SSブログ

7月17日(水) 小林節慶応大学名誉教授の共産党への応援ビデオでの演説を聞いた [参院選]

 驚きましたね。小林節慶応大学名誉教授が共産党の応援ビデオに出て「比例は共産党」と訴えているのを見ました。
 安保法制(戦争法)が審議されていたとき、2015年6月4日の衆議院憲法審査会に参考人として国会で証言された小林先生です。あの時も、長谷部恭男、笹田栄司氏とともに集団的自衛権の行使は違憲であると証言して驚かされました。

 私の現役時代、小林さんは改憲派の急先鋒で自民党のブレーンとして有名でした。私にとっては手ごわい論敵だったのです。
 その小林さんは安倍首相の96条改憲論を「裏口入学だ」と批判したころから徐々に変わり始めました。私が八王子市長選挙に立候補した時も、かつての立場の違いを越えて2回も応援に駆けつけてくださいました。
 この時、「かつて向こう側におられた小林先生ですが、気がついたら横にいた。今回は、私の後ろから押し上げて下さろうとしています」と、演説したものです。かつての論敵が心強い味方に変わったことを実感した瞬間でした。

 しかし3年前の参院選で、小林さんは「国民怒りの声」を立ち上げて比例代表に立候補しました。結果的に立憲野党を分断するような形になり、当選者を出すこともできませんでした。
 本人の思いとは裏腹に、市民と野党の共闘から一線を画す形になってしまったのではないでしょうか。その後、政治活動から身を引かれましたが、安倍首相が狙う9条改憲に反対する言論活動を続け、最近になって「70歳の護憲派宣言」を明らかにし、今度の選挙では共産党を応援するビデオに出演するに至ったというわけです。
 ビデオの中では、共産党は企業献金を受け取らず、利権に歪められないので「国民のためになることしか言わない」と語り、「このことに最近気づきました」と仰っています。もっと早く気づいてほしかったと思いますが、しかし気づかないままでいるよりはずっとましです。

 人間はこのようにして、これほど変わることができるのかと、小林さんを見ていてそう思います。このような変化の可能性は、小林さん1人のものではないでしょう。
 事実を知りさえすれば、多くの人が気づき変わっていく可能性を持っているのではないでしょうか。そのような変化の可能性を掘り起こし、多くの有権者に気づいていただくのが選挙運動のもっている大きな意味にほかなりません。
 投票日まであと4日間です。この期間にどれだけ多くの有権者に事実を知らせ、小林さんと同様の「気づき」を呼び起こすことができるかどうかが勝敗を分けるでしょう。

 小林さんは比例代表での共産党支持を訴えていますが、比例だけでなく選挙区でも、北海道、千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫などでは、自民・公明の与党や維新の会などの改憲勢力と最後の1議席を争っています。比例代表で議席を伸ばすだけでなく、これらの選挙区でも当選を勝ち取ることが「共産党に勝ってもらうしかない」という小林さんの訴えに応える最善の道ではないでしょうか。

nice!(1) 

7月16日(火) 大阪市の存続は辰巳幸太郎候補の当選にかかっている [参院選]

 「今回、これが私の唯一の応援スピーチです。私が野党候補の応援に行くと、勤め先などに『サヨク教員め』といった電話が来ます。私はともかく職員がとても困っているので、今回はすべての応援依頼をお断りしました。でも、たつみさんはどうしても国会に必要な政治家です。応援を決意しました。」

 これは立教大学教授で精神科医の香山リカさんの応援演説です。参院選の大阪選挙区で、共産党の辰巳幸太郎候補の応援スピーチでこのような話をされました。
 私も法政大学の大原社会問題研究所に勤めていましたが、「勤め先などに『サヨク教員め』といった電話が来」ることはありませんでした。もっとも、現役時代に「野党候補の応援」でスピーチするということもなく、香山さんほど「サヨク教員」として知られていなかったのかもしれませんが。
 それにしても、勤め先に電話が来て迷惑をかけることになるから応援依頼を断るという状況になっているというのですから、社会の右傾化が進み不自由な世の中になってしまったものです。それにもかかわらず、香山さんは辰巳候補だけは例外だとして応援に駆け付けました。

 香山さんの前には「れいわ新選組」の山本太郎代表も辰巳候補の応援に駆けつけています。その理由は、香山さんの言う通り「たつみさんはどうしても国会に必要な政治家」だという点にあり、モリカケ疑惑の追及など国会議員としての能力や実績は山本さんも高く評価されていた通りです。
 私も辰巳候補にはぜひ当選していただきたいと思いますが、その理由は「どうしても国会に必要な政治家」だということに加えて、大阪選挙区の選挙情勢にあります。

