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12月21日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「類は友を呼ぶのか ウサン臭い連中ばかりの安倍首相の周辺」

 利権屋は秋元ひとりに限らない。13年に入試改革の口火を切った安倍側近の下村元文科相も怪しい。下村は塾・予備校の「族議員」で多額の献金を受領。萩生田大臣の「身の丈」発言で見送られたとはいえ、政治主導で下村が「民間試験」導入をゴリ押しした経緯には、新たな需要が生まれる塾・予備校との利権漁りが見え隠れするのだ。

 「カジノ、幼児保育、入試改革など、安倍政権が進める政策は理念先行ならぬ、利権先行。ある程度のタテマエをつけ、利権に群がる友だちへの利益を図り、自分たちの懐に還流させるのが狙いでしょう。安倍首相のお友だち優遇政治が、自民党内の隅々まで行き渡り、まるで怪しい利権屋集団と化しているかのようです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 マルチ、レイプ男、弾劾大統領、怪しい利権屋……。安倍周辺がまともな人間なら近づかない、近づけない連中ばかりなのは安倍自身が胡散臭い人物である証拠だろう。前出の五十嵐仁氏はこう言う。

 「アベ友優遇の利権政治だから、首相にお近づきになろうと怪しい人物が群がるのは必然です。この政権の出発地点から抱えていた問題が、政権の長期化であぐらをかき、警戒感が薄れて次々と露呈しているように見えます。それだけ国民を愚弄していたわけです。

 桜を見る会の答弁と対応でも、嘘とゴマカシで逃げ切ろうとしていますが、政権の求心力が急激に低下する中、今まで通りにはいきません。ようやく支持率低下で国民の怒りが表面化してきました。怪しいアベ友優遇政治に引導を渡すべきです」

 ドス黒い安倍を排除しない限り、胡散臭い政治は終わらない。


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12月19日(木) 日本の男女格差を是正するためには安倍退陣が最善で最速の道だ [社会]

 日本のジェンダーギャップ(男女格差)の大きさを国別に順位付けした世界経済フォーラム(WEF)の2019年の報告書が発表されました。日本は153カ国中121位で過去最低になり、110位だった前年より大きく順位を下げ、主要7カ国(G7)では今年も最下位でした。
 安倍首相は「女性活躍社会」というスローガンを掲げています。それなのになぜ、このような結果になったのでしょうか。
 その原因は、安倍首相自身にあります。女性が活躍する社会を本当に実現するためには、安倍首相を退陣させることが最善で最速の道です。

 前年から大きく順位を下げた最大の要因は、『朝日新聞』12月18日付も指摘しているように、「女性の政治参画の停滞」にあります。「日本は女性対象の衆院議員で女性が10.1%、閣僚は9月の内閣改造まで19人中1人の5.3%で、順位を下げる要因になった」からです。
 その責任は、国会で最大の議員を擁している自民党にあります。自民党議員内での女性比率を高めなければ国会での女性比率は多くなりません。
 議員の女性比率を高めるためには、候補者として女性を多く擁立する必要があります。女性議員を増やすためには女性の候補者を多くすればよいというのは、子どもでも分かる理屈ではありませんか。

 ところが、自民党にはその理屈が分からないようです。その自民党の最高責任者は誰でしょうか。
 安倍首相ではありませんか。自民党総裁なのですから、選挙に当たって女性の候補者を増やせと指示すれば済むことです。
 ところが、不思議なことに「女性活躍」を掲げているにもかかわらず、最も女性の活躍が停滞している政界での「活躍」に向けて、具体的な方針を打ち出していません。その端的な例は、今年の7月に実施された参院選で示されています。
 
 7月の参院選での候補者のうち、自民党の女性候補の割合は15%にすぎませんでした。他の政党では、立憲民主党45%、国民民主党35%で、共産党の場合は半分以上の55%に上っています。
 政界での男女格差是正のためにどの政党が積極的な姿勢を示しているかは、これらの数字にはっきりと示されています。最大の候補者を立てている自民党の女性比率が最も低いというのでは、当選した議員内での女性比率が低くなるのは当然です。
 このような状況を改善するのは難しくないはずです。自民党の候補者選定に当たって女性の比率を高め、少なくとも国民民主党レベルの30%以上にするようにと、安倍首相が自民党総裁の資格で党に指示すれば良いのです。

