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2月21日(水) 裁量労働のフェイク(偽)データへの安倍首相の謝罪について『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメントと若干の補足 [労働]

 〔以下の私のコメントは、最近の『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

 「時間管理の緩い裁量労働制が長時間労働を助長するのは常識です。難航する法案審議への焦りやイラ立ちが荒っぽい答弁につながったのでしょうが、それにしてもデータの怪しさに疑問を抱かなかったのはお粗末すぎます」(2018年2月16日付)

 「少子高齢化による人手不足が深刻化する中、労働者を使い潰せば、労働力を失う。そんなことは分かりきっているのに、目先の利益しか頭にない財界もどうかしている。まさに今だけ、カネだけ、自分だけですよ。合法的なブラック労働の助長で労災申請のハードルが上がり、認定を争う裁判で雇用者側が敗訴する可能性も懸念されます」(2018年2月17日付)

 この問題で昨日、衆院予算委員会の集中審議が開かれました。そこで安倍首相は、「私や私のスタッフから指示をしたことはない」と述べて、データ作成についての首相官邸の関与を否定しました。しかし、担当部局が政権の意向を忖度してデータをねつ造したのではないかとの疑惑は残ります。
 森友・加計学園疑惑と同様に、直接的な指示がなくとも官僚の忖度が働いたのかもしれません。その結果、都合の良いデータが作成され、それに基づいて国会での答弁がなされたということであれば、議会での審議まで安倍首相に私物化され、議会制民主主義が破壊されたことになります。
 裁量労働制で働く人の方が一般労働者より労働時間が長いという調査結果を知りながら答弁では触れなかったこと、一般労働者の方が長いという調査は答弁で使用したもの以外にはなかったことも明らかになりました。自分にとって都合の良いものだけを使っていたわけで、極めて恣意的にデータが用いられていたことになります。

 働き方改革の主眼は長時間労働を是正してブラック労働や過労死・過労自殺を防ぐことにあります。そのために提出しようとしている法案に含まれている裁量労働制が長時間労働を助長することは調査からも明らかです。
 そうなった以上、このような制度の拡大そのものを中止するべきでしょう。安倍首相は間違ったデータに基づいて答弁したことを陳謝して撤回しましたが、本来、撤回されるべきは間違った答弁だけではありません。このようなデータに基づいて作成された制度の導入や法案の提出それ自体も、断念し撤回されるべきなのです。



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