 時事通信の調査では、大阪選挙区では「維新現職の東、自民現職の太田が先行。残る2議席を維新新人の梅村、公明現職の杉、共産現職の辰巳、立憲新人の亀石が激しく争う」とされています。このままの順番だと、辰巳候補は5番目になります。
 大阪選挙区の定数は4ですから、このままでは維新・自民・維新・公明になりそうだということです。それを阻止するためには、何としても5位につけている辰巳さんを押し上げて当選させなければなりません。

 その結果は、三つの点で重要な意義を持っています。一つは立憲野党の当選者をゼロにしてならないということです。
 もう一つは、改憲派にすべての議席を明け渡すわけにはいかないということです。今回の選挙で安倍首相は憲法問題を主要な争点として提起していますが、その選挙で自公の与党だけでなく維新の会に2議席を与え、改憲派に議席を独占させるようなことがあってはなりません。
 そして第3に、大阪都構想にも大きな影響を与えるということです。4月の統一地方選挙の結果、それまで都構想に反対していた自民党も公明党も、賛成に回るようになってしまったからです。

 大阪都構想をめぐっては、住民投票が予定されています。今回の参院選の結果、維新・自民・維新・公明となれば、当選者は全て都構想に賛成し推進する勢力に占められてしまいます。
 今後の住民投票にも大きく影響し、大阪都構想の実現に勢いがつくことになりかねません。それで良いのでしょうか。大阪市が大阪府に飲み込まれ、市が無くなってしまっても良いのでしょうか。
 今回の参院選大阪選挙区で問われている隠れた重大争点はここにあります。それに対して「ノー」の回答を示すためには、最も当選ラインに近いと見られている5番目の候補者・辰巳さんを当選させなければなりません。

 実は、大阪市の存続は辰巳幸太郎候補の当選にかかっているのです。今回の選挙で問われているこの隠れた重大争点をしっかりと見据えて、大阪の人々にはぜひ賢明な選択を行っていただきたいとの願い、大なるものがあります。

nice!(1) 

7月15日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月12日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「首相がステルス遊説の異様「こんな人たち」切り捨て政治」
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「7月21日の参院選の争点は“年金2000万円問題”や“消費税増税”などいくつもありますが、やはり最大の争点は、アベ政治の是非だと思う。このまま“こんな人たち”を相手にしない政治を続けさせてもいいのかどうか。6年間も安倍1強が続いたことで、恐らく安倍首相は、『熱狂的な3割の支持があれば政権は安泰だ』『どうせ反対するヤツは何をやっても反対する』と確信しているのでしょう。実際、自民党の得票は有権者全体の3割しかありませんからね。しかし、もし“こんな人たち”を無視した“ステルス遊説”を続けている安倍自民党を勝利させたら、ますます“こんな人たち”を斬り捨てる政治に拍車が掛かることは間違いない。そうなったら、“こんな人たち”として異論を唱えることさえ難しくなる社会になりかねない。本当にそうした社会でいいのか、有権者はよく考えるべきです」

nice!(1) 

7月14日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月10日付に掲載されたものです。〕

*7月10日付「安倍自民に落とし穴 野党候補が急追する逆転可能14選挙区」
 「投票日の当日に投票先を決める有権者も数多くいます。98年の橋本政権の時の参院選は、投票日直前に風が変わり、自民党が大敗しています。“自民党が勝ちすぎるのは良くない”と有権者が考えるアナウンス効果もあるでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏 =政治学)

 自民党が勝利するかどうかは、投票率次第だ。投票率が10ポイント上がれば、野党が次々に逆転していくとみられている。


nice!(0) 

7月13日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「参院選序盤の情勢 下馬評通りならば「いつか来た道」」
 笑われっぱなしの野党にも責任がある。参院選の勝敗のカギを握る「1人区」で候補を一本化しても、しょせん、アリバイづくりで見せかけの「ファイティングポーズ」。一皮むけば、立憲民主と国民民主の醜い主導権争い、共産と手を合わせようともしない連合の体質、立憲の枝野執行部のトップダウンによる候補者選定への各県連の不満……などが渦巻き、選挙戦も各党バラバラ。とても「共闘」には程遠い状況である。

 「今の野党は各政党や候補者の都合ばかり優先させ、本気で政権と戦う意思を示せていない。小異を捨てて大同につかなければ有権者の受け皿にはなれません。首相が野党をさげすみ、同じ意見の政治家しか相手にしないという国会の翼賛化が進む中、いがみ合うだけで無力化する野党は戦前の政党政治の崩壊を連想させます。対立激化による国民の嫌気が軍部の台頭を許し、政党は骨抜きにされ、大政翼賛会になだれ込んだ愚行を再び繰り返すのか。今の野党には歴史的な大局観が必要です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

nice!(0) 

7月12日(金) 参院選もあと1週間余り、選挙情勢は変わるし変えなければならない [参院選]

