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7月26日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月26日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「第2波が開幕 悪夢の記念日になりそうなスポーツの日」

 安倍首相は22日の新型コロナウイルス対策本部会合で「アスリートや大会関係者の入国に向けた措置を検討していく」と言い、あらためて来夏の五輪に意欲を示した。開催を確実にするために環境整備を進めるという宣言である。国民の命より、自分の任期中に大運動会を開催することの方が大事だと言っているようなものだ。

 「もはや五輪開催の夢を語ることしか求心力を保つ術がないのでしょうが、五輪にこだわるがゆえに有効なコロナ対策を取れなくなり、自家撞着に陥っているように見えます。他の主要国と比べてPCR検査数が圧倒的に抑制されているのも、感染者数を実態より少なく見せようとする政治的な思惑が働いているように見えてしまう。感染拡大を収束させるには検査、追跡、隔離が基本だと分かり切っているのに、実態を見ようとしないからマトモな政策判断もできない。自分でも、どうしていいか分からないのではないか。だから会見も開けず、国会の閉会中審査にも出て来られない。目的と手段がチグハグになっています」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 この連休の行動は、2週間後に新たな感染者数として表れてくる。もし全国的な感染爆発という事態になれば、移動を推奨した政府の責任は重い。のんきに旅行者にマイクを向けていただけの大マスコミは何をやっていたのかという話にもなる。それで五輪中止になっても、国民の自粛が足りなかったせいだと責任を押し付けられるのか。

 「そもそも、福島原発事故の汚染水は『アンダーコントロール』という安倍首相の嘘に始まり、汚れたカネで招致した疑惑もある五輪です。その後も競技場の問題やエンブレム騒動、マラソン会場の変更など異常事態が続いた。そこへコロナ禍のトドメです。コロナで亡くなった人が世界中にいるのに、お祭り気分で来夏の五輪を迎えられるとは思えません。それでも今なお政権の延命に利用されている邪さで、国民の命より優先される五輪のどこに正当性があるのでしょうか」(五十嵐仁氏=前出)

 政治の不在とメディアの機能不全。その犠牲になるのは国民だ。「スポーツの日」は悪夢の記念日として、歴史に刻まれることになりかねない。


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