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9月2日(土) 市民と野党との共闘重視の「ニュー前原」にならなければ民進党の再生は困難だ [民進党]

 注目された民進党の代表選挙が終わりました。当選したのは、予想されていた通り前原誠司元外相です。
 「昔の名前で出ています」と、古い歌を歌っていてはいけません。市民と野党との共闘を重視し推進する「ニュー前原」とならなければ、新しい執行部の下で民進党の再生を実現することは難しいでしょう。

 代表選での得票は、前原さんが国会議員、国政選挙の公認候補予定者、党員・サポーター、地方議員による投票の全てで枝野幸男前幹事長を上回って502ポイントとなり、総計851ポイントの過半数を制しました。枝野さんは332ポイントでしたが、東京での地方議員票、党員サポーター票では上回り、今後の党運営に影響する国会議員票でも前原さんが83票、枝野さんが51票で、予想よりも善戦したと見られています。
 今回の代表選は蓮舫代表の辞意表明を受けて実施されもので、新代表は9月末に召集される予定の臨時国会、10月の衆院3補選(青森4区、新潟5区、愛媛3区)の対応など、党勢の立て直しに向けての手腕が問われます。
 特に3つの補選については、蓮舫前代表が6月に、共産、自由、社民3党の党首と会談して総選挙でも「4野党が協力して候補者調整を行う」ことなどで合意しています。枝野さんはこの合意に基づいて連携を進めると主張していましたが、前原さんは見直す考えを示していました。

 このように、今回の党首選では共産党との選挙共闘が争点の一つになりました。このこと自体が、日本政治における新たな段階を示しています。
 これまでであれば、このような形で民進党と共産党との共闘への対応が問われることもなく、それが代表選での大きな焦点に浮かび上がることもなかったでしょう。それが代表を選ぶ基準の一つとされ重要な争点となったところに、市民と野党との共闘が極めて重要な政治課題となっていることが示されています。
 その点では、民進党の代表選は前進的な変化の中で闘われたということが言えるでしょう。この変化をさらに前へと進めるのか、それともここでストップさせてしまうのかが、民進党だけでなく市民と立憲野党の全体に問われています。

 そもそも、このような新たな政党連携に向けての動きは安保法(戦争法)反対運動の中から自然に沸き上がってきました。「戦争法廃案」と合わせて、次第に「野党は共闘」という声が高まってきたのです。
 それは「力を合わせなければ勝てない」という冷静な現状認識に基づき、「力を合わせることができる」という共通の立場と一地点の形成を踏まえたものでした。そして、市民と立憲野党は「力を合わせれば勝てる」という可能性に賭けたのです。
 こうして、政治への失望が希望に変わり、新たな共闘によって支持を拡大すれば勝てるという「勝利の方程式」が編み出されました。その後の5党合意、参院選1人区での11人当選、新潟県知事選、仙台市長選などによって、単に可能性を生み出すだけでなく実際に勝利を勝ち取れることが実証されました。

 このようななかで民進党内にも変化が生じ、前原さんも以前の前原さんではなくなりました。北海道5区補選の投票日前日、共産党の小池書記局長や穀田国対委員長とともに宣伝カーの上で演説した前原さんの姿が記憶に残っています。
 一時は「犬猿の仲」で決別した小沢一郎さんとの関係を修復したとのニュースもありました。こうして「ニュー前原」への変身が注目されたものです。
 その前原さんは、さっそく10月の補選にどう対応するのか、共産党などの立憲野党との選挙協力をどうするのかが問われることになります。最近では、党内の保守系議員たちが望む「日本ファーストの会」との協力関係構築を目指す考えに傾いているとも言われていますが、これまでの経緯を尊重し約束を守って「ニュー前原」の道を歩み続け、立憲野党の統一候補擁立に踏み出す以外に民進党再生の道はありません。

 すでに、多くの地域や選挙区で市民や立憲野党などによる共闘実現に向けての努力が積み重ねられ、衆院小選挙区で市民連合などの共闘組織が誕生するなど具体的な成果が生まれています。東京では25選挙区中19の選挙区で、神奈川・埼玉・千葉ではすべての小選挙区で、このような組織ができました。
 野党共闘を是とし、そのために努力してきた誠実な民進党員や地方組織も存在しています。このような地域や選挙区の実情を無視することは許されず、また選挙で勝利したいのであれば、無視することはできないでしょう。
 有権者の支持を得ようとすれば、支持が得られるような方針を掲げて行動せざるをえないからです。安保法の廃止など一致できる政策ではすでに一定の合意があり、選挙協力に向けての約束は公党間でのものですから、それを一方的に反故にすることは許されません。

 信義を重んじず、約束を守らないような人も政党も信頼を失います。理念が異なる別の政党であっても、政策が一致すればその範囲内で共に行動することは可能です。
 だからこそ、アベ暴走政治をストップさせ、立憲主義を守るという一点での共同を進めてくることができたのではありませんか。それを否定してひっくり返し、元に戻そうとしてはなりません。
 これからは、前原さんをとりまく民進党内の保守系議員などとの綱引きが始まるでしょう。私たちとしては、再び「野党は共闘」の声を高め、統一への流れを強めていくしかありません。

 歴史は「見ている」ものではなく「作るもの」であり、問うべきは「どうなるか」ではなく「どうするか」です。そして、「どうするか」を判断する基準、いわば「リトマス試験紙」は安倍首相です。
 安倍さんが「青くなる」かどうかで判断するべきでしょう。市民と野党が力を合わせ、内閣打倒にまで安倍首相を追い込んでいかなければなりません。
 そのために必要なことは何でもやるべきです。間違っても安倍さんを手助けしたり、喜ばせたりするようなことをしてはなりません。

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