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7月5日(月) 政権交代に向けてステップからジャンプへ―都議会議員選挙の結果について [選挙]

 注目の東京都議会議員選挙の結果が明らかになりました。各政党の獲得議席は以下のようになっていますが、ほぼ予想された結果です。

自民 33
都民 31
公明 23
共産 19
立民 15
維新 1
ネット 1
無・他 4

 秋の総選挙での政権交代に向けて、立憲野党は4月の3選挙でホップ、今回の都議選でのステップと勢いをつけてきました。今回の選挙での成果を踏み台に、野党連合政権の樹立による政権交代に向けて大きくジャンプすることが必要です。

 今回の選挙で目につく特徴の一つは、自民党の敗北です。前回の都議選で歴史的な惨敗を喫し、今回は復調すると見られていた自民党ですが、公明党との合計でも都議会の過半数を獲得できませんでした。
 その最大の要因は自民党に対する批判が予想以上に大きかったことにあります。今回の33議席は2009年の38議席を5議席も下回り、前回に次いで歴史上2番目の少なさでした。
 自民党は前回と今回、2度続けて敗北したのです。2009年の場合、その直後の総選挙でも惨敗して政権交代に結びつきました。今回もそうしなければなりません。

 第2の特徴は、都民ファーストの会が31議席を獲得して踏みとどまったことです。その最大の要因は、菅政権のコロナ失政と五輪強行への都民の批判の「受け皿」となったことにあります。
 もちろん、都議選で「育児放棄」してしまった「生みの親」の小池都知事が、選挙戦の最終盤にアリバイ的な応援に駆け付けたことも一定の効果を生み出したでしょう。しかし、それ以上に自公政権に対する不満と反発の方が大きかったのではないでしょうか。
 総選挙になった場合、都民ファーストに投じられた票は与党ではなく野党の方に流れる可能性が大きいように思われます。今回の結果に自民党は大きな衝撃を受けているそうですが、総選挙に向けてのマイナス要因の大きさの本当の意味を理解していないのではないでしょうか。

 三つ目は、野党共闘の威力が十分に発揮されたことです。菅政権のコロナ失政や五輪強行に対する都民の反発や批判のもう一つの「受け皿」になったのが、共産党と立憲民主党でした。
 共産党の19議席と立憲民主党の15議席を合計すれば34議席となって「都議会第1党」になります。共同歩調を取ることができれば、今後の都政運営においても大きな存在感を示すことができるにちがいありません。次の都知事選に向けての橋頭保を築いたという意味でも、今回の結果は重要です。
 市民と野党の共闘の威力をはっきりと示したのは、1人区で当選した小金井選挙区と武蔵野選挙区でした。前者では野党の各政党・政派が協力して推薦した無所属候補が当選し、後者では立憲民主党の候補者が当選しました。
 2人区や3人区でも共闘によって当選が可能になった候補者が続出しています。「活路は共闘にあり」ということが、またもや実例をもってはっきりと示されたわけで、これこそが総選挙に向けてかみしめるべき最大の教訓だと言うべきでしょう。

 第4に、このような共闘の要や推進力として尽力し、立憲民主党よりも多くの候補者、とりわけ最多の女性候補者を当選させた共産党の健闘も特筆されます。今回の19議席は前回と同数ですが、改選議席からすれば1増になります。3回連続での前進は初めてではないでしょうか。
 共産党の当選者のうち14人が女性で、定数2の選挙区で3人が当選し、4選挙区でトップ当選になっています。落選したものの目黒区の候補者は6票差で、北多摩3区の候補者は354票差の惜敗でした。当選者の数以上に、その質的内容には見るべきものがあります。
 この共産党との選挙協力や政権合意に対して連合や国民民主党から妨害や抵抗がありましたが、それは客観的には立憲野党の足を引っ張り、菅自公政権を助けるものだということがはっきりしました。立憲民主党が本気で政権交代をめざすのであれば、共産党と政権を共にすると腹を固め、枝野党首は支持団体の連合を説得するためにリーダーシップを発揮するべきでしょう。

