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7月11日(火) 加計学園疑惑の参考人質疑で前川「奇兵隊」の逆襲が始まった [国会]

 注目の参考人質義でした。加計学園疑惑での焦点の人である前川喜平前文科省事務次官が国会で初めて証言しました。
 当初、中継しないと言っていたNHKも、世論に押されて中継することになったようです。午前中に衆院で、午後には参院での質疑が放映されました。

 質疑では前川さんと菅官房長官、萩生田官房副長官、山本地方創生担当相などの証言が真っ向から食い違う場面がたびたび見られました。どちらが正しいのか、どちらが嘘を言っているのか、よく分かりません。
 このような質疑を見て、所詮は水掛け論だから真相がはっきりすることはないと思われたかもしれません。しかし、この質疑の開かれ方やそこでの応答から明確になったことがあります。
 加計学園疑惑をめぐる状況証拠からすれば、どう考えてみても安倍首相は「真っ黒」だということです。見解が対立しているということは、どちらかが嘘を言っているということになりますが、今回の質疑によってそれについいての判断材料が沢山提供されたからです。

 まず明らかになったことは、政府・与党が真相解明の場を設定することから逃げ続けてきたということです。野党が憲法によって要求している臨時国会の開会を拒み、当初は閉会中審査もやらないと言い、都議選での敗北を受けて前川さんを国会に呼ぶことになっても証人喚問は避け、質疑での資料の扱いについても難癖をつけて開始時間を遅らせました。
 しかも、重要な主役である安倍首相と準主役である和泉首相補佐官、藤原内閣府審議官は出席せず、前川さんが「在職中に担当課からの説明を受けたときに入手した、目にした文書に間違いない」と存在を確言し探せばあるはずだという「萩生田副長官ご発言概要」という内部文書についても松野文科相は再々調査をしないと答えました。カギを握る重要人物であるからこそ出席させないということであり、見つかっては困るからこそ調べないということなのでしょう。
 答弁についても、菅官房長官はつっけんどんな受け答えに終始し、山本地方創生担当相は聞かれてもいないことに早口で延々と答えて時間稼ぎをするなどの醜態をさらしました。落ち着いて堂々とした態度で正確に受け答えしていた前川さんとは大違いです。

 テレビでの放映を見ていた人のほとんどは、証言の内容もさることながら、異なった立場にある当事者相互の対応から、どちらが信用できるのかということを感覚的に判断できたのではないでしょうか。閉会中審査によって参考人質疑を行い、その映像を放映したことは無駄ではなかったと思います。
 証言の中身としても、判断材料がたくさん提供されました。おなじみのセリフである「記憶にありません」という言葉も登場しました。
 この言葉は、都合が悪い事実について肯定するわけにも否定するわけにもいかず、さりとて嘘をつくのも避けたいという場合に用いられる独特の用語です。そして、重要なポイントにさしかかるたびにこの用語を多用していたのは萩生田官房副長官と文科省の常盤高等教育局長でした。

 今回の質疑を通じて、安倍首相の関与を示唆する事実が一つ明確になりました。それは和泉首相秘書官の存在です。
 以前から前川さんは、昨年秋、和泉さんに呼ばれて加計学園の獣医学部の開学手続きを急ぐように催促され、その際、和泉さんが「総理は自分の口から言えないから私が言う」と発言したと証言していました。その内容が事実かどうかは分かりませんが、少なくとも国家戦略特区とは職務上のかかわりを持たないはずの首相秘書官が文科省の次官を呼びつけたことは事実です。
 国家戦略特区については内閣府の所管であって官邸や首相秘書官とは無関係のはずなのに、首相秘書官が登場したということ自体、首相の指示なり依頼なりがあったと理解するのが自然でしょう。「自分の口から言えないから君から行ってくれないか」と。

 和泉さんこそ、カギを握る人物なのだということがはっきりとしてきました。だからこそ、政府・与党はこの人の国会での証言をかたくなに拒んでいるのではないでしょうか。
 隠せば隠すほど、そこには真実が存在しているのではないかとの疑いが増すものです。嘘をつき誤魔化しているからこそ、逃げ回っているのです。
 安倍首相本人もやましいところがないのであれば、堂々と国会を開いて疑問に答えればよいではありませんか。「反省している」「丁寧に説明したい」という自らの言葉が嘘でないというのであれば。

 水掛け論になるのは、嘘を言っても罰せられない参考人質疑だからです。真実を語らなければ罪に問われる条件の下で、改めて証人喚問するべきでしょう。
 早急に臨時国会を開いて予算委員会での集中審議を設定し、安倍首相や前川さんをはじめ関係者の証人喚問を行い国民の疑惑に答えるべきです。逃げれば逃げるほど、「私は真っ黒です」と自白しているようなものなのですから。
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