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1月30日(月) 2017年を飛躍の年に―アベ暴走政治の破綻と政治革新の展望(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.762、2017年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 発見された活路

 アメリカでのトランプ当選、ヨーロッパでの極右勢力の増大には、共通の背景があります。新自由主義やグローバリズムによる貧困と格差の拡大、既成政治への失望や政治そのものへの不信、現状へのいらだちと打破への願望などです。他方で、米国の「サンダース現象」など、対抗勢力の台頭と新たな政治変化の兆しも生まれています。
 日本も例外ではありません。むしろ右傾化では一歩先を進んできたように見えます。それだけに、対抗する勢力の動きも早く、アベ暴走政治によるナショナリズムや排外主義、生活破壊と軍事化に対抗して野党共闘を求める声が強まりました。その結果、自共対決から自公と補完勢力対市民と野党の共闘との対決へと質的な転換が生じたのです。
 世界は二つの潮流が対峙し競い合う変動期・過渡期に入りました。暴力と理性のせめぎあいによる混乱と紆余曲折は避けられないでしょう。そこから脱する活路を発見したのが、昨年の日本政治における最大の特徴です。それを発展させて過渡期から抜けだす道を切り開くことこそ、日本の革新勢力の世界史的な使命にほかなりません。

 天高く飛び立つ飛躍の年に

 今年は酉(鳥)年です。鳥のように大きく羽ばたき、新しい立憲・民主の政治に向けて天高く飛び立つ飛躍の年にしたいものです。
 2015年の戦争法案反対闘争は「ホップ」でした。昨年の市民と野党との共闘の始まりは「ステップ」だったと言えるでしょう。そして、今年は総選挙でも野党共闘の力を存分に生かして民主的な新政権を樹立し、安倍政権を打倒する飛躍(ジャンプ)の年にしなければなりません。
 考え方や政策の異なる政党や団体、個人が手を結ぶのが統一戦線です。それは決して生易しいものではありません。対立や葛藤があるのは当然ですが、それ以上に力を合わせる必要性が生じた場合に実現可能になります。
 安倍暴走政治への懸念と危機感が共同の必要性を生んだのです。市民と野党が力を合わせる以外に安倍政権を倒すことは不可能です。何を最優先にするのか、そのために何が必要なのかを真剣に考え、未来のために過去にはこだわらないという態度が求められています。
 年明け早々の解散・総選挙も予想されています。いつ解散されても良いように準備しなければなりません。野党が共闘体制を確立して与党が議席を減らす恐れが強まれば、そう簡単に解散できなくなります。野党共闘の実現による選挙準備の促進は、恣意的で党略的な解散を許さない武器ともなります。
 「備えあれば憂いなし」です。その武器を鍛えて、不測の事態に備えようではありませんか。長期政権を実現して「壊憲」に突き進もうとしている安倍首相の野望を阻むためにも……。

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1月29日(日) 2017年を飛躍の年に―アベ暴走政治の破綻と政治革新の展望(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.762、2017年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 「暴走政治も極まったり」と言いたくなるような臨時国会でした。TPP条約の承認、年金のカット、カジノ解禁法案の成立など、「強行採決など考えたこともない」とうそぶきながら強行に次ぐ強行の連続です。安倍首相の焦りの表れだったのではないでしょうか。
 このような焦りを生んだ背景の一つが、参院選1人区と新潟県知事選での市民と野党の共闘による勝利でした。昨年は暴走政治をストップさせるための活路と「勝利の方程式」が見つかった年として記憶されるにちがいありません。
 2017年は、明確な争点を掲げた本気の共闘によって統一戦線結成にむけての扉を開き、本格的な連合政権を実現する年にしたいものです。国政選挙で「共産党を除く」という壁が除かれた新たな局面で、政治革新に向けての運動がどう発展するかが試される年になることでしょう。

 行き詰まった内政

 内政の行き詰まりは明白です。アベノミクスが失敗して景気回復が遅れたために消費税の再増税を先送りせざるを得なくなり、日銀の黒田東彦総裁は「2%インフレ目標」の達成を諦めました。その旗振り役だったイエール大学名誉教授の浜田宏一内閣官房参与はインフレターゲットの「リフレ政策」が誤りだったと認めて「白旗」を掲げました。
 生活は一向に楽にならず、実質賃金はマイナスで家計消費の赤字が続いています。大企業や「勝ち組」が大もうけを続けている一方で、貧困化が進んでいるだけでなく格差が拡大し、中間層も疲弊しているなど事態は深刻です。これに社会保障サービスの切り下げが追い打ちをかけています。
 安保法(戦争法)は成立しましたが、日本周辺の安全保障環境は改善されなかったばかりか悪化してしまいました。抑止力を増大させるどころか挑発を強める結果となり、北朝鮮のミサイル発射は21回を数えています。アメリカの仲間として敵視され、バングラデシュでの邦人殺害事件で15年10月に1人、16年7月に7人が亡くなりました。日本と日本人の安全は高まらず、かえって危険になったのが現実です。そのうえ、南スーダンPKOに派遣されている自衛隊はいつ戦闘に巻き込まれるか分からない危険な状態に置かれています。

