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3月14日(水) 森友文書改ざん事件のキーマンである佐川宣寿さんと安倍昭恵さんの証人喚問は不可欠だ [スキャンダル]

 以下の私のコメントは、最近の『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

 「首相の『辞任発言』は財務官僚にとって、相当なプレッシャーになったと思いますよ。森友問題をめぐり、安倍首相夫妻が関与した痕跡が露呈すれば一国のトップのクビが飛ぶわけですからね。だから、公文書偽造という重罪を犯してまで、安倍首相や昭恵夫人の名前を根こそぎ削除したのです。これだけ大それた組織ぐるみの隠蔽工作を財務省の一局長を守るためにやるわけがない。改ざんの動機が安倍首相夫妻への忖度であることに『本件の特殊性』が表れています」(2018年3月13日付)
 「今回の改ざんによって、これまで国会に提出された全ての資料の信頼性に疑問符がつきました。まさに議会制民主主義の根幹を揺るがし、近代国家としての日本のあり方が問われる大スキャンダルです。安倍政権も『佐川の責任』で逃げ切れると思っているのなら、事の重大性を理解していない証拠です」(同前)

 これは『日刊ゲンダイ』2018年3月13日付に掲載されたコメントですが、ここで言う「首相の『辞任発言』」というのは、2月17日の答弁のことです。今回の一連の文書改ざんは、この発言がきっかけだったとほぼ断定して良いのではないでしょうか。
 この発言は佐川さんが行った森友学園との土地取引に関する一連の国会答弁の前になされたものでした。今回の改ざんにつながったとされる佐川さんの答弁のほとんどは3月に入ってからなされたもので、改ざんが行われたのは2月下旬から4月だったからです。
 時間的な経過からすれば、佐川証言がなされてから改ざんされたのではなく、改ざんされてから、それに合わせるような形で佐川さんが国会証言を行ったのです。改ざんによって守ろうとしたのは、佐川さんではなく安倍首相だったのです。

 このことは改ざんされた内容からも明らかです。佐川さんの国会証言は森友学園との土地取引と価格交渉に関するものですが、最も多くの個所で削除されていたのは「特例」という文言で、大幅に削除されたのは安倍昭恵さんや政治家の名前、日本会議との関連などで、これらについて佐川さんは何も証言していません。
 これらの内容がどうして大幅に削られていたのかと言えば、これこそが改ざんの主たる目的の一つであったからです。安倍首相や夫人の昭恵さん、政治家との関係を表に出さないためにこそ、14の文書の300ヵ所が改ざんされたのです。
 そうれでは、どうしてこれほど多くの政治家や関係者の名前が出されていたのでしょうか。初めからこれらの名前が出ていなければ、削る必要などなかったはずなのに。

 改ざんが判明した決裁文書には、安倍首相の妻の昭恵さんのほか10人の政治家の名前が書かれ、日本会議や日本会議国会議員連盟も登場していました。このような「政治家の陳情は『メモ』として公文書扱いしないのが普通」(「国会対応の経験がある中央省庁の官僚」、『毎日新聞』2018年3月14日付)だと言います。
 それがこの決裁文書に詳しく書かれていたのは、「上の決裁を確実に得るため、起案者がわざわざ政治家の名前を載せたのではないか」というのです。国有地の取引において破格の値引きがどうして必要なのか、その理由を詳しく書かなければ特別扱いを認めてもらえないと考えたのでしょう。
 森友学園は国粋的な教育理念に賛同して応援している昭恵さんとの特別の関係を始め、鴻池元防災相や平沼元経産相、維新の会の議員や日本会議などが背後にいるから、今回の土地取引だけは前例のない「特例的」なものにせざるを得ないということを理解し決裁してもらうために、こと細かに経緯や事情を書き連ねたにちがいありません。

 しかし、これが結果的には仇となりました。2月17日の衆院予算員会で安倍首相が「私や私の妻が関係していたら総理大臣も議員も辞める」と答弁したからです。
 この答弁を聞いた関係者は腰を抜かすほどびっくりし、青くなったことでしょう。この一連の決裁文書には、昭恵さんが関係していたために「特例的なもの」にせざるを得ないことが分かるように書かれていたからです。
 慌てふためいた関係者は上役とも相談のうえで文書の改ざんに着手し、かん口令を引き、新しいシナリオに沿って佐川さんは国会で答弁したということでしょう。これが森友学園をめぐる一連の事件の構図だったと思われます。

 このような構図からすれば、キーマンは2人いることになります。1人は国有地取引をめぐる「特例」を引き出した、籠池元理事長が言うところの「神風」=安倍昭恵さんであり、それを隠蔽するために虚偽の答弁を繰り返し、改ざんの総責任者とされている佐川元理財局長です。
 この二人を国会に呼び、議院証言法に基づく証人喚問することが必要です。これまで佐川さんは国会での証言で何度も嘘をついてきた前例がありますから、嘘をついたら罰せられる証人喚問でなければ意味がありません。
 安倍昭恵さんも、これまでの多くの忖度によって守られてきたという実績があります。正当な理由なしに出席や証言を拒否できないやり方で国会に出てきていただく必要があるでしょう。

 全ての出発点は、安倍昭恵さんが籠池さんの教育方針に深く感動して「応援したい」と思い込んだこと、この思いを忖度して政治家や官僚が森友学園の小学校設立に特別の便宜を図ったことにあります。しかし、安倍首相の国会での答弁によってこの経緯や背景を知られるわけにはいかなくなり、慌てて改ざんと隠ぺいに走り決算文書を偽造してしまったというのが、今回の一連の経過だったのではないでしょうか。
 それが事実かどうか、佐川さんと昭恵さんの証言によって明らかにしてもらいたいものです。同時に、佐川さんの上司たち、とりわけ麻生財務相と、昭恵さんの夫である安倍首相の責任も明確にされなければなりません。

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