 日本の命運を左右する参院選も、あと1週間余りとなりました。以下のように、序盤の情勢では各社とも与党で63議席以上を獲得して、過半数となる見通しを示しています。

朝日「自公、改選過半数の勢い 改憲勢力2/3は微妙」
毎日「改憲 3分の2割れも 与党、改選過半数は確保」
産経「与党の改選過半数確実 改憲勢力維持か」
日経「自公、改選過半数の勢い 改憲勢力2/3うかがう」

 いずれも、与党が堅調と報じられています。しかし、これはあくまでも公示直後の7月4~5日の調査にすぎないものです。
 今後の奮闘次第で序盤の情勢は変えられます。7月21日の投票日までに、何としても選挙情勢を大きく変えなければなりません。

 今回の選挙での改選は、6年前に自民党が大勝した選挙での当選者です。したがって自民党のほとんどは現職で、野党の多くは新人ですから知名度の点で大きな差があります。
 特に、統一候補となった32の1人区では長野と佐賀以外は全て新人で、擁立が決まったのも遅く、無所属となっている場合も多くあります。ですから、名前を知らなかったり、どのような候補者か分からなかったりするのも当然です。
 調査の時点で、約半数近くの有権者が投票先を決めていませんでした。今後、投票先を決めていなかった有権者に名前や政策、候補者の人柄などが浸透していけば、情勢が大きく変わる可能性が十分にあります。

 自民党が好調のような報道には、もう一つのカラクリがあります。それは獲得目標との対比での評価であり、その目標が極めて低く設定されているという点です。
 安倍首相は勝敗ラインについて「全体の過半数を維持することが私の使命だ。つまり非改選と合わせ与党で過半数の維持だ」と述べて53議席を目標に掲げました。低い目標を掲げることで、議席を減らしても責任追及が始まらないように予防線を張ったのです。
 しかし、参院選の重大争点として改憲を掲げているのですから、本来であれば改憲発議可能な3分の2議席を目標にするべきでしょう。そうなると改憲派の合計は86議席以上必要で、極めて困難な数字になります。

 序盤の情勢からしても、自民・公明・維新などの改憲勢力で3分の2の獲得は難しいという見方があります。今後の取り組みによって立憲野党の側が自公両党を追い込むことができれば、さらに与党の議席を減らすことができます。
 今回の改選数を維持するためには、前々回13年並みの自公合計で77議席(自民66+公明11)が必要ですが、これはほとんど不可能です。前回の16年並みなら自公合計で70議席(自民56+公明14)ですが、野党からすればこれを下回らせることが目標の一つになります。
 自民党が単独で過半数を維持するためには67議席を獲得しなければなりません。これを下回れば公明党に頭が上がらなくなりますから、与党が過半数を維持しても自民党にとっては「ほろ苦い勝利」ということになります。

 序盤の情勢が調査されてから、すでに1週間が経ちました。この間、野党共闘も浸透し進化しています。
 共同通信が11日までに有権者100人に実施したアンケートで、野党に望むことを尋ねたところ「与党に対抗するための、立場を超えた結束」とした回答が38人で最も多く、「特にない」の36人と拮抗しました。改選1人区で候補者を一本化したことへの期待感が一定程度うかがえます。
 また、共産党公認で唯一の野党共闘候補である福井の山田和雄さんに枝野幸男立憲民主党代表が応援に入り、大阪でも共産党の辰巳幸太郎候補の応援に「れいわ新選組」の山本太郎代表が駆け付けました。いずれも、これまでにない新しい動きとして注目されます。

 情勢は流動的で、これから1週間余りで大きく動く可能性があります。投票率が10%上がれば1000万票増え、その多くが立憲野党に投じられれば自民党大敗の雪崩現象が起きるでしょう。
 立憲野党が結束して波乱を起こし、安倍政権を終わらせることができるかどうかが問われています。国民無視のウソと誤魔化し、デタラメに満ちた安倍政治を「安定」させても、良いことは何一つとしてないのですから。

 なお、来る7月14日(日)午後5時から、八王子駅北口放射線ロードのドンキホーテ前での街頭演説で、共産党の小池晃書記局長と吉良よし子東京選挙区候補の「前座」を務めることになりました。興味と関心のある方に足を運んでいただければ幸いです。

nice!(1) 

7月11日(木) 決戦・参院選―安倍改憲に終止符を(その3) [論攷]

〔下記の論攷は、社会主義協会が発行する『研究資料』No.43、2019年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます〕

