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5月29日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』5月29日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「会見では“空前絶後”“世界最大” 実は真水32兆円補正の正体」

 世界を揺るがすウイルス禍によって発生した経済危機を前に、どうだとばかりに「空前絶後」と言ってのけるのは、一体どういう神経なのだろうか。事態の深刻さを理解しているのだろうか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「安倍首相がコロナ禍の実態を分かっているとは到底思えません。首相は“スピード感”という言い回しを好みますが、求められているのは“スピード”。“やってる感”ではなく、“着実な実行”です。この期に及んでも言葉遊びでイメージをつくり上げ、悲惨な現実のゴマカシに躍起になっている。日々の生活に困窮する国民の切実な声はまったく耳に入っていないのでしょう。そもそも、聞く姿勢がない。本来であれば、この国のトップとして現場に足を運び、国民の生の声に耳を傾けるべきですが、どんな罵詈雑言が飛んでくるかしれない。恐ろしくて表に出られないでしょう」

 マスコミ各社の世論調査で内閣支持率は次々に30%を割り込み、「危険水域」に突入。コロナ対策を巡る政府の後手後手対応への不満、それに犯罪者まがいの首相が保身のために強行しようとした検察庁法改正案への反対が拍車を掛けている。

 国民の健康と生命に直結するコロナ対策は相変わらずおざなりのくせに、検察庁法改正案を巡る大失態に懲りることなく、火事場ドロボー的なSNS規制には腕まくりなのもゾッとする。ネット中傷に苦しんだ女子プロレスラーの木村花さんが急死した問題を受け、高市総務相が発信者の情報開示に向けた制度改正を検討する意向を表明。自民党も三原じゅん子参院議員を座長にしたプロジェクトチームを発足させ、ネット上の中傷を規制する法改正も視野に動き始めた。

 「安倍政権は検察庁法改正案に反対するツイッターデモに痛い思いをさせられた。木村さんの訃報を好機とばかりに、言論を統制しようとするよこしまな計算が垣間見える。政権批判を『誹謗中傷』に落とし込み、反発の声を封じ込めようと企図しているのではないか。焦りが高まっている表れです」(五十嵐仁氏=前出)

 都合の悪い公文書は隠蔽・改竄させ、統計偽装も重ねてきた。ウソで塗り固められた政権によるコロナ情報が真実かどうかわからない。それが未知のウイルスに対する不安を増幅させている側面がある。この政権に表現の自由を制限する資格などないし、そんなことを許せば、この国はますますメチャクチャになる。

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