 閣僚内での女性比率を高めることはもっと簡単です。任命するのは安倍首相自身ですから、指示を出す必要すらありません。
 しかし、9月に発足した第4次安倍再改造内閣では、女性閣僚は高市早苗総務相と橋本聖子五輪担当相のわずか2人にすぎませんでした。女性閣僚の比率を高めるつもりなら、もっと増やせたはずです。
 しかし、閣僚にふさわしい適格者ということになるとそれほど多くはありません。女性議員自体の数が絶対的に少ないからです。

 つまり、女性が活躍しづらい構造的な問題があり、それを解決するために安倍首相が指導力を全く発揮しようとしていないということなのです。ここに、政界における女性比率が高まらない根本的な原因があります。
 私は『日刊ゲンダイ』12月15日付の記事の中で「血税の使途を適正化し、日本経済を正常化させるには、もはや政権交代以外に道がありません」とコメントしました。同じようなことを、日本の男女格差の是正についても言いたいと思います。
 「政界での男女格差を改善するには、もはや政権交代以外に道がありません」と。



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12月18日(水) 軍事大国化の流れを変える起点に―憲法、政治情勢、軍事費(その2) [論攷]

〔本稿は、全国労働組合総連合と労働者教育協会の合同編集による『学習の友 2020春闘別冊』に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 政治情勢―疾風怒涛の荒海を乗り切れるのか

 発足したばかりの新内閣を襲ったのは、これまでにない大きな台風でした。台風15号では大規模で長期にわたる停電など千葉県南部を中心に大きな被害が生じました。内閣改造の最中で、初動に遅れが出たために被害が拡大したという問題もあります。
 台風19号による被害はこれを上回り、関東から東北にかけて堤防の決壊は7県で70カ所以上も発生し、死者・行方不明者は90人を超えました。これに対して自民党の二階幹事長は「まずまずで収まった」と発言して批判され、撤回しています。その後も台風21号の影響で猛烈な大雨が襲い大きな被害が出ました。新内閣は、まさに嵐の中で船出したことになります。
 内閣が真っ先に取り組むべき最優先の課題は、この台風や大雨による激甚災害への対応であり、被災地の復旧・復興に全力を尽くすことです。長期的には、温室効果ガスの削減など環境問題に本腰を入れて取り組まなければなりません。
 年金を含む社会保障の将来像についての検討も大きな課題です。安倍首相は「全世代型社会保障改革検討会議」を設け、「若年層に手厚く」という口実で高齢者の福祉サービスの削減・負担増を押し付けようとしています。
 10月から消費税が増税されました。国民生活や消費への打撃は大きく、不公平感も拡大し、複雑な税制による混乱や消費不況への懸念が強まっています。消費税を5%に引き下げ、企業減税を止めて払えるところから税を取る応能原則に基づく税制を導入しなければなりません。
 外交も手詰まり感が強く、漂流を始めています。パリ協定やイラン核合意などから一方的に離脱し、中国に貿易戦争を仕掛けて国際協調に背を向ける米国のトランプ政権に対し、安倍首相は手をこまねいているだけです。日米貿易交渉や武器購入でも米国に押しきられてきました。北方領土をめぐるロシアとの交渉は進展が見えず、前提条件なしでの実現を目指すとしている日朝首脳会談も展望が開けないままで、戦後最悪となっている韓国との対立は徴用工の問題から通商、安全保障分野にまで拡大し、九州などの観光業に大打撃を与えています。
 臨時国会冒頭で追及された関西電力役員による金品受領の闇と原発マネーの還流疑惑、「あいちトリエンナーレ」の企画「表現の不自由展・その後」に対する文化庁と名古屋市の補助金不交付、NHKによるかんぽ報道に対する日本郵政からの圧力と経営委員会の屈服などの問題も真相が解明されなければなりません。いずれも原発やエネルギー政策、表現の自由や報道の自由などにかかわる重大問題です。
 安倍改造内閣の発足を受けて共同通信社が実施した緊急電話世論調査によれば、優先して取り組むべき課題(二つまで回答)として挙げられたのはトップが「年金・医療・介護」(47・0%)で、「景気や雇用など経済政策」(35・0%)がこれに続き、「憲法改正」(5・9%)は8番目にすぎません。参院選後に読売新聞が行った調査でも、「今後、安倍内閣に、優先的に取り組んでほしい政策」(6択)という質問で、「年金など社会保障」41%がトップで「景気や雇用」16%が続き、「憲法改正」はわずか3%と6番目で最低の数字になっていました。
 これが国民の率直な意見なのです。「今そこにある危機」は社会保障や景気に関わるもので、優先すべきは改憲などではありません。日本は外国から攻められる前に内部から崩壊してしまうのではないかと国民は危機感を高めているのです。このような難問の解決に正面から取り組むことを避け、危機を煽って改憲問題に逃げ込もうとしているのが安倍首相にほかなりません。