 八方ふさがりの外交

 外交も八方ふさがりとなっています。安倍首相にとっては戸惑いの連続だったでしょうが、このような外交破綻はアメリカべったりで軍事偏重、独りよがりの情勢判断しかできない安倍首相自身が招いた当然の結果にほかなりません。
 成長戦略の目玉だったTPP(環太平洋連携協定)はトランプ米次期大統領による離脱表明によって漂流を始め、軍事技術や原発の輸出もオーストラリアへの潜水艦商戦の挫折やベトナムへの原発輸出の失敗によって頓挫しています。地球温暖化防止のためのパリ条約の批准が間に合わず、唯一の戦争被爆国でありながら国連の核兵器禁止条約交渉開始決議に反対し、沖縄では高江のヘリパッドや辺野古での米軍基地建設を強行しつつ米軍のオスプレイ墜落を不時着だとごまかして県民との溝を深めました。就任前のトランプ訪問でオバマ米大統領の怒りを買い、それをなだめるための真珠湾訪問もすでに吉田・鳩山・岸元首相が行っていて「現職総理として初」ではありませんでした。
 とりわけ、大きな失敗だったのは日露首脳会談です。プーチン大統領によって領土問題は無視され、経済協力だけが「食い逃げ」されました。「領土返還詐欺」に騙され3000億円という大金をむしり取られたようなものです。


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1月25日(水) こんなトランプ大統領を「信頼できる指導者」だなどと持ち上げた安倍首相の重大責任 [国際]

 2017年も、疾風怒濤の年になるような予感がします。アベ政治は暴走を続けていますが、年を取ったのか、最近では「逆走」も目立ちます。

 昨日は、国会での答弁で「訂正云々(うんぬん)」と言うべきところを、「訂正でんでん」と答えてしまいました。「云々」と「伝々」を間違えたのでしょうが、これも年齢のせいかな。
 それにしても、「云々(うんぬん)」なら分かりますが、「伝々(でんでん)」では意味が通じませんし、そんな日本語はありません。安倍首相は自分で読んでいる文の意味が分かっていたのでしょうか。
 安倍首相にしてもトランプ大統領にしても、「逆走」を早くストップさせないと大きな事故につながりかねませんが、その前に「自滅」する可能性が高まっています。安倍さんに立ちはだかる最初の壁は「トランプ・リスク」であり、トランプさんに立ちはだかるのは自らの「バカの壁」ではないでしょうか。

 「トランプ政権への期待」という見出しが目を引きました。『朝日新聞』1月24日付に掲載された映画監督であるオリバー・ストーンさんのインタビュー記事です。
 トランプ大統領を評価するかのようなストーン監督の発言が注目を浴びました。これまで政権批判の映画を撮り続けてきたのに、「トランプ大統領もあながち悪くない」という評価が違和感を持って受け取られたからです。
 しかし、それは「介入主義を捨て戦争への道を避ける」という点での「プラスの変化を起こせるように応援しようじゃありませんか」というものです。トランプ大統領の全てを認めて応援しようというわけではありません。

 トランプ大統領は就任演説で「すべての国が自国の利益を第一に考える権利がある。我々は自分たちの生活様式を他人に押し付けない」と述べています。この発言が「自分たちの背活様式」であったこれまでのアメリカの覇権主義と介入主義を見なおすということであれば、それは悪くないというのは当然です。
 戦後のアメリカは、ベトナムやイラク、アフリカや中東、中南米諸国に軍事介入してきました。よく「世界の警察官」と言われますが、実態は「世界の暴力団」のようなもので、その過ちを是正して戦争への道を避けるというのであれば間違いではありません。
 これについてストーン監督も、「米軍を撤退させて介入主義が弱まり、自国経済を機能させてインフラを改善させるならすばらしいこと」だとし、「米国は世界をコントロールしたがり、他国の主権を認めたがらず、多くの国家を転覆させてきました。そんな情報機関をけなしているトランプ氏に賛成です」と述べていますが、その通りでしょう。

 ただし、すぐ付け加えなければならないのは、このようなトランプ大統領の姿勢を過大に評価することはできないということです。核軍拡を進める意向を示していますし、イスラエル寄りの姿勢を強めて中東の紛争を拡大する危険性もあるからです。
 これまでのアメリカの帝国主義的な外交・安全保障政策を転換するというのであれば評価できます。しかし、そこからどのような方向を、どのようにめざしていくのかという点では楽観できません。
 「自国第一主義」や差別と排外主義による孤立と分断、新自由主義的な規制緩和の拡大などでは問題を解決できないどころか、さらに拡大し混迷を深めるだけでしょう。貧困と格差の拡大からの真の脱出路は右方向への逃走では得られず、矛盾を深めて絶望を生み出すことになります。

