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12月25日(火) 国民福祉に回らず混乱ばかり引き起こすことになる消費増税は中止すべきだ [消費税]

 来年10月1日からの消費再増税に向けて、着々と準備が進んでいます。しかし、増税によって税負担が増えるだけで、社会保障の充実も経済対策の恩恵も受けられないだけでなく、景気対策でも大混乱が生ずることは確実です。
 昨日アップした『日刊ゲンダイ』の記事で私は「まさに踏んだり蹴ったりです」とコメントしました。しかし、正確に言えば「踏んだり蹴ったり、殴られたり」というところでしょうか。
 
 茂木経済再生担当相は20日の経済財政諮問会議で消費税増税への対策に、防災関連の公共事業や自動車、住宅に関する減税など合計2兆3000億円程度を充てると表明しました。増税による経済への悪影響を上回る景気刺激策を実施することで「影響を十二分に乗り越えられる」と述べたそうです。
 自動車や住宅への減税は額も大きいですから、減税されれば助かる人はいるでしょう。しかし、その恩恵を受けられるのは自動車や住宅を購入できる資産のある人だけです。
 そのような多額の購入資金を持たない低所得層には、全く関係のない話ではありませんか。「金持ち減税」による消費税対策にすぎず、庶民への恩恵などは限られています。

 来年度予算案は初めて100兆円を突破しました。キャッシュレス決済時のポイント還元制度やプレミアム付き商品券など、消費税増税の経済対策が2兆3000億円に膨らんだためです。
 しかし、この増税のための経済対策が新たな混乱を引き起こす要因にほかなりません。共産党の小池晃書記局長が、消費税率が実質何段階にもなるのではないか、複数税率とポイント還元でわけが分からないとツイッターで批判している通りです。
 消費税の税率は基本的に現行の8%から10%に引き上げられますが、食料品などは8%、フランチャイズで食料品を買うと6%、中小商店で買うと5%、中小商店で食料品などを買うと3%になります。加えて、複数の事業者が商品の転売を繰り返せば際限なく5%分を入手できたり、小売りでなくても還元されたりする「抜け穴」まであります。

 つまり、商品をどこで買うか(フランチャイズか中小商店か)、何を買うか(食料品かそうでないのか)、どのように買うか(カードか現金か)によって、支払う税率がバラバラになってしまうのです。これでは商売の現場が大混乱に陥ることは明らかではありませんか。
 12月20日、日本スーパーマーケット協会など小売業界3団体は消費税増税への対策について政府に再検討を求める要望書を提出しました。キャッシュレス決済のポイント還元策に対し、消費者の利便性や公正競争の面から強い懸念があるというのですが、それも当然でしょう。
 要望書は中小の小売業では5%還元されるのに大半のスーパーには還元されず、同じ地域にポイント還元する店舗としない店舗が混在し、還元対象とならない店舗が対抗するために値引き策を余儀なくされて価格競争が激化し、公正で自由な競争環境をゆがめるなどと厳しく批判しています。また、小売業の多くが軽減税率導入に向けた対策や準備に追われ、キャッシュレス決済還元策への対応が現場の混乱を招きかねないというのです。

 本来ポイント還元などで助かるはずの小売業界の団体が反対するような対策に効果が期待できるはずがありません。低所得層などへのプレミアム付き商品券にしても、景気対策としての効果がほとんどないことは、これまでの経験で実証済みです。
 消費税を2%上げれば5兆円の増税が期待できるとされていますが、景気へのマイナスの影響を緩和するための対策に半分近くの2兆3000億円も支出され、その対策が混乱を引き起こすだけだというのですから、一体なんのための増税なのでしょうか。
 増税は嫌だけれど社会保障の充実のためなら仕方がないというのが、国民の良識的な容認論かもしれません。しかし、消費増税の半分近くが消費への影響緩和のための景気対策につぎ込まれ、その他の収入は企業減税によって生じた穴埋めや必要でもない米製兵器の爆買いの原資とされているのが実情です。

 社会保障に回らないどころか、年金や生活保護費などは削られているではありませんか。本当のことを「知らぬは国民ばかりなり」ということになります。
 このような消費増税には何のプラスもなく、所得格差を拡大して消費を冷え込ませるマイナスしかありません。天下の愚策であり、直ちに中止するべきです。

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