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9月14日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月14日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「総裁選の主張に絶句 むき出しになった正体に国民は唖然」

 そして、完全に馬脚を現したといっていいのが、「異端児」「改革派」と評されてきた河野だ。3・11以前から「脱原発」を持論としていたが、2015年の初入閣と同時に封印し、ブログの内容も削除。出馬表明会見で変節ぶりを突っ込まれると、「安全が確認された原発を当面は再稼働するのが現実的」「いずれ原子力はゼロになる」とゴマカした。女系天皇容認も撤回。防衛相だった昨夏の会見で、「現皇室で男系を維持していくには、かなりのリスクがあると言わざるを得ない」と言っていたのに、女性・女系天皇の検討先送りを決めている政府有識者会議の議論を尊重するとした。保守層へ露骨なゴマすりだ。

 河野政権が誕生したら「国がメチャクチャになる」とケチをつけていたという安倍の元に参じて、「ご懸念には及びません」と断りを入れる抜け目のなさもみせた。初めて総裁選に手を挙げた2009