 軍事費―「富国」を投げ捨てた「強兵」への道

 人口減と生活苦によって、日本は量的縮小と質的瓦解の危機に直面しています。この危機を打開するためには、国民の収入増を図って生活を守り、景気を回復させなければなりません。しかし、安倍政権は全く逆の道を歩んできました。その象徴的な例は収入の停滞と防衛費(軍事費)の増大です
 安倍政権になってから軍事費は減少から増大に転じ、2015年に過去最高額を突破した後、それを更新し続けています。今後も、戦闘機F35の爆買いや陸上型イージスの設置、ヘリ空母「いずも」の改修、敵地攻撃も可能な巡行ミサイルの購入計画など、軍事費の増大に歯止めがかかる兆しはありません。
 安倍首相による経済政策「アベノミクス」が打ちだされた当初、それは「富国強兵」の現代版だと見られていました。軍事大国化(強兵)のための不況脱出による経済成長(富国)ではないのかというのです。しかし、それから7年近く経って明らかになったのは、経済成長なしの軍事大国化という現実でした。
 結局、アベノミクスはデフレ脱却に成功せず、景気を回復させることもありませんでした。今も実質賃金は8ヵ月連続でマイナス、9月の日銀の短観は3期連続の悪化で景気動向調査も下落となっています。
 「経済の安倍」は虚構でした。安倍首相が実施してきたのは軍事力の増強によって経済成長や国民生活を犠牲にする軍事大国化一本やりの路線にすぎず、「富国強兵」ですらなかったのです。
 日本の一人当たり名目GDPの推移を見ても、第2次安倍政権の発足以降、減少傾向にあることは明らかです。円高の影響があったとはいえ、民主党政権時代の方が増大していました。現在では、一人当たりGDPは世界で27番目になっています。
 軍事大国化は、システム、ハード、ソフトという3つの面で進行しています。第1のシステムは法律や制度の面での日本版NSC(国家安全保障会議)の新設、特定秘密保護法や戦争法などの制定によって、第2のハードは自衛隊基地や在日米軍基地の強化、「宇宙作戦隊(仮称)」などの部隊の新設、兵器など装備の充実によって、第3のソフトは愛国心や道徳教育の強化などの教育改革やマスコミの統制などによって、それぞれ実施されてきました。このプロセスを9条改憲で総仕上げしようというのが、現在の安倍改憲論の真の狙いなのです。
 したがって、9条改憲を阻止するだけでは不十分です。軍事大国化を目指す3つの面での具体化の一つ一つに対しても抵抗し、その実現を阻まなければなりません。軍事費増を阻止するだけでなく大幅に削り、国民の生活や産業支援、防災などの民生分野に振り向けることが必要です。そのためにも周辺諸国との関係を改善し、国民の不安を和らげ、「強兵」ではなく「富国」をめざすことのできる政府を実現しなければなりません。

