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8月31日(火) 『しんぶん赤旗』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『しんぶん赤旗』8月31日付の「政治考」に掲載されたものです。〕

 国民の命を守る国会開け

 こうした状況に政治学者の五十嵐仁法政大学名誉教授は次のように指摘します。「菅政権には命を守る政治ができないことがはっきりしてきた。命と暮らし、それに営業を守るということは、最も基本的で最低限の政治の役割です。政府がその役割を果たさないのだから、国会を召集し、その姿勢を改めさせ、国会議員、各政党の英知を結集して、総力を傾けて総合的な対策を講じる。これをやらないと、今、国民の命も健康も、営業も生活も守れないという状況になっています」

 国会召集拒否 立憲主義破壊のきわみ

 憲法53条は、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる」とし、「(衆参)いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その(臨時国会の)召集を決定しなければならない」と定めます。自公政権は、野党の追及を避けるため、53条による召集要求をたびたび無視してきました。これに対し、昨年6月10日の那覇地裁判決は、憲法53条により、国会議員が内閣に臨時国会の召集を求めた場合、内閣が国会を召集する憲法上の義務を負うと明確に認めました。五十嵐仁法政大学名誉教授は、国会召集に背を向ける菅政権を「立憲主義破壊のきわみ」と厳しく批判します。

 危機感の欠如

 菅義偉首相の「危機感の欠如」「楽観論」も際立っています。菅首相は「ワクチン接種がデルタ株にも効果があり、明かりははっきり見え始めた」(25日の記者会見)などと言明し、会見に出席した記者からも「疑問だ」と面前で批判されました。
 五十嵐氏は、「もっとも楽観バイアスに取りつかれているのは菅首相自身。人流は抑制されているから、開催しても大丈夫などと言って五輪を強行しました。結果、どんどん感染者、重症者が増えました。挙句の果ては、自宅でまともに医療も受けられない、あるいは、通常医療も破たんする状況になっています」と批判します。

 共産党緊急提案

 日本共産党は、コロナ感染爆発と医療崩壊の深刻化のもとで政府がとるべき対応として「症状におうじて必要な医療をすべての患者に提供する」「感染伝播(でんぱ)の鎖を断つために大規模検査を実行する」「パラリンピックを中止し、命を守る対策に力を集中する」の3点の菅首相あての「緊急提案」を発表(19日)しました。この提案も含めて国会で審議が求められます。
 五十嵐氏は、国会開会の「もう一つの意義」として「パラリンピックを中止し、臨時国会を開いて、野党の意見を聞き、国民の力を結集しますという姿勢を示すことで、国民全体に大変な状況にあるという危機感を共有する」と指摘、「補償とセットで自粛を求めれば、国民の行動変容を生み出すことにもつながると思います」と言います。

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8月30日(月) 「東京25区市民連合連絡会/選挙で変えよう!市民連合おうめ」へのメッセージ [論攷]

〔以下の一口メッセージは、「東京25区市民連合連絡会/選挙で変えよう!市民連合おうめ」に寄せたものです。〕

 新型コロナウイルスの感染大爆発の下で、菅政権の無能・無策ぶりが際立っています。自公政権を倒さなければ、私たちの健康や命、暮らしや生業は守れません。最善の感染対策は政権交代です。
 選挙勝利のための「活路は共闘にあり」ということこそ、都議選の最大の教訓でした。市民と野党の共闘を発展させ、選挙で勝利するだけでなく、草の根から野党連合政権を支える力を生み出すことが必要です。
 共闘の力で、来る総選挙での勝利を実現しましょう。そして、こう言おうではありませんか。「自公政権はもう〝時効〟だ」と。


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8月28日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月28日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「ワクチン一本足打法の危うさ ファイザー抗体3カ月で激減」

 イスラエルは世界的にも格段に早い段階でワクチン接種が進んだ国であり、多くの国民が接種から数カ月を経て抗体値が下がっていることが原因かもしれないが、入院患者の半分以上がワクチン接種済みとは驚きだ。しかも「重症以上」なのだから、ワクチンの効力に疑念が生じるのも当然だろう。3回接種でもデルタ株を抑え込めるかは未知数だとして、イスラエルの専門家は「追加接種は解決策となり得ない」とクギを刺している。

