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7月27日(木) 共謀罪、「森友」「加計」学園疑惑国会の総括と今後の課題(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.768、8月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップします。〕

 アベ政治の退廃と混迷

 通常国会では、アベ政治の退廃と混迷も余すところなく示されました。
 第1に、情報の秘匿と隠ぺいです。行政文書など保管されるべき記録が廃棄されたり、隠されたりしました。南スーダンへの自衛隊PKOの「日報」が隠蔽され、「森友」「加計」疑惑での財務省や文科省、内閣府の情報隠しも大きな批判を招きました。行政の透明化、検証可能性、知る権利の保障という意識も仕組みも極めて劣弱であることが改めて明らかになっています。
 第2に、国連関係者からの懸念や批判です。共謀罪については国連人権理事会特別報告者が懸念を表明し質問してきました。特定秘密保護法についても別の特別報告者が批判し改正を提案しました。日本は国際標準から逸脱しつつあり、国際社会から後ろ指をさされるような「醜い国」になってしまったようです。
 第3に、「安倍一強」体制の下での独裁と強権化です。小選挙区制の導入や内閣人事局の新設などによって官邸支配の体制ができ、国家戦略特区によってトップ・ダウンの政治主導が強まりました。多数党の独裁を生む仕組みができ、三権分立の歪み、総理・総裁や公人・私人の使い分けなどによって「法治国家」から政治・行政・司法が私物化される「人治国家」への変容が生じました。
 第4に、マスメデイアの変質です。一部のメディアで劣化が進み、権力の批判・監視を行う「第4の権力」から権力への迎合・走狗へという機能転換が生じています。とりわけ最大の部数を持つ『読売新聞』が安倍首相の9条改憲インタビューや「加計」疑惑で前川さんの「出会い系バー通い」を報ずるなど、安倍首相によって利用され、報道機関として大きな汚点を残すことになりました。

 今後の課題

 長い間、「安倍一強」と言われるような状況が続き、内閣支持率が安定していました。民主党中心の前政権への失望が大きく、国民は諦めて達観し、安倍政権への期待値が低いから支持率が下がらなかったのです。しかし、異常な国会運営を見て、さしもの国民の「堪忍袋の緒」も切れてしまったようです。
 安倍内閣に対する支持率は軒並み急減し、都議選でも自民党は改選57議席を34も減らし、過去最低の38議席を15も下回る23議席という歴史的惨敗を喫しました。決定的に重要なのは世論と選挙ですが、そこでの質的な変化が生じています。
 「安倍1強」の潮目が変わりました。世論を変えて選挙で決着をつけ、特定秘密保護法、安保法制(戦争法)、共謀罪というアベ暴走政治が生み出した悪法を廃止できるような政府を実現する展望が生まれています。
 その出発点が都議選であり、国政にも大きな影響を及ぼすことになります。17議席から19議席へと善戦健闘した共産党をはじめ、立憲野党の前進を背景に解散・総選挙を勝ち取り、アベ政治の「終わりの始まり」を現実のものにすることが今後の課題です。


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