 それでは、どのような脱出路があるのでしょうか、どうすれば良いのでしょうか。
 このような問いへの回答の一つが『朝日新聞』1月25日付に掲載された「ピケティコラム」での指摘です。フランス大統領選挙について、ピケティさんは「マリーヌ・ルペン氏が率いる右派ナショナリストが勝利に近づいている可能性も排除できない」としつつ、「かたや急進左派は、ジャンリュック・メランション氏の勝利が期待されているが、悲しいかなありそうにない」と述べていますが、それでも次のように指摘しています。
 「この難題に的確な解決策を構築するには、国際主義的なポピュリスト勢力――スペインの左派新党ポデモス、ギリシャの急進左翼進歩連合シリザ、サンダース氏やメランション氏のような急進左派――を頼りとするしかない。さもないとナショナリズムと排外主義のうねりにさらわれかねない。」

 このような「ナショナリズムと排外主義のうねり」を阻むうえで、メディアの役割は決定的ともいえる重要性を持っています。この点で、『毎日新聞』1月25日付に掲載された「時論フォーラム」の森健「[トランプ大統領誕生]ネットのうそ、メディアの役割」は示唆的な論攷です。
 ジャーナリストの森さんは、既存メデイアとインターネット、権力者との関係について考察し、結論的に次のように指摘しています。
 「SNSという似た考えの人たちの環境の中で主張を強めつつ、不都合な事実や気に入らない報道は認めない。そして、言いたいことはネットで一方的に発信する。トランプ政権の社会では、報道はいかに考えの異なる人たちに届かせるかが課題になってくるだろう。」

 この部分を読んで、まるで通常国会の代表質問に臨んだ安倍首相について書かれた文章のようだと感じたのは、私だけではないでしょう。この文章の一部を入れ替えれば、次のようになります。
 「日本会議という似た考えの人たちの環境の中で主張を強めつつ、不都合な事実や気に入らない報道は認めない。そして、言いたいことは答弁で一方的に発信する。安倍政権の社会では、報道はいかに考えの異なる人たちに届かせるかが課題になってくるだろう」
 先の文章に続けて、森さんは「顧みて、日本。かの地の課題はけっして遠い話ではないだろう」と書いています。その通りですが、実際には「遠い」どころか、すでに安倍さんはトランプさんの先を言っているのではないでしょうか。

 トランプ大統領はTPPからの永久離脱を表明しました。NAFTAの再交渉を行おうとしており、日本の自動車の対米輸出について根拠のない攻撃も行っています。
 安倍首相の成長戦略や自動車産業など輸出企業にとっては大問題です。安倍首相はこれからトランプさんを説得するとか説明するとか言っていますが、ちょっと待ってください。
 安倍さんはもうすでにトランプさんに会っているではありませんか。せっかく世界に先駆けて大統領になる前のトランプさんに会ったのに、その場で一体何を話し合ったというのでしょうか。

 まさか、高額のクラブを贈ってゴルフ談義で終始したなどということはないでしょうね。日本に関してだけでも、これだけトンデモない政策や発言を連発するトランプさんを「信頼できる指導者」だなどと持ち上げてしまった安倍首相の責任は極めて重大だと言うべきでしょう。

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1月23日(月) 世界中で実証された「反響の法則」 [国際]

 太鼓を小さく打てば小さな音しかしません。強く打てば大きな音がします。これが「反響の法則」です。
 トランプ米新大統領は過激で差別的な発言や自国最優先の保護主義的な政策によって、世界中の太鼓を力いっぱい叩いたようです。そのために、大きな「反響」が地球全体に広がっています。

 トランプ大統領就任翌日の21日、女性蔑視の言動などに反発する抗議活動が全米で行われました。このようなデモは世界各地に広がり、「反トランプ」の声が国際社会に渦巻いています。
 首都ワシントンでは、女性蔑視の発言を批判する団体「ワシントン女性大行進」の主催で抗議デモが行われ、白人女性だけでなく男性や人種的少数者、幅広い年齢層の人たちも集まり、想定の2倍を超える50万人以上に膨らみました。特設ステージには、女優のスカーレット・ヨハンソンさんら著名人も登壇し、歌手のマドンナさんは「革命はここから始まる」と訴え、女優のウーピー・ゴールドバーグさんら著名人も駆けつけています。
 抗議デモはニューヨークやロサンゼルスなどの全米各地をはじめ、ロンドンやパリなど世界約80ヵ国670ヵ所以上に上り、全世界で約470万人が参加したとみられます。このような抗議の波は、これからも世界各地で大きく盛り上がることでしょう。

 他方で、欧州の右派勢力はトランプ大統領の保護主義的な政策への共感を示し、トランプ新政権の誕生を歓迎しています。米国で浮き彫りとなった自国最優先の反移民政策と「分断」は、世界に拡散し始めました。
 反欧州連合(EU)や移民排斥などを主張して支持を伸ばしてきた欧州各国の右派・極右政党の党首たちは21日、ドイツ西部のコブレンツで「オルタナティブ(もう一つの)欧州サミット」と位置付けた会合を開きました。出席したのは、今年選挙を迎えるフランス極右「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首、ドイツ新興右派「ドイツのための選択肢」(AfD)のフラウケ・ペトリ党首、オランダ極右「自由党」のヘルト・ウィルダース党首など3人を含む9カ国の政党関係者です。
 移民への強硬姿勢に共鳴しているハンガリーやセルビアなど東欧諸国の首脳らもトランプ大統領を歓迎しています。一方、フランスのオランド大統領はアメリカの孤立主義に警鐘を鳴らし、ドイツのメルケル独首相は経済問題や防衛政策について、これまでの友好国との国際的枠組みを尊重するよう求めました。