ワクチン頼みの楽観で国会は開かず総裁選を決めた

 「コロナ対策が後手後手の日本は、ワクチン接種も遅れましたが、デルタ株という強敵にはワクチンだけで対抗できないことが明らかになってきても、菅政権は相変わらずのワクチン一本足打法です。政府分科会の尾身茂会長も国会の閉会中審査で『ワクチンは重要な柱だが、柱は1本ではなく、2本、3本、4本必要だ』と訴えていました。現政権の『ワクチンさえ行き渡れば大丈夫』というワクチン頼みの姿勢は、もはや周回遅れどころか、世界の潮流から2周、3周も遅れているのではないか。いまだに医療体制の逼迫は解消されないし、医療従事者へのバックアップや、営業自粛を余儀なくされている事業者、職を失って困窮する国民への手当ても不十分だというのに、ワクチンが普及すれば、すべてが解決するという“夢物語”を語っているように見えます」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 デルタ株による「第5波」は一向に収束する気配がなく、政府は25日に緊急事態宣言に8道県、まん延防止等重点措置に4県を追加。8月だけで3度目の追加・拡大だ。9月12日までの対象地域は計33都道府県に上る。

 菅は質疑応答でもワクチンと抗体カクテル療法の効果を繰り返し、「今は2つの武器を持っている」とか言っていたが、入院もできず自宅放置で、いつ体調が急変するか、死の恐怖と戦い続けている人は絶望のトンネルの中だ。コロナ対策にあたる自治体も、医療従事者も、嵐の真っただ中なのである。

 「菅首相の発言は楽観的すぎるし、昨年の『GoToキャンペーン』がそうだったように、一度決めたら覆さず、うまくいっていると強弁し続ける頑迷さを感じます。それが、コロナ対応の失策につながっている。臨機応変な対応ができず、間違っていても決して誤りを認めようとしないのです。それでオリパラ大会も強行し感染爆発を招いたのに、因果関係はないと言い張っている。これでは、国民は政府の言うことを何ひとつ信用できません。この国難に国会も開かず、自民党総裁選の決行だけは決めた与党を見ていると、どこまで危機意識があるのかも疑問です。五輪と同じで、自粛を呼びかけながら総裁選をやるのは矛盾したメッセージになりかねません」(五十嵐仁氏=前出)

 26日、自民党総裁選が9月17日告示、同29日投開票で実施される日程が決まり、事実上の選挙戦が始まった。9月末まで自民党議員は国民生活そっちのけで総裁選にかまけ続けるわけだ。

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8月27日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「シュールな光景にはウンザリ 菅・尾身同席会見の国民愚弄」

 26日の総裁選挙管理委員会で「9月17日告示、29日投開票」の日程が正式決定。党員・党友投票も含めたフルスペックで実施され、前回、菅に敗れた岸田前政調会長が名乗りを上げている。しかし、菅政権の生みの親の二階幹事長は「国民の皆さんの命を守る、暮らしを守るという原点に立って、しっかりとした対応をやっておる」「誰がやっても難しい時です」とか言って、第4派閥の二階派として菅再選を全面支持。牽制を強めている。最大派閥の細田派出身の安倍前首相、第2派閥の麻生派を率いる麻生財務相も引き続き菅を支持する構え。桜を見る会をはじめとする数々の疑惑を抱える安倍にしてみれば、グリップが利かない政権が誕生すれば、政治生命どころか余生も危うくなるからだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「菅首相はいわば、感染拡大を促進した張本人。世論の大半が『菅首相以外なら誰でもいい』と悲鳴を上げるのは当然です。ところが、安倍政権時代につくり上げた1強支配の構造の下、甘い汁を吸ってきた面々はそれを許さない。党内も多数派に流され、菅首相の次は菅首相でいい、最後まで泥をかぶってもらおうという内向き論理が働き始めている。自民党は多元的競争メカニズムを失った。衆院選が迫る中、敗北覚悟のバンザイ突撃で腹を決めるのであれば、それはそれで結構ですが、無能無策が証明された菅首相が一日でも長く居座ればコロナ克服は遠のく。それに巻き込まれる国民はますます不幸になる」

