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9月4日(金) コロナ禍、歴史的な野党連合政権の実現を! [論攷]

〔以下の記事は『神奈川革新懇ニュース』No. 229、2020年9月号、に掲載されたものです。〕

 2015年と2017年の2回にわたって「今月のひ と」で、その時の情勢下で的確な革新懇活動を語った五十嵐仁さん。コロナ禍の今日の情勢のもと、7月25日に戸塚区革新懇第20回総会と金沢革新 懇第16回総会で行った記念講演「野党共闘と革新懇の課題」の内容を紹介します。

 コ ロ ナ 禍 で 何 が 明 ら か に な っ た の か

 今回のコロナ禍で、今の社会が抱えている多くの問題、たとえば格差、貧困、差別などがレントゲンで見えるような形で明らかになりました。
 学校の一斉休校で、子どもの面倒を見るために仕事ができなくなった人がいる。外出自粛・休業要請によって顧客を失った飲食店と職を失った従業員がいる。特に、非正規労働者やフリーランスは真っ先に職を失いました。また、人員が減らされてきた医療機関・保健所には膨大な仕事が押し付けられ、感染の危険にさらされた。住む家のないホームレスは、頼っていたネットカフェから情け容赦なく追い出されました。
 社会基盤の維持に不可欠な労働(エッセンシャルワーク)には、非正規や女性、外国人労働者などのマイノリティが差別を受けながら従事していたことが見えるようになった。社会を支えるセイフティネットには、実は様々なところに穴が開いていました。感染を防ぐことに気を使った生活が続く中で、「このような社会や制度で良いのか?」と考えるような人が増えてきたのです。
 国連のグテーレス事務総長は、コロナ禍を受けて「差別に対抗して、また、すべての人が自由と平等と尊厳と権利をもって生きられるよう、一緒に立ち上がろう」と訴えました。しかし、資本主義という仕組みの中で、このような社会は実現できるのでしょうか。
 資本主義には大きな問題があります。何でも商品にして金儲けの対象にしてしまう。水や空気までも商品にする。恐ろしいことに人間の臓器をも売買の対象にしようとする。自然を破壊し開発を進めてきた。そのために、未開の地や野生動物の世界にだけあった未知のウイルスを人間の世界に持ち込んでしまうことになる。資本主義ではいつこのような問題がおこるのかわかりません。
 それを悪化させたのが新自由主義です。戦後は公共の力で資本活動を制御する仕組みが組み込まれていましたが、新自由主義によって規制緩和や民営化がすすめられてきた。企業活動を最優先し、邪魔になるようなセイフティネットを減らしてきました。医療や介護、保育や教育、高齢者福祉などを削り、効率優先の自己責任社会を生み出した。その結果、新型コロナウイルスに対してきわめて脆弱な社会になってしまいました。これは日本だけでなく、世界共通の問題です。

 安 倍 首 相 の 無 策 と 政 権 の 行き詰 ま り

  このようななかでも、安倍政権のコロナ禍対策はひどいものでした。全国一律の一斉休校やアベノマスクなど見当ちがいの思い付きに始まり、条件付き給付金30万円の撤回、実施すべきではない「Go toトラベル」の強行などと続いています。政府としてやるべき医療機関への支援や必要な休業要請に対する補償は自治体に丸投げし、国民の自粛や努力に頼るばかりで政府としては無策なままです。
 PCR検査の強化や医療支援など当面のコロナ対策だけでなく、経済再建に向けての中長期的な方針もお手上げ状態です。コロナ不況が深まる中で、ポストコロナの将来ビジョンを打ち出す能力も失ってしまいました。
 更に、安全保障や外交の破綻も酷いもので、拉致問題や領土問題は一歩も進んでいません。内政では河井夫妻の起訴や森友問題で赤木夫人による提訴があり、安倍首相自身の関与が問われています。
 憲法53条に基づき立憲野党が一致して臨時国会開催を求めているにも関わらず、政府・自民党は応じようとしない。国民の目が届かないところで敵基地への先制攻撃ができる体制を作ろうとしている。与野党の周知を結集して効果的なコロナ対策を進めるためにも、国会開催は急務です。

 歴 史 を 変 え る 野 党 連 合 政 権 実 現 に む け て
 野 党 共 闘 と 革 新 懇 の 課 題

 7月5日投票の東京都知事選は、事実上の野党共闘で宇都宮けんじ候補が大健闘しました。全25小選挙区で市民選対がつくられ、新自由主義批判という点で政策的にも発展し、来るべき総選挙の「予行演習」になった。
 このようななかで、市民と野党が手を携えて次の政権にむけての展望を打ち出すことが重要になっています。次の総選挙はこれまでの選挙以上に大きな意味を持っている。歴史を変える野党連合政権実現にむけての転換点になっていく。
 革新懇運動は、地域に基盤をもった市民運動として、「市民と野党の共闘」を前進させる要の役割を果たしています。また、政党ではないので、市民の立場で全ての政党に働きかけることができる。
 コロナ禍の下で、平和・生活・民主主義を守るという革新三目標の意義と重要性はますます明らかになりました。革新懇運動の自力を更に強め、きたるべき総選挙で勝利し、野党連合政権を実現しましょう。
 そのために、憲法12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」との要請に応え、声を上げることが大事です。先ず自分を変え、周りに働きかけること。これを諦めずに続ければ政治は変わります。(文責編集委員会)



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