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7月7日(金) 唯一の戦争被爆国としての日本の名誉を救った日本共産党訪米団 [国際]

 政府ではなく政党が、日本という国の名誉を救うことがあるのです。国連で今日、採択されようとしている核兵器禁止条約についての対応がそうです。

 日本は唯一の戦争被爆国でありながら、その政府は条約の審議に参加しませんでした。空席の上に飾られた折り鶴は、このような態度を無言のうちに戒め咎めていたのではないでしょうか。
 しかし、この条約の審議に参加し、発言した政党がありました。その政党は日本共産党であり、7月7日の採決を見届けるために志位委員長をはじめとする代表団を国連本部に送っています。
 このことは、日本人の全てがこの条約の審議と採決に無関心だというわけではないということを国際社会に示したという点で大きな意味があります。唯一の戦争被爆国の政党として、日本共産党訪米団は日本の名誉を救ったのです。

 「核兵器なき世界」は人類が到達すべき目標であり、核兵器の保有や使用を初めて法的に禁ずる核兵器禁止条約が国連で採択されることは、その大きな一歩になります。しかし、日本政府はその歩みに加わる意思を示しませんでした。
 この条約の前文には「核兵器使用による被害者の受け入れがたい苦しみと被害に留意する」と明記され、「hibakusha」(被爆者)という表現が使われています。その被爆者が暮らす国の政府は、広島や長崎での惨劇を繰り返さないという国際社会の強い決意を共有することを拒んだのです。
 実効性に疑問があるとか、核保有国と非保有国との対立を助長するとかの屁理屈を付けて、今できる努力を放棄してしまいました。この条約は核廃絶を国際的な規範とするものですから、これを出発点に核廃絶に向けての実効性を高め、核保有国と非保有国との橋渡しをして保有国に核放棄を迫っていくのが、唯一の戦争被爆国である日本政府に期待されている役割ではないでしょうか。

 しかも、今回の条約での禁止の対象は開発や製造、保有や配備、移譲や受領、使用もしくは使用の威嚇など広範囲に及んでいます。これらに対する援助も禁じているという画期的なものです。
 ここで挙げられている「使用の威嚇」は、核を使うという脅しによって相手からの攻撃を抑制しようという「核抑止力」も否定しています。北朝鮮の核政策が禁止されているわけですから、その脅威にさらされている日本こそ真っ先に加わるべき条約ではありませんか。
 この条約の交渉には国連加盟国の6割を超える121カ国・地域が参加し、国際社会の声だという重みがあります。核兵器の先制使用をためらわせる抑止効果が期待されるにもかかわらず、「核の傘」に依存しているアメリカからの同調圧力に屈して日本政府は背を向けてしまいました。

 本日の『東京新聞』の「筆洗」には、「子供達よ/これが核攻撃から/あなたを守る方法です/ベルの音で先を争って誰よりも早く/机の下にもぐり/ひざまずいた姿勢で床に顔をつけ…」という詩が紹介されていました。詩は「これが時速何百マイルの速度で/飛んでくるガラスの破片やその他の物体から/あなたを守る方法です/そしてあなたの眼球を/溶かすこともできる白い閃光(せんこう)から/あなたを守る方法です」と続いているそうです。
 本当の「あなたを守る方法」とは何か。その答えが「核兵器禁止条約」だと、「筆洗」子は書いています。
 日本政府はその答えを拒み、北朝鮮のミサイルに対しても「子供達よ/これがミサイル攻撃から/あなたを守る方法です/屋外にいる場合には、直ちに近くの頑丈な建物や地下に避難し/近くに適当な建物等がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ/屋内にいる場合には、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動し…」と呼び掛けているのです。何という愚かなことでしょうか。

