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9月11日(金) 『東京新聞』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『東京新聞』9月10日付「こちら特報部」に掲載されたものです。〕

*記事「官房長官ふさわしいのは」

 「内閣の要」「首相の補佐役」
 「言葉の力が必要」

 「調整力、説明力、マスコミ統制力。どれも言葉の力が必要ですよね」。法政大の五十嵐仁名誉教授(政治学)は、官房長官に必須の要素に三点を挙げた。
 官房長官の職務は内閣法に、「内閣官房の事務を統括し、職員の服務につきこれを統督する」と定められている。五十嵐さんは「官僚ににらみを利かせながら、縦割りの官僚構造に割って入り、調整役を担う」と語る。
 では、誰が適任か。総選挙を見据えて、「ある程度人気があり、とにかくボロ(ほころび)を出さない人が必要では」と考える。名前を挙げたのが、河野太郎防衛相。さらに、五十嵐さんは「人気の高い小泉進次郎環境相を副官房長官にして、二枚看板にするのでは」と予測する。

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9月10日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月10日付に掲載されたものです。〕

*記事「国民総のけぞりスカスカ菅演説 原稿棒読みまで継承のア然」

 菅氏の演説がいきなり、「今日の礎を築いてくれました安倍晋三総裁に対し、この場をお借りし、心からの敬意を表明するとともに、その卓越した指導力と判断力にあらためて最大限の賛辞を送らせていただきたい」と、“安倍マンセー”から始まったのには、国民ものけぞったのではないか。

■“何も変わらないから安心して”

 その後は「迎賓館を開放した」「全国のダムの事前放流をできるようにした」、さらには携帯料金、ふるさと納税、インバウンド、地価上昇などの“実績”をアピール。どれも不要な政策とは言わないが、総裁候補の所見演説にしてはチマチマし過ぎてやしないか。まったくビジョンが感じられない。

 「安倍政治の継承しか言わないスカスカ演説でした。国民に向けて将来の展望を語るのではなく、党内向けに『何も変わらないから安心して』とアピールしたのです。これが総裁候補“本命”の演説なのか。あまりに後ろ向き、内向きの発想で悲しくなります。岸田氏にしても、立ち位置が中途半端で何がしたいのか分からない。安倍政治との決別を宣言し、国民目線で語る石破氏の演説が際立つのは当然です。官僚が用意した原稿ではなく、自分の言葉で国家観を語れる政治家に日本を任せたいと、3候補の演説を聞いた国民、自民党員は思ったのではないでしょうか」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 菅政権では官僚原稿の棒読み、繰り返しが続くのだろう。野党や国民との対話を拒否した独断専行も含めて、安倍政治の継承ということだ。自民党員や国民は、本当にそれでいいのか。

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9月9日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「「令和おじさん」は仮面 菅義偉という男の暗さと不気味さ」

 今であれば、秋以降、第3、第4波が予想される新型コロナの感染拡大をどう抑え、停滞している経済をどう立て直すのか。トランプ政権下で隷属化が進んだ米国との関係をどう軌道修正するのか。亀裂が深まるばかりの中国や韓国、北朝鮮に加え、ロシアとの外交をどう考えるのか。いずれも、この国を率いるトップとして必要不可欠な視点だろう。

 ところが総裁選の出馬会見でも菅の口からは、国家論が語られることはなかった。それどころか、すべての質問をはぐらかし、具体的な政策表明もなし。強調したのは「安倍政権の継承」だけだ。これでは「アベノママデス」などと揶揄されるのも当たり前だ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「安倍政権の汚れ役としてすべての不祥事を握りつぶし、裏で隠してきた人物が表舞台に立つ。菅政権の誕生とは、そういう意味です。その政権がこれまでの政治手法、政策などを引き継ぐ。自民党にとっては最適の人選なのでしょうが、国民にとってはまさに最悪の展開です」


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9月6日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月6日付に掲載されたものです。〕