 秋の解散・総選挙に向けて、何を目標に、どうするべきかが明確になったというのが、今回の都議選の最大の成果ではないでしょうか。菅政権をさらに追い込み、市民と野党の共闘によってはっきりとした政権批判の「受け皿」を分かり易く、目に見えるような形で提起することです。
 五輪を中止してコロナ対策に全力を尽くすことが、ますます切実で重要な課題になってきています。連日、コロナ感染者は前の週の数を上回り、すでに第5波が訪れていることは否定できず、インド発のデルタ株にペルー発のラムダ株など感染力の強い新種の変異株が海外から持ち込まれるリスクも高まっています。
 このままでは、五輪は新型の変異株の「国際見本市」やコロナ株の「万国博覧会」になりまかねません。各種の変異株が混ざり合ってさらに強力な感染力を持つ「五輪株」が生まれ、五輪後に世界中にばらまかれるなどということになったら、菅政権はどう責任を取るのでしょうか。

 いよいよ、日本の政治は正念場を迎えようとしています。「新しい政治」の実現に向けての条件は整備されつつあります。
 それをどう現実の力へと変えていけるのか。政治を変えよう、変えたいと考えている人々の本気度と熱量が試されようとしています。都議選の結果をステップとし、政権交代の大飛躍を生み出すジャンプに向けて。

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7月2日(金) 東京都議会議員選挙での立憲野党へのご支持・ご支援を訴える [選挙]

 激しくたたかわれている東京都議会議員選挙も、いよいよ明後日の投票日が近付いてきました。投票所に足を運び、小池都政を支えてきた都民ファーストの会・自民党・公明党に審判を下し、野党として対峙してきた日本共産党と立憲民主党の立憲野党へのご支持・ご支援をお願いしたいと思います。
 首都・東京の議会選挙の結果はその後の国政の行方に直結しますので、いつの時代でも注目集めてきましたが、とりわけ今回の都議選はこれまでになく重要なものとなっています。とりあえず、以下の6点にわたって今回の都議選の意味と意義を明らかにしておきたいと思います。

 第1に、これまでの小池都政とその与党に対する審判の機会だということです。新型コロナウイルスの感染対策を始めとした都政運営の継続か転換かが問われています。
 都立・公社病院の独立行政法人化、首都の上空を飛行機が通る羽田新ルート、陥没事故を引き起こした外郭環状道路の建設、カジノの導入なども含めて、都議選の結果次第で都政のあり方と今後の行方が左右されます。小池与党の都民ファーストの会だけでなく、実質的な与党になっている自民党と公明党の議席を減らすことで、これらの施策の中止や転換を実現しなければなりません。
 また、小池与党の議席を減らして野党の議席を増やすことができれば、3年後の都知事選挙に向けて明るい展望を切り開くことができます。今回の都議選は、長年にわたった保守都政の打倒と革新都政の奪還に向けての前哨戦であり、次の都知事選勝利に向けての第一歩でもあります。

 第2に、コロナウイルスの感染拡大の下での選挙であり、命を守るための選択が問われています。都民のいのちと暮らし、営業を脅かしている新型コロナ対策に活を入れる重要な機会になります。
 菅政権と小池都政による無為・無策・無能・無責任なコロナ対策が失敗したことは誰の目にも明らかでしょう。対策が功を奏して沈静化に成功していれば、3度も緊急事態宣言は必要なく、何度もコロナ感染の大波が訪れることもなったはずですから。
 緊急事態宣言が終了してまん延防止等重点措置に移行しましたが、その直後からリバウンドが始まり、もはや第5波が訪れていることも明瞭です。このような状況を直視し、失敗を真摯に反省して本気でやるべきことをやらせることが必要であり、今度の都議選ではまさに命を守るための選択が問われています。