 本当に子どもたちを守る方法は核兵器禁止条約を実現し、核兵器を違法化して「全面廃絶」に進むことしかありません。そのためにできることは何でもするべきでしょう。
 発射されれば7~8分で着弾する北朝鮮のミサイルから身を守る方法も、外交的な手段と対話によって核を放棄させ、ミサイル開発をストップさせるしかありません。そのためには無条件で交渉のテーブルに付くべきです。
 核兵器禁止条約の採択は、そのような方向への国際的な世論と圧力を強めることになるでしょう。その席に日本政府の姿がないのはまことに残念です。

 その点でも、日本の政党である共産党の代表団が参加し立ち会っていることには大きな意味があります。その意味を理解して代表団を送ったのは共産党だけでした。
 結局、日本政府も他の政党も、この条約の歴史的な意義と重要性を理解できなかったということになります、他の国々や国連からの期待にも、国際社会において日本が占めるべき地位や名誉についても、全く無関心だということがまたもや明確になったと言うしかありません。

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7月6日(木) 都議選結果 安倍政治への怒りの表れだ [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、『連合通信・隔日版』№9212、2017年7月4日付に掲載されたものです。〕
 
 7月2日に投開票された東京都議会議員選挙で、自民党が惨敗する一方、小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」が圧勝。公明などを含め小池氏支持勢力が過半数を占めた。一方、共産党は微増、民進党は微減となった。この結果をどう見るか、国政への影響を含めて五十嵐仁・法政大学名誉教授(政治学)に聞いた。

 潮目が変わった
 
 選挙結果を見ると、9条改憲姿勢や、共謀罪の強行採決、森友・加計学園疑惑などに見られる安倍暴走・逆走政治に厳しい審判が下された。最近では、稲田防衛相の「自衛隊としてお願い」応援演説や、豊田真由子議員による秘書への暴言・暴行などが次々に出てきた。これはひどいし、なんとかしたいという都民の怒りのマグマが噴き出したということだろう。
 「安倍1強」体制の潮目が大きく変わり、そのことが具体的な形で示されたと見ていいのではないか。
 そうした審判を下す手段として、都民ファーストが使われた。共産党や民進党には抵抗があるが、自民党には反省を促したいという人々にとって、手ごろな「非自民・反自民」の受け皿になったのだ。

 ぶれない野党共闘を
 
 共産党は、森友・加計疑惑や共謀罪で安倍政権を追及するなど、ぶれない姿勢が評価された。都政でも、知事は「豊洲も築地も」と、どっちつかずの方針だったが、唯一、築地の再整備を主張。築地で働く人々や、築地ブランドを守りたい人々の共感を得たと思う。
 民進党は一時、都議会では壊滅するのではないかとまで言われた。それが、安倍政権のひどさが明らかになる中で、なんとか政権批判票の受け皿の一つになり、踏みとどまったといえる。
 ポピュリズムの嵐の中でも立憲野党の共産・民進は健闘できることを示した。この選挙結果を教訓に、今度は国政で安倍1強体制に対抗し、どうしたら国民の批判・意見を結集する受け皿になれるかを考えるべきだ。解散・総選挙の時期は早まると思う。野党は早期解散に追い込み、いつ選挙があってもいいように準備しておく必要がある。
 仮に都民ファーストが何らかの形で国政に進出した場合、民進党の姿勢が試されるだろう。都議選では少なくない同党候補者が都民ファーストに移った。そういうふうにぐらつけば、国民の信頼を失う。これまで市民と野党の共闘を進めてきた成果も一定あるし、信義もあるはず。野党としてぶれずに筋を通すという点は、共産党に学んだ方がいい。

 問われる「反自民」 

 都民ファーストの圧勝は、最近の欧米の選挙などで見られたポピュリズム的な傾向と同じものといえる。既成政党に飽き足らず、不満を抱えている人々。そこに風が吹き、票が集中した。 
 だが、風の力で当選した議員たちは今後、都議会でどういう役割を果たすのかが問われる。大阪の維新や名古屋の減税日本などでは問題を起こす新人議員らがいたことを指摘しておく。
 都民ファーストと国政との関係について言えば、本気で安倍政権に対抗するというなら、市民と野党の共闘に加わるべきではないか。野党共闘に対する姿勢は、「反自民」の看板が本物かどうかのリトマス試験紙になるだろう。