 このようななかで、「信頼できる指導者」だとトランプさんを持ち上げてきた安倍首相は祝辞を送り、去年11月にニューヨークで行われた会談に触れ「ご自宅で胸襟を開いて意見交換を行えたことを大変うれしく思う」と述べ、「今後、ともに手を携え、アジア太平洋の平和と繁栄を確保し、世界が直面するさまざまな課題にともに取り組んでいくことを楽しみにしている」と、トランプ新政権の誕生を歓迎しています。
 また、「日米同盟は、わが国の外交・安全保障政策の基軸であり、大統領との信頼関係の上に、揺るぎない同盟の絆を一層強化していきたい」とし、「できるだけ早く再びお目にかかり、地域や世界のさまざまな課題について幅広く意見交換を行い、日米同盟の重要性を世界に向けて発信したい」と呼びかけました。差別と分断に警鐘を鳴らすことも注文を付けることもなく、ひたすら歓迎の意を表している安倍首相の姿は極めて異例だというべきでしょう。
 
 安倍首相はどちらの側にいるのでしょうか。反トランプの抗議行動に立ち上がった民衆の側なのか、それとも「自国第一」に共感して愛国主義への共鳴を狙う右派勢力の側なのかが、厳しく問われなければなりません。
 相も変わらぬ従米姿勢から抜け出すこともできず、新政権への批判や抗議の片りんも見せない安倍首相の姿勢は、アメリカの新しい指導者にしっぽを振ってすり寄っている「ポチ」のように見えます。それはトランプ当選の直後から一貫したものでした。
 とはいえ、早期の首脳会談を開きたいと希望していた1月27日には、日本の安倍首相ではなくイギリスのメイ首相との会談が設定されています。まるで、すり寄っても邪険にされ追い立てられている犬のような姿ではありませんか。

 いよいよ、絶望と希望とがせめぎあうような新しい時代が始まったのです。希望の光を消さないためにも、諦めてはなりません。
 アメリカを始め全世界で鳴り響いている「反響」に和して、私たちも声をあげようではありませんか。絶望に打ち勝つためには、少しでもまともな明日への望みを抱いて歩み続けることしかできないのですから……。

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1月22日(日) トランプをめくっても「ハートのエース」は出てこなかった [国際]

 世界が悲鳴を上げていると言っても良いでしょう。確実なことは、不確実性が高まり、この先どうなるのかが見通せないということです。

 注目されていたトランプ米新大統領の就任演説でした。選挙中に過激発言を繰り返した「悪いトランプ」ではなく、当選直後に融和を呼びかけたような「良いトランプ」が顔を出すのではないかと期待されていました。
 しかし、トランプをめくってみても「ハートのエース」は出てきませんでした。やはり顔を出したのは「ジョーカー」だったようです。
 ジョーカーと言えば、映画「バットマン」の悪役でした。大統領就任式に登場したのは、「バットマン」ならぬ「バッドマン」だったのです。

 アメリカのドナルド・トランプ新大統領は20日正午ごろ、連邦議会議事堂前で就任宣誓し、第45代大統領に就任しました。この場所は私も訪れたことがありますが、それは2001年のブッシュ大統領就任式の前、2001年1月1日のことでした。
 実業家出身のトランプさんは政治や行政経験、軍歴のない米国史上初の大統領で、1期目としては最高齢での就任になります。共和党は8年ぶりの政権奪還で、任期は2021年までの4年間ですが、果たしてこの任期を全うできるのでしょうか。
 「アメリカ第1主義」を掲げてこれまでの政治からの大転換を目指し、超大国アメリカのかじとりを担うことになりますが、その前途には暗雲が漂っています。トランプ大統領の就任に反対する全米での抗議デモには数百万人が参加するなど、分断と不安がアメリカ社会を覆い、切り裂くような形になっているのですから。

 トランプ新政権の政策は、選挙中での公約をほぼ踏襲するものになっています。この点でも、「良いトランプ」に変わるのではないかという期待は真っ向から裏切られてしまいました。
 就任演説では、通商政策を大きく転換して自由貿易から貿易や税制などあらゆる分野でアメリカの利益を最優先し、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を宣言しました。大統領令では、医療保険制度改革(オバマケア)の見直しを指示しています。
 また、「イスラム過激派によるテロを地球上から根絶させる」と約束し、積極的に軍事行動をとることも表明しました。「私たちは国境を守らなければならない」と呼びかけ、メキシコ国境への壁建設を伴う不法移民対策に乗り出す構えです。

 まるで、これまでの世界秩序を脅かす「怪物」の登場のようなものです。この「怪物」を「信頼できる指導者」だと請合ったのが安倍首相でした。
 通常国会冒頭の施政方針演説で、TPPを「今後の経済連携の礎」と位置付けた安倍首相ですが、その直後にトランプ新大統領によって真っ向から否定される結果になりました。いかに人を見る目がなかったか、ということでしょう。
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1月21 日(土) 日米で逆走し始めた暴走車をストップさせなければならない [政局]

