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5月9日(水) 朝鮮半島情勢の劇的な変化に関して『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメントと若干の補足 [国際]

 〔以下の私のコメントは、朝鮮半島情勢の劇的な変化に関して『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

 「安倍首相がどうかしているのは、国際社会の変化を見ようともしなかったことです。金正恩委員長の〝新年の演説〟を聞けば、朝鮮半島が動き出す可能性があることは想像がついたはずです。少なくとも、平昌オリンピックに参加し、妹の与正氏を送り込んだ時点で、正恩委員長が本気だということは分かったはず。なのに、全く手を打とうとしなかった。ひたすら、北朝鮮と対話を進めようとする韓国に文句を言っていただけです。安倍首相は国際社会を大局的に見る能力も、歴史的な視野もない。やったのは、トランプ大統領に『米朝会談では拉致問題も言って下さいね』と頼み込んだくらいです。そのトランプ大統領には『アメリカの兵器をもっと買え』と迫られている。安倍首相はレベルが低すぎます」(2018年4月24日付)

 「日中韓が連携し、米国とも協力して北朝鮮の非核化に取り組まなければならないのに、ひとりで圧力と言い続けている姿は滑稽ですらあります。和平を後押しするどころか、水を差すような発言を繰り返しているのは、北の脅威がなくなったら困るからでしょう。安倍政権は『日本を取り巻く安全保障環境が悪化している』と国民を脅して、安保法や共謀罪を成立させてきた。Jアラートを鳴らして危機を煽り、総選挙にも利用した。北朝鮮の危険性を理由に防衛費も増やし、軍事大国化を推し進めてきたのです。半島の和平で在韓米軍も撤退ということになれば、これまでの言動がすべて覆されてしまう。北の脅威を利用した憲法9条改正もできなくなってしまいます。沖縄の辺野古新基地も完成まで10年ほどかかるというから、それまでは半島に危機があって欲しいのでしょう」(2018年5月9日付)

 「米朝会談で東アジアが歴史的転換点を迎えようとしている今は、日米地位協定や日米安保のあり方などを根底から見直す好機でもあります。戦後レジームからの脱却というのなら、占領体制の象徴である在日米軍の撤退は、真の独立国になるためにも、本来は望ましいことのはず。しかし、残念ながら、そういうう議論を現政権が始めることはない。他ならぬ安倍首相が現状維持を望んでいるからです。在日米軍にいてもらうことで、軍事力を背景に周辺国に睨みを利かせることができると考えている。対米従属で虎の威を借ることが、国際社会での発言力向上になると勘違いしているのです。米朝和解なら、日本の政治も劇的に変わる可能性があるのに、米国べったりで北を挑発し続けるしか能がない安倍政権では、時代の変化に対応できません」(同前)

 以上にコメントしたように、朝鮮半島情勢の劇的な変化に対して安倍政権は圧力の維持を主張するだけで、基本的には無為無策、傍観者的な立場に終始してきました。安倍首相は「蚊帳の外ではないか」という批判に反論し、「蚊帳の外ではない」と「蚊帳の外」で叫んでいるばかりです。
 現に、アメリカのトランプ政権で北朝鮮政策を担当していた米国務省前北朝鮮担当特別代表のジョセフ・ユン氏は「大きな勝者は韓国と北朝鮮だ。負けているのは日本だ。なぜなら日本は置き去りにされている」と述べています。今日、日中韓の首脳会談が開かれますが、安倍首相はこの「置き去り」状態から抜け出せるのでしょうか。 
 『日刊ゲンダイ』でコメントしたように、「日中韓が連携し、米国とも協力して北朝鮮の非核化に取り組まなければな」りません。したがって、中国や韓国との関係が改善され協力する態勢ができるのは大きな前進であり、歓迎したいと思います。

 しかし、そうなれば安倍首相の強固な基盤であった反中・嫌韓派の極右勢力からの支持を失うリスクが高まります。安倍首相としては大きなジレンマだと言うべきでしょう。
 このジレンマをどう乗り切るつもりなのでしょうか。対話と交渉による朝鮮半島危機の解決や極東における緊張緩和も、安倍首相にとっては好ましくない変化であるにちがいありません。
 このような危機の回避と平和構築に向けての積極的な動きを素直に喜ぶことができないところに、安倍首相の根本的な弱点があります。時代の変化に対応できない極右の好戦的首相の出番はもう終わっているのです。

 なお、本日の午後5時からJR新宿駅西口で、全国革新懇代表世話人として街頭演説を行う予定です。関心のある方においでいただければ幸いです。

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