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7月4日(火) 驚天動地の結果を生み出した都議選によって動き始めた政治の地殻変動 [選挙]

 都議選では「都民ファーストの会」が追加公認を含めて55人を当選させました。他方で、これまで都議会第1党だった自民党は23議席というかつてない歴史的大惨敗に終わりました。
 この結果はかつてないもので、まさに驚天動地ともいうべき出来事だったと言わなければなりません。この激震によって、日本政治の地殻変動が始まろうとしています。

 大勝利を手にした小池都知事は、「都民ファーストの会」の代表を辞任しました。後任には野田数知事特別秘書が復帰し、小池さんは以前務めていた特別顧問に戻りました。
 「選挙のためだけに代表になったのかと思う。(前任の代表だった)野田数氏が代表のままでは、大勝はできなかっただろう」と、自民党の都議が批判する通り(『朝日新聞』7月4日付)、小池さんの代表就任は小池人気を議席に結びつけるための方策でした。選挙が終わり、当初の目的を達成したために、代表を交代したのでしょう。
 また、「二元代表制」を損なうとの批判を避けるためでもあり、玉石混交の「小池チルドレン」が問題を起こした場合、そのとばっちりを避けるための措置でもあります。さらには、来る衆院選で「日本ファーストの会?」を立ち上げて国政に進出できるようにするための布石という可能性もあります。

 今回の都議選ほど自民党が選挙の恐ろしさを実感したことはなかったにちがいありません。地殻変動によって地割れが生じ、奈落の底に落ち込んでいくような恐怖を味わったのではないでしょうか。
 「THISイズ敗因」という言葉が飛び交っていますが、正確には「THISイズA敗因」と言うべきでしょう。敗因を生み出した「戦犯」はT(豊田真由子)、H(萩生田光一)、I(稲田朋美)、S(下村博文)の4人だけではなく、何よりも、A(安倍晋三)という「大戦犯」がいるからです。
 今回の歴史的惨敗は、政治の私物化や憲法無視の国政運営、疑惑隠しや暴言などの自民党全体に対する断罪、疑惑の中心にいて強権的な政治運営を行ってきた安倍首相に対する不信任、それに昨年の都知事選から小池知事と対立し続けてきた自民党都連への批判という三つの敗因が積み重なって生じました。今日の『朝日新聞』の多摩版には、「自民支持者の静かな怒りを感じた」「(相次ぐ不祥事や疑惑に)静かにあきれていたということだろう」という自民党とその支持者の声が紹介されていますが、怒ったりあきれたりした対象は、先ずは東京都連、そして自民党、さらには安倍首相だったのではないでしょうか。

 これに加えて、自民党の歴史的惨敗を生み出したもう一つの重要な敗因があります。それは公明党の裏切りでした。
 通常国会最終盤に、会期を延長せず参院法務委員会での採決を省略して「中間報告」という禁じ手を用いて共謀罪法案を強行採決したことが安倍政権の強権的な国会運営を象徴するものとして大きな批判を呼びましたが、会期延長の断念も公明党が委員長だった委員会での採決省略も、いずれも公明党への配慮でした。つまり、自民党は公明党に配慮したために批判の矢面に立つことになったのです。
 選挙本番では、公明党は自民党ではなく「都民ファーストの会」を支援し、公明党の支えを失たった自民党は1人区や2人区だけでなく、3~5人区でも苦戦することになりました。『毎日新聞』が報ずるところによれば、「自民は共産や民進と最下位当選を争うケースが目立」ち、「3~5人区の15選挙区での自民の当選者は7人で、13人が次点、当選者は共産の13人を下回」り、「都民ファーストの会」とともに上位当選した公明党に蹴落とされてしまったということです。

