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2月19日(金) 2021年の政治動向と国会をめぐる情勢―野党共闘で政治を変えるチャンス(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、婦人民主クラブの『婦民新聞』第1667号、2021年2月10日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 激動の時代

 従来の思考の枠組みが大きく転換(パラダイムシフト)する激動の時代が始まりました。世界と日本の歴史が大きく変わろうとしています。
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、効率最優先でケアを軽視する新自由主義の脆弱性や開発を進めて環境を破壊する資本主義そのものの限界が明らかになりました。米大統領選挙でのトランプ落選とバイデン当選は右派ポピュリズムの敗北と民主主義の勝利を意味しています。
 ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動は人種差別の解消だけでなく奴隷貿易と植民地支配という近代史の見直しを迫りました。「#Me Too」運動もジェンダー平等に向けての不可逆的な流れを生み出しています。そして、核兵器禁止条約の発効によって「核なき世界」に向けての第一歩が踏み出されました。
 自民党はその全てに逆行しています。時代に取り残され、役割を終えたと言うしかありません、世界は音を立てて変わろうとしているのです。この流れに合流し、日本を変えることが今年の課題です。

 新型コロナウイルス対策の迷走

 地殻変動ともいえる情勢の下で、1月18日に通常国会が始まりました。そこには多くの難題が横たわっていますが、なかでも最大の課題は新型コロナウイルスの感染拡大に対する対応です。
 衆院予算委員会での審議で、菅首相が病床の逼迫について「国民が不安を感じている。責任者として大変申し訳ない」と陳謝したように、菅内閣のコロナ対策は後手に回り、迷走に次ぐ迷走でした。そうなった最大の要因は、コロナ対策に全力を傾けるのではなく、経済対策や五輪開催などの政治的思惑を優先してきたからです。
 今年度末までに使い切る第3次補正予算にしても、コロナ対策は2割の4兆円にすぎず、残りの15兆円は「Go To」事業や「国土強靭化」などです。野党がこれらの事業を撤回して医療機関や生活困窮者への支援に回すよう求めたのも当然でしょう。
 新型コロナウイルスに対応する特措法と感染症法の改定問題でも罰則の導入について与野党の対立が生じました。与党は修正協議に応じ、刑事罰の規定をなくして過料額を減らすこと、緊急事態宣言の前段階として設けられる「まん延防止等重点措置」に国会報告を義務付けることなどを受け入れました。
 このような修正がなされたのは当然ですが、そもそも修正を前提にした法案を出してきたことに問題があります。与党として「欠陥商品」を出してきたということですから。
 また、説得し理解を求める代わりに強制措置によって言うことを聞かせようというのも本末転倒です。菅首相のコミュニケーション能力の欠如と権力主義的な体質を如実に示しており、失政のツケを国民に払わせる愚策というほかありません。全ての罰則をなくし、補償を明記すべきでした。

 ワクチンと五輪

 新型コロナウイルス対策の重点は、今後、ワクチン接種に移っていくことになります。これについても難題山積です。
 緊急事態宣言がいつ解除できるのか、ワクチン接種が予定通り行き渡るのかが、夏の五輪開催に直結するでしょう。その成否が菅政権の命運を決めることにもなります。
 ワクチンについては感染症対策の切り札として期待が高まっていますが、安全性の確認と必要量の確保が難しいという問題があります。2月中旬に医療関係者への接種が始まり高齢者に接種できるのは「早くても4月1日以降」とされています。通常医療までひっ迫している人手不足の下で人員や場所が確保できるのか、マイナンバーに紐付けした新システムの導入などの準備が間に合うのか、事務量が増えて現場が混乱しないかなどの懸念も強まっています。
 政府がワクチン接種を焦っているのは、それなしには五輪・パラリンピックの開催が見通せないからです。しかし、世界の感染者が1億人を越えて収束の兆しが見えず、日本の感染状況も高止まりしています。安全でフェアな競技が可能でしょうか。早期に中止を決定し、全力で感染防止に取り組むべきではないでしょうか。

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