 1月20日、日本では通常国会が始まり、アメリカではトランプ新大統領の就任式が行われました。日米両国の議会では、いずれも与党が多数になっています。
 まるで、ブレーキなしの暴走車が走り出したようなものです。しかも、前に向かっての暴走というよりも、後ろ向きで逆走を始めようとしているようなものですから大変です。
 通常国会は6月18日までの150日間の会期です。安倍首相は施政方針演説を行いましたが、民進党への敵意丸出しで、実態と大きく乖離する自画自賛の「ポスト真実」演説でした。

 施政方針演説では最初に天皇の退位問題について触れましたが、まだ論点整理も行われていず何も議論されていないうちに、一代限りでの退位を可能とする特別法案の提出を表明しました。一種の世論工作にほかなりません。
 最も多くの時間を割いたのは外交問題で、内政や経済問題は後回しでした。アメリカでのトランプ新政権の発足によって日米同盟がどうなるか分からないことへの危機感の現れです。
 「働き方改革」の実現や子育て支援の充実を進めていくことも表明しましたが、お題目にとどまらず、どこまで実効性のある対策を立てられるかが問われることになります。一方で長時間労働の是正に言及しながら、他方で「残業代ゼロ法案」を提出したり裁量労働制を拡大したりするという矛盾をどう取り繕うつもりなのでしょうか。

 最後に、今年が日本国憲法施行から70年の節目を迎えることを踏まえ、具体的な憲法改正論議の深化と「新しい国造りへの挑戦」を呼び掛けました。改憲に向けての安倍首相の執念を見せた部分です。
 しかし、現行憲法はすでに70年にわたって歴史の試練に耐え、その有効性を証明してきました。だからこそ、変わることなく維持されてきたのです。
 「新しい国造りへの挑戦」が「壊憲」によって国の形を変え、特定秘密保護法や安保法、共謀罪などによって自由と民主主義、平和主義を圧殺する「戦争国家」への変貌をもたらすことのないように、しっかりと監視していかなければなりません。再び、戦争の惨禍によって次の世代を苦しめることのないように。

 逆走を始めた暴走車にブレーキをかけてストップさせるのが、これからの課題です。本来であれば議会がそうするべきでしょうが、「安倍一強」の下での「多数専制」によってほとんどブレーキが効かなくなってしまいました。
 そのブレーキの効き具合を良くするのは市民であり社会運動の力です。都議選や解散・総選挙を展望しながら、通常国会での論戦と力を合わせて安倍政権を追い込むことができるか、市民と野党との共同の真価が試されることになるでしょう。

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1月15日(日) 先が見えない混乱期にこそ求められる真実を見極める力 [政局]

 先が見えない。最近のマスコミ報道などを見ていての率直な感想です。
 アメリカのトランプ新政権、日本の安倍政権の今後、そして東京の築地市場の移転問題。どれを取ってみても、予見可能性が極端に低下しています。

 この先どうなるのかが分からなければ、不安が高まります。混乱も強まることでしょう。
 海図の無い海域で、壊れた羅針盤を頼りに航海しているようなものです。行きあたりばったりでの近視眼的な対応が増えるにちがいありません。
 その都度、政治の当事者やマスコミは右往左往することになります。「ポスト真実」や「偽ニュース」の横行は、このような混乱を増幅することになるでしょう。

 間もなくトランプ新政権が発足します。それに向けて行われた記者会見で明らかにされたのは新大統領の異常な姿でした。
 ロシアに弱みを握られているのではないかとの疑惑が明らかになりました。女性が絡むスキャンダルなどを暴露したのはイギリスの諜報機関ⅯI6の元ロシア担当チーフだったクリストファー・スティールという人物で、この人が書いた35ページの報告書の真偽が焦点になっています。
 新政権の閣僚候補者の審査も行われていますが、言っていることがバラバラです。トランプ新大統領の公約と違うだけでなく相互の発言も異なっており、今後、政府内での不一致が表面化する可能性があります。

 日本では、トランプ新大統領の就任式が行われる20日に通常国会が召集されます。この国会で焦点になりそうなのがテロ対策を前面に出した組織犯罪処罰法改正案です。
 その中心になるのは「共謀罪」です。テロ組織や暴力団などによる組織犯罪を未然に防止するためだとされていますが、相談しただけで罪に問われ、捜査機関の拡大解釈による不当逮捕や人権侵害につながる可能性がある極めて危険な法案です。
 その本質は「現代の治安維持法」ともいうべきものですが、オリンピックへの対策を前面に出し、名前を言い変えるごまかしによって成立させようとしています。通常国会に提出されれば、大きな反発を招くことは避けられません。

 東京都の築地市場の豊洲移転問題でも、新たな展開がありました。地下水モニタリング調査で有害物質のベンゼンが最大で環境基準の79倍も検出されたという驚くべき事実が、メデイアで一斉に報じられています。
 豊洲の移転候補地は元東京ガスの工場跡地で、汚染されているから市場の移転候補地としては相応しくないと売却を渋ったという経緯があります。もともと、このような場所に移転しようとしたことが間違いなのです。
 移転についての判断の先延ばしではなく、早急に移転中止という判断を行うべきでしょう。その結果生ずる損失については、石原慎太郎元都知事をはじめ、このような愚かな決定をゴリ押しした責任者たちに負担させるべきです。