 このままでは永久に緊急事態は続くだろう。それを止めるのは世論のうねりしかない。


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8月26日(木) 共著『市民と野党の共闘で 政権交代を』が刊行された [日常]

 新しい本が出ました。そのものずばりの書名です。『市民と野党の共闘で 政権交代を』というのですから。
 企画を聞いたとき、総選挙に間に合うのかと思いましたが、どうやら間に合ったようです。病院に入院する前にインタビューを受け、原稿に手を入れて渡しました。
 初校ゲラが出てきたのは手術が終わった直後でしたから、間に合いませんでした。でも、大きな問題はなかったようです。

 本書を出版したのは「あけび書房」で、定価は税込み1100円です。詳しいことは、あけび書房のホームページ (akebishobo.com)をご覧ください。
 この本の「うたい文句」は、チラシによれば「来る総選挙とその後の新しい政権を 各分野の識者が展望・期待する」というものです。その一人として私も登場させていただいたわけです。 
 ということで、この本の目次と執筆者を、以下に紹介させていただきます。

第1部 市民と野党の共闘による政権構想
 第1章 市民と野党の共闘こそが勝利の方程式 法政大学名誉教授 五十嵐仁
 第2章 立憲主義を回復する政権交代を 慶応義塾大学名誉教授 小林節
 第3章 壊憲阻止し憲法を活かした政治を 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表 高田健
第2部 各界からの提案
 第4章 「個人が食べられる」働き方の再検討を 和光大学名誉教授 竹信三恵子
 第5章 教育の未来を考える―学問の自由・憲法・権力 現代教育行政研究会代表 前川喜平
 第6章 戦後史の脈絡から日本外交の転換を展望する 評論家・元外務省国際情報局長 孫崎享
 第7章 「実感」から出発する政治 安保関連法に反対するママの会発起人 西郷南海子

 第1章の最後の部分で、私は「共闘の力によって政権交代を実現できるかもしれない時代が訪れてきたわけで、まことに感慨無量です」と書きました。実は、本書については、もう一つ「感慨無量」なことがあります。
 それは、本書の出版を手掛けていただいたあけび書房の社長さんのことです。彼は立命館大学の学生だった頃、何回か私を講演に招いてくれた「政治研究会」のメンバーの一人でした。
 その頃から面識があり、卒業後神戸で就職して意見交換のためのメーリングリスト「市民社会フォーラム」を主宰するなど、市民運動にも関わってきました。その彼が東京に出て来て出版社の社長となり今回のような大変有意義な本の出版を手掛け、私にも声をかけてくれたというわけです。

 学生時代から時折顔を合わせることもあり、陰ながら彼の成長を見守って来た私としては、このようなかかわりを持つことができて「まことに感慨無量」だと言いたい気持ちでいっぱいです。この先も政治や社会にとって価値ある本をどしどし出して、出版人として成功していただきたいものです。
 ということで、本書の購入と普及にご協力いただければ幸いです。おそらく、「賞味期限」は総選挙の投票日までとなるかも知れませんから、お早く「お召し上がり」ください。


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8月25日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「国民不在、利害だけ まだ続く安倍・麻生・菅談合政治の醜悪」

 横浜市長選の“争点”は、まぎれもなく菅政権のコロナ対策だった。有権者はハッキリとノーを突きつけた形だ。

 「有権者の投票行動は以前とは一変している。自民党議員は真っ青になっているはずです」と、法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「大きく変わったのは、投票率です。前回(37・21%)を11・84ポイントも上回り49・05%に跳ね上がった。期日前投票は40%以上増加し過去最多でした。無党派層が『絶対に一票を投じてやる』と投票所に大挙したのでしょう。これまでは、どんなに自民党が失政と悪政をつづけても『自民党も嫌だけど、野党も期待できないしな』と、棄権する人が多かった。しかし、有権者の意識は『菅政権にはウンザリだ』『もう黙っていられない』と、大きく変わったということです。さらに、自民党支持層の17%が、野党候補の山中さんに投票していた。自民党支持層も愛想を尽かしている。さすがに自民党議員も、この投票行動の変化には焦っているはずです」