3、野党共闘こそ選挙勝利のカギ

 自民党の現状維持は至難の業

 自民党の甘利明選対委員長は5月16日のテレビ番組の収録で、夏の参院選で自民党が単独過半数を維持することは「不可能だ」と語り、今回改選される13年参院選で獲得した65議席について「これ以上、取れないぐらいの数字だ」と指摘し、「不謹慎な言い方だが、どこまでの議席減で食い止めるかだ」と述べました。改選される124議席の過半数に当たる63議席の確保も「至難の業」だと言っています。
 つまり、自民党が今度の選挙で6年前の成績を再現することは不可能で、実際にはどれだけ「減るのを減らす」かが課題だということなのです。7月の参院選では自公が議席を減らし、自民党が過半数を割ってしまう可能性が十分にあります。改憲勢力は非改選77、改選87議席と3分の2の164議席ちょうどですから、それを下回る可能性も小さくありません。
 今回、改選されるのは6年前の2013年に当選した議員です。この時は自民党が現行制度下で最多の65議席を獲得して6年ぶりに参院第1党に復帰し、公明党は11議席でした。この結果、与党は76議席で非改選の59議席と合わせて過半数を上回る135議席となりました。とりわけ31あった1人区では、岩手と沖縄を除く29選挙区で議席を獲得しています。
 参院での改選議席を維持するためには、この6年前の選挙を再現しなければならず、極めて困難です。甘利選対委員長は3年前に獲得した56議席以上という目標を掲げていますが、それでも大きな議席減になります。
 2年前の17年衆院選の比例代表では、立民・旧希望・共産・社民の合計は約2610万票で、自民・公明両党を約60万票上回りました。これを見ても、与党の現状維持は至難の業であることは明らかでしょう。

 スピードアップした野党共闘

 統一地方選挙が実施された4月の段階では、野党共闘の動きはそれほど進んでいませんでした。野党第一党の立憲民主党の枝野代表が地方組織の再建を優先し、統一地方選挙での県議などの当選に力を入れたからです。
 しかし、統一地方選挙での旧民主党の県議の当選者は、立憲民主党(118議席)と国民民主党(83議席)の両者を合計しても201議席で、63議席も減ってしまいました。これが枝野代表の危機感を高めたのではないでしょうか。
 統一地方選挙後半戦が終わった段階で、枝野代表が野党各党に共闘の申し入れを行ったのはそのためだと思われます。国民民主党の玉木代表が自由党との合流を決め、小沢氏を受け入れたのも同様の危機感からだったでしょう。
 こうして、5月の連休後に野党共闘に向けての話し合いがスピードアップしました。野党への牽制として流され始めた「ダブル選挙」の噂も危機感を強め、かえって共闘に向けての追い風になったように見えます。
 参院での立候補を予定していた候補者が辞退する際、代わりに衆院での立候補を視野に入れて譲歩するという例も生まれました。鹿児島で社民党の候補者が辞退して国民民主党に譲るとき、社民党は衆院鹿児島4区での立候補に配慮することを条件としたからです。
 統一のために立候補を取りやめた共産党候補が衆院の小選挙区に回るという例も生まれました。このような形で、ダブル選挙になった方が野党共闘を促進する面もありました。

 当たり前になりバージョンアップされた

 3年前に比べれば、市民と野党の共闘は特別なことではなく、当たり前になったのも大きな前進です。この共闘で市民連合が大きな役割を果たし、共産党が含まれるのも当たり前の光景になりました。
 その共産党の候補者が統一候補になるのも、3年前には香川の1選挙区だけでしたが、今回は、福井、徳島・高知、鳥取・島根の3選挙区になっています。しかも、後の二つ選挙区では、衆院補選の大阪12区での「宮本方式」を踏襲して無所属で立候補することになりました。
 前述のように政策合意も項目が増えて幅が広がり内容が豊かになっただけでなく、作成のプロセスも大きく前進しました。これを基に、それぞれの選挙区でさらに内容を発展させ豊かにした政策協定を結ぶ動きが続いています。
 3年前の参院選での野党共闘は初めての試みでした。市民と野党、野党各党の間でも初対面であったり、初めてメール・アドレスを交換したりということで、しっくりこない場面も多かったと思います。
 しかし、それから3年の間に、共同行動や連携は当たり前のことになりました。衆院小選挙区レベルで市民連合が結成されたり、集会で相互のあいさつやエールの交換がなされたりする中で、顔見知りになって仲良くなり、人間関係ができて信頼も強まるなど、草の根での共闘は大きく発展しています。
 市民と野党の共闘は、人間的なコミュニケーションとネットワークの形成という大きな成果に支えられて成長してきました。草の根での実績を積み重ねてきたのです。これが3年前との大きな違いであり、このような経験の蓄積こそが、市民と野党の共闘がバージョンアップされたということの意味にほかなりません。