 このような混乱期にこそ、賢明な判断が求めらるものです。偽りの情報やデマに惑わされることなく、事実は何かを見極める力を身に付ける必要があります。
 タガが外れたような政治の惨憺たる有様に呆れてしまいますが、絶望して諦めてしまったのでは一歩も前に進むことができません。私たち自身の手で海図を書き羅針盤を修理することでしか、航海を続けることはできないのですから。

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1月10日(火) 「アベ政治を許さない」のが真の「保守」なのだ [首相]

 解散は全く考えていない、予算の成立を最優先すると、安倍首相は繰り返しています。それは解散しないのではなく、したくてもできない状況が生まれているからではないでしょうか。
 一つには自民党が議席を減らすという総選挙予測が相次いでいるからであり、もう一つには保守支支持層内でも「アベ政治を許さない」という意識が強まっているからです。こうして、従来の支持基盤に地殻変動が生まれつつあり、安倍首相は総選挙で勝てるという確信が持てなくなってきているのです。

 1月8日付のブログ「解散・総選挙戦略でも追い込まれつつある安倍首相」で、次期総選挙についての2つの予測を紹介しました。一つは『毎日新聞』のもので、もう一つは『日刊ゲンダイ』のものです。
 前者は、「民進、共産、自由、社民4党が候補者を一本化すれば、計58の小選挙区で与党の現職を逆転する可能性がある」、後者は創価学会票が自民党にソッポを向けば「逆転は97区にまで増える」と予測していました。いずれも14年総選挙での数字を基にしており、野党4党が協力することを前提にしています。
 1月9日にはインターネットの「共同通信 47NEWS」が「野党共闘で61選挙区逆転 14年衆院選を基に試算」という記事を配信しました。次のような内容です。

 「2014年衆院選の小選挙区(295)の得票を基に、現在の民進、共産、自由、社民の野党4党が共闘して統一候補を立てた場合の与野党の勝敗を共同通信社が試算した。自民、公明両党候補は計61選挙区で逆転される。比例代表も含めた衆院議席(475)で265議席にとどまり、自公両党は憲法改正の国会発議に必要な「3分の2」を割り込む。逆転の61選挙区のうち31は当選1、2回の自民党現職の地元で、同党若手の選挙基盤の脆弱さが露呈した。次期衆院選で試算通りとなれば、自民党単独では233議席と過半数に届かない。安倍晋三首相の政権運営が不安定化するのは必至だ。」

 もう一つの保守支持基盤の地殻変動は、地方の農村部で生じているようです。いま話題になっている「農業協同組合新聞電子版」12月29日付に掲載された小松泰信岡山大学大学院教授の「"隠れ共産党"宣言」が、その好例だと言えるでしょう。
 小松さんは「自公政権が親米・新自由主義へと傾斜する中、それに抵抗する両者(保守と共産党)の立ち位置は限りなく接近している」とし、「純粋に農業政策を協議するに値する政党は日本共産党だけ」だから、「JAグループは真正面から向き合うべきだ」と主張しています。
 また、「『東京で共産党、箱根過ぎたら社会党、村へ帰れば自民党』と言われてきた村社会でも地殻変動の兆しあり」、共産党は「危険思想として擦り込まれてきたが、何か悪いことをしたのですかね。少なくとも農業問題に関しては、真っ当なことを言っていますよ。自民党よりよっぽど信用できる」、「政権与党とその走狗である規制改革推進会議に痛めつけられ、真っ当な農業政策を渇望している人が"隠れトランプ"ならぬ"隠れ共産党"となっている」と指摘するのです。
 そして、こう「宣言」されています。「『俺がアカなら、政権与党は真っクロ、それに媚びへつらうあなたはただのバカ』、『地方の眼力』なめんなよ」と。

 このような「地方の眼力」は、様々な所で発揮されているようです。その一つを、共産党の本村伸子衆院議員https://www.facebook.com/nobuko.motomura.3?hc_ref=NEWSFEEDが紹介していました。
 静岡県菊川市で「自民党議員が離党し、無所属議員となって、浜岡原発、安保法制=戦争法のたたかいのなかで、日本共産党に入党し、日本共産党の菊川市議選予定候補に」なったというのです。横山りゅういち菊川市議選予定候補がその人です。
 小松さんは「"隠れ共産党"宣言」を発しましたが、横山さんはもはや「隠れ」ることなく、堂々と共産党議員になろうとしています。詳しい事情は分かりませんが、このような方が生まれているという事実は地方での政治的地殻変動を示す兆候として注目されます。

