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6月14 日(金) 野党共闘は参院選全1人区で成立しただけでなくバージョンアップした [選挙]

 今度の参院選は、野党にとってはチャンスだと書きました。しかし、それは野党が共闘した場合であって、バラバラで戦ったのではチャンスを逸することになります。
 参院選という政治転換のチャンスを生かすためには、市民と野党が共闘して安倍暴走政治に代わる「受け皿」を作らなければなりません。それが安倍政権よりましなもう一つの選択肢であると有権者に認知してもらい、支持を集めることができるかどうかにかかっています。

 その市民と野党との共闘は大きく前進しました。「野党は共闘」という声が上がったのは4年前の2015年で、この時から共産党を含む野党共闘への動きが始まり、それが具体化したのは2016年2月の「5党合意」で、わずか3年前にすぎません。
 この年の7月の参院選で1人区での野党統一候補が出そろったのが5月31日、投票日が7月10日です。今回は6月7日の鹿児島を最後に32選挙区での統一候補が出そろい、今のままなら7月21日投票となります。
 前回は投票日の40日前、今回は44日前に統一候補が出そろったことになります。市民と野党の共闘のテンポは、3年前よりわずかですが早まりました。

 統一地方選挙が実施された4月の段階では、野党共闘の動きはそれほど進んでいませんでした。野党第一党の立憲民主党の枝野代表が地方組織の再建を優先し、統一地方選挙での県議などの当選に力を入れたからです。
 しかし、統一地方選挙での旧民主党の県議の当選者は、立憲民主党(118議席)と国民民主党(83議席)の両者を合計しても201議席で、63議席も減ってしまいました。これが枝野さんの危機感を高めたのではないでしょうか。
 統一地方選挙後半戦が終わった段階で、枝野党首が野党各党に共闘の申し入れを行ったのはそのためだと思われます。国民民主党の玉木さんが自由党との合流を決め、小沢さんを受け入れたのも、同様の危機感からだったと思われます。

 こうして、5月の連休後に野党共闘に向けての話し合いがスピードアップすることになりました。野党に対する脅しとして流され始めた「ダブル選挙」の噂も野党内での危機感を強め、かえって共闘に向けての追い風になったように見えます。
 参院での立候補を予定していた候補者が辞退する際、代わりに衆院での立候補を視野に入れて譲歩するという例が生まれたからです。鹿児島で社民党の候補者が辞退して国民民主党に譲るとき、社民党は衆院鹿児島4区での立候補に配慮することを条件としたように。
 統一のために立候補を取りやめた共産党候補が衆院の選挙区に回るという例も生まれています。ダブル選挙になった方が野党共闘を促進する面があるというのは、このような例を指しています。

 3年前に比べれば、市民と野党の共闘は特別なことではなく、当たり前のことになったのも大きな前進です。この共闘で市民連合が大きな役割を果たし、共産党が含まれるのも当たり前の光景になりました。
 その共産党の候補者が統一候補になるのも、3年前は香川の1選挙区だけでしたが、今回は、福井、徳島・高知、鳥取・島根の3選挙区になっています。しかも、後の二つ選挙区では、衆院補選の大阪12区での「宮本方式」を踏襲して無所属で立候補することになりました。
 政策合意も7項目から13項目に増え、幅が広がり内容が豊かになっただけでなく、市民連合や野党間での協議を経て練り上げるという形で、作成のプロセスも大きく前進しました。これを基に、それぞれの選挙区でもさらに内容を発展させ豊かにした政策協定を結ぶ動きが続いています。

 3年前の参院選での野党共闘は初めての試みでした。市民と野党、野党各党の間でも初対面であったり、初めてメール・アドレスを交換したりということで、しっくりこない場面も多かったと思います。
 しかし、それから3年の間に、共同行動や連携は当たり前のことになりました。衆院小選挙区レベルで市民連合が結成されたり、集会で相互のあいさつやエールの交換がなされたりする中で、顔見知りになって仲良くなり、人間関係ができて信頼も強まるなど、草の根での共闘は大きく発展しています。
 市民と野党の共闘は、人間的なコミュニケーションとネットワークの形成という大きな成果に支えられて成長してきました。これが3年前との大きな違いであり、このような経験と実績こそが、市民と野党の共闘がバージョンアップされたということの意味にほかなりません。

 安倍政権の暴走政治は、その暴走の酷さゆえに市民と野党の共闘を生み出し、結果的に鍛え育てる役割を果たしてきました。その共闘がどれほどの威力を持っているのか、目にものを見せるチャンスがやってきます。
 安倍首相の繰り出す悪政の数々にたじろいで「しょうがない」などと思ってはなりません。「しようがある」、やりようはあるのです。
 7月の選挙で、怒りを込めて一票を投じさえすればよいのです。そのための「受け皿」として市民と野党の共闘、立憲野党が国民に認知されれば、自公の与党勢力を敗北させることは十分に可能なのです。

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