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1月23日(月) 世界中で実証された「反響の法則」 [国際]

 太鼓を小さく打てば小さな音しかしません。強く打てば大きな音がします。これが「反響の法則」です。
 トランプ米新大統領は過激で差別的な発言や自国最優先の保護主義的な政策によって、世界中の太鼓を力いっぱい叩いたようです。そのために、大きな「反響」が地球全体に広がっています。

 トランプ大統領就任翌日の21日、女性蔑視の言動などに反発する抗議活動が全米で行われました。このようなデモは世界各地に広がり、「反トランプ」の声が国際社会に渦巻いています。
 首都ワシントンでは、女性蔑視の発言を批判する団体「ワシントン女性大行進」の主催で抗議デモが行われ、白人女性だけでなく男性や人種的少数者、幅広い年齢層の人たちも集まり、想定の2倍を超える50万人以上に膨らみました。特設ステージには、女優のスカーレット・ヨハンソンさんら著名人も登壇し、歌手のマドンナさんは「革命はここから始まる」と訴え、女優のウーピー・ゴールドバーグさんら著名人も駆けつけています。
 抗議デモはニューヨークやロサンゼルスなどの全米各地をはじめ、ロンドンやパリなど世界約80ヵ国670ヵ所以上に上り、全世界で約470万人が参加したとみられます。このような抗議の波は、これからも世界各地で大きく盛り上がることでしょう。

 他方で、欧州の右派勢力はトランプ大統領の保護主義的な政策への共感を示し、トランプ新政権の誕生を歓迎しています。米国で浮き彫りとなった自国最優先の反移民政策と「分断」は、世界に拡散し始めました。
 反欧州連合(EU)や移民排斥などを主張して支持を伸ばしてきた欧州各国の右派・極右政党の党首たちは21日、ドイツ西部のコブレンツで「オルタナティブ(もう一つの)欧州サミット」と位置付けた会合を開きました。出席したのは、今年選挙を迎えるフランス極右「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首、ドイツ新興右派「ドイツのための選択肢」(AfD)のフラウケ・ペトリ党首、オランダ極右「自由党」のヘルト・ウィルダース党首など3人を含む9カ国の政党関係者です。
 移民への強硬姿勢に共鳴しているハンガリーやセルビアなど東欧諸国の首脳らもトランプ大統領を歓迎しています。一方、フランスのオランド大統領はアメリカの孤立主義に警鐘を鳴らし、ドイツのメルケル独首相は経済問題や防衛政策について、これまでの友好国との国際的枠組みを尊重するよう求めました。

 このようななかで、「信頼できる指導者」だとトランプさんを持ち上げてきた安倍首相は祝辞を送り、去年11月にニューヨークで行われた会談に触れ「ご自宅で胸襟を開いて意見交換を行えたことを大変うれしく思う」と述べ、「今後、ともに手を携え、アジア太平洋の平和と繁栄を確保し、世界が直面するさまざまな課題にともに取り組んでいくことを楽しみにしている」と、トランプ新政権の誕生を歓迎しています。
 また、「日米同盟は、わが国の外交・安全保障政策の基軸であり、大統領との信頼関係の上に、揺るぎない同盟の絆を一層強化していきたい」とし、「できるだけ早く再びお目にかかり、地域や世界のさまざまな課題について幅広く意見交換を行い、日米同盟の重要性を世界に向けて発信したい」と呼びかけました。差別と分断に警鐘を鳴らすことも注文を付けることもなく、ひたすら歓迎の意を表している安倍首相の姿は極めて異例だというべきでしょう。
 
 安倍首相はどちらの側にいるのでしょうか。反トランプの抗議行動に立ち上がった民衆の側なのか、それとも「自国第一」に共感して愛国主義への共鳴を狙う右派勢力の側なのかが、厳しく問われなければなりません。
 相も変わらぬ従米姿勢から抜け出すこともできず、新政権への批判や抗議の片りんも見せない安倍首相の姿勢は、アメリカの新しい指導者にしっぽを振ってすり寄っている「ポチ」のように見えます。それはトランプ当選の直後から一貫したものでした。
 とはいえ、早期の首脳会談を開きたいと希望していた1月27日には、日本の安倍首相ではなくイギリスのメイ首相との会談が設定されています。まるで、すり寄っても邪険にされ追い立てられている犬のような姿ではありませんか。

 いよいよ、絶望と希望とがせめぎあうような新しい時代が始まったのです。希望の光を消さないためにも、諦めてはなりません。
 アメリカを始め全世界で鳴り響いている「反響」に和して、私たちも声をあげようではありませんか。絶望に打ち勝つためには、少しでもまともな明日への望みを抱いて歩み続けることしかできないのですから……。

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