 これに対して、共産党は最後の1議席に滑り込むという形で17議席から19議席に増やしました。前回の都議選では8議席から17議席に倍増していますから2回連続での増加であり、これは32年ぶりのことになります。
 「都民ファーストの会」が大量当選するというポピュリズム選挙の嵐が吹き荒れたにもかかわらず、その大風に吹き飛ばされることなくこれだけの成果を上げたことは大きな成功でした。これは公明党と同様、強固な組織的基盤を持っている共産党の強みが発揮されたためですが、無党派層の投票先でも「都民ファーストの会」に次ぐ2位ですから、組織の力だけではない幅広い支持層を獲得した結果でもあります。
 共産党が成功したのは、地域などに根を張った強固な組織力だけでなく、「森友」「加計」問題などでの調査と追及、アベ政治に対峙し続けてきたブレナイ政治姿勢などの実績、9条改憲阻止やアベ政治への批判などの国政上の争点も掲げた選挙戦術、都政の重要課題では豊洲移転に反対して築地再整備を掲げる唯一の政党だったという政策的な立場などが積み重なったためであると思われます。このような、国政上の実績、選挙戦術、都政政策などの点で独自の優位性を発揮し、同時に安倍首相に反発し最もきついお灸を据えたいと思っている都民の支持を集めることにも成功したということでしょう。

 共産党ほどきつくはないけれど軽いペナルティを科したいと考えた自民党支持者や無党派層も沢山いたはずです。これらの人たちにとって、恰好の「受け皿」となったのが「都民ファーストの会」でした。
 このような「受け皿」を提供することができれば、今回と同様の地殻変動を国政レベルでも引き起こすことができるにちがいありません。それを、どのような形で提起し、国民に認知してもらうかが、これからの課題になります。
 強固だと見られていた安倍内閣支持の地盤が崩れ始めました。今後も支持率の低下が続けば、遅かれ早かれ日本政治全体の変動を引き起こすことになるでしょう。

 安倍首相は「反省」を口にしながら、臨時国会を早く開いて疑惑を説明する姿勢も示さず、稲田防衛相に責任を取らせることもなく、なお強気で改憲スケジュールを強行しようとしています。この程度では、まだ足りないということなのでしょうか。
 いつも通り「経済最優先」をアピールして政権の再浮揚を図ろうとしていますが、そう簡単にはいかないでしょう。都議選で問われたのは安倍首相自身の政治姿勢であり、政治手法そのものなのですから。
 安倍首相の「反省」を実際の行動によって示し、国民に納得し理解してもらうことでしか、信頼を回復することはできません。国民の不信に真正面から答えようとしない限り、さらなる逆風に超面するだけではないでしょうか。

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7月3日(月) 都議選で噴き出した「怒りのマグマ」によって自民党が歴史的惨敗 [選挙]

 アベ暴走政治・逆走政治に対する都民の怒りのマグマが、ついに噴き出したようです。自民党はかつてない歴史的な惨敗を喫しました。
 選挙戦最終日の秋葉原での街頭演説で安倍首相は「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫んだそうですが、多くの都民は「こんな人たちに、私はなりたい」と考えたわけです。その結果、安倍首相は都民から鉄槌を下されました。

 昨日、投開票された都議選の最終結果は、以下の通りです。

都民ファーストの会:6→49(+43)
自民党:57→23(-34)
公明党:22→23(+1)
共産党:17→19(+2)
民進党:7→5(-2)
生活者ネットワーク:3→1(-2)
日本維新の会:1→1
社民党:0→0
無所属(都民推薦):9→6(-3)

 自民党の獲得議席は23でした。過去最低だった38議席を15も下回っています。
 これほどの大きな議席減になると、一体だれが予想したでしょうか。私は38議席以下に追い落とすことを訴えていましたが、それを大きく超えて達成したことになります。
 こうなった原因は、歴代の都知事を与党として支えてきた都政への対応以上に国政にあります。9条改憲を打ち出し、「森友」「加計」疑惑に頬かむりしたまま共謀罪を強行採決して国会を閉じたアベ逆走政治や、その後も相次いだ不祥事や暴言、疑惑隠しなどに対して都民の怒りが爆発したのです。
 マグマのように溜まった怒りがどれほどすさまじいものだったかは、34議席という議席減の数字に表れています。自民党は改選議席の半分以下となり、公明党と同じ議席数になってしまいました。