 横浜市長選でよく分かったことは、野党がひとつにまとまれば、十分、自民党と戦えるということだ。市長選は、立憲が推薦、社民が支援、共産も自主的支援に回り、連合も推薦と、一本化が成功した。市長選を仕切った立憲の江田憲司代表代行は「いい受け皿があれば、自民党は恐るるに足らないということだ」と総括し、安住国対委員長も「野党が大きな固まりになれば、地滑り的な勝利を起こすことは立証できた」とコメントしている。4月に行われた衆参3つの国政選挙も、野党の一本化により、全勝を果たしている。

 野党がバラバラに戦った2017年衆院選の小選挙区は、与党系222、野党系61と与党に惨敗したが、自公が大勝したあの選挙でさえ、もし、野党が一本化していれば、63選挙区で逆転していた。共闘体制が整い、投票率が上がれば、野党に勝機はある。政権交代も決して不可能ではない。心ある国民は、8年間の自公政権にウンザリしているから、なおさらである。

 「横浜市長選の争点は、菅政権のコロナ対策でした。でも、有権者が野党候補を圧勝させたのは、コロナ対策に象徴される、自民党政治そのものに嫌気が差したからだと思います。国民に説明しない、間違っても謝らない、責任を取らない……という、アベスガ政権の本質が、コロナ対策によく表れている。国民に寄り添う気持ちがまったく見えない。しかも“五輪が始まれば空気は変わる”と国民をバカにし、“どうせすぐに国民は忘れる”とみくびっている。そうした態度そのものが、国民の神経を逆なでしている。実際、東京オリンピックが開催されても菅政権の支持率は上がっていません。菅政権は、ワクチンの接種が進み、感染者が減れば、支持率は急上昇すると皮算用しているようですが、もはや感染者が減っても支持率は上がらないでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 一般の国民は、自民党総裁選に一票は投じられないが、衆院選は一票を行使できる。その時を楽しみに待つしかない。

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8月22日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月22日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「医療崩壊は歴然 “早産子供死”菅政権はなぜ総辞職しないのか」

 厚労省のアドバイザリーボードの試算によると、東京の重症病床の使用率は8月下旬には100%に達し、そのまま10月上旬まで満床が続くという。多くの国民は「いま感染したら大変だ」と、怯えているのではないか。実際、感染してしまったら誰もが「自宅死」しかねない状況である。

 しかし、先進国のこの日本で9万人以上が必要な医療を受けられず自宅で放置されているなんて、どう考えてもおかしい。

 全ての責任が菅首相にあるのは、もはや明らかだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「日本の医療体制が決壊したのは、保健所や医療機関の問題ではありません。
 終始、楽観論を口にしてきた菅首相に全責任がある。これまで菅首相はなんと言ってきたか。『先手先手で予防措置を講ずる』と胸を張り、『人流は減っている』と説明し、『重症者は入院してもらう』『中等症でも重症リスクのある人は入院』と国民に約束していた。『国民の命を守るのが国の責任、最優先』とも豪語していた。しかし、すべて大嘘だった。もし、一つでも本当だったら、ここまで医療は崩壊しなかったはずです。要するに、なにもしてこなかったということ。千葉県の妊婦が早産した子供が亡くなっただけでも、菅首相は責任を取って退陣すべきです」


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8月19日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月19日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「医療崩壊でもパラ強行 無能錯乱首相を担いだ自民党の大罪」

 24日の東京パラリンピック開幕まで1週間となった17日、日本選手団の結団式が都内で行われた。菅もビデオメッセージで登場。「選手のみなさん、東京パラリンピックの出場本当におめでとうございます。新型コロナでみなさんの今日までの道のりは大変なものだったと思います。選手のみなさんが限界に挑戦し、壁を乗り越えていく姿に世界中の方々が感動し、勇気づけられることでしょう」とエールを送った。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「これだけ全国的に感染が拡大しているのに、パラを強行するとは政府に危機感がなさすぎる。もちろん、練習を重ねてきたパラ選手にも活躍の場ができればいいと思います。しかし、五輪を開催したことで国民の間に楽観バイアスが広がり、緊急事態宣言の効力が失われて、この深刻な感染爆発を招いたことは疑いようがないでしょう。同じ過ちをもう一度、繰り返そうというのか。五輪開催直前、菅首相は米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで『五輪をやめることは一番簡単なこと、楽なことだ』と話していました。だったら中止すればいいのに、それすらできない。パラ大会にもストップをかけられないのは、国民やパラ選手の命を守るという立場に徹し切れていない証拠で、惰性の成り行き任せになっているようにしか見えません」

