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10月20日(火) 福島の旅 [旅]

 福島から帰ってきて、旅行中にたまっていた新聞に目を通しました。すると、『東京新聞』10月17日付の「こちら特報部」欄に、かなりのスペースをとって「松川資料室 存続の危機」「事件から60年 スタッフ確保難しく」「福島大で今日から集会」という記事が出ていました。

 昨日のブログで、「どうしてこんなに集まったのか」という「ミラクル」について書きましたが、それへの回答の一つがここにあるのかもしれません。新聞などのマスコミ報道の影響です。
 それに、栃木の足利事件での菅家利和さんのえん罪事件や裁判員制度の開始などによって、裁判やえん罪事件、救援活動などへの関心が高まっていたという背景もあったでしょう。無実の者が罪をでっち上げられ、人生を狂わせられてしまう権力犯罪に対する懸念と怒りが、広がっているということでしょうか。

 ところが、この『東京新聞』の記事を、私は帰宅するまで目にすることができませんでした。というのは、その前日である16日(金)の夜から、福島に出かけていたからです。
 もともとは、そのような予定はありませんでした。しかし、10月10日(土)の政治学会で、事情がガラリと変わってしまったのです。
 この日の共通論題の会場である大教室に入ろうとした、その時でした。入り口で「五十嵐」と呼ぶ声がします。そこでバッタリ顔を合わせたのが、法政大学大学院の先輩で福島大学におられるM教授だったのです。

 これはまさしく「神様のお導き」だったにちがいありません。会場に入ってしまえば会える可能性は少なく、長い間お会いしていず遠くで見かけても分からなかったかもしれないのですから……。
 この先輩の強い勧めもあって、迷った末に、一日早く福島に行くことにしました。こうして、先輩の車で案内していただき、紅葉狩りと温泉の旅を楽しむことができたというわけです。
 福島市内はまだ紅葉には早かったですが、磐梯吾妻スカイラインの入り口辺から次第に葉の色が変わり始め、絶好の展望ポイントである「つばくろ谷」から吾妻小富士までは錦織なすとの形容がピッタリの絶景が続きました。好天にも恵まれ、青い空に木々の黄色や赤、緑色が映え、黄色の草紅葉と緑の榛松がパッチワークのように広がっています。

 下る途中、新野地温泉相模屋という立ち寄り湯に入りました。ここは完全な野天風呂で、白く濁った湯船の側に簡単な脱衣所があるだけです。
 近くには煙が立ち上る源泉があり、かすかに硫黄のにおいが漂ってきます。遮るもののない湯船に浸かりましたが、残念ながらこの辺の紅葉はもう終わりで、周辺の木々は葉を落としていました。
 そこからの帰り道、下るに連れて紅葉が復活していきます。色づいた葉がヒラヒラと散る中でのドライブを、心ゆくまで楽しむことができました。

 前日の夜も、湯船の下からお湯が自噴している土湯温泉の日帰り湯に入りました。その後、「水平」というお店で地魚と地酒を楽しみましたが、福島の銘酒「飛露喜」が2合で千円という安さです。
 土曜日の昼、「原郷のこけし群西田記念館」を見学した後、「魚菜草」という山野草を食材にした隠れ家的なお店に連れて行っていただき、キノコの天ぷらなど季節の山野草料理をいただきました。知る人ぞ知るお店で、電話予約をしないと入れないそうです。

 というわけで、松川事件60周年記念全国集会が始まる前に、思いもかけず「福島の旅」を楽しむことができたというわけです。泊めていただいたうえに、車で案内してくださったM先輩に、この場を借りてお礼申し上げます。