 むすび―安倍政権に引導を渡す決戦の日は近い

 現在の衆院議員の任期は2021年10月までです。それまでには必ず解散・総選挙が実施されます。安倍政権に引導を渡す決戦の日は近いということです。
 改造内閣発足後1ヵ月半で、菅原一秀経産相と河合克行法相という2人の重要閣僚が辞任しました。英語の民間試験について「身の丈に合わせて頑張って」と発言した萩生田文科相も発言の撤回と試験導入の「延期」に追い込まれています。安倍首相の求心力は急速に低下し、いつ解散があってもおかしくありません。
 さしあたり予想されるのは、臨時国会最終盤です。12月解散の可能性がありますが、もし、この時に解散がなければ、来年の通常国会での予算成立後の春、オリンピック・パラリンピック後の秋なども有力な候補になります。いずれにしても、20年春闘への取り組みとともに、いつ解散・総選挙があっても対応できるような準備を進めなければなりません。
 総選挙勝利のカギは市民と野党との共闘にあります。これこそが「勝利の方程式」であり、「活路は共闘にあり」です。選挙区ごとに候補者を一本化しなければなりませんが、その前提として政権を共にする意思を固め、共通する政策での合意を図り、異なる独自政策の扱いについて確認することが必要です。
 政党間協議を待つことなく、市民の側がイニシアチブをとって共闘の場に政党を巻き込んでいかなければなりません。社会的に組織された勢力としての労働組合は大きな役割を発揮することが可能です。野党共闘によって連合政権樹立の展望を切り開くことができれば、労働組合の要求実現にとっても新たな地平を切り拓くことができるにちがいありません。

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12 月17日(火) 軍事大国化の流れを変える起点に―憲法、政治情勢、軍事費(その1) [論攷]

〔本稿は、全国労働組合総連合と労働者教育協会の合同編集による『学習の友 2020春闘別冊』に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 20年春闘はどのような政治・社会情勢の下で闘われるのでしょうか。労働組合運動の要求の基本は、賃金や労働条件の改善に関わるものですが、その要求を実現するためにも制度・政策面での取り組みが重要になってきています。春闘にとっても政治課題は大きな意味を持ちます。
 この間、私たちに襲いかかってきた問題は、このことを明瞭にしているのではないでしょうか。たとえば、消費税の8%から10%への引き上げによって生活はますます苦しくなりました。台風15号や19号、21号による激甚災害の発生は地球温暖化の深刻さを改めて教えてくれました。日韓関係の悪化や日米貿易問題、米中「新冷戦」などの外交問題も、これからの生活に暗い影を投げかけています。
 それにもかかわらず、安倍政権はこれらの問題を解決する意志も能力もありません。経済的な生活要求とともに、政治的な「人災」を防ぎ政治を変えるための取り組みが急務になっています。2年以内には必ずやってくる解散・総選挙は、その絶好の機会となることでしょう。
 20年春闘は、このような政治課題についても大きな前進を勝ち取る重要な機会になります。それを通じて、「安倍一強」と言われるような状況を打ち破り、市民と立憲野党による連合政権樹立に向けての希望の扉を開く準備を進めなければなりません。

 憲法―改憲をめぐる最終決戦が始まった

 第4次安倍再改造内閣が発足しました。安倍首相の盟友や側近を総動員した「改憲シフト」内閣です。この陣容によって、安倍首相は任期内での改憲施行をめざして最終決戦に挑もうとしているようです。
 安倍晋三首相はもとより、麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官はいずれも再任されました。第2次安倍内閣発足以来同じで、7年物の「古漬け」のようなものですからすえた臭いがします。この悪臭を消すための「消臭剤」として使われたのが小泉進次郎環境相の初入閣でした。
 この内閣の最大の特徴は安倍首相自身や麻生副首相を始め、高市早苗総務相、橋本聖子五輪相、衛藤晟一1億総活躍相、加藤勝信厚労相、江藤拓農林水産相、西村康稔経済再生相、萩生田光一文科相など、日本会議国会議員懇談会の幹部が顔をそろえていることです。森友学園疑惑や財務次官のセクハラ問題で責任を問われた麻生副首相の留任、加計学園疑惑の当事者の一人である萩生田文科相の入閣、加計学園から献金を受けていた下村博文選対委員長の就任、口利き疑惑で辞任した甘利明元経済再生相の自民党税制調査会長への抜擢などの汚点もあります。
 改造内閣の発足に当たって安倍首相は改憲に向けて「困難な挑戦だが、必ずや成し遂げる決意だ」と述べ、相変わらずの執念を示しました。二階俊博幹事長や岸田文雄政調会長などの自民党役員もこれまで以上に改憲への意欲を強め、大島理森衆院議長まで国民投票法案の成立を訴えて批判を浴びました。
 同時に、温厚な重鎮で平和・安保法制(戦争法)を取りまとめた細田博之元自民党幹事長を改憲本部長に、野党人脈が豊富なベテランである佐藤勉元国会対策委員長を衆院憲法審査会長に起用し、参院への影響力を強めるため議員会長に側近の世耕弘成前経産相を送り込みました。野党を懐柔し党内の抵抗を抑えて改憲発議を実現する挙党体制を敷いたわけです。
 しかし、首相の任期は2021年9月までですから、あまり時間は残されていません。急ごうとして無理強いすると野党が反発して動かなくなり、丁寧に合意を得ようとすると時間がかかります。このジレンマをどう乗り越えるのでしょうか。
 しかも、9条改憲には大きな世論の壁が立ちはだかっています。朝日新聞が実施した世論調査の推移を見ても分かるように、2014年2月に「憲法を変える必要はない」という意見が「変える必要がある」という意見を上回って以降、一貫して多数を占めています。19年5月の調査では、安倍政権のもとで憲法改正を実現することに「反対」は52%(前年調査では58%)、「賛成」は36%(同30%)となりました。
 日本世論調査会が2019年10月に実施した調査でも、回答者の56.3%が「憲法9条を改正する必要はない」と答え、2年前の前回調査より3.3ポイント上昇しました。「改正する必要がある」という回答は37.7%にすぎません。安倍政権下での憲法改正反対も51.0%と過半数を超え、国会で憲法改正議論を急ぐ必要はないという意見は68.9%と約7割に達しています(『東京新聞』10月13日付)。
 安倍9条改憲ノーの3000万人署名を通じて草の根の世論に訴えてきた成果が、このような形で表れています。その結果、昨年の国会でも改憲発議を阻止し、今回の参院選では改憲勢力の3分の2割れを実現することができました。このような世論をさらに高め、安倍政権を追い詰めていくことができれば、発議を許さず安倍改憲をめぐる最終決戦に勝利することは十分に可能です。

