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7月10日(火) 西日本の豪雨被害と安倍政権の対応についての『日刊ゲンダイ』でのコメントと若干の補足 [災害]

〔以下の私のコメントは、西日本の豪雨被害と安倍政権の対応について『日刊ゲンダイ』2018年7月9日付に掲載されたものです。〕

 「安倍政権は北朝鮮危機をあおり、5年連続で防衛予算を増やしてきましたが、過去最大5兆円超に膨らんだうち、わずかでも防災・減災に回していれば、豪雨被害はここまで拡大しなかったはずです。北朝鮮危機では一人も犠牲者は出ていませんが、ここ数年、立て続いた豪雨被害では多くの方が命を落としてきました。結局、首相にとっての『危機』とは政権維持と支持率向上に役立つものだけ。ゆがんだ危機意識によって、常日頃からの災害への備えが手薄となっているのです。『国民の生命を守り抜く』という掛け声も口先だけ。歴史的な災害には、歴史的にも万全な対策を講じるべきなのに、安倍政権の後手後手対応はそれこそ歴史に汚点を残す最悪なものです」

 西日本を中心とする豪雨被害は、今朝の段階で死者126人、心肺停止が2人、行方不明や連絡が取れない人は79人となりました。犠牲者が200人を上回る可能性が大きい大災害となっています。
 捜索や救助に全力を傾け、これ以上の犠牲者を生まないような緊急対応が必要です。安倍首相は予定していた外遊を取りやめましたが、当然のことです。
 国会も災害対策に全力を挙げ、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案など不要不急の法案審議に時間を費やすべきではありません。与野党が一丸となって被災者の救援や災害復興に全力を尽くしてもらいたいものです。

 今回の大災害に際して、初動に問題があったことは明らかです。すでに九州などで豪雨になっていた5日夜、安倍首相は議員宿舎の「赤坂自民亭」で自民党国会議員らと懇親のための宴会に出ていました。野党から「緊張感が足りない」などと批判があがっていますが、豪雨被害の危機に対する認識が不十分だったことは否定できません。
 主催者の1人で懇親会に出席していた竹下亘自民党総務会長は「どのような非難もお受けする。これだけの災害になるという予想は、私自身はもっていなかった」と釈明しました。安倍首相はどう思っているのでしょうか。
 政府の非常災害対策本部の設置が8日になったことも、遅すぎたのではないかという批判があります。これも緊張感や危機への認識が不足していたことの現れでしょう。

 このような問題が生ずるのは、安倍首相にとって危機とはもっぱら安全保障上のもので、自然災害によるものへの認識が欠落しているからです。災害への危機対応を軽視し、軍事的な危機対応ばかりを偏重するという危機認識の歪みが、多くの問題を生み出しています。
 北朝鮮からのミサイル攻撃を理由に必要でもないJアラートの訓練に国民を動員し防衛費を増やし続ける一方で、毎年のように繰り返される集中豪雨や水害、地震の被害を防止するための予算や工事を先送りしてきたツケが回ってきたというべきでしょう。あるかどうかわからない空想的な危機ではなく、常にあり得る現実的な危機にきちんと対応できるような政権に変えなければ、政治のエネルギーや国費が無駄遣いされ国民の命も生活も守られないという教訓を、今回の豪雨災害から学ぶべきではないでしょうか。

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