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3月3日(水) 拙著『18歳から考える日本の政治』の第3版が法律文化社から刊行された [日常]

 拙著『18歳から考える日本の政治』の第3版(本体2300円+税)が法律文化社から刊行されました。恐らく、私にとってこれが最後の著書ということになるでしょう。
 私が研究者として取り組んできた「政治学と日本の政治」についての研究の集大成になります。このような形でまとめることができ、それが多くの方に活用されて「第3版」まで刊行されるに至ったことは、望外の喜びです。

 これまでの政治研究の集大成とは言っても、それほど難しいものではありません。タイトルに「18歳から考える」とあるように、選挙権を得た若者や初学者を対象に、政治学と日本の政治について基本的な内容を、これ一冊で理解できるように書いてあります。
 全体が27章に分かれているのは、ガイダンスとまとめを入れて年間30回の講義に対応できるようにしたからです。大学での教養課程における政治学の教科書として、毎回1章ずつ学ぶことができるはずです。
 大学生だけでなく、政治に関心を持ち、政治にかかわっているすべての方に活用していただきたいと思います。とりわけ、地方や国政の議員をめざしている方、議員の職務に就いている方にとっては手軽なガイドブックになるのではないでしょうか。

 もちろん、日本の政治をもっと良くしたい、マトモなものにしたいと考えている方にとっても手引きとなるように工夫してあります。ぜひ、一度手に取ってご覧いただいたいと思います。
 ということで、以下に「第3版はしがき」をアップさせていただきます。

「第3版はしがき」

 「主権者としての『知力』を養い、政治を見る目を鍛えることがますます必要になっています。政治と政治家を見極め、誤りのない道を選択し、日本の政治を前に進めるために、これからもこの本が役に立つことを願っています。」
 こう書いて本書の第2版を刊行してから4年の月日が経ちました。本書の初版は2010年に出されていますから、それから数えれば10年が経過したことになります。幸いにして、本書は版を重ね、このたび第3版を出すことになりました。これもひとえに本書を活用していただいた皆さんのおかげです。この場を借りてお礼申し上げます。
 第3版では、全体にわたって可能な限り新しいデータに入れ替えました。また、新たに第16章として「第2次安倍政権以降の政治と政党」を設け、第2版以降の政治過程と政党動向について補充しました。これによって、戦前から今日にいたるまで、日本の政治と政党について概観できるようにしてあります。
 本書の第3版を準備している過程で、大きな出来事が相次ぎました。世界と日本で新型コロナウイルスの感染が急拡大し、世界は未曽有の危機に見舞われました。アメリカではトランプ前大統領がバイデン大統領に交代し、日本でも安倍晋三前首相から菅義偉首相へと政権が変わっています。
 野党の側にも大きな動きがありました。立憲民主党と国民民主党が解党して新しい立憲民主党が誕生したのです。新自由主義に反対し、共産党との連携も視野に入れた大きな「受け皿」の誕生です。
 新たに発足した菅政権は日本学術会議の会員任命拒否事件を引き起こし、新型コロナウイルスの感染拡大による第3波に見舞われるなど、波乱含みの出発となりました。安倍前首相による「桜を見る会」前夜祭の費用補填や元農相への現金提供疑惑なども明るみに出ています。
 2021年夏に延期されたオリンピック・パラリンピックが予定通り開催できるのか、秋までには任期が切れる衆院議員の改選がいつになるのか、コロナ禍を収束させて経済の回復を図ることができるのか、菅新政権の前途には多くの難題が横たわっています。いずれにしても、政治の本分は国民の生命と生活を守ることであり、いかなる政権であってもこの本分を全うするために全力を尽くしていただきたいものです。
 本書の初版の「はしがき」に、私は次のように書きました。
 「生活が守られてこその社会です、健康であってこその人生です。人々の生命(いのち)と生活(くらし)を支えることこそ政治の要諦(ようてい)である――このことを再確認しなければならない時代が、この日本にもやってきたのではないでしょうか。」
 このことが本格的に問われ、希望の持てる「新しい政治」が求められているように思われます。主権者としての「知力」を養い、政治を見る目を鍛えて、新しい時代の扉を開くために、本書がいささかでも役立つことを願っています。

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