 この自民党にとって代わったのが、「都民ファーストの会」です。自民党が減らした議席の大半は、「都民ファーストの会」に流れ込みました。
 都民は安倍首相に異議申し立てをし、自民党を断罪するための「手ごろな非自民」の手段として「都民ファーストの会」を利用したのです。「都民ファーストの会」の躍進は、自民党に対する都民の憤りと反発がどれほど強いものだったかを表現しています。
 同時にこのことは、欧米と同様のポピュリズムの「追い風」が強烈に吹いたことをも示しています。「都民ファーストの会」は大阪維新の会や名古屋での減税日本と同様のポピュリズムの風に押し上げられて都議会に送り込まれたのであり、「『どうしてこんな人が』と思われるような人もあれよあれよという間に当選し、議員になって議会に送り込まれ」たかもしれない「ポピュリズム選挙の危うさ」があることも忘れてはなりません。

 このようなポピュリズムの嵐の中で、選挙最終盤での「左翼バネ」もあって立憲野党は何とか持ちこたえることができたと思います。民進党は「壊滅するのではないか」と見られていましたが、改選7議席から2議席減の5議席に踏みとどまりました。
 共産党は前回の選挙で17議席に躍進していましたから、現状維持も難しいと予想されていたなかで2議席増の19議席となり、善戦健闘して前進しました。アベ政治と対峙し、ブレることなく間違ったことは間違っていると言い続けてきた姿勢が評価され、築地再整備という独自の主張が支持を集めたのでしょう。
 社民党が世田谷で擁立した1議席を獲得できなかったのは残念ですし、1人区などで擁立した野党の統一候補も当選できませんでした。ポピュリズムの風になぎ倒されてしまったということでしょうか。

 これらの事実は、ポピュリズム選挙の嵐が吹きすさぶ中でも立憲野党が健闘できるということを示しました。この教訓を次の解散・総選挙にいかすことが重要です。
 今回の都議縁で、安倍内閣に対する「ノー」の声がはっきりと突きつけられました。驕り高ぶり、国民の声に耳を貸さなかったアベ暴走政治・逆走政治への明確な審判が下ったということです。
 この声を今後も無視し続ければ、次の国政選挙でさらに大きな「ノー」の声が突き付けられることでしょう。安倍政権を解散・総選挙に追い込んで、その機会を早く実現したいものです。

 この都議選で、「安倍一強」の潮目ははっきりと変わりました。さらなる追撃戦によって、アベ政治の「終わりの終わり」を実現しなければなりません。
 解散・総選挙を勝ち取ることによって、今回の結果を国政選挙にも結び付け、衆院選でも自民党の歴史的惨敗を実現したいものです。そのためにも、市民と野党との共闘を推進し、いつ国会が解散されても対応でき、勝利できるように準備を進めることが今後の課題です。

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7月1日(土) 都議選での自民・公明の断罪と立憲野党(民進・共産・社民・ネット)の躍進を呼びかける [選挙]

 いよいよ都議選の投票日が明日に迫ってきました。東京という自治体の議員選挙ですが、安倍政権への審判の場でもあり、これからの日本の命運に大きくかかわる重要な選挙になっています。
 この選挙では二つの目標を達成しなければなりません。一つは安倍政権与党の自民党と公明党の断罪であり、もう一つは立憲野党の躍進です。
 自民党が議席を減らしても、立憲野党が伸びないというのでは困ります。民進党、共産党、社民党、生活者ネットの候補者の当選によって自民党や公明党を蹴落とすという形になってもらいたいものです。