 党員・党友投票を求める自民党議員の3分の1を超える署名が提出されても執行部は受け入れず、派閥の論理で菅首相に決まった。トップを緊急避難的にスゲ替えて、権力構造を維持しようとしただけなのである。それから1年も経っていないのに菅降ろしとは、節操がなさすぎるのではないか。

 「安倍悪政の負の遺産を隠蔽・封印するための総裁選でした。国民の声に支えられ、主流派に対抗しうる石破元幹事長を寄ってたかって潰しにかかった。その石破潰しのツケで、菅政権も自民党もニッチもサッチも行かなくなっているのが現状です。今ごろになって、自民党議員が『菅首相では選挙を戦えない』などと言うのは責任放棄ですよ。本気で国民生活を考えるなら、安倍悪政の隠蔽を優先することなく、もっと早く、マトモなトップに代えるべきだった。官邸の判断に従うだけで“寄らば大樹”でやってきた自民党は腐りきっている。菅首相ではダメだと言うのは勝手ですが、そういうトップを圧倒的多数で選んだ自民党議員にも共同責任があります」(五十嵐仁氏=前出)

 もう自民党は懺悔しておとなしく下野すべきだろう。失政の隠蔽、強弁、糊塗ばかりの安倍・菅の悪政をきっちり清算しないかぎり、この国に未来はない。

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8月17日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「横浜市民の審判に国の命運 市長選で菅下ろしの号砲に期待」

 ポンコツ首相の正体と危うさは、もはや誰の目にも明らかだ。自宅療養中の死亡者が続出するような災害レベルのコロナ感染爆発の中、ウイルスは感染力の強いデルタ株(インド株)に置き換わり、南米ペルー由来のラムダ株の日本上陸も確認された。

 ワクチン2回接種後に陽性となる「ブレークスルー感染」による死者も出ている。このままポンコツに任せていたら悲劇は終わらない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「トップリーダーの最大の責務は国民の命を守ること。パンデミック下で国民に適切な医療を提供できないようでは、責務を果たすことができていない。それでいて、責任を問われると、マトモに説明せず、官房長官時代からやってきたように、質問を遮断して逃げる。そんな人物が首相では国民は不幸です」

 だから自民党は、4月の衆参3つの補欠選挙・再選挙で全敗し、7月の東京都議選でも過去2番目に少ない議席しか獲得できなかった。菅政権では、首長選も含め、あらゆる選挙で負けてきた。今度の横浜市長選もその流れにある。

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8月16日(月) 前進する市民と野党の共闘、待たれる野党連合政権(その3) [論攷]

〔以下の講演記録は川崎区革新懇の『第18回総会記録集 2021年6月12日』に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

