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8月31日(火) 『しんぶん赤旗』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『しんぶん赤旗』8月31日付の「政治考」に掲載されたものです。〕

 国民の命を守る国会開け

 こうした状況に政治学者の五十嵐仁法政大学名誉教授は次のように指摘します。「菅政権には命を守る政治ができないことがはっきりしてきた。命と暮らし、それに営業を守るということは、最も基本的で最低限の政治の役割です。政府がその役割を果たさないのだから、国会を召集し、その姿勢を改めさせ、国会議員、各政党の英知を結集して、総力を傾けて総合的な対策を講じる。これをやらないと、今、国民の命も健康も、営業も生活も守れないという状況になっています」

 国会召集拒否 立憲主義破壊のきわみ

 憲法53条は、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる」とし、「(衆参)いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その(臨時国会の)召集を決定しなければならない」と定めます。自公政権は、野党の追及を避けるため、53条による召集要求をたびたび無視してきました。これに対し、昨年6月10日の那覇地裁判決は、憲法53条により、国会議員が内閣に臨時国会の召集を求めた場合、内閣が国会を召集する憲法上の義務を負うと明確に認めました。五十嵐仁法政大学名誉教授は、国会召集に背を向ける菅政権を「立憲主義破壊のきわみ」と厳しく批判します。

 危機感の欠如

 菅義偉首相の「危機感の欠如」「楽観論」も際立っています。菅首相は「ワクチン接種がデルタ株にも効果があり、明かりははっきり見え始めた」(25日の記者会見)などと言明し、会見に出席した記者からも「疑問だ」と面前で批判されました。
 五十嵐氏は、「もっとも楽観バイアスに取りつかれているのは菅首相自身。人流は抑制されているから、開催しても大丈夫などと言って五輪を強行しました。結果、どんどん感染者、重症者が増えました。挙句の果ては、自宅でまともに医療も受けられない、あるいは、通常医療も破たんする状況になっています」と批判します。

 共産党緊急提案

 日本共産党は、コロナ感染爆発と医療崩壊の深刻化のもとで政府がとるべき対応として「症状におうじて必要な医療をすべての患者に提供する」「感染伝播(でんぱ)の鎖を断つために大規模検査を実行する」「パラリンピックを中止し、命を守る対策に力を集中する」の3点の菅首相あての「緊急提案」を発表(19日)しました。この提案も含めて国会で審議が求められます。
 五十嵐氏は、国会開会の「もう一つの意義」として「パラリンピックを中止し、臨時国会を開いて、野党の意見を聞き、国民の力を結集しますという姿勢を示すことで、国民全体に大変な状況にあるという危機感を共有する」と指摘、「補償とセットで自粛を求めれば、国民の行動変容を生み出すことにもつながると思います」と言います。

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