 第3に、五輪中止に追い込む最大のチャンスが、1人1人によって意思表示できる今回の都議選だと言えるでしょう。その結果次第で五輪・パラリンピックを中止させることは可能であり、少なくとも無観客での実施を本気で検討せざるを得なくなるでしょう。
 選手や関係者を一般の人々から隔離する「バブル方式」を取るから大丈夫だと言われていますが、このやり方に効果がないことは、無観客で強行開催されたブラジルでのサッカー南米選手権で、隔離されていたはずの選手や関係者に160人を超える感染者が生まれたことから明らかです。観客を入れて実施されたロンドンでのサッカーのヨーロッパ選手権ではスコットランドからの観客2000人、ロシアではフィンランドからの観客300人が感染しました。
 東京五輪でも「バブル」には例外や特例が認められ、警備員や運転手、ボランティアなどが接触するなど内と外がつながっており、「バブル」の中には選手1万人以上、関係者4万1000人などが「密」になっています。競技への参加や観戦などで人の流れが増えることは確実で、それを防ぐためには競技そのものを中止するしかありません。

 第4に、各政党に対してジェンダー平等への本気度を問う選挙になっています。口先や形だけの政党に引導を渡して淘汰することで、女性議員の増大に向けて本気で取り組むように促すことが必要です。
 この点で、とりわけ注目されるのが共産党です。都議会で野党第1党だった共産党は、18人の都議団のうち13人が女性でした。今回の選挙での候補者でも女性の比率は58%と過半数を超え、2位の都民ファ―ストの会の38%を20ポイントも上回って断トツです。 
 先の通常国会では女性議員増進法が成立し、各政党に努力義務が課せられました。この法律の趣旨を踏まえて都議会での女性議員を増やし、ジェンダー平等を推進する施策を充実させるためにも、今回の選挙で女性議員を多数当選させることが必要です。

 第5に、市民と野党の共闘による初めての都議選であり、その真価が問われる選挙でもあります。定数が1人の1人区だけでなく2人区や3人区でも住み分け、選挙協力や相互支援の動きが生まれているのが、今回の選挙の特徴です。
 共闘が進めば進むほど、それへの妨害や抵抗も強くなります。先の3選挙や今回の都議選、間もなくやってくる総選挙にも連合からの横やりや国民民主党の消極姿勢などが目立ちますが、今回の都議選で共闘の威力が示され効果的だということが証明されれば、立憲野党間の連携や協力は一挙に広がるでしょう。
 『東京新聞』が6月26、27日に実施した世論調査では、都議選で投票しようと思う政党として、自民党18.4%、公明党6.5%に対して、共産党15.7%、立憲民主党13.6%となっていました。自公併せて24.9%よりも、共立合計の29.3%の方が上回っており、共闘次第では大きな展望が開ける可能性が広がっています。

 第6に、今年秋の10月か11月に実施されると見られている総選挙に直結し、大きな影響を与える選挙になっています。今後の政権のあり方や日本の政治の行方を左右する、これまでになく全国的な意義が大きい選挙だということを強調しておきたいと思います。
 私は「2009年に類似している今年こそ同様の政権交代を実現しよう」という1月24日付のブログで、「2009年の経験は、数多くの教訓を示しています」として、「政治日程と政治状況の類似性によって同様の結果が生み出される可能性があること、小選挙区制は一挙に当選者を入れ替える恐ろしい選挙制度であること、政権の失政と政権党に対する失望や批判は選挙結果を大きく左右する客観的条件であること、選挙協力と候補者調整は歴史的圧勝を生み出す主体的な条件であること、政権選択を迫って明確な『受け皿』を示せば投票率が上がり思いもよらぬ結果をもたらすことなど」を指摘し、次のように書きました。