3、革新懇の先見性、役割と課題

あって良かった革新懇
 5月に全国革新懇の総会がありまして、創立40周年記念のイベントが開かれました。このとき「あってよかった革新懇」という思いを新たにしました。40年も前にこのような組織を作ったんだから、たいしたものだなと思いましたね。
 できたころは、革新統一を再建して連立政権を樹立し、さらには民主連合政府に結び付けていくんだという目標があったわけですけど、それは一種の「夢物語」ですよ。しかし今やもう、夢じゃない。「古い政治」と「新しい政治」がぶつかり合う激突の時代を迎え、進歩と逆流、希望と絶望がしのぎを削る状況が生まれた。そういう中で、革新懇は新しい希望を示す非常に重要な主体になっている。政治の総体が問われる中で、全体を取り換えることが我々のめざす課題となりました。
 3つの目標を掲げ「一点共闘」を進める中で。個人と団体がそれぞれの役割を果たす。そして、「共産党を除く」という壁を打ち砕いていく。これを今までやってきた。40年間やってきた実績の積み重ねです。その結果として、市民と野党の共闘で私たちの政府を作ろうということが、具体的な現実的目標としてリアリティをもって語られるようになっている。いよいよ、こういう状況になってきた。
 コロナウイルス感染拡大の中で、革新懇に参加する賛同団体の役割が非常に大きくなってきています。とりわけ医療関係。全労連に結集している組合の中では医労連だとか福祉保育労とか、こういうところで働いている人の組合が多い。革新懇に加わっている民医連だとかもあります。
 そのほかの賛同団体では、最近会員を増やしているのが民商ですね。地域によってばらつきはありますが、持続化給付金の申請など業者さんは大変な状況で、こういう人を支えるために「民商」の果たす役割が非常に大きくなっている。新婦人もそういう傾向があります。さらに「民青」です。若者や学生向けの食糧支援に取り組んでいる。メシを食えないというのですから切実です。そういう状況の下で民青同盟の存在感が大きなものになっている

革新懇の役割
 こういう状況を背景に、明確な「受け皿」を示すことが重要になっています。具体的な困難を解決する活動を積み上げ、選挙共闘へと発展させ、さらに政権合意を実現する。これが非常に重要になってきている。政治は変わるんだ、変えることができるんだという確信と希望をどのように国民に示していくか。本気でやるんだということを納得してもらえるような形で示さなければ、やはり国民は動かないと思いますね。
 革新懇には「3つの力」があります。政策の力・組織の力・草の根の力です。その力を強めていくことが重要です。革新懇は政党ではありませんから、いろんな政党に働きかけを行ったり協力要請をしたり、政策合意を求めたりすることができます。連合東京は立憲民主党から立候補する候補者に推薦を出している。この候補者が共産党と与するようになったら推薦を取り消すと、事務局長名で脅しをかけている。共産党と直接に政策合意をやれば推薦を取り消される可能性があるからみんな消極的になってしまいます。
 このときに、例えば市民連合や革新懇などが間に立つ。立憲民主党の候補者と革新懇や市民連合が政策協定をむすぶ。そして共産党とも政策協定を結ぶ。ブリッジ協定というやり方です、間接的に実質的な政策合意や協力がなされるように工夫すればいいんです。この前の4月に行われた3つの選挙ではこのようにやった。
 直接的にやるのがだめなら、間接的にやれば良い、事実上の共闘、事実上の連携をめざす、本来であれば、きちんとした政策合意やはっきりとした協力協定を結び、政権も一緒にやるんだという方向性を明確にすべきなんです。いま立憲野党はきちんとした政策合意をし、政権をともにする決意を示しなさいという署名運動がはじまっています。こういう働きかけも重要だと思います。そういうなかで、共同に向けての機運をさらに高めていくことが必要です。

革新3目標の現代的意義
 革新懇の3つの任務が5月の総会で打ち出されました。要求の実現と共闘の発展、連合政権の実現、共同目標実現の独自追及という課題です。当初から掲げている革新3目標(日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざします、日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざします、日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざします)も、ますます大きな意味を持ってきています。
 命と生活を守り暮らしを豊かにするという目標はコロナ禍の下で極めて重要になってきている。憲法を生かし人権と民主主義を発展させることは安倍・菅政権の下でますます大きな意味を持ってきていることは繰り返すまでもありません。
 同時に、ここで強調しておきたいのは、安保体制の打破をめざしていることの現代的意義です。
 先日、菅首相はアメリカに行って首脳会談を行い、日米共同声明に台湾条項を入れました。「台湾」に言及したということは、台湾周辺海域で中国とアメリカ軍が軍事衝突した場合、戦争法によって自動的に自衛隊が巻き込まれることを意味しています。集団的自衛権行使が一部容認され、重要影響事態や存立危機事態に該当することになりますから。
 戦争法が成立した2015年当時は、中東に自衛隊が引っ張り出される恐れがあるということでした。しかし今や、南シナ海や東シナ海、台湾海峡など、日本の近くが舞台になる可能性が出てきた。「台湾有事」が「日本有事」に直結してしまう。このようなリスクが高まっています。
 ますます日米軍事同盟と安保体制の危険性が大きなものになってきている。そういう状況のもとで、革新3目標に「日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざします」という目標が入っていることは非常に重要だと言っておきたい。
 最後に、革新懇づくりの課題ということでは、連合政権を草の根から支える力としてはまだまだ不十分です。現在、自治体数比36%です。これを過半数以上に増やしていくことが必要だ。『全国革新懇ニュース』の普及も重要です。私たちの近くの人でも取ってない人がたくさんいます。共産党の議員でもとってない人がいる、ぜひ『全国革新懇ニュース』を購読する、さらに広めることにご協力をお願いしたい。