 むすび

 5月末に「潮目」が変わりました。それまで吹いていた安倍政権への「追い風」は逆風に転じ、内閣支持率も軒並み低下を始めています。その頃から「解散風」がやみ始めましたが、その理由は大きく変わりました。「ダブルでなくても勝てる」から、「ダブルで負けるかもしれない」へと。
 いずれにしても、間もなく選挙がやってきます。結局、ダブルはできず改憲発議に失敗し、内閣支持層でさえ46%と半数近くが反対している(『朝日新聞』5月調査)10%への消費増税を掲げ、年金問題などの逆風の中で選挙を闘わざるを得なくなりました。野党の側からすれば、大きなチャンスです。
 安倍政権の暴走政治は、その暴走のひどさゆえに市民と野党の共闘を生み出し、鍛え育てる役割を果たしてきました。このようにして成長した野党共闘がどれほどの威力を発揮できるのか、目にものを見せるチャンスでもあります。
 7月の参院選は、歴史を変えた「関ケ原の闘い」にも匹敵する大きな決戦の場となるにちがいありません。安倍首相に痛打を与え、改憲の野望を打ち砕く最終決戦とするべく勝利をめざしましょう。
 難しいことではありません。この選挙で、怒りを込めて一票を投じさえすればよいのです。怒りの「受け皿」として、市民と野党の共闘、立憲野党が国民に認知されれば、自公の与党や改憲勢力を敗北させることは十分に可能なのですから。

nice!(0) 

7月10日(水) 決戦・参院選―安倍改憲に終止符を(その2) [論攷]

〔下記の論攷は、社会主義協会が発行する『研究資料』No.43、2019年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます〕

2、参院選をめぐる情勢と対決点

 風向きが変わった

 5月26日、安倍首相は来日したトランプ米大統領をもてなし、ゴルフ、大相撲観戦、炉端焼きの会食と「TOKYOの休日」を満喫しました。ゴルフ場で撮られたと思われる、満面の笑みを浮かべたツーショットの写真もネットに公開されています。このときが、安倍首相にとって得意の絶頂期だったと思われます。
 令和という新しい元号による「改元フィーバー」、天皇の代替わりを利用した「奉祝ムード」の盛り上げ、初の国賓としてトランプ米大統領を招いての接待攻勢などを利用し、6月末のG20首脳会議で外交成果を上げて参院選になだれ込むというのが、安倍首相の作戦だったと思われます。それは、この時まで順調に推移していました。
 だからこそ安倍首相は5月30日、経団連の定時総会で「風という言葉に今、永田町も大変敏感だ」「風は気まぐれで、誰かがコントロールできるようなものではない」と発言したのです。夏の参院選とのダブルとなる衆院の「解散風」にかこつけて軽口をたたき、野党を牽制する余裕があったということでしょう。
 しかし、すでにこのとき「気まぐれな風」は「追い風」から「向かい風」へと変わり始めていました。逆風に転じつつあった風向きの変化に、安倍首相は気がついていたでしょうか。
 5月27日の日米首脳会談終了後の共同記者会見で、トランプ大統領は「8月には両国にとって良い発表ができるだろう」と発言し、日米貿易交渉をめぐって「密約」が交わされたことをほのめかしました。日本の選挙が終わるまで待つから、その代わりに言うことを聞いてもらえそうだと。
 この時、安倍首相にイランとの仲介役を依頼したとも言われています。その口車に乗って安倍首相はイランに出かけ、思いもかけぬタンカー攻撃を受けてアメリカとイランの板挟みという窮地に陥りました。トランプ大統領のような、信ずるに値しない人物を信用してしまった安倍首相の「身から出た錆」というべきでしょうか。

 強まり続ける逆風

 『毎日新聞』6月13日付の記事の見出しに目が留まりました。「逆風三重苦」と書いてあったからです。「逆風」が吹き始めていることが初めて指摘された記事でした。そのリードは次のようになっています。
 「夏の参院選を控え、にわかに巻き起こった三つの『逆風』に政府・与党が警戒感を強めている。夫婦の老後資金として公的年金以外に『30年間で2000万円が必要』とした金融庁の審議会の試算への批判と並行して、秋田市での設置を目指す陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』を巡る防衛省の不手際や、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の不透明さが次々に発覚し、『三重苦』の様相だ。」
 なかでも、強烈な突風として吹き付けたのは年金問題の急浮上でした。金融庁審議会の報告書はそれまで政府や自民党、閣僚などが言ってきたことと変わりませんが、選挙前というタイミングで「不都合な真実」が突きつけられたことに慌てたのでしょう。麻生副総理兼金融担当大臣は報告書の受け取りを拒否し、森山自民党国対委員長も「なくなっているわけですから。予算委員会にはなじまないと思います」と居直りました。
 安倍政権が年金問題についてこれほど過敏になっているのは、大きなトラウマが残っているからです。第1次安倍政権のときの12年前の参院選で「消えた年金」が大問題になり、37議席と第一党の座を民主党に奪われる歴史的惨敗を喫し、その後の退陣につながりました。亥年には自民党苦戦のジンクスがあり、「鬼門」とされている年金問題が持ち上がったために安倍首相が慌てたのです。
 加えて、イージス・アショア配備をめぐる防衛省の不手際、加計学園問題と同様の国家戦略特区WGの不透明さなどが明らかになりました。そのうえ、日米貿易交渉についての「密約」が暴露され、農産品で打撃を受ける農村票が離反する恐れがあります。
 3年前の参院選ではTPPへの怒りが巻き起こり、東北や甲信越の1人区で自民党が敗北しました。農村部には選挙に行く高齢者が多く、今回は「年金問題」も影響すると見られています。消費税の再増税もあり、自民党が強いはずの西日本の1人区にも逆風が吹くのではないでしょうか。

