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6月20日(日) 野党連合政権への道―今こそ「新しい政治」をめざそう(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』2021年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

はじめに

 いまほど「新しい政治」が求められているときはありません。新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの命が失われているからです。このような深刻な状況が生じてから、すでに1年以上の時間が経過しました。多くの国民が不安にさいなまれ、一部では医療崩壊も生じています。雇用を失って収入が途絶え、三度の食事もままならない人びとさえ生まれています。
 しかし、安倍晋三前政権も、その「継承」をかかげて後を引き継いだ菅義偉政権も、新型コロナウイルスの感染防止に失敗しました。コロナ対策として打ちだされた緊急事態宣言が3回もくり返されたこと自体が、これまでの失敗を示しています。
 このような失敗は、安倍・菅政権による無為・無策・無能・無責任の結果です。その背景には、すでに時代遅れとなった「古い政治」の破綻があります。これに代わる「新しい政治」の創造なしには、国民の命と健康、暮らしや営業を守ることはできません。私たちの命を守るためには政治を変えなければならないというギリギリの選択が迫られる事態になりました。

コロナ失政の悪夢

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。2021年5月末現在の状況は、図(省略)で示されているとおりです。第4の波は以前にもまして大きなもので、感染者は累計60万人、死者は1万人を超えました。インド発などの変異株は感染力が強く、若者なども重症化しやすいという特徴があります。政府は3回目の緊急事態宣言を延長して対象地域も9都道府県に拡大(のち沖縄県を追加)し、まん延防止等重点措置を10県に増やす(のち愛媛県を解除)など、感染拡大を抑え込むことに失敗しています。
 こうなったのは、第1にやるべきことをやってこなかったからです。感染防止のためには、検査を徹底して状況を的確に把握し、クラスターの発生を押さえることが必要ですが、PCR検査の数が決定的に不足しています。自粛や時短、休業に対する補償も不充分で、事業者は悲鳴をあげています。とりわけ大阪などでは医療体制の崩壊が深刻で、充分な治療を受けることができず自宅療養中に命が失われる例が相次いでいます。医療関係者にたいする支援を急がなければなりません。
 第2に、経済や五輪などへの配慮もあって感染対策に全力を注ぐことができなかったからです。その典型は、感染が収まらないうちに前倒しで実施された「GoToキャンペーン」でした。五輪への影響を避けたいという思惑もコロナ対策を左右してきました。聖火リレーの出発式や国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日を考慮して緊急事態宣言の日程を設定したことが対策を中途半端なものにしました。一刻もはやく五輪の中止をきめ、資金と人力など医療資源のすべてをコロナ対策に集中するべきです。
 そして第3に、国民に犠牲を強いる政府への信頼が決定的に欠けていたからです。菅首相はコロナ対策の失敗を認めず、きちんとした説明と答弁によって国民との信頼関係を築こうとはしていません。3回目の緊急事態宣言を延期せざるをえなくなったとき「人流は確実に減った」と強弁しましたが、目的は感染を減らすことで「人流」の減少は手段です。論点をずらしていい逃れ、質問されてもまともに答えようとしない対応では、国民の理解と協力を得られるはずがありません。
 コロナ対策の「切り札」とされているワクチン接種も当初の予定から大きく遅れ、迷走をつづけています。菅首相はワクチンで感染を抑え込み、五輪を強行して解散・総選挙になだれ込むというシナリオを描いているようですが、接種は間に合わず五輪中止となって破たんする可能性が高まっています。


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