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12月15日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月15日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「露骨な特定大企業優遇 とことん庶民をなめきった税制改正」

 自民は当初、年収800万円超の給与所得者の負担増を目指していたが、公明党の反対で850万円超になった。しかし、税制大綱には“所得税の見直しは今後も継続”とあり、次の段階では年収500万~600万円クラスの中間層が増税になる可能性が大きい。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「臨時国会で問題になった『桜を見る会』では、税金をまるでポケットマネーのように勘違いして、私物化する安倍首相の姿勢に国民の批判が集中しました。税金が適切に使われているのか、きちんと説明できない政府に国民負担を強いる税制大綱を提示する資格が果たしてあるのでしょうか。しかも、大企業を優遇してきたアベノミクスで国民経済が一向に上向かないことは、この7年間で実証されたのに、まだ国民からむしり取って、大企業優遇を続ける姿勢を鮮明にしたのが今回の税制大綱です。政権を支援してくれる大企業はお友達だから、大盤振る舞いする。税の私物化はここでも歴然としています。血税の使途を適正化し、日本経済を正常化させるには、もはや政権交代以外に道がありません。早くこの政権を倒さないと、われわれ国民が倒れてしまいます」

 消費増税の影響は深刻で、日銀短観の12月調査で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は4四半期連続で悪化。中小企業の景況感も全業種で悪化している。一刻の猶予もない日本にとって、安倍退陣が最大の景気対策だ。

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12月14日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「冷血政権「人生100年戦略」と高齢者・庶民の生き地獄」

 本来は、高齢者などの生活弱者を救済するのが政治の役割だ。カネだけ搾り取り、好き勝手に散財して足りなくなったから、自分で何とかせい、なんて政治でも何でもないだろう。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「消費増税10%や社会保障費の負担増に加え、来年はいよいよ日米貿易協定が発効されますから農業をはじめとする産業も厳しい状況に追い込まれる。日本経済を取り巻く環境は悪化しかない。来年以降の景気は想像もできないほど酷くなるのではないかとみています」

 このままだと高齢者も若者も子育て世代も、全世代の生活がメチャクチャになる。



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12月12日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「「閉会」は裏目に出る 支持率急落は「逃げているから」」