 その背景を説明しているのが、宇野重規東京大学教授の発言です。宇野さんは1月2日のTBS「session-22」でつぎのように語っていました。
 「今の日本では『外国人は出て行け』とか『男女平等反対』とか言っている人たちが保守を名乗っていますが、これは完全に間違いです。これらは排外主義であって、保守主義とはまったく別のものです」「安倍首相は保守を名乗っていますが、私は疑問を感じています。安倍首相は今の憲法を否定して別のものに作り変えよう、自分の頭の中にある懐古的な時代に戻ろうとしていますが、これは、かつての保守が戦ってきた思想です」
 つまり、アベ政治は「かつての保守が戦ってきた思想」であり、保守とは言えないというわけです。だからこそ、保守支持層内で「アベ政治を許さない」という意識が生まれ、それが「“隠れ共産党”宣言」を生んだり、自民党議員から共産党の議員候補への転身を促したりしているのではないでしょうか。

 平和と民主主義を守れ、憲法を守れ、生活や営業を守れ、子どもを守れ、豊かな自然と環境を守れ、外国人など少数者(マイノリティ)の人権を守れという要求は、「アベ政治」とは対極にあります。このような要求の高まりこそが、共産党や野党共闘への期待を強めている要因にほかなりません。
 民進党の中には共産党と共闘すれば保守層の支持を失うという危惧があるようですが、それは逆なのです。「アベ政治を許さない」のが真の「保守」であり、要求においてシンクロし始めている共産党との連携は、真の「保守」層の支持を獲得する新たな回路を開拓するにちがいありません。

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1月8日(日) 解散・総選挙戦略でも追い込まれつつある安倍首相 [首相]

 「アベ暴走政治に引導を渡すべき機は熟しました。それを、いつの時点で、どのような形で実行するかが、今年の課題にほかなりません。」
 昨日のブログで、私はこう書きました。ここで提起した「いつの時点で、どのような形で」という問いに対しては、「夏の時点で、解散・総選挙という形で」と答えたいと思います。

 安倍首相が早期解散を狙っているのは間違いありません。これまでもチャンスがあれば解散・総選挙に打って出ることを意図していたフシがあります。
 一昨年の秋には臨時国会を召集せず、それを理由に昨年の通常国会は1月4日に召集されました。18歳選挙権の付与を考えれば、この日でなければ衆参同日選挙が不可能だったからです。
 正月の三が日開け直ぐの国会召集という過去に例のない日程が組まれたところに、安倍首相の狙いが透けて見えます。この時点では昨年夏の参院選と同じ日に総選挙も実施できるようにしたいと考えていたにちがいありません。

 しかし、それは不可能になりました。アベノミクスが不発に終わり、消費税再増税を延期せざるを得なくなったからです。
 こうして衆参同日選挙は消えましたが、できるだけ早い機会に解散・総選挙をやりたいという考えは消えていませんでした。次のチャンスは昨年末から今年の初めにかけてで、自民党大会を例年の1月から3月に延ばしたのはそのためです。
 米大統領選挙でのクリントン当選の追い風を受けながら日露首脳会談で領土問題に一定の道筋をつけて解散・総選挙に打って出るというシナリオでした。しかし、予想外のトランプ当選によって逆風が吹き、日露首脳会談は領土問題での逆走の始まりとなって狂いが生じてしまいました。

 ここで破れかぶれの勝負に出たのが、オバマ米大統領と戦没者を利用した真珠湾アリゾナ記念館への慰霊の旅でした。日米同盟の絆を強めてトランプ新大統領を牽制し、内閣支持率を引き上げるための政治的パフォーマンスでしたが、世論はコロッと欺かれてしまったようです。
 支持率の高い今のうちに何とかしたいと安倍首相は考えていることでしょう。しかし、外交日程はタイトで、景気回復のためには予算の早期成立が不可欠です。
 結局、1月解散は消えましたが、まだ2月解散の可能性は残っています。しかし、トヨタ自動車を名指しした批判など「トランプ・リスク」が表面化し、慰安婦像をめぐって日韓関係が悪化しつつあるなかで解散・総選挙をやっている場合なのかという批判もあり、事態は流動的です。

 もし、2月に解散・総選挙が実施できなければ、11月解散・12月総選挙という可能性が残りますが、先に延びれば延びるほど安倍首相にとっては不利になり、不確実な要素も増すことになります。しかも、解散戦略は2度も不発に終わり、迷走を続けてきました。
 このようななかで解散・総選挙は、安倍首相の基盤強化ではなく、野党にとっての政治転換のチャンスを生み出す武器になりつつあります。解散・総選挙によって野党を揺さぶる効果よりも、与党が議席を減らして政権に打撃を与えるリスクの方が大きくなっているからです。
 このリスクが最大化するのは、今年の夏、都議選の直後ということになるでしょう。小池都知事の与党化を強めている公明党と自民党との間に亀裂が入り、都議選で自民党は苦戦すると見られているからです。

 その直後に解散・総選挙があれば、自公の選挙協力は機能しなくなります。定数是正のための衆院選挙区の合区によって自民党の議席は減り、候補者調整に苦慮することにもなります。
 都議会の状況やカジノ解禁法をめぐって自公の関係は連立して以来、最悪の状況になっています。都議選で対立した直後の総選挙となれば「国政は別ですから、よろしく」と言うわけにもいかないでしょう。
 1月4日付の『毎日新聞』は2014年衆院選の結果に基づいて「民進、共産、自由、社民4党が候補者を一本化すれば、計58の小選挙区で与党の現職を逆転する可能性がある」と報じていました。これに対して、1月6日付の『日刊ゲンダイ』は「逆転はこんなものじゃ済まないのではないか」として、次のように書いています。