 今度の選挙は、アベ暴走政治にノーを突きつけて断罪する絶好の機会になりました。そのアベ政治の暴走・逆走ぶりは、都議選の直前から選挙にかけてますますひどいものになりました。
 通常国会最終盤の共謀罪法案の強行採決など幕引きの仕方も滅茶苦茶でしたが、その直後から出てくるわ出てくるわ、これでもかという形での疑惑や不祥事、スキャンダルのオンパレードになっています。
 国会を延長せず、重要法案の審議を打ち切って「中間報告」という禁じ手まで使って無理やり幕引きを図ったのは、安倍首相が「森友」「加計」学園疑惑での追及から逃げ出したかったからだと見られています。しかし、幕を閉じた途端に、萩生田光一内閣官房副長官の関与を示す新たな内部文書が見つかってしまいました。

 文科省で見つかった内部文書にあった「官邸の最高レベル」とは萩生田副長官のことではないかとの疑惑が濃厚です。萩生田さんは加計さんとの親しい関係を否定していましたが、それを覆すような動画や写真が公開されました。
 河口湖にある安倍首相の別荘で、安倍さんと加計さん、それに萩生田さんの3人がバーベキューしながら缶ビール片手に談笑している写真です。この時はゴルフをやった後で、安倍夫人の昭恵さんや加計夫人、それに萩生田夫人の3人も同じ組で回ったそうです。
 親しくない関係だなどというのは真っ赤な嘘です。実際には、この3人組は家族ぐるみの付き合いをしていたほどの緊密で親しい関係だったのです。

 加計学園をめぐっては、理事長の加計孝太郎さんが自民党の岡山県自治振興支部の代表で、会計責任者も加計学園の理事を務めた人物、支部の事務所が加計学園系列校と同じだったことが判明しています。安倍さんとの個人的な関係だけでなく、政治的にも深くつながっていたことになります。
 また、岡山が地元の加計学園は同じ選挙区の逢沢一郎元外務副大臣に100万円を献金しており、愛媛県今治市で岡山理科大学獣医学部の新キャンパスの工事を請け負っているのは今治市とは縁のない岡山市が本社の「アイサワ工業」などで、逢沢さんのいとこが社長をしているファミリー企業です。しかも、見積書によれば建設費の坪単価は約150万円で、一般的な坪単価70万~80万円の2倍以上もすることが明らかになっています。
 そのうえ、この加計学園が当時文科相であった下村博文さんに200万円の献金をしていた疑惑がもちあがり、この献金の後、加計学園が望んでいた教育学部の新設が認められていたことも分かっています。下村さんは「事実無根」だと否定していますが、お金を加計学園の関係者が出していたことを学園側は認め、2013年と14年の2度にわたって持参し手渡したのが加計学園の秘書室長だったことを、下村さんも認めています。また、下村夫人の今日子さんは2013年3月から安倍首相が監事をやったことのある広島加計学園の教育審議委員をやっており、昭恵夫人と一緒に加計学園のパンフに登場したり、年に数回は同施設のイヴェントに参加したりしていたという事実もあります。

 選挙戦の応援では、稲田朋美防衛相が演説で「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と投票を呼び掛けて大きな問題になりました。自衛隊を「自民党のもの」であるかのように扱って政治利用しただけでなく、指揮権を持つ防衛相が言えば自衛隊員は特定政党を応援しなければならないと誤解してしまいます。
 政治的に中立公平であるべき公務員や自衛隊のあり方からの逸脱という点でも、「党務」と「公務」の混同という点でも、この発言は自衛隊法や公職選挙法に反する暴言にほかなりません。これについて私は、『しんぶん赤旗』6月29日付で以下のようにコメントしました。

