫候補はこの点で不十分であったことも、無党派や青年層へのアピールという点で明暗を分けました。劇場型選挙への変貌がトリックスターへの注目を強めたのかもしれません。
当選した小池候補の得票は石丸候補166万票と蓮舫候補128万票の合計294万票を下回っていました。石丸候補の選対本部長は元自民党関係者で、小池批判票を分断する役割を演じたことになります。蓮舫候補が属していた立憲民主党の支持団体である連合東京は小池候補を支援しました。このような分断や裏切り行為が蓮舫3位という結果を生み出したことを直視し、厳しく批判しなければなりません。
数々の自民党悪政を追撃するたたかいへ
都知事選の告示直後に通常国会が幕を閉じました。この国会では自民党派閥の裏金事件が焦点となり、改正政治資金規正法が成立しました。日本維新の会との間でひと悶着あったとはいえ、岸田首相の狙い通りの結果です。
しかし、その内容は抜け穴だらけで、企業・団体献金、政治資金パーティー、使途を公開しない政策活動費を温存し、政治資金をさらに不透明にするものでした。今後も「自民党とカネ」、裏金事件の追及を行うことが必要です。法の抜け穴を利用した不正蓄財の根を絶たたなければなりません。
通常国会では、生活や平和を脅かす悪法も次々と成立しました。十分な審議もなく、採決を強行した国会軽視は大きな問題です。暮らしや人権をめぐっては、子育て支援金を社会保険料に上乗せする子供・子育て支援法、永住許可を取り消せるようにした改定入管法・技能実習法、共同親権を導入した改定民法など、安全保障面では、陸海空自衛隊の統合作戦司令部設置を定めた防衛省設置法の改定、武器輸出を可能にする次期戦闘機共同開発条約、特定秘密保護の範囲を経済分野に拡大する経済秘密保護法、国による地方自治体への指示権を導入した改定地方自治法などが成立しました。国民の生活や権利が脅かされないか、その運用に対する監視が必要です。
能登半島地震の復旧・復興の遅れ、物価高の下での国民生活の困難、26か月連続での実質賃金マイナス、マイナ保険証の強硬導入、沖縄での米兵による性的暴行事件の隠ぺいなど、岸田政権の悪政には限りがありません。川崎重工の裏金による利益供与、特定秘密の不適切な扱い、パワハラや潜水手当の不正受給など防衛省・自衛隊の不祥事、自動車大手6社の認証不正やトヨタ系列企業の下請け法違反など企業犯罪も続発しています。岸田政権は末期症状を呈し、自民党内では「岸田下ろし」の動きが始まりました。
解散に追い込んで政権交代を
来年10月には衆院議員の任期が切れ、7月には都議会議員選挙と参院選が行われます。地方選挙で連戦連敗の岸田政権への追撃戦を展開し、解散・総選挙に追い込んで政権交代を実現しなければなりません。
追い込まれた自民党の狙いは「自民党をぶっ壊す」といって自民党を救った「小泉劇場」の再現にあります。それを許さず、野党は通常国会で実現した「反腐敗連合」を継続し、共産党も含む幅広い連携を形成しなければなりません。
とりわけ、地域や地方の草の根から市民のイニシアチブを生かして無党派層や青年層への働きかけを強めることが求められており、この点で革新懇の真価が問われています。今回の都知事選では、主要な駅頭で「ひとり街宣」が数千人にも広がるなど、新しい動きが始まりました。
都議補選では、知事選と結んで各選挙区で野党候補を一本化してたたかいました。足立区で勝利しましたが、多くは議席に結びつけられませんでした。勝利のためには力をさらに合わせることが必要ですが、維新や国民民主党、連合などによる野党勢力内での分断や裏切りを許さず、「活路は共闘にあり」という原則を貫くことが必要です。
14年ぶりに保守党から労働党への政権交代を実現したイギリス、事前の予想を覆して左派の「新人民戦線」が第一党となって極右内閣を阻止したフランスに続きましょう。
政治は動かすことができる、歴史は変えることができるということを、この日本でも実証しようではありませんか。
2024-08-13 05:48
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