*記事「石破茂氏は地方票でも大敗の恐れ…予想外の支持率に真っ青」

 菅陣営は、二度と石破氏が「党員の声を聴くべきだ」などとエラソーな口を利けないように地方票でも圧勝するつもりだという。しかし、地方票までスガ圧勝となったら、政権発足後、どこまで暴走するか分かったものではない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「6月の調査では、<石破31%、菅3%>という支持率でした。なのに、菅長官が支持率を10倍以上もアップさせ、石破元幹事長を逆転したのは、安倍1強の8年間で、“勝ち馬に乗りたい”という国民意識が強まった結果かも知れませんね。過去、自民党には振り子の論理が働いていましたが、自民党員には、そういう意識もないのでしょう。もし地方票でも大敗したら、もう石破さんには自民党に居場所がない。離党して新天地を見つけた方がいいと思う」

 勝たせ過ぎると、新たな独裁を生むことになる。


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9月5日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月5日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「前代未聞だ 空っぽの首相候補をみんなで担ぐ自民党の狂乱」

 「モリ・カケ」に「桜を見る会」と、政治を私物化する安倍を、常に前面で守ってきたのが官房長官の菅だ。加計問題では、「総理のご意向」と記された文科省の内部文書について、真っ先に「怪文書みたいな文書」と切り捨て、後でブツが出てきて、泡を食った。だから、これら「負の遺産」の再調査を求められても、「検察庁が捜査した」「法令にのっとり、検討が進められてきた」と繰り返し、終わった話にしようとする。

 それだけじゃない。カジノを含む統合型リゾート(IR)事業参入をめぐる収賄で秋元司衆院議員が起訴された一件では「IRの旗振り役は菅長官」と噂されたし、選挙買収の罪に問われている河井克行前法相は、菅グループの中心メンバーだった。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「菅氏の総裁選出馬には、疑惑の負の遺産にフタをする目的があるのでしょう。モリカケ隠しであり、桜散らしですよ。党本部から河井夫妻へ渡った1億5000万円をめぐる疑惑もある。他の人が首相になって、これらが調べられでもしたら危ないので、二階幹事長と談合しながら、自ら手を挙げたわけです」

 農家出身で高校卒業後に上京、段ボール工場で働きながら大学に進学した……。苦労人エピソードをしきりにアピールするのは、悪相と悪事を隠す手段。それなのに、メディアがもり立て、手を貸しているのだからどうしようもない。

 5派閥では既に、菅政権でのポスト争いが水面下で始まっている。二階派の幹部は「二階幹事長の続投は当然だ」と主張。3派の幹部は「二階氏を幹事長から外し、副総裁に」と狙っているという。官房長官ポストの奪い合いも激しく、二階に近い森山国対委員長(石原派)、河野防衛相(麻生派)、萩生田文科相(細田派)、西村コロナ担当相(細田派)などの名前が挙がっている。総裁選はまだ告示もされていないのに浅ましい。

 「政策もハッキリしていないのに、勝ち馬に殺到する。これほど腐敗した総裁選は見たことありません。かつて派閥は、総裁選で政策やビジョンの違いを競い合ってきた。派閥が振り子の論理を働かせる装置となり、自民党は疑似政権交代を行ってきたのです。しかし、安倍1強が長く続き、忖度官僚と忖度議員ばかりになった。自民党から政策的な競争がなくなり、緊張感もなくなった。今度の総裁選では、白昼堂々、権力亡者が傍若無人に跋扈している。世紀末の姿を見せられているようです」(五十嵐仁氏=前出)


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9月4日(金) コロナ禍、歴史的な野党連合政権の実現を! [論攷]

〔以下の記事は『神奈川革新懇ニュース』No. 229、2020年9月号、に掲載されたものです。〕

 2015年と2017年の2回にわたって「今月のひ と」で、その時の情勢下で的確な革新懇活動を語った五十嵐仁さん。コロナ禍の今日の情勢のもと、7月25日に戸塚区革新懇第20回総会と金沢革新 懇第16回総会で行った記念講演「野党共闘と革新懇の課題」の内容を紹介します。

