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8月15日(土) 本当になるかもしれない「自民党解散」解散 [解散・総選挙]

 昨日、お盆休みの小さな旅に出かけてきました。知人に案内されて、いわゆる「谷根千」、谷中、根津、千駄木にある文豪の旧居を尋ねてきたのです。
 根津神社、漱石の旧居、森鴎外が住んだという観潮楼跡、らいてふの青鞜発祥の地、宮本顕治が網走から帰宅したという百合子の旧居、高村光太郎と智恵子の家の跡など、1時間ほどかけてめぐりました。その後、「天米(てんよね)」で天ぷらをいただくというコースです。

 この行き帰り、電車の中で目を通した雑誌には驚きました。今発売中の『週刊現代』での総選挙の予測記事です。
 衆院が解散されたとき、これは自民党解散解散だと書きました。総選挙で自民党がこてんぱんに惨敗し、選挙後に解散の危機を迎えるかもしれないという意味で、そう書いたのです。
 『週刊現代』の選挙予測記事を読んで、それが本当になるかもしれない、と思ってしまいました。自民党解散は、まんざら冗談ではないかもしれません。

 この記事によれば、自民44議席(!)、公明9議席、民主390議席(!)、社民15議席、共産8議席、国民8議席、日本2議席、大地1議席、その他2議席となっています。小選挙区では、福岡8区の麻生首相も山口4区の安倍晋三も落選と予測されています。
 これはインターネットで各選挙区の有権者100人にアンケート調査した結果によって、小選挙区の当落を判断し、それを基に比例区の議席数をも予測したものです。インターネットによる調査という点では信頼性に欠け、週刊誌による記事という点でも「ちょっとね」という気がします。
 しかし、かなり割り引いてみても、大変、衝撃的な数字であることは確かでしょう。民主党を油断させるためかもしれないとの疑いもありますが、それ以上に、自民党の戦意喪失効果の方が大きいのではないでしょうか。

 小選挙区制には、勝利を過剰にするだけでなく、敗北をも過剰にするという仕組みが隠されています。かつてカナダで政権与党が惨敗してたったの2議席になってしまったことは、以前、このブログでも紹介したことがあります。
 今回の『週刊現代』の予測では、小選挙区での自民党獲得議席の予想はたったの3議席(!)で、公明党は1議席にすぎません。小選挙区だけをとれば、まさにカナダの選挙と同じ現象が生ずることになります。
 それでもまだ、自民党が44議席を獲得できるのは、比例代表制によって救われるからです。今度の総選挙で、自民党は小選挙区制の怖さを身をもって知ることになり、同時に、比例代表制があることのありがたさを痛感することになるのではないでしょうか。

 このような予測を、週刊誌特有のセンセーショナリズムで「夏枯れ」目当ての商売にすぎないと笑ってすますわけにはいきません。というのは、『週刊現代』の調査で、「民主党に投票する」と回答した有権者は全体の38.1%で、「自民党に投票する」と回答した有権者は14.6%だったからです。
 今日の新聞報道によれば、時事通信社が7~10日に実施した8月の世論調査では、衆院選比例代表の投票先は、民主党が35.9%(前月比1.5ポイント減)、自民党が18.8%(同0.7ポイント減)となっていました。ちなみに、麻生内閣の支持率は16.7%(同0.4ポイント増)、不支持率は63.1%(同1.1ポイント減)になっています。
 この両者の違いは3~4ポイント程度で、、それほど大きな開きはありません。全体の傾向としては、『週刊現代』の調査と時事通信の調査は似通っており、『週刊現代』の予測もまったく荒唐無稽だとは言い切れないのです。

 公示直前の今になっても、総選挙で自民党惨敗必至という情勢に大きな変化はないということになります。このような情勢を受けて、様々な動きが生じています。
 橋下大阪府知事らの「首長連合」が民主党支持を明らかにしたのが、その一つです。民主党勝利は動かないと見て、「勝ち馬」に乗ろうというわけです。
 このような「バンドワゴン現象」は、田中真紀子議員の民主党入党など、このほかにも出てくるでしょう。そして、そのような動きは、ますます民主党勝利への雪崩現象を生み出すにちがいありません。

 もう一つの動きは、幸福実現党の総選挙からの撤退です。幸福の科学は国政への進出に色気を示して幸福実現党を結成し、今度の総選挙で候補者を立てようとしましたが、それどころではなくなったというわけです。
 これまで支持し、応援してきた自民党が、かつてないピンチを迎えてしまったからです。幸福実現党が候補者を立てれば、このブログで紹介した都議選での足立区のように、自民党候補の足を引っ張る可能性があります。
 自民党が余裕のある闘いをしていれば、このような危惧はなかったはずです。しかし、どの候補も苦戦していますから、ここは自民党に票を集中するために、立候補を取り止めるか、できるだけ絞ろうというわけでしょう。

 幸福実現党が健闘し、自民党の票を分散させて欲しいと思っていた私としては、幸福実現党の撤退は残念です。しかし、自民党にとっても幸福の科学としても、合理的な選択だというべきでしょう。
 自民党と同系統の候補者を立てることは、票が分散し、自民党にとっては不利になります。苦戦している自民党候補の足を引っ張り、対立する民主党などの野党候補を利することはハッキリしているからです。
 この点でなお期待したいのは、渡辺喜美さんなどの「みんなの党」と平沼赳夫さんのグループです。それぞれ10数人の候補者を立てるとのことですが、遠慮することはありません。是非、沢山の候補者を立てて、思いきっり与党の足を引っ張っていただきたいものです。

 自民党が44議席になってしまうという予測がどれほどの現実性を持っているのか、大いに興味があります。それなりの根拠があるとすれば、麻生さんが言うように「負けっぷりを良くする」ことになりそうですが、その後、自民党は野党として存在できるのでしょうか。
 自民党という政党は権力によって結びついていた政党ですから、その存続自体を困難にするほどの歴史的惨敗になるかもしれません。自民党が雲散霧消してしまう可能性を秘めて、いよいよ総選挙の公示は3日後に迫ってきました。