 「各小選挙区に2万~3万票とされる創価学会票が自民党にソッポを向けば、5000票や1万票なんてあっという間にひっくり返る。14年衆院選のデータでは、野党一本化候補と与党現職との差が5000票以内は18選挙区、1万票以内なら、さらに21区追加で39選挙区ある。つまり、毎日の試算した58区に39を足すと、逆転は97区にまで増えるのである。大島理森衆院議長、石原伸晃経済再生担当相、河井克行首相補佐官らが敗北危機だ。」
 「蓮舫氏は4日、『野党共闘は政策重視』との考えを示し、共闘に対しては相変わらずグズグズだ。政策と言うのなら『脱原発』や『立憲主義を守る』など4党で一致できるものは確実にあるし、共闘すれば暴走政権をストップさせられるのはデータで明らか。いよいよ民進党の本気度が問われている。」

 安倍首相が最もやりたくない時に解散・総選挙に追い込むことができるかどうかが勝利のカギを握ることになります。5月27日までに衆院小選挙区の割り審議会が小選挙区区割り改定案を勧告し、7月以降に改正公職選挙法で小選挙区「0増6減」・比例「4減」されることになっていますから、自民党内での調整が混乱し、公明党との関係がこじれて惨敗する可能性の高い都議選直後が絶好のタイミングだということになるでしょう。
 2月の解散・総選挙が不発に終われば、今度は野党の側の攻勢によって解散・総選挙を勝ち取るという戦略が必要になります。7月解散・総選挙によってアベ暴走政治をストップすることが最善ですが、たとえ年末の解散・総選挙であっても、野党共闘が効果をあげさえすれば同様の成果を期待できるにちがいありません。

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1月7日(土) 年が明けた途端に追い詰めらた安倍首相 [首相]

 改めて、明けましておめでとうございます。本年もこのブログをご愛読のほど、よろしくお願いいたします。 
 さて、おめでたいなどと言っていられないのが、安倍首相です。年が明けた途端に想定外の事態が続いて追い詰められてしまったのですから。

 第1に、トランプ砲の発射です。標的になったのはトヨタ自動車でした。
 トランプ次期米大統領はツイッターでトヨタ自動車に対し、米国市場向けの自動車をメキシコの工場で生産するなら、多額の税金をかけると警告しました。トランプさんはこれまでフォード・モーターなどの米企業によるメキシコでの工場建設計画を批判してきましたが、外資系自動車メーカーが標的にされたのは初めてのことです。
 この影響で投資家の間には不透明感や不安感が広がり、東京株式市場ではトヨタなどの自動車メーカーの株が売られる展開となりました。トランプ次期大統領の行動や発言を警戒する状況はしばらく続くと見られますから、年末の株高を生み出した「トランプ相場」にも陰りが生じたということになります。

 第2が、お隣の韓国との関係悪化です。慰安婦像の設置をめぐって、駐韓大使と領事を召喚したからです。
 菅義偉官房長官は韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦が設置されたことに対し、長嶺安政駐韓大使らを一時帰国させ、金融危機の際に通貨を融通し合う日韓通貨交換(スワップ)協定に関する協議を中断するなどの対抗措置を取ると発表しました。2015年12月の慰安婦問題に関する日韓合意に反すると判断したからですが、今後、この合意自体が破棄される可能性も懸念されています。
 一旦撤去された慰安婦像が再び設置された背景には、稲田防衛相の靖国神社への参拝がありました。領土問題に逆行する対ロ外交の失敗に続く対韓外交の失策ですが、安倍首相は信頼する閣僚に足を引っ張られた格好です。

 第3が、小池都知事の宣戦布告です。夏の都議選に向けて「断酒宣言」を行いました。
 小池さんは「小池新党」を立ち上げて候補者を40人ほど擁立すると見られていますが、それに向けての決意を示すためのようです。2009年に自民党が下野した際、「政権奪還まで髪を切らない」と宣言して政権復帰後に公開断髪式を行ったそうですが、「今度は髪を切るにもあまり髪がないので、お酒を断つ」として「臥薪嘗胆、前に進んでいきたい」と強調しました。
 このような決意を表明したのが連合東京の新春の集いや公明党都本部の賀詞交換会だったというのも注目されます。都議会では自民党と公明党との間の確執が強まっていますが、小池さんは新党設立を視野に民進党や公明党への接近を図っているようです。

 根拠のない期待感に基づいた「トランプ相場」は終わりです。ロシアとの領土外交の破綻に続いての韓国との慰安婦問題での破綻です。
 都議選に向けては、前門の「小池新党」、後門の「野党共闘」に挟撃されそうです。おまけに早期解散・総選挙戦略も齟齬をきたし、公明党との関係は都政だけではなく国政でもギャンブル解禁法をめぐってぎくしゃくしています。
 アベ暴走政治に引導を渡すべき機は熟しました。それを、いつの時点で、どのような形で実行するかが、今年の課題にほかなりません。

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