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2月12日(金) 五輪組織委員会の森会長の辞任は当然だが根回しで高齢男性を後継に据えるのは大問題 [文化・スポーツ]

 とうとう居座ることができず、辞任することになったようです。東京五輪・パラリンピック組織員会の森喜朗会長のことです。
 自分で判断したのか、周りから引導を渡されたのかは不明ですが、辞任は当然で、遅すぎたくらいです。女性蔑視発言への批判や抗議の広がりによって「森」が大炎上し、家の「二階」にまで燃え移りそうになって、このままでは「ガス爆発」は避けられないと危機感を覚えたのでしょう。

 本来はもっと早く、このような発言が明らかになった段階で、身を引くべきでした。報道によれば、発言への批判を受けた直後に辞任する意向を固めていたにもかかわらず、遠藤利明副会長や武藤敏郎事務局長らの「組織委幹部から慰留され翻意」したそうです。
 「安倍晋三首相らからも電話があった」(『東京新聞』2月9日付)といいます。これがそもそもの大間違いだったのです。
 「金メダル級の女性蔑視」(国際人権団体)であったにもかかわらず、発言した本人にはその自覚が不十分で、周りには遺留するような人々ばかりだということが明らかになりました。それが放置されず、遅まきながら責任を取る形になったのは、日本にとっても五輪にとっても良いことだったと思います。

 その後継について「元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)で調整」というのも大きな問題です。またしても、84歳という高齢の男性が後任に選ばれようとしているからです。しかも、密室での根回しによって。
 今回の教訓を完全に生かそうとするのであれば、大会組織委員会の総意として森会長の責任を明らかにして解任し、後継にはもっと若い女性を選出するべきではないでしょうか。併せて、理事や評議員のメンバーも入れ替えて女性の割合を4割以上にするべきです。
 森会長に詰め腹を切らせるだけでは問題は解決しません。組織員会も日本社会も、このような蔑視や差別を認めずジェンダー平等へと舵を切る決意や方向性を具体的に示す必要があります。

 後任の選び方も問題です。川淵さんは森会長に「指名」され、二人で協議して後任を引き受けたようですが、そのような権限が森さんにあるのでしょうか。
 問題発言を引き起こして辞めていくのですから、後のことは残った人々に任せ、自分は口を出さないというのが、本来のあるべき姿でしょう。問題を引き起こして辞めざるを得なくなった前任者が後任を指名し、密室での根回しで事前に調整してガチンコ勝負での議論を避け、シャンシャン会合で追認するということで良いのでしょうか。
 このような組織運営のやり方も、今回のような蔑視発言を生んだ要因の一つだったと思われます。「わきまえない」女性が多くなると異論が出たり発言時間が長くなったりして「シャンシャン」で終わらず、このような組織運営に支障が出るという不満が森会長にあったのではないでしょうか。

 間もなく70歳を迎える私としては大変言いにくいことですが、高齢ドライバーはアクセルとブレーキの踏み間違いなどで事故を起こす確率が高くなるとして自主的な免許返納を求められているのが現状です。そのような国で、どうして80歳を超えた高齢者を国の重要なポストに付けるのでしょうか。
 辞めていく森会長も後任の川淵さんも、森さんを擁護した二階自民党幹事長も麻生副総理も、みな80歳以上の人たちばかりです。判断ミスによる失敗は国政などでは生じないと言い切れる根拠があるのでしょうか。

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