 安倍首相自身による、9条改憲での前のめり表明、加計疑惑隠しの「獣医学部の全国展開」など問題発言が続き、その中での今回の稲田発言です。
 稲田防衛相は何回も、閣僚の資質を疑われる言動を繰り返してきました。こういう人を、選んだ責任だけではなく、今までどうして続投させてきたのか。今回のように自衛隊法にも公務員法にも違反することを言い出しかねない人を安倍首相はかばい居座らせてきた。今までも問題にきちんとけじめをつけてこなかった。放置してきたことへの責任は大きいと思います。
 通常国会終盤で加計疑惑逃れのために共謀罪の審議を打ち切り、強行採決で国民の怒りに火をつけ、内閣支持率が急落しました。都議選でも苦戦し、政権全体に焦りが募って自ら墓穴を掘っています。
「1強」体制の「終わりの始まり」です。都議選でこの政権の息の根を止めなければなりません。その可能性は高くなっています。 

 稲田さんは、その後も居直って辞職していません。安倍首相も菅官房長官も「撤回して謝罪したから」ということで、またもや「かばい居座らせ」ており、「きちんとけじめをつけてこなかった」過ちを繰り返しています。
 菅官房長官は前文科事務次官の前川喜平さんについて、「自ら辞める意向を全く示さず、地位に恋々としがみついている」と批判していました。今の稲田さんこそ、その典型ではありませんか。
 「森友」「加計」学園疑惑では、権力者の意向を忖度し、一部の人を優遇したりえこひいきしたりして行政がゆがめられ、大きな批判を浴びました。安倍さんに近く親しいというだけで稲田さんばかりが甘やかされ特別扱いされている姿こそ、えこひいきが政治責任の取り方までゆがめ、公平性や信頼を大きく損ねていることを示しているように思われます。

 まだ、あります。選挙中に明らかになった豊田真由子衆院議員の秘書に対する暴言・暴行というスキャンダルです。豊田議員は責任を取って自民党に離党届を出しましたが、辞めるべきは自民党ではなく国会議員の方でしょう。
 夫の宮崎謙介衆院議員の女性スキャンダルが『週刊文春』に報じられたことのある金子恵美衆院議員についても、公私混同疑惑が浮上しました。公用車で子どもを保育園に送ったり、母親を駅に送り届けたりするなど、私的使用が常態化していたというのです。
 この豊田さんや金子さんの同期には、金銭トラブルが報じられて自民党を離党した武藤貴也さん、不倫疑惑で議員を辞職した宮崎謙介さん、「巫女さんのくせに」「がん患者は働かなくていい」などの失言で謝罪した大西英男さん、おんぶ姿で豪雨の被災地を視察しさらなる失言で政務官を辞任した務台俊介さん、女性問題で経産大臣政務官を辞任して離党した中川俊直さんなどがいます。2012年の総選挙で初当選し14年に再選されたこれらの議員は「魔の2回生」と呼ばれていますが、これらの若手議員を厳しく監督するべき二階俊博幹事長自身が、都議選の応援演説で「この頃は地元もあまり帰れない。よく変なものを打ち上げてくるキチガイみたいな国がある。そうすると私どもは集合がかかる」と述べ、後で「表現として必ずしも適切でないものが一部あった。今後注意したい」と精神障害者への差別的表現について釈明する始末です。

 もう、ボロボロではありませんか。もはや、安倍政権も自民党も末期症状を呈していると言うしかありません。
 「きついお灸をすえる」という程度では足りないほどの堕落と退廃ぶりです。このような腐りきった大木は、早急に切り倒さなければ危険です。
 今度の都議選で自民党を惨敗させれば、それが可能になります。改選議席の57議席をできるだけ減らして第一党の座から引きずりおろせばいいんです。
 もし、自民党の議席が40を下回り、さらに過去最低の38議席以下になれば、安倍首相の責任問題が浮上するでしょう。何としても安倍首相を政権の座から引きずりおろしたいと考えている人にとって、確実な方法は自民党の議席を38以下に減らすことです。

