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6月30日(金) 豊洲移転に反対し築地市場の再整備を求めているのは共産党だけだ [選挙]

 いよいよ注目の都議選も最終盤になりました。選挙運動ができるのは、今日と明日の2日間だけです。
 この選挙ではアベ政治の暴走への審判を下すことともに、都政のあり方についても都民の判断が問われています。その最大のテーマは築地市場の移転問題ですが、豊洲への移転に反対して築地市場を使いながらの再整備を主張している政党は共産党だけしかないということが、どれだけ理解されているでしょうか。

 選挙告示の直前に、小池都知事は「築地は守る、豊洲を活かす」という方針を明らかにしました。築地か豊洲かという問いに、築地と豊洲の「二兎を追う」という答えを出したわけです。
 この結果、各政党の立場ははっきりと分かれることになりました。以前から豊洲移転を推進してきた自民党と公明党、これに真っ向から反対して築地の再整備を求める共産党、その中間で小池知事と同様の立場をとる「都民ファーストの会」などです。
 築地で働いている人の大半は、豊洲ではなく築地での再整備を望んでいます。どうして豊洲には行けないのでしょうか。築地での再整備は可能なのでしょうか。

 豊洲は東京ガスの工場跡地で、32年間にわたって都市ガス、ベンゼン、ヒ素、シアン化合物が製造されてきました。ここを魚や野菜の生鮮食品を扱う市場にすることは、元々無謀な計画なのです。
 しかも、この跡地を「無害化する」という都の約束は果たされていません。汚染土壌の除去・浄化は不十分で、建物の地下にはあるはずの盛り土がなく、地下からの汚染物質やガスなどの遮断は実行されていません。
 2011年の東日本大震災のときには、移転予定地での液状化が発生しました。豊洲の敷地では108ヵ所で土砂が土地から吹き上がったのです。

 このような状況で移転すれば、将来のリスクは避けられません。地下にある汚染物質から発生する有毒ガスが地下ピット内に進入する危険性があり、コンクリートがひび割れたりすれば、そこからも漏れてくるでしょう。
 豊洲市場の施設にも多くの欠陥が指摘されています。間口が狭くて大きなマグロの解体ができない、建物の床の耐荷重が弱く荷物を満載したフォークリフトやターレットの重みに耐えられない、魚を洗ったりする海水を流せない、トラックからの積み下ろし場所が不足している、トラックやターレットの動線が一方通行ではなく相互交通ですれ違うようになっており、しかも2階への通路がヘアピンカーブになっていて事故が起きる危険性が高いなど、数々の問題点が指摘されています。
 豊洲を物流センターとして活かすという小池知事の表明がなされたとき、アマゾンが大型物流施設として利用する意向を示したそうですが、アマゾン独自のシステム・装置が豊洲では重量オーバーになってしまうために断念したそうです。実際に築地で働いている人々の意見をほとんど聞かず、オリンピックまでに間に合わそうとして開発を急いだツケが、今、このようにして回ってきたということでしょう。

 豊洲での建物の配置にも問題があります。築地では一体になっている水産卸、水産仲卸、青果が入っている建物が幹線道路によって分断されているだけでなく、水産卸と水産仲卸の建物を結ぶ地下通路も4本で狭く、とても不便だということです。
 築地よりも交通の便が悪くなりますが、駐車場の収容量が足りません。電気の容量も不足しており、照度不足だという問題もあります。
 維持管理費についても、築地は一日当たり430万円なのに豊洲は2100万円にも上り、約5倍になるという試算もありました。年間の赤字は築地なら20億円で済むのに、豊洲は約140億円で約7倍にもなります。

 このように、豊洲への移転は問題だらけです。もし、移転を強行した場合、これらの問題は「安全・安心」への懸念や「使い勝手の悪さ」、「豊洲ブランド」への不信などを生み出すにちがいありません。
 そうなってから、「シマッタ」と言ってみても遅いのです。「そうならないうちに、また築地に戻ってくればいいさ」というのが小池都知事の「築地を守る」という案なのかもしれませんが、いったん豊洲に移ってから5年後に築地に戻るというようなことが可能なのでしょうか。大規模な引っ越しを2度もする「体力」が関係者にあるのでしょうか。任期があと3年しかない知事が「5年後」のことなど約束できるのでしょうか。
 それよりも、築地市場を営業しながら再整備を行う方がずっと可能性が高いと思います。現に、市場問題プロジェクトチームも営業を続けながら改修する案を出していますし、2027年完成を目標に山手・埼京線のホームを移してその上に3棟のビルを建設している渋谷駅の例もあります。

 何よりも、築地で働いている人々が、営業しながらの再整備を望んでいます。これらの人たちの希望を最優先して計画を立てるのが基本ではないでしょうか。
 世界中にその名が知られ、銀座に近いという地の利を生かして「築地ブランド」を守ることこそ、小池都知事の真意にも沿うことではないでしょうか。都議選で公明党と選挙協力を結んだために、小池さんはその顔色を窺って「豊洲を活かす」と言わざるを得ませんでしたが、その本心は「築地ブランド」を守りたいということだと思うからです。
 香水で有名なシャネル日本法人のリシャール・コラス社長も、築地は「ある種の『ブランド』」で「すべての料理人にとって聖地のような場所」「日本という国を最高の形で、なおかつ『生』で見せることができる場所」だと言っています。そのうえで、「技術、品質へのこだわり、伝統、人々の絆、味覚、美学――そうしたものがあそこには詰まっている」と指摘していますが、その「ブランド」は豊洲では維持できません。

 築地移転問題の最終的な決着は、選挙後の都議会でつけられます。その都議会の構成が今度の選挙でどうなるかによって、決着の内容は大きく変化します。
 アベ暴走政治への審判と築地移転問題の決着という重大な意義を持つ都議選も、投票日まであとわずかです。安倍政権のみならず、石原・猪瀬・舛添という3代の都知事に対して真っ向から対峙し、一貫して豊洲移転に反対して築地での再整備による「築地ブランド」を守ることを求めているただ一つの政党・共産党が議席を増やせるかどうかに、日本と東京の行く末も築地市場の将来も大きく左右されることになります。
 投票日である7月2日には、このことを念頭に投票所に足を運び、投票していただきたいものです。自らの未来を、自らの力で手繰り寄せるために……。

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