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12月29日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月29日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「コロナ後手後手対応の元凶 これ以上の五輪固執は命取り」

 英国で見つかった変異種は未知の部分が多いが、感染力が強いとされる。24日から英国からの入国者の制限を強化したが、変異種は欧州だけでなく北米でも発見されるなど世界各国に“飛び火”していて、英国以外から上陸する恐れも指摘されていた。今さら全世界を対象に出入国緩和を停止したところで、どれだけの効果があるのか分からない。

 しかも、中国、韓国、タイなど11カ国を対象としたビジネス関係者の往来は引き続き認めるというのだ。

 「政府が国民の不安の声をよそに出入国制限の緩和を進めてきたのは、来夏の東京五輪開催のためでしょう。海外から人が入ってきても大丈夫だという実績を作りたかった。2月の第1波で震源地の中国からの渡航制限が遅れたのと同様に、インバウンド目当ての思惑もある。『Go To キャンペーン』もそうですが、すべてが業界がらみの利権と五輪優先で、感染症防止対策は中途半端なのです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」も28日から全国で一時停止となったが、それも来月11日までの短期間で、帰省や年末年始の旅行による人の移動を多少、抑えようというだけだ。

 「菅政権はGo To トラベルを早く再開したいだけでなく、来年6月まで延長することを決めて、第3次補正予算案に来年6月までの延長経費として1兆円以上を計上しています。
 五輪を開催するためには、人の移動が制限される状況であってはまずいのだろうし、五輪関連の需要につなげる意図もあるのでしょう。しかし、感染拡大が止まらない現状を見れば、五輪開催に固執するのはどうかしていると思います。五輪ありきではなく、国民の命や安心を優先すべき局面です。世論調査でも大多数の国民が延期か中止を望んでいる。五輪のためにコロナ感染拡大に目をつぶってきた政府の対応は、一般国民の感覚とかけ離れています」(五十嵐仁氏=前出)

 25日の「スポーツ報知」が、東京オリ・パラ組織委員会の複数の理事らが、開催に慎重論を訴えていることを報じていた。

 世界中での新型コロナ感染拡大の状況を踏まえ、「五輪を開くには状況が悪すぎる。不安と心配の方が大きく、国民の賛同が得られない」と厳しい見方を示したという。


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