 鮮明になった対立軸

 5月29日、市民連合の要望を受け、立憲・国民・共産・社民・「社会保障を立て直す国民会議」の5野党・会派が「共通政策」に合意し、署名しました。6月13日には、この5党・会派の幹事長・書記局長会談が開かれ、32の1人区すべてで一本化が完了したことが確認されました。これで参院選に向けて、本格的なスタートが切られたことになります。
 このような市民連合と立憲野党との政策合意の出発点は、2016年の「5党合意」でした。これは7月の参院選に向けて結ばれたものです。この時の合意は4項目で、政策的には「安保法制の廃止」だけが掲げられていました。
 その翌年の2017年9月26日、総選挙を前にして市民連合は「野党の戦い方と政策に関する要望」を提出しました。それは、①9条改憲反対、②特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法などの白紙撤回、③原発再稼働を認めない、④森友・加計学園、南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明、⑤保育、教育、雇用に関する政策の拡充、⑥働くルール実現、生活を底上げする経済、社会保障政策の確立、⑦LGBT(性的マイノリティー)への差別解消、女性への雇用差別や賃金格差の撤廃という7項目です。
 今回の「共通政策」は13項目となり、政策合意の幅はさらに拡大しました。新たに加わったのは、①防衛予算、防衛装備の精査、②沖縄県新基地建設中止、③東アジアにおける平和の創出と非核化の推進、拉致問題解決などに向けた対話再開、④情報の操作、捏造の究明、⑤消費税率引き上げ中止、⑥国民の知る権利確保、報道の自由の徹底の6項目です。
 項目が約2倍になっただけではありません。内容的にも、改憲発議阻止や日米地位協定の改定、原発ゼロの実現、税制の公平化、最低賃金「1500円」、公営住宅の拡充、選択的夫婦別姓や議員間男女同数化(パリティ)の実現、内閣人事局のあり方の再検討、新たな放送法制の構築など、充実が図られています。
 作成過程も前回とは異なっています。作成に加わった共産党の笠井亮政策委員長は「市民連合から政策の原案が提起され、5野党・会派で協議して練り上げ、市民連合に提起するという1カ月間にわたるキャッチボールがあり、そのうえで最終的な調印となりました」と証言しています。
 他方、自民党は6月7日に参院選に向けての公約を発表しました。重点項目で「早期の憲法改正を目指します」「本年10月に消費税率を10%に引き上げます」と明記し、重点項目の6つの柱の第一を「外交・防衛」として「防衛力の質と量を抜本的に拡充・強化」することを掲げ、沖縄の「普天間飛行場の辺野古移設」についても「着実に進める」ことを打ち出しています。原発についても再稼働を進めることを明記しました。
 自民党の参院選公約と5野党・会派が合意した「共通政策」の内容は、真っ向から対立しています。参院選に向けての対立軸はより鮮明になり、野党の共通政策は安倍政治を転換した後の方向性も示しました。単なる数合わせの「野合」どころか、自公政権後の新たな野党連立政権樹立に向けての政策的な基盤をつくり出すものだったのです。


nice!(0) 

7月9日(火) 決戦・参院選―安倍改憲に終止符を(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、社会主義協会が発行する『研究資料』No.43、2019年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます〕

 はじめに

 4月1日に新しい元号「令和」が発表され、5月1日には新天皇が即位しました。あたかも新しい時代が始まったかのような「奉祝ムード」が醸し出され、「改元・代替わりフィーバー」がはやし立てられました。「新時代」が始まったのだと。
 しかし、政治のあり方も私たちの生活も、何も変わっていません。確かに元号と天皇は変わりました。この際、一緒に総理大臣も変えようじゃありませんか。安倍首相が引っ込めば、それは大いにめでたい。政治のあり方も私たちの生活も大きく変わるにちがいありません。
 その道筋をつけるチャンスがすぐにやってきます。それが参院選です。この選挙で自民党を過半数以下に追い込み、自民・公明・維新・希望の改憲4党の合計議席が3分の2を下回るようにすれば、安倍首相の改憲への野望を打ち砕くことができます。
 すでに、3000万人署名運動によって、今日まで改憲発議を阻止するという大きな成果を上げてきました。追い込まれた安倍首相は参院選で改憲議席を維持し、その後の国会で改憲発議を狙うという長期戦略に転換せざるを得なくなっています。安倍改憲論に終止符を打てるかどうかは、選挙結果にかかっています。
 いよいよ決戦の時が迫ってきました。日本の政治の将来と私たちの生活の行く末を左右する選挙です。民主主義を踏みにじり、ファッショ化を進めて政治を私物化する安倍首相に引導を渡すために、選挙による「一票革命」を起こそうではありませんか。