むすび

政党支持の流動化
 政治を変えるための変革の条件は、現政権の正当性の欠如や統治能力の喪失、受難の限界、支持の流動化などの点で生じています。これに新たな希望を示すことができれば政治は変わります。同時に、NHKなどはコロナ問題一色でコロナにハイジャックされているようになっている。国民の中でも「コロナ疲れ」で、「政治どころではない、生活が大変だ」という雰囲気も一部に生まれてきている。
 とはいえ、多くの国民は政治が生活に直結していると感じるようになっているのではないでしょうか。政府や自治体のトップが決めることによって、生活がどうなるのか商売ができるかできないかが左右される。店をいつまで開けられるのか、8時までなのか9時までなのか、お酒を売ることが出来るのかできないのかが決まる。こんなの耐えられない。受難の限界だ。とりわけ、お店をやっている人たちは本当に大変な状況になっていると思います。
 そういう中で政党支持が流動化している。地殻変動が生じ、今までの支持の状況と変わってきている。広島は自民党の強固な基盤でしたが、この前の参院選再選挙では野党候補者が当選した。投票率が下がっても野党候補が勝った。なぜかといえば。政治と金の問題に嫌気がさしたのではないか。自民党支持者が選挙に行かなかった。投票した自民党支持者の3割近くの人が野党候補に入れたんです。
 自民党支持者は「もう付き合いたくないよ」と思ったんじゃないでしょうか。こういう変化が生まれてきている。今までの状況を前提にして考えてはならない。支持状況は音を立てて崩れてきている。新たな希望を示せば、一気に支持状況は変わる、そういう条件が生まれています。

政治は変わるし変えられる
 最近は、あきらめずに声を上げれば政治は変わるし変えられるという実例が次々に生まれてきています。コロナ対策でも、当初は困窮世帯に30万円の支給という構想でしたが、「それではだめだ」となって1人10万円の支給にかわりました。皆さんも受け取ったでしょう。
 最近では、改定入管法が取り下げられましたね。ちょうど1年前、東京地検の黒川検事長の定年延長を目論んだ法案が取り下げになった。
 今年に入っても、東京五輪組織委員会の森会長が女性蔑視発言で辞任に追い込まれ、その後の不明朗な後継者選びもやりなしになりました。
 こういうことが次々に出てきている。声を上げれば変えられる。ネットの中での発言も大きな影響力がある。これからの選択はさらに強力だ。ネットで声を上げるだけでなく、選挙で1票を投じるからです。これからの選挙では、命を守るための選択が問われることになると思います。
 その選挙に向けて、こう言いましょう。「自公政権はもう時効だ!」と。
 しかし、秋の総選挙で野党が多数になっても、それですべて決着がつくわけではない。参議院はまだ与党が多数ですから、「ねじれ状態」になるだけです。
 そうであれば、最終的に決着がつくのは来年の参院選になるでしょう。都議選で立憲野党が躍進し、総選挙で多数となって我々の政府を樹立する。さらに、来年の参院選で野党が勝利することによって政権の安定を図る。これが今後の目標です。
 これからの1年間は大変な時代、まさに激突と激動の時代になるんじゃないか。コロナに感染しないよう健康に留意しながら、私たちの政府をつくり「新しい政治」に向けての扉を開く。それに向けてのさらなるご尽力をお願い致しまして、私の話を終わらせていただきます。どうも、ありがとうございました。

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