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7月22日(月) 与党が過半数を維持したものの改憲勢力が3分の2を下回った参院選 [参院選]

 注目の参院選の結果が出ました。自民・公明の獲得議席は71議席で、改選の過半数も非改選議席を加えた参院の過半数も維持しましたが、改憲発議のために必要な3分の2議席については、維新を加えても85議席には達せず、下回ることになりました。

 選挙区と比例代表を合わせた改選124議席の獲得議席は、自民党が57となって改選66議席を下回っています。公明党は改選11を上回る14議席を得て、与党は71議席になりました。
 野党は立憲民主党が改選9を上回る17、日本維新の会が改選7を上回る10でした。共産党は改選8を下回る7、国民民主党も改選8より少ない6となっています。
 社民党は改選議席と同じ1、政治団体「れいわ新選組」は比例で2議席を獲得しましたが、代表の山本太郎氏は落選しています。政治団体「NHKから国民を守る党」が比例代表で1議席を初めて獲得しました。

 今回の選挙の結果、さし当り改憲暴走にはストップがかかったことになります。とはいえ、安倍首相は与党が過半数の維持に成功したことで、引き続き改憲に向けての攻勢を強めるにちがいありません。
 事実、21日夜のテレビ番組で、改憲について「議論していけという国民の声を頂いた。国会で議論が進んでいくことを期待したい」と述べています。早期の改憲発議を目指す考えに変わりはありません。
 「国民民主党の中にも議論を進めていくべきだ、という方はたくさんいると思う」と指摘するなど、「議論」を手掛かりに立憲野党にも手を突っ込んで分断し一部を引き込むつもりなのでしょう。安倍首相の改憲暴走をめぐる攻防は、これからも続くことになります。

 注目の1人区ですが、野党共闘の統一候補が10勝し、11勝した前回並みの結果となりました。自民は北陸・中国・九州地方を中心に議席を積み上げ、野党は山形、新潟、愛媛、大分などで勝利しています。
 野党共闘でなければ、これだけの成績を残すことは不可能だったでしょう。この実績と経験に学び、早くから市民と野党の共闘を実現することが必要です。
 次は総選挙で、選挙区は全て1対1の構図になるのですから、参院選以上に市民と野党との共闘と連携、統一候補の擁立が重要になります。この間の経験を生かして、今から準備を始めなければなりません。

 今回の選挙結果についての深い分析は今後の課題となりますが、社会の右傾化とマスメディア、とりわけテレビの「安倍チャンネル化」が大きく影響しているように思われます。投票率は50%を割るなど有権者は選挙への関心を失い、選挙報道は少なく、とりわけNHKテレビは政権寄りの報道に終始しました。
 政治への有権者の不満や批判は「れいわ新選組」への熱狂的な支持などに示されましたが、残念ながらこれも広く報道されることはなく、一部にとどまりました。憲法問題では議論を呼びかけている安倍首相ですが、国会では予算員委員会を開かず議論を避け続け、野党の出番を奪ってきたことも与党に有利に働きました。
 「改元フィーバー」や天皇代替わり、トランプ米大統領へのおもてなし外交などの「目くらまし」によって国民を幻惑することに成功した安倍首相の「作戦勝ち」というところでしょうか。「隠す・ごまかす・嘘をつく」という「安倍3原則」が、今回の参院選での選挙活動でも駆使され、一定の効果を上げたということになるかもしれません。

 今回の選挙の結果、与党は過半数を維持して政権の「安定」を確保しましたが、争点となった問題や課題は何一つとして解決していません。日韓関係の悪化、北方領土交渉や拉致問題の行き詰まりなど外交はいずれも波乱含みで、日米貿易交渉や武器の爆買い、ホルムズ海峡での「有志連合」など、トランプ政権からの無理難題は一挙に押し寄せてくるでしょう。
 内政面でも消費税の10%への引き上げは確実となり、年金不安や消費不況の再発、軽減税率やポイント還元などをめぐる消費の現場での大混乱は避けられません。米中貿易摩擦による景気の下振れリスク、アベノミクスによる異次元金融緩和政策からの「出口戦略」による国債暴落と経済のメルトダウンも大きな懸念です。
 このような中で安倍首相は総裁任期を終え、再来年の秋には衆院議員の任期が切れます。政権は「安定」しても、日本政治と国民生活の「安定」には程遠い疾風怒濤の航海への船出だと言うべきでしょうか。


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