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4月22日(月) 衆院補選での教訓を学び参院選に向けて早急に「本気の共闘」の確立を [選挙]

 統一地方選挙後半戦の結果が明らかになりました。同時に投票された衆院補選も投開票されています。
 とりわけ、夏の参院選の前哨戦として注目されていたのが衆院沖縄3区と大阪12区の補欠選挙です。その補選では沖縄3区で野党が支援する無所属新人の屋良朝博候補、大阪12区では日本維新の会の新人藤田文武候補が当選しました。

 自民党公認候補はこの両方の選挙区で落選しています。安倍首相が2012年に第2次内閣を発足させて以降、自民党が衆参の補選で敗北したのは初めてのことになります。
 大阪3区での補選は自民党議員の死去によるもので「弔い選挙」でした。ここでの敗北によって、自民党は1議席失ったことになります。
 背景には、長期政権の驕り、塚田副国交相の「忖度発言」や桜田五輪担当相の暴言などへの批判の高まりがあったと思われます。「安倍一強」体制の綻びが生じたということでしょうか。

 沖縄での野党共闘の勝利によって、新基地建設反対という沖縄の民意がまたも明確な形で示されました。辺野古での新基地建設反対という意思が県知事選や県民投票で明示されているにもかかわらず、民意を無視して土砂投入を続けてきた安倍政権に明確な「ノー」を突きつけるものです。
 自民党候補は沖縄の民意に反して、基地建設容認・推進を初めて打ち出しました。沖縄の人々の気持ちを無視し逆なでするような安倍政権の対応とともに、このような候補者の姿勢が大きな反発を買ったと思われます。
 選挙を闘う態勢として「オール沖縄」が果たした役割も大きかったと言えるでしょう。保守も含めた市民と野党との共闘の源流である沖縄で、その効果と真価が発揮され大きな勝利を生み出したということができます。

 他方で、大阪では市民と野党との共闘は勝利できず、残念な結果に終わりました。しかし、議員生命を投げ打って安倍政権に対抗する選択肢をつくり出し、市民と野党の共闘への道を切り開いた宮本たけし候補の決断と勇気は高く評価されます。
 宮本さん自身が述べているように、勝算を度外視した決断であり、この覚悟を受け止めて自由・社民・立憲・国民の党首をはじめ6野党・会派から多くの国会議員、文化人や知識人、1000人をこすボランティアが応援・激励に駆け付けました。無所属とはいえ共産党議員だった候補を、立憲野党の党首や議員が応援したのは歴史上はじめてのことです。
 最終盤には安倍首相と麻生副総理が応援に入って安倍官邸対野党共闘の構図が明確になりましたが、宮本さんが立候補しなければこのような形での対立構図が鮮明になることはなかったでしょう。今後に生きる大きな財産をつくり出した歴史的な闘いであり、全国に勇気を与え野党共闘に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

 二つの補欠選挙で自民党は連敗し、野党共闘は1勝1敗という結果になりました。沖縄と大阪での対照的な結果は、夏の参院選への大きな教訓を残しています。
 沖縄では新基地建設反対で県民が結束して安倍政権に対抗してきたというプラスの要素があり、大阪では維新の力が強く統一地方選挙前半戦での知事・市長のダブル選挙からの流れに飲み込まれるというマイナスの要素がありました。これらの独自の背景とともに、重視するべきは共闘のあり方の違いです。
 沖縄では「オール沖縄」という形で「本気の共闘」が実現しましたが、大阪では立憲民主党と国民民主党は自主投票で推薦には至りませんでした。両方を比べれば、「本気度」に大きな違いがあったことは否めません。

 選挙戦の最終盤、萩生田光一自民党幹事長代行の発言が注目を集めました。萩生田さんは「今まで(消費税増税を)『やります』と言い続けた前提は、景気が回復傾向にあったから。ここへきて、ちょっと落ちていますよね。……6月の日銀短観の数字をよく見て、本当にこの先危ないぞというところが見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかないので違う展開がある。……(増税を)やめるとなれば、国民の皆さんの了解を得なければならないから、信を問うということにる」と述べ、憲法審査会についても「少しワイルドな憲法審査を自民党は進めていかなければいけない」と語っています。
 萩生田さんはダブル選挙を否定し個人の意見だとしていますが、安倍首相の意向を反映したものであることは明らかです。「消費税で違う展開」「信を問う」「ワイルド」という一連の発言は、野党に対して解散をちらつかせて憲法審議への参加を迫る脅しではないでしょうか。
 このような脅しをはねつける唯一の道は、ダブルで選挙をすればダブルで負けるかもしれないという恐れを持たせることしかありません。そのためには衆院補選の教訓を生かし、明確な対立軸を掲げて政策合意を進め、相互推薦・相互支援という水準の高い野党共闘に向けての態勢を早急に確立する必要があります。

 10連休が始まりますが、休んでいる余裕はありません。天皇代替わりの政治利用を許さず、連休明けに予想される「ワイルド」な改憲キャンペーンに備え、参院選1人区での野党統一候補の擁立を一挙に進めなければなりません。
 衆院補選2連敗、景気の悪化と消費10%増税への批判の高まりなどによって自民党内での動揺が強まっています。このチャンスを生かして立憲野党が攻勢に転ずることができるかどうかが、夏の政治決戦を左右することになるのですから。

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