 「現在の菅首相の無能さは09年当時の麻生首相に『劣るとも勝らない』ものであり、コロナ対策の失敗によって失望と怨嗟の声は全国に満ち満ちています。内閣支持率はかつてないスピードで低下し続けており、オリンピック・パラリンピックの開催も危ぶまれ、桜の花が咲く前に菅首相は散ってしまうのではないかと言われるほどです。
 しかも、野党の側での選挙協力は2016年以来の実績を積み重ねてきており、共産党が加わっていること、市民をも巻き込んで草の根から発展してきていること、政策合意を前提に政権担当を展望する方向が示されていることなどの点で、09年総選挙以上に質的に発展し強力なものとなっています。09年以上に、政権交代に向けての客観的主体的な条件は整っていると言えるでしょう。」
 事態は、この時に私が指摘したとおりに進行してきました。都議選の結果次第では、総選挙も2009年と同様の経過となり、政権交代へと結びつく可能性があります。

 とりわけ、都議会野党第1党となっている共産党の動向が注目されます。選挙戦は立憲野党全体にとって有利な状況の下で進行していますが、特に共産党はオリンピックの中止を早くから打ち出すなど論戦をリードし、対決点を明確にしてきました。
 共産党が議席を増やして都議会第2党となって副議長職を獲得し、立憲民主党も躍進して自民・公明で過半数を獲得できず、小池都知事に大きな打撃を与えることができれば、オリンピックの中止、少なくとも無観客での開催に追い込むことは十分に可能です。
 だからこそ、怖いのは油断です。『毎日新聞』の獲得予測で共産党は13~22議席となっていて、「地獄」と「天国」が共存しているような予想が示されています。有利な条件に確信を持つとともに、油断せず警戒心を高めて「大丈夫論」を克服できれば、「地獄」ではなく「天国」への扉を開き、日本の「新しい政治」を生み出せるにちがいありません。

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7月1日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「この期に及んで「検討中」 恐怖の五輪開催カウントダウン」

 29日の東京都の新型コロナ新規感染者数は476人で、10日連続で前週同曜日を上回った。感染爆発レベルの「ステージ4」は目前である。神奈川や千葉の感染状況も悪化している。政府内でも「五輪は無観客開催しかない」という意見が出ているという。

 「リバウンドは誰の目にも明らかで、感染者はこれからもっと増える。五輪開会式までに収束すると予測している専門家はいません。この状況で五輪開催に突っ込んでいくなんて無謀としか言いようがない。たとえ無観客でも、五輪が始まれば選手や関係者など数万人が入国して人流も活発になり、ますます感染が拡大するのは明らかです。五輪は中止するしかない。それを決断するのが政治の役割です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 28日に立憲民主党が国会内で開いたヒアリングでは、五輪のため来日した選手や関係者で新型コロナ感染が明らかになったのはウガンダ選手団だけではないことが明らかになった。

 内閣官房によると、2月にフランス1人、4月にエジプト1人、5月にスリランカ1人、6月にガーナ1人が確認されていたという。そういう事実関係がなぜ今になって明かされるのか。中止の世論が盛り上がることを恐れたからか。厳格な14日間隔離など水際対策を強化する議論はなかったのか。

 ヒアリングで政府の担当者は、「どのような改善策があり得るか、厚労省と検討を進めている」と話していた。ここでもまた「検討」だ。

 「この後に及んで検討している場合なのか」と、前出の五十嵐仁氏はこう言う。

 「競技によってはクラスターが発生して中止になるものもあるかもしれない。ただでさえ酷暑の東京で、ワクチン接種が進んでいない日本では観戦時もマスクを外せず、熱中症の危険性も高まります。小中学校の児童・生徒が観戦する学校連携観戦は“令和の学徒動員”とも言われていますが、保護者から懸念の声が続出し、参加の中止や検討が相次いでいる。五輪強行は菅首相の賭けだと言われますが、国民の命を賭けたバクチには到底、賛同できません。常に中止のオプションを用意しておかないと、国民の安全は守れない。五輪を契機に東京発の変異株が世界に広がれば、国際社会から非難される可能性もある。神頼みでは困るのです」

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