 コ ロ ナ 禍 で 何 が 明 ら か に な っ た の か

 今回のコロナ禍で、今の社会が抱えている多くの問題、たとえば格差、貧困、差別などがレントゲンで見えるような形で明らかになりました。
 学校の一斉休校で、子どもの面倒を見るために仕事ができなくなった人がいる。外出自粛・休業要請によって顧客を失った飲食店と職を失った従業員がいる。特に、非正規労働者やフリーランスは真っ先に職を失いました。また、人員が減らされてきた医療機関・保健所には膨大な仕事が押し付けられ、感染の危険にさらされた。住む家のないホームレスは、頼っていたネットカフェから情け容赦なく追い出されました。
 社会基盤の維持に不可欠な労働(エッセンシャルワーク)には、非正規や女性、外国人労働者などのマイノリティが差別を受けながら従事していたことが見えるようになった。社会を支えるセイフティネットには、実は様々なところに穴が開いていました。感染を防ぐことに気を使った生活が続く中で、「このような社会や制度で良いのか?」と考えるような人が増えてきたのです。
 国連のグテーレス事務総長は、コロナ禍を受けて「差別に対抗して、また、すべての人が自由と平等と尊厳と権利をもって生きられるよう、一緒に立ち上がろう」と訴えました。しかし、資本主義という仕組みの中で、このような社会は実現できるのでしょうか。
 資本主義には大きな問題があります。何でも商品にして金儲けの対象にしてしまう。水や空気までも商品にする。恐ろしいことに人間の臓器をも売買の対象にしようとする。自然を破壊し開発を進めてきた。そのために、未開の地や野生動物の世界にだけあった未知のウイルスを人間の世界に持ち込んでしまうことになる。資本主義ではいつこのような問題がおこるのかわかりません。
 それを悪化させたのが新自由主義です。戦後は公共の力で資本活動を制御する仕組みが組み込まれていましたが、新自由主義によって規制緩和や民営化がすすめられてきた。企業活動を最優先し、邪魔になるようなセイフティネットを減らしてきました。医療や介護、保育や教育、高齢者福祉などを削り、効率優先の自己責任社会を生み出した。その結果、新型コロナウイルスに対してきわめて脆弱な社会になってしまいました。これは日本だけでなく、世界共通の問題です。

 安 倍 首 相 の 無 策 と 政 権 の 行き詰 ま り

  このようななかでも、安倍政権のコロナ禍対策はひどいものでした。全国一律の一斉休校やアベノマスクなど見当ちがいの思い付きに始まり、条件付き給付金30万円の撤回、実施すべきではない「Go toトラベル」の強行などと続いています。政府としてやるべき医療機関への支援や必要な休業要請に対する補償は自治体に丸投げし、国民の自粛や努力に頼るばかりで政府としては無策なままです。
 PCR検査の強化や医療支援など当面のコロナ対策だけでなく、経済再建に向けての中長期的な方針もお手上げ状態です。コロナ不況が深まる中で、ポストコロナの将来ビジョンを打ち出す能力も失ってしまいました。
 更に、安全保障や外交の破綻も酷いもので、拉致問題や領土問題は一歩も進んでいません。内政では河井夫妻の起訴や森友問題で赤木夫人による提訴があり、安倍首相自身の関与が問われています。
 憲法53条に基づき立憲野党が一致して臨時国会開催を求めているにも関わらず、政府・自民党は応じようとしない。国民の目が届かないところで敵基地への先制攻撃ができる体制を作ろうとしている。与野党の周知を結集して効果的なコロナ対策を進めるためにも、国会開催は急務です。

 歴 史 を 変 え る 野 党 連 合 政 権 実 現 に む け て
 野 党 共 闘 と 革 新 懇 の 課 題

 7月5日投票の東京都知事選は、事実上の野党共闘で宇都宮けんじ候補が大健闘しました。全25小選挙区で市民選対がつくられ、新自由主義批判という点で政策的にも発展し、来るべき総選挙の「予行演習」になった。
 このようななかで、市民と野党が手を携えて次の政権にむけての展望を打ち出すことが重要になっています。次の総選挙はこれまでの選挙以上に大きな意味を持っている。歴史を変える野党連合政権実現にむけての転換点になっていく。
 革新懇運動は、地域に基盤をもった市民運動として、「市民と野党の共闘」を前進させる要の役割を果たしています。また、政党ではないので、市民の立場で全ての政党に働きかけることができる。
 コロナ禍の下で、平和・生活・民主主義を守るという革新三目標の意義と重要性はますます明らかになりました。革新懇運動の自力を更に強め、きたるべき総選挙で勝利し、野党連合政権を実現しましょう。
 そのために、憲法12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」との要請に応え、声を上げることが大事です。先ず自分を変え、周りに働きかけること。これを諦めずに続ければ政治は変わります。(文責編集委員会)