 自民党に代わって第1党になる可能性があるのは「都民ファーストの会」です。しかし、その役割は自民党を追い落とすためにという限りであって、多くの期待を寄せることはできません。
 何よりも、「都民ファーストの会」を代表している小池百合子都知事が、いまだに自民党員であるという事実を忘れてはなりません。6月1日に小池さんは自民党に離党届を出しましたが、まだ手続きが完了していないからです。
 これは自民党による嫌がらせかもしれませんが、自民党にお灸をすえて投票しようとする相手のトップが今も自民党だというのではシャレにもなりません。小池さん自身もそうですが、「都民ファーストの会」も公明党や維新の会と同じような自民党の補完勢力であることは否定できません。
 小池都知事は、自民党都連を批判しても安倍首相を批判することはなく、都政では争っても国政では政府・自民党と連携していく立場を明確にしています。政策的にも、都政の「大改革」を掲げてはいても、どのような都政をめざして、何を、どのように改革してくのかというビジョンが明確ではなく、築地移転問題では「あっちも、こっちも」という中途半端な方針でしかありません。

 だからと言って、都政では自民党や公明党の方がましだというわけではありません。自民党は盛んに「知事のイエスマンばかりにしてはならない」と言っていますが、笑止千万というしかないでしょう。
 石原・猪瀬・舛添という3代の都知事の与党として、「究極のイエスマン」だったのは自民党と公明党ではありませんか。豊洲移転についても一貫して「イエス」を言い続け、今日の混迷の元を生み出してきたのは歴代都知事の与党だった自民党と公明党です。
 自らの過去を棚に上げて「二元代表制を守れ」などと、どの口で言っているのでしょうか。都知事与党が多数になったらチェック機能が働かないという批判は、まず自らの過去を反省し、自己批判してから言うべきでしょう。

 それでも自民党は、まだましだと言えるかもしれません。与党から野党に変わった政党としてのスジを通しているからです。
 みっともないのは公明党です。風向きを見ながら、あっちに付いたりこっちに付いたり、与党としての立場とうまみをを最優先し、政党としてのスジも面目もかなぐり捨てて小池都知事にくっついてしまいました。
 自民党からすれば、浮世の義理も人情もない裏切り者だということになるでしょう。小池与党に宗旨替えし、このまま「イエスマン」としてのあり方を貫くつもりなのでしょうか。

 これらの政党に代わって、民進党、共産党、社民党、生活者ネット、そして市民と野党の共闘が実現した5つの選挙区での統一候補の当選を呼びかけたいと思います。この都議選で立憲野党が躍進して共闘の実績が示されれば、次の総選挙でも野党共闘を大きく前進させることができます。
 なかでも、豊洲移転に反対している共産党を増やせば、豊洲移転を中止させて「築地ブランド」を守ることができます。自民党が第1党の座を滑り落ち、共産党がキャスチングボートを握るようになれば、大型開発優先から福祉・教育・子育て優先の都政へと、都政改革も大きく前進させることができるでしょう。
 そのためには、投票率を上げることが重要です。今まで支持する政党を持たなかった無党派層が立ち上がり、自民党と公明党以外に投票すれば、政治を激変させることが可能です。

 安倍政権を東京で倒す。アベ暴走政治をストップし、市民と野党の共闘による新しい政治への大波を東京から起こしていく。
 そのために、投票所に足を運びましょう。自らの「権力」を用い、一票を行使してこその「主権者」なのですから……。

 なお、7月の講演などの予定は以下の通りです。お近くの方や関心のある方に足を運んでいただければ幸いです。

7月8日(土)14時 大月市民会館:山梨県郡内地区革新懇
7月9日(日)14時 練馬区役所:練馬革新懇
7月15日(土)14時 全国教育文化会館:東京都障害児学校9条の会
7月16日(日)14時 新津健康センター:新潟市秋葉区9条の会
7月18日(火)18時30分 国分寺労政会館:三多摩革新懇
7月22日(土)13時30分 斐川町商工会館:島根革新懇
7月23日(日)14時 鳥取市さざんか会館:鳥取県革新懇・鳥取市革新懇
7月25日(火)10時40分 東山温泉メイプルプラザ:兵庫県民商
7月29日(土)14時 あわぎんホール:徳島革新懇
7月30日(日)14時 松山:愛媛革新懇

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