 「官僚の忖度が蔓延した結果、不都合な文書の隠蔽、改ざん、捏造、廃棄が横行してしまったのです」と嘆くのは、法大名誉教授の五十嵐仁氏だ。こう続ける。

 「加えて今回は『委員の3分の1以上』から要求された場合、委員長は『委員会を開かなければならない』との国会のルールまで無視。予算委員会を開かず、議会政治を踏みにじりました。安倍首相も身の潔白を主張するなら、それを証明する招待者名簿のデータの探索を指示したり、ホテルから明細書を取り寄せればいい。それなのに、官僚にみっともない言い訳を押しつけ、逃げ回るから疑念は深まるばかり。森友問題では昭恵夫人、加計問題では“腹心の友”が疑惑のド真ん中にいましたが、桜疑惑の中心は首相本人です。逃げれば逃げるほど、支持率は下がり続けることでしょう」


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12月10日(火) 「桜を見る会」疑惑が焦点となった臨時国会で獲得された5つの成果 [国会]

 「桜を見る会」疑惑が焦点となり、安倍首相を窮地に追い込んだ臨時国会が閉幕しました。逃げる首相、追う野党の姿が鮮明となったこの国会で、立憲野党は5つの成果を獲得しました。
 このような成果があったことを強調し、確認することには大きな意味があります。たとえ「一強多弱」と言われるような国会の勢力関係の下でも、世論と野党が結束して対抗すれば安倍政権を追い込むことが可能だということ、決して諦めてはならないということを示すことになるからです。

 第1の成果は、菅原一秀経産相と河合克行法相を引責辞任に追い込んだことです。この2人はその後姿をくらまし、国民の前に現れていません。
 辞任の理由となった疑惑についての説明もなく、居直ったままです。欠席したまま議員歳費を受け取るなどということは許されません。
 最低限、国会議員としての務めを果たすべきでしょう。それが出来ないというのであれば、国会議員を辞めるべきです。

 第2は、大学入試での英語民間試験導入の延期です。延期したのは結構ですが、いずれ再開するということではなく、きっぱりと断念すべきです。
 引き続き、国語と数学の記述式についても、多くの批判が寄せられています。これについても、年内に結論を出すと萩生田文科相は言っていますが、一刻も早く断念するべきでしょう。
 大学入試改革だけでなく、安倍政権の「改革」はどれも破たんしています。それは当事者の意見を無視して無理強いするという姿勢で一貫しているからです。

 第3は、「桜を見る会」の中止です。国費による行事の私物化、後援会などの身内の優遇、公選法や政治資金規正法違反の疑い、公文書の隠蔽、ジャパンライフの元会長や反社会勢力の招待など、数々の疑惑や問題点は全く解明されていません。
 すべてを否定するだけで、それを裏付ける事実は提示せず、ひたすら時間切れを待つという姿勢で一貫しています。臨時国会を閉じて逃げ切りを図っていますが、「逃げるは恥だが得になる」などということを許してはなりません。
 与野党間で、閉会中に内閣委員会を開いて質疑応答を行うことで一致しました。1月20日からは通常国会も始まりますから、引き続き安倍首相を追い込んでいくことが必要です。

 第4は、この「桜を見る会」(桜ゲート事件)の真相を明らかにするために、野党が結束して「追及本部」を立ち上げたことです。市民と野党の共闘が、選挙での共同から国会審議での共同へと一段階バージョンアップされたということになります。
 選挙での共同も、臨時国会中にたたかわれた高知県知事選では、共産党県委員の松本さんが野党統一候補として擁立され、各党の党首を始め55人の国会議員が応援に駆け付けるなど大きな前進を示しました。
 これらの経験は、今後2年以内には必ずある解散・総選挙に向けて、大きな財産となるにちがいありません。市民と野党の共闘の更なる進化・深化に結びつくことでしょう。

 第5は、憲法審査会での自民党改憲案の提示を阻止し、国民投票法改定案の採決を断念させたことです。自民党は今国会で憲法審査会を動かし、改憲案の提示に結び付けようとしましたが、4国会連続で見送りとなり、国民投票法改定案の採決もできませんでした。
 安倍首相は記者会見で「私の手で成し遂げたい」と述べ、任期中の改憲実現に意欲を示しました。安倍9条改憲に向けての執念に変わりはないということです。
 しかし、次第に時間的な余裕はなくなっており、追い込まれていることは明らかです。かといって、改憲の夢を託している櫻井よしこさんのような右翼支持層の期待を裏切ることもできず、ますますジレンマが深まっているということになります。