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9月3日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「総裁選でピエロになった石破と岸田 無様と無残、その大罪」

 既に菅は国会議員票(394票)の過半数を固め、アッという間に盤石の構え。自前の総裁候補を持たない派閥に支持される構図は、長期政権が人材育成を怠ってきたツケ。常に安定を求め、寝首をかきそうな「ポスト安倍」候補を潰してきた皮肉な結果の表れでしかない。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「『妖怪』や『長老』と称される実力者に総裁候補がこびを売り、一握りの大物が党員投票すら潰し、派閥中心の多数派工作を先行させる。まさに密室談合・派閥政治の古い自民党そのものです。そもそもコロナ対策も経済政策も行き詰まり、政権を放り投げた『安倍路線』を引き継がれても、国民にはマイナスでしかない。それでも『勝ち馬に乗れ』と党内が菅支持一色に染まるのは、安倍路線から政治的枠組みを変えずに既得権益を守りたいだけでしょう。これで国民も『よし』とすれば、ただでさえ7年8カ月の安倍政権でガタガタの日本の民主主義へのトドメとなります」

 菅は次の総理の大本命に躍り出たことに喜びを隠せないのか、定例会見でも笑みをこぼす場面が目立つ。この冷笑こそ、民主主義崩壊へのシグナルである。

 今やピエロと化した石破と岸田の罪は重い。この総裁選で惨めな2人の政治生命が抹殺されれば、本当に日本の民主主義は崩壊しかねない。

 「既得権益を手放したくない権力亡者がはびこり、それに皆がすり寄る。この腐敗構造のまま、菅政権が誕生し、長期化しようが、短命で終わろうが、自民党が変わらなければ同じことです。今回、出馬を辞退した新しい世代の候補が次の総裁選に名乗り出ても、権力亡者にひれ伏す構造が温存されれば何も変わりません。政治を変える目が必ず封じ込まれてしまうだけです」(五十嵐仁氏=前出)

 時代に対応して変化する自浄能力を失った政治に未来はない。次の総選挙で自民党が下野しない限り、菅暗黒政権を生み出した構図は永遠に続くことになる。


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9月1日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「密室談合で菅総裁の流れ 懲りない自民党に国民はア然だ

 官房長官として、安倍政権を支え続けてきたのが菅だ。数々の悪事悪政と、ボスの無責任な政権投げ出しをわびて蟄居謹慎なら分かるが、この希代の悪代官が権力の頂点にシレッと上り詰めようとしている。そんなバカな話があっていいのか。

 「安倍首相が健康問題で辞任なんて口実に過ぎず、コロナ対策はお手上げで内政も外交も行き詰まり、ニッチもサッチも行かなくなって政権を放り投げたのが実情です。7年8カ月の安倍政権では忖度が横行し、公文書や統計が都合よく改ざんされ、言いっ放しの無責任政治で日本はメチャクチャになってしまった。しかし、どんな不祥事が起きようと、会見でマトモに答えず『問題ない』『当たらない』と言い続けてきたのが菅官房長官です。官僚機構に睨みを利かせ、アメとムチでメディアをコントロールする役割を担ってきた張本人でもある。そういう人物が新首相になったところで、失われた政治への信頼を回復することは不可能です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 「石破政権が誕生すれば、安倍政権の中枢に居座ってきた麻生副総理や菅官房長官、二階幹事長らが蓋をしてきた“モリカケ桜”など安倍首相にまつわる疑惑の蓋が開いてしまいかねない。それを阻止し、自分たちの身を守るために老獪な連中が手を結んだ醜悪な総裁選と言うほかありません。シャッポだけ新鮮味も華もない菅氏にすげ替え、現政権の枠組みは変えずに権力構造を維持しようというのです。まるで開発途上国のようなデタラメで、こういう旧態依然の自民党のやり方では未来永劫、国民の期待に応えることはできません。明るい未来を望むのであれば、有権者が自民党を下野させ、ワルを一掃する必要があります」(五十嵐仁氏=前出)

 小渕首相が亡くなった際に、密室談合で森喜朗を後継に決めた「5人組」を彷彿とさせる現状だ。そうして誕生するのは、安倍政権の下劣な部分をギュッと凝縮させたような、よりたちの悪いエピゴーネンでしかない。想像しただけで、腐敗腐臭で息が詰まりそうになる。

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