1、ファッショ化と腐敗が進む安倍政権

 安倍政権の異質のあくどさ

 安倍政権の最大の特徴は、過去の自民党政権とは異なる異質のあくどさにあります。この点で、安倍首相は戦後最低で最悪の首相です。とりわけ、従米・軍拡と改憲志向、国会審議での嘘とごまかし、政治・行政の私物化と公私混同が際立っています。
 憲法と議会制民主主義の破壊も、過去のどの政権よりもひどいものでした。審議打ち切りによって強行採決された法案には、特定秘密保護法、安全保障関連法、共謀罪法などの違憲立法がありました。いずれも世論調査では7~8割が反対しています。これ以外にも、TPP関連法、働き方改革法、カジノ法、改正入管法、水道民営化法、改正漁業法などが強行可決されています。
 どの法案も世論調査では半数以上が反対していました。その世論を無視して審議を打ち切り、採決を強行したのです。安倍政権のファッショ化を如実に示す事例だと言えるでしょう。
 審議内容や政策の中身で与野党が対抗するというのが議会政治の基本です。そのために、野党の質問に真摯に対応し誠実に答え、公文書などの資料を提出する必要があります。立案と検証のためのデータなども正確でなければなりません。
 ところが、森友・加計学園疑惑や自衛隊日報隠蔽問題、裁量労働のデータ改ざん、統計不正、年金問題などで示されたのは全く逆の姿でした。安倍首相や麻生副総理は野党の質問にまともに答えず、公文書を隠したり改ざん・ねつ造したり、データが誤りだったりしました。沖縄の辺野古では県民の意向を無視して基地建設工事が強行されています。
 強行に次ぐ強行で民主主義の基本が歪み、土台が腐ってきているのです。政治と行政への信頼がこれほど失われたことがあったでしょうか。2年前には憲法の手続きに従って野党が求めた臨時国会召集を無視して解散・総選挙を強行し、今度は予算委員会開催の要求を放置しています。憲法や法律を無視し国会審議から逃げ回る姿は醜悪で、断じて許されるものではありません。

 「情報戦」による内閣支持率の維持

 安倍内閣の強みは内閣支持率の安定にあります。一時的に下がっても、また回復するという形で一定の水準を維持してきました。この安定感は歴代政権の中でも際立っており、憲政史上3位という長期政権を生み出した要因はここにあります。それは何故でしょうか。
 端的に言えば、「情報戦」において安倍首相が勝ちを収めているということです。グラムシは革命闘争の形態を「機動戦」や「陣地戦」という概念を用いてとらえていました。今日では「機動戦」から「陣地戦」へ、さらには「情報戦」へと変化してきています。情報をめぐる階級間の闘いに勝利したものが革命闘争においても優位に立つのです。
 もともと権力を持つ者は「情報戦」においても有利な立場にあります。安倍首相は第1次政権の失敗の教訓から、情報の発信と操作に腐心するようになりました。「ポスト真実の時代」になり、フェイクニュース(虚偽情報)があふれているような時代状況も首相に有利に働いています。
 権力による情報の支配・統制が強まり、教育とメディアへの介入も目立ちます。ジャーナリストの一部が変質しメディアが2分化して政権支持の風潮が生まれ、政権の応援団が形成されました。ジャーナリズムの一部は権力の批判・監視から迎合・追従へと変容しています。
 若者は新聞やテレビよりインターネットやSNSによって情報を入手する傾向があります。それに対応するために、ネットでの書き込みを監視する「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)」などが暗躍しています。こうして報道の自由や発言の自由が抑制され、社会と若者の右傾化が進みました。
 国際NGOの「国境なき記者団」は5月16日に2019年の「報道の自由度ランキング」を発表しました。調査対象の180カ国・地域のうち、日本は前年と同じ67位です。「記者団」は日本では「メディアの多様性が尊重」されているものの、沖縄の米軍基地など「非愛国的な話題」を取材するジャーナリストがSNSで攻撃を受けていると指摘しています。
 菅官房長官が記者会見で、東京新聞の望月衣塑子記者の質問に対して「あなたに答える必要はない」と拒絶するなどの例も生まれています。特定の記者の質問を妨害したり答えなかったりするなど、従来は考えられなかったような異常事態です。政権が不都合な情報の発信や伝達をいかに恐れているかを示す好例だと言えるでしょう。

