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4月28日(火) 命より経済を大切にする新型コロナウイルス感染対策で良いのか [国会]

 補正予算案についての審議が衆参両院本会議で始まりました。新型コロナウイルスによる感染拡大に関する緊急経済対策を実施するためのものです。
 代表質問への答弁で、安倍首相は新型コロナウイルスの国内感染状況について「現在、いまだ爆発的な感染拡大には至っていないが、地方への感染拡大が見られ、この闘いは長期戦を覚悟する必要がある」と述べ、緊急事態宣言を予定通り5月6日までで解除するか否かは「専門家の提言もいただきながら判断する」と答えました。厳しい現状認識を示して国民に更なる感染対策の必要性を呼びかけたわけです。

 このままでは、5月6日の期限が来ても緊急事態宣言を解除しない可能性を示唆したものと見られます。それでは、安倍首相の言う「長期戦」とはいつまでを視野に入れているのでしょうか。
 夏の高校総体(インターハイ)の中止も決まりました。大相撲の夏場所の開催も危ぶまれています。
 緊急事態宣言の期間がどれほどになるのか、現時点では誰にもわかりません。しかし、政府の感染対策のあり方と国民の対応によって、この期間が伸びたり縮んだりすることだけは確かです。

 この期間をできるだけ短くするための対策が求めらていますが、政府の対応はそうなっているでしょうか。安倍首相は一貫して新型コロナウイルス対策に真正面から取り組む姿勢を見せてきませんでした。
 小中学校の一斉休校や「アベノマスク」の配布など思い付きの政策を連発するばかりです。その根本的な原因は、政治的な思惑や配慮によって感染対策が歪められてきたことにあります。
 初動の水際対策では中国など外国からのインバウンドへの配慮を優先し、その後はオリンピック・パラリンピックへの影響を心配し、さらには経済活動への悪影響を懸念したために、先手先手で打つべき対策が後手後手に回ってしまいました。国会で審議されている補正予算案も命より経済を優先するものになっていると言わざるを得ません。

 そもそも、新型コロナウイルスによる感染拡大に対する政策が「緊急経済対策」とされていること自体、違和感があります。これは、本来「緊急感染対策」とされるべきものではありませんか。
 命を守ることより経済への配慮の方が優先されていることは、政府の新型コロナウイルス対策の責任者が西村経済再生相だという点にも示されています。しかも西村さんは官僚出身ですが、厚労省ではなく経済産業省です。
 緊急事態宣言が出された当初、発令された7都府県の知事に対して西村担当相は休業要請を2週間程度見送るように打診していました。いかにも経済産業省出身の旧官僚らしい対応ではありませんか。

 今回の補正予算案も、崩壊に瀕している医療体制の強化やコロナウイルスの封じ込め政策より、「Go To キャンペーン」など終息後の消費喚起政策に多額の予算を計上しています。大火事で炎が燃え広がっている最中に、消した後の宴会の相談をしているようなものではありませんか。
 まずは新型コロナウイルス対策に全力を注ぎ、消火に努めるべきでしょう。鎮火した後のことは、その時点で考えれば良いことです。
 先ずは命を守ることが再優先です。経済を立て直すことは、その後でも十分間に合います。

 新型コロナウイルスを封じ込め、感染をストップさせることを最優先するという基本がぐらついている点に、安倍首相の最大の問題があります。自粛要請にしても、それを支える補償措置が不明確だから実効性に欠けるのです。
 命より経済を大切にする歪んだ感染対策では、コロナを封じ込めることはできません。いつまでも終息させることができなければ、結局は企業活動への打撃を長引かせ「安倍コロナ恐慌」によって日本経済は破壊されてしまいます。
 世界でも日本でも、新型コロナウイルスの脅威に直面して政治的リーダーシップの真価が問われています。そのような時に、超大国のアメリカもこの日本においても、最も信頼のおけない無能な政治リーダーがトップを占めているという点に、大きな不幸があると言うべきでしょうか。


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