 「桜を見る会」疑惑で追い詰められた安倍首相は、年が変われば国民は忘れるだろうと高をくくっているにちがいありません。しかし、年末・年始には、国会議員が地元に帰ります。
 忘年会や新年会などに顔を出す機会も多く、有権者と直接顔を合わせる場面も増えます。「桜を見る会」への安倍首相や内閣府の対応に対する疑問や批判、仲間うちの優遇や国政の私物化への怒りや抗議を直接ぶつける良い機会でもあります。
 このような機会をとらえ、折に触れて声を上げていくことが大切です。そんな小さな声の積み重ねが、自民党や永田町の雰囲気を変えていくかもしれません。

 安倍首相は忘却の彼方へと逃げ込もうとしています。それを許さず、忘れず、諦めずに、声を上げ続けていけば、ボデイブローのようにじわじわと効いていくにちがいありません。
 こうして世論を変え、内閣支持率を落としていくことこそ、安倍首相を追い込んでいく最善の道なのです。年末・年始こそ、その絶好の機会ではないでしょうか。

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12月8日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月8日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「台風補正という嘘とゴマカシ 失政隠しの13兆円景気対策」

 そして、このタイミングでの経済対策決定は、「桜を見る会」の疑惑隠しもあるだろう。安倍首相の盾となって、連日、菅官房長官や内閣府が追い詰められている。記者会見での答えに詰まる姿や野党の追及本部のヒアリングでの支離滅裂な回答が連日、新聞テレビで報じられ、安倍政権は世間の関心を別の話題にズラしたい焦燥感に駆られていたはずだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「大型景気対策の理由は2つあると思います。1つは消費税を引き上げる前にさまざまな対策を取ったものの、やはり増税後の景気は落ち込んでいるので、このままではマズいという不安。安倍首相は増税前、『十二分な対策を遺漏なく実施していく』と豪語していたので大慌てなのでしょう。もう1つは、選挙目当てのバラマキ。桜を見る会にまつわる問題で安倍内閣の支持率が下がっています。解散総選挙は2年以内に必ずある。支持率が低落傾向のうえ、景気も悪化した中で選挙に突入したら与党は戦えない。要は、国民のための本当に必要な経済対策ではなく、安倍政権のための、安倍首相のための対策です。一事が万事、アベ政治とはそういうもの。自分たちの支持拡大のために支持者にサービスし、1強体制を強化する。そのためには、行政も私物化する。安倍首相は『アベノミクスでトリクルダウンを起こす』と言いましたが、株価上昇で大企業や富裕層が儲かっただけで、庶民に滴り落ちることはありませんでした。途中で詰まってしまったからです。そして、詰まりの原因は安倍首相自身。この人を取り除かない限り、本当に景気回復することはありません」

 安倍退陣こそが、この国にとっての正しい景気対策ということだ。

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12月6日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月5日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「子供だまし答弁タレ流し 「桜」幕引きに加担の大メディア」

 疑念を持たれているのは、安倍自身なのである。

 「何もやましいことがないのなら、潔白を示すために名簿データを復元させ、前夜祭を行ったホテルにも明細書を出させれば済む話です。名簿はない、明細もない、記憶もない、面識ないの“ないない尽くし”で、どうやって信用しろというのか。官僚が用意した原稿を読み上げ、一方通行の答弁でしのげる本会議への出席にしか応じないこと自体、後ろ暗さを物語っている。一問一答で追及されるとボロが出るから、野党が要求する予算委員会には出られないのでしょう。疑惑はますます深まったと言うほかありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏)

 今国会で安倍が予算委に出席したのは、11月8日が最後だ。そこで桜を見る会の疑惑を追及されて以来、委員会には出てこない。官邸詰めのおとなしい記者相手に言いたいことを言う、ぶら下がり取材に応じるだけだった。

 「政権を揺るがすスクープをスッパ抜くのも週刊誌です。大メディアはその記事を紹介するだけで、独自取材で巨悪に迫ろうとしない。週刊誌や夕刊紙と比べて予算も人員も潤沢な大メディアは、その気になれば政権を追いつめるスクープを報じる取材力があるはずなのに、権力をチェックするというジャーナリズムの責任を放棄しているのです。政権の言い分を垂れ流し、批判するにしても両論併記して逃げる。ジャーナリズムを名乗るのであれば、悪いことは悪いとハッキリ糾弾すべきです」(五十嵐仁氏=前出)

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