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12月27日(木) 改憲を阻止し安倍首相に引導を渡す年に―2019年の情勢と課題(その2) [論攷]

 〔以下の論攷は、『学習の友』No.785、2019年1月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 「選挙イヤー」の前半が勝負

 このような狙いを阻むためには、通常国会での論戦と選挙準備の取り組みが決定的に重要になります。通常国会では、安倍9条改憲と消費税の増税、沖縄の辺野古での新基地建設、経済と外交問題などが焦点になるでしょう。
 もちろん、臨時国会で追及されている閣僚の資質や政治とカネの問題などについても、閣僚が代わらないかぎり、引き続き追及の的になります。外国人労働者の受け入れ体制の整備や技能実習生の処遇改善の問題についても、継続して具体化が図られなければなりません。
 改憲問題では臨時国会での発議が狙われていました。それができなければ、参院選前で残されたチャンスは通常国会だけということになります。参院選で改憲勢力が3分の2を確保できなければ発議は不可能になり、安倍首相の9条改憲の野望を実現することができなくなるからです。
 10月1日からの消費税の10%への増税に向けての準備や複数税率への対応なども進められるでしょう。低所得者の方が負担増となる逆進性、個人消費の減少による景気への悪影響、複数税率や負担緩和策による混乱などについて問題点を明らかにし、消費増税を中止に追い込まなければなりません。
 沖縄の辺野古での新基地建設問題も、大きなヤマ場を迎えます。基地建設の是非をめぐって2月24日に県民投票が実施されるからです。基地をなくしてほしいという県民の願いは、すでに県知事選でのデニー当選や豊見城・沖縄市長選での野党共同候補の当選などではっきりと示されています。再度、県民投票で基地反対の民意を突きつけ、辺野古での新基地建設阻止に向けての展望を切り開いていく必要があります。
 安倍首相の強みとされてきた経済と外交の両面では暗雲が垂れ込めてきています。アメリカとの2国間交渉が始まり、米中貿易戦争の悪影響だけでなく日米間でも貿易摩擦が強まるでしょう。突如として表面化した日産のゴーン会長の逮捕に始まる混乱も、日本経済へのマイナスの影響が懸念されます。
 安倍政権は朝鮮半島での非核・平和体制構築の動きから取り残され、北朝鮮の金正恩委員長からは相手にされず、拉致問題などで仲介を期待していた韓国との関係は悪化し、北方領土をめぐるロシアとの交渉も予断を許しません。
 窮地に陥った安倍首相は中国との関係改善によって国際的孤立を避けようとしています。しかし、「アジア・太平洋構想」を掲げながら中国を「仮想敵」とした軍事大国化を進め、右手で握手をしながら左手で殴るようなチグハグな対応を取っています。 
 野党としては、これらの政策課題で与党を追い込みながら、統一地方選と参院選での市民と野党との共闘の具体化を図り選挙準備を進めていかなければなりません。通常国会での追及を通じて「選挙の顔」としての信頼感を低下させれば、安倍首相の「レームダック(死に体)化」が強まります。参院選前に政権の体力を弱めることが決定的に重要です。

 市民と野党の本気の共闘こそ

 選挙で勝つためには、力を合わせることです。すでに選挙での共闘には実績があります。通常国会では野党共闘が積み重ねられてきました。合同ヒアリングが118回、院内集会が8回、共同提出法案が原発ゼロ基本法案など20本という形で、立憲野党間の共同行動が拡大してきました。臨時国会でも、このような共闘の流れに国民民主党が加わり、参院選に向けての意見交換も始まっています。
 「活路は共闘にあり」ということです。共闘すれば勝てます。参院選や総選挙の結果を見れば、自民党の選挙区での得票率は有権者全体の約4分の1にすぎません。比例代表は16%から17%くらいです。他の4分の1は野党に入っていますが、バラバラですから自民党は漁夫の利を得ることになります。
 残りの半分は投票に行っていません。投票率は50%強で有権者の半分弱はあきらめています。この人たちが投票所に足を運んで野党に入れれば、そして野党が一つにまとまって受け皿になれば、自民党に勝つことができます。
 これは3年前の参院選の1人区や2017年の総選挙で実証されました。参院選の32の1人区で1対1の構図をつくらなければなりません。改選議員で自民党の現職は31人、野党の議員は1人だけです。現職が少ないということは統一しやすい条件でもあります。
 しかも、2019年は亥年の選挙です。12年に1回、統一地方選と同じ年に実施される参院選で自民党は苦戦するという「亥年のジンクス」があります。グラフを見ると59年は例外ですが、71年、83年、95年の結果はそうなっています。
 前回の亥年は2007年で、第1次安倍内閣の時でした。7月の参院選で自民党は37議席と歴史的な惨敗を喫し、民主党が参院第1党になっています。公明党も現職を3人、落選させました。
この大敗後、安倍首相は9月の臨時国会で辞任しています。健康問題が理由とされましたが、参院選での大敗が本当の原因だったのではないでしょうか。
 しかし、自動的に大敗するというわけではありません。私たちの力で追い込んでいくことによって具体化します。市民と野党との本気の共闘が実現し、相互推薦・相互支援の態勢を組むことができて初めて、その可能性を現実のものとすることができるのです。

 むすび
 
 安倍首相は「悪夢」のような12年前の「亥年のジンクス」を何としても避けたいと考えているにちがいありません。そのために、直前のG20で外交成果を上げ、北方領土の返還や消費税の再々延期などの「サプライズ」を狙い、あわよくば衆参同日選で与党3分の2以上の改憲勢力の維持を図ろうとしているのではないでしょうか。
 しかし、それは危険な賭けとなる可能性があります。APECで共同声明が採択されなかったように、米中貿易摩擦が再燃してG20での協議が不調に終わるかもしれないからです。日ロ首脳会談で北方領土返還についての明確な合意がなければ、有権者の反発は避けられません。消費税再々延期も公約違反となることは明らかです。これらが裏目に出れば、参院選はもとより、衆参同日選でも大敗は免れません。
 「三段跳び戦略」がこれからの目標です。通常国会での改憲発議を阻止し、参院選で与野党逆転を生み、解散・総選挙で野党の連立政権を実現することです。そして新しい日本の未来を切り開いていく、憲法が尊重され、その理念が政治と生活に活かされるような「活憲」の時代を、この日本で実現していくこと。これがこれからの私たちの課題になります。
 安倍首相が夏の参院選で衆参同日選を狙っていても恐れることはありません。同日選、結構じゃありませんか。同時にやったら手間が省けます。返り討ちにすればいいんです。そして、一緒にこう言おうじゃ、ありませんか。「アベよ、アバヨ!」

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