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5月2日(火) 朝鮮半島危機を利用した「火事場泥棒」のような戦争への「慣らし運転」 [自衛隊]

 朝鮮半島では北朝鮮による戦争の挑発が強まっていると、安倍首相は煽り立ててきました。国民の不安が高まっている今がチャンスだと考えたのでしょう。
 どさくさに紛れて盗みを働く「火事場泥棒」のような陰険で姑息な実績作りだと言わなければなりません。朝鮮半島危機を利用して安保法制による新任務を初めて実施し、戦争に向けての「慣らし運転」を始めたのですから……。

 昨日、海上自衛隊の護衛艦「いずも」が安保法制に基づいて自衛隊が米艦などを守る「武器等防護」のために、横須賀基地を出港しました。房総半島沖で米海軍の補給艦と合流し、護衛するためです。
 自衛艦は防護のために必要最小限の範囲で武器を使えるとされています。こうして米軍との一体化がさらに進み、日米間の軍事協力は新たな段階に達しました。
 安保法制に基づく新たな任務が実施されたのは初めてのことになります。攻撃されれば反撃することができるとされていますから、日本が戦争に巻き込まれる危険性が格段に高まったことになります。

 護衛艦「いずも」は大型のヘリ空母型ですが、防空能力は限られており他の艦船を防護するような装備は持たず、場所も太平洋側で攻撃される可能性は低く、房総沖から四国沖までという中途半端なルートになっています。もともと、シンガポールで開催される国際観艦式に参加する予定だった「いずも」が、たまたま米補給艦の移動ルートと重なったために、今回の「防護」になったと見られています。
 ほとんど実質的な意味がないにもかかわらず実施されたのは、安保法制に基づく新任務を実行するには絶好のチャンスだと考えたからでしょう。大型で目立つヘリ空母型の護衛艦を派遣することで日米間の軍事的連携をアピールでき、朝鮮半島危機に不安を高めている国民も強く反対しないだろうと高をくくっていたからだと思われます。
 別の言い方をすれば、米韓防護の実績作りの機会として、朝鮮半島危機が利用されたということになります。このような形で安保法制の実績作りを行い、日米同盟を強化し、「積極的平和主義」に基づく軍事力強化に向けての世論動員を図るために、北朝鮮によるミサイル発射やトランプ政権による空母カール・ビンソンの派遣などを契機に高まった緊張をさらに煽り立てていたわけです。

 こうして、安保法制は具体的な任務を伴って動き出しました。それによって、日本は安全になり、国民の安心感は増大しているでしょうか。
 トランプ大統領の登場に伴うアメリカの方針転換もあって北朝鮮をめぐる緊張が激化し、日本周辺の安全保障環境は極端に悪化しています。日本が攻撃されたり戦争に巻き込まれたりするのではないかとの国民の不安も、これまでになく大きくなりました。
 戦争の足音が高まり、不安や危機感が強まっているのが実態です。安倍首相はこのような国民の不安や危機感を和らげるどころか、軍事力強化という自らの政治的な思惑を実現するために煽り立ててきました。

 一体、どこの国の指導者なのか、と言いたくなります。アメリカとの軍事的一体化をめざす余り、安倍首相は頭の中までアメリカと一体化してしまったようです。
 しかし、朝鮮半島危機に対するアメリカと日本の立場は根本的に異なっており、ひとたび戦争になれば日本が甚大な被害を受けることは避けられません。日本にとって「あらゆる選択肢」があるわけではなく、軍事的対応を選択肢にすることは許されないのです。
 まして、「武力による威嚇」は憲法9条で禁じられており、首相は憲法尊重擁護義務を負っています。「武力による威嚇」も「力による平和」も、まして軍事的対応は日本として断固として拒否しなければなりません。

 先日、北朝鮮が午前5時半にミサイルを発射したのに対して、テレビなどが速報したのは6時で、これに対応して地下鉄が止まったのは6時7分でした。もし、日本に向けて発射されていれば7~8分で到達しますから、これに対応することは不可能だということが改めて示されました。
 解決する道は外交的な話し合いしかありえません。このことを肝に銘じて、危機打開のための協議の道を探ってもらいたいものです。

 なお、5月の講演などの予定は以下の通りです。お近くの方や関心のある方に足を運んでいただければ幸いです。

5月3日(水)13時30分 宇都宮市立図書館サザンクロスホール:栃木県革新懇
5月6日(土)13時30分 甲斐駒センターせせらぎ:北杜市地域で人権・『共謀罪』を考える会
5月13日(土)13時 萩中集会所:全日空職場革新懇
5月14日(日)13時30分 ルミエール府中:府中市革新懇
5月25日(木)18時30分 世田谷区宮坂区民センター:世田谷革新懇
5月28日(日)15時 明日都浜大津:滋賀県革新懇

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