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8月5日(月) 野党共闘の威力が示された参院選 改憲勢力は3分の2を割る [論攷]

〔以下の論攷は、『東京革新懇ニュース』第444号、2019年8月5日号、に掲載されたものです。〕

 参院選の結果が出ました。自民党が57となって改選66議席を下回り、公明党は改選11を3上回る14議席で、与党は71議席です。
 野党は立憲民主党が改選9を上回り17、日本維新の会が改選7を上回って10、共産党は改選8を下回る7、国民民主党も改選8を下回って6、社民党は改選議席と同じ1、れいわ新選組は2でした。賛同団体の共産党は比例で1減となりましたが、3年前を1議席上回り、17年総選挙より得票数・率で前進しています。
 自民党は9減で単独過半数を失い、与党は改選前の147から141議席になりました。野党は改選前の89を103議席に14も伸ばしています。勝利したのは、与党ではなく野党です。

 改憲発議「3分の2」議席の阻止

 自民・公明に維新を加えても改憲発議に必要な85議席には届かず、参院の3分の2議席を下回りました。改憲勢力も負けたのです。この結果、さし当り安倍首相の改憲暴走にはブレーキがかかりました。
 とはいえ、安倍首相は引き続き、改憲に向けての攻勢を強めようとしています。21日夜のテレビ番組で、発議と国民投票について「任期中に何とか実現したい」と語り、「国会で議論が進んでいくことを期待したい」「国民民主党の中にも議論を進めていくべきだ、という方はたくさんいると思う」と述べ、野党を分断し一部を巻き込む意図を明らかにしました。安倍9条改憲をめぐる攻防は、これからも続くことになります。
 今回の選挙には、社会の右傾化とマスメディア、とりわけテレビの報道姿勢の変化が大きく影響しました。選挙報道は少なく、NHKテレビは政権寄りの報道に終始し、選挙への関心は盛り上がらず、投票率は戦後2番目に低い48.8%になりました。
 政治への不満や批判はれいわ新選組への支持などに示されましたが、広く報道されませんでした。予算員委員会を開かず、野党の出番が奪われました。「改元フィーバー」や天皇代替わり、トランプおもてなし外交などもありました。与党の過半数維持は、その結果だったと言えます。

 効果を上げた野党共闘

 野党の側の対抗策として注目を集めたのが32ある1人区です。ここでは野党の統一候補が10勝し、改選2から5倍に大躍進しました。
 数的には11勝した前回並みですが、13項目の共通政策で合意し、本気の共闘へと質的に大きく発展しています。2選挙区以外は新人ばかりで知名度に大きな差があり、出遅れや運動期間の短さなどにもかかわらず現職に競り勝つ劇的大逆転の連続でした。
 野党共闘でなければ、これだけの成果を上げることは不可能でした。この経験に学び、もっと幅広く、早い段階から市民と野党との共闘を実現し、連携を強めることが必要です。
 総選挙になれば、選挙区は全て1人区です。参院選以上に市民と野党との共闘と連携、統一候補の擁立が大きな意味を持ちます。この間の経験を生かし、今から準備を始めなければなりません。「共闘の砦」を守るために献身的な努力をし、野党共闘の土台を支えてきた共産党と革新懇の役割はさらに大きなものとなるでしょう。

 解散・総選挙に向けて

 選挙の結果、与党は政権の「安定」を確保しましたが、問題は山積しています。外交は波乱含みで、日韓関係の悪化、北方領土交渉や拉致問題の行き詰まり、日米貿易交渉や武器の爆買い、ホルムズ海峡での「有志連合」などトランプ政権からの無理難題も一挙に押し寄せてくるでしょう。
 消費税の10%への引き上げは確実となり、年金不安や消費不況、軽減税率やポイント還元などをめぐる大混乱は避けられません。米中貿易摩擦による下振れリスク、アベノミクスからの「出口戦略」による国債暴落と経済のメルトダウンも懸念されます。
 国民生活の「安定」には程遠い疾風怒濤の航海への船出です。解散・総選挙は2年以内に確実にやってきます。それに向けて、さらなる共闘の進化を。


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8月3日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月2日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「議長交代は親分の本音か 萩生田光一と安倍晋三“腐臭の関係”」
 安倍1強の長期政権下、官邸に権力が集中し、国会は形骸化。国会議員も官僚も官邸の意向を気にして、物言えば唇寒しの恐怖支配が続いている。

 「参院選で改憲勢力が3分の2議席を下回った焦りもあるのでしょうが、衆院議長に逆恨みして交代をチラつかせるなんて言語道断です。自分が立法府の長だと思っている安倍首相は、気に入らないヤツは更迭すればいいくらいに考えているのかもしれませんが、萩生田氏の発言は、さすがに議会制民主主義のルールを踏み越えている。議員辞職に値する暴言です。だいたい、加計学園問題では萩生田氏も当事者じゃないですか。落選中は加計に面倒を見てもらっていたし、文科省から出てきた文書には、当時官房副長官だった萩生田氏が加計学園の獣医学部新設を後押しする発言が記されていた。それもウヤムヤにされてしまいましたが、親分をかばうために側近が嘘をつき、議会制民主主義を破壊する鉄砲玉にもなるなんて、ヤクザの世界です。今の自民党は公党ではなく、安倍首相を守る私党に成り下がっている。そのフロントランナーが萩生田氏ということです」(政治学者の五十嵐仁氏)

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8月1日(木) 『朝日新聞』デジタル版に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『朝日新聞』デジタル版7月31日付、に掲載されたものです。〕

*「謎多き国鉄三大ミステリー、時の政府は「共産党の仕業」」
 捜査は次第にずさんさが明らかになり、三鷹事件では竹内元死刑囚を除く9人、松川事件では起訴された全員の無罪が確定。下山事件は迷宮入りした。
 しかし、労働運動は3事件で腰砕けになり、政府は大量解雇を実現。50年にはGHQの指示で、共産主義者を公職などから追放する「レッドパージ」を実施した。内部対立も起きた共産党は、52年の衆院選で公認候補が全員、落選した。
 法政大の五十嵐仁(じん)・名誉教授(政治学)は「政府・GHQにとっては、絶好のタイミングで国鉄を舞台に事件が起きた」と指摘する。「共産主義者の仕業だと印象づけ、社会状況を変えられればそれでよかった。謀略だとすれば、狙いは十分に成功した」

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