 政権の行き詰まりと腐敗

 情報の統制と操作による「虚偽環境」をつくり出すことによって国民を欺くというのが、情報戦における安倍首相の常套手段です。「隠す、ごまかす、嘘をつく」というのが、その「3原則」でした。これに、最近では「受け取らず」が付け加わったようです。しかし、そのようなやり方も現実によって裏切られ、いよいよ政権の行き詰まりが明らかになってきました。
 第1は、外交政策の破たんです。その象徴的な出来事が安倍首相のイラン訪問時のタンカー襲撃事件でした。アメリカはイランによるものだと主張していますが、真相は不明です。安倍首相のイラン訪問による「仲介外交」は失敗し、かえってアメリカとイランとの関係は悪化しました。
 韓国との関係は冷え切って北朝鮮とは接触できず、ロシアとの北方領土問題でも打開のめどは立たっていません。中国との関係では、一方で友好関係強化へと舵を切ったにもかかわらず、他方で「仮想敵」として軍備増強の口実にするというチグハグぶりです。
 第2は、国会審議での答弁や公文書、政策立案の土台となる数字やデータの誤り、隠蔽、改ざんやねつ造などの問題です。これらの問題は、すでに森友・加計学園疑惑で明らかになりました。前述のように、その後も不正や捏造が明らかになっています。
 通常国会では毎月勤労統計(毎勤)や家計調査などの政府基幹統計の誤りも発覚しました。アベノミクスの評価に関わる数字が変えられ、それに官邸が関与している疑いもあり、「アベノミクス偽装」ではないかとの批判を招いています。
 第3は、政治家や官僚の劣化です。安倍首相や麻生副総理の暴言や失言は言うに及ばず、塚田一郎国土交通副大臣と桜田義孝五輪担当大臣が辞任に追い込まれました。塚田氏は下関北九州道路について「私が忖度した」、桜田氏は「復興以上に大事なのは高橋さんです」という発言が問題とされました。いずれも失言というより本心を語ったのではないでしょうか。
 このような暴言は自民党だけではありません。維新の会の丸山穂高衆院議員は北方領土について「戦争しないとどうしようもなくないですか」等という発言によって国会初の糾弾決議を挙げられ、参院選比例区に立候補を予定していた維新の会の長谷川豊氏も被差別部落をめぐる差別発言によって公認停止の処分を受けました。
 このほか、経産省と文科省のキャリア官僚が覚せい剤を省内で使用していたことが発覚して逮捕されています。このような形での汚染や腐敗が高級官僚にまで広がっていたとは、まことに驚くべきことというほかありません。

nice!(0) 

7月8日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは7月7日付の『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「新聞は肝心の争点を書いていない 傲慢政権の暴走許すのか」
 この参院選の意義について、法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
 「本来、国政選挙は、時の政権が行った政策を評価するものです。前回選挙からの実績について有権者がイエス、ノーの審判を下す。それが正しいあり方です。しかし、もはや安倍政権は、一つ一つの政策についてウンヌンするレベルを超えていると思う。この6年間で、政治の土台そのものが歪み、崩れてしまったからです。安倍首相は、国会でも平気で嘘をつき、野党の質問に正面から答えようとせず、自分の言いたいことだけを質問と関係なく延々と話している。『丁寧に説明したい』と口にしながら、モリカケ問題についていまだに説明せず、『沖縄に寄り添いたい』と語りながら、選挙で4回も民意が表明されたのに無視し、辺野古の海を埋め立てている。安倍政権の6年間によって、民主政治が成り立たなくなってしまった。こうなると、問うべきは、政策の是非ではなく、安倍首相の政治姿勢であり、人として信用できるかどうか、だと思います」

 前出の五十嵐仁氏がこう言う。

 「7月21日の参院選は、有権者にとって絶好の機会です。参院選は、衆院選と違って政権選択の選挙ではありませんが、過去、日本の政治を何度も大きく変えています。07年の参院選は、自民党が大敗し、第1次安倍政権は退陣に追い込まれている。あの時の苦い教訓があるのか、安倍政権は、今度の参院選の“勝敗ライン”をかなり低くし、多少負けても責任を問われないよう、辞めなくてすむよう、予防線を張っていますが、どんなに予防線を張っても、大敗したら政権はもたないでしょう。勝敗のカギは投票率です。自民党が国政選挙で勝利を重ねているのは投票率が低いからです。組織票で勝利している。選挙情勢を見ると、接戦となっている選挙区がいくつもある。投票率が10%アップしたら、1000万票が動くことになる。そのほとんどは、野党に流れるでしょう。1000万票が野党に上乗せされたら、自民大敗、野党勝利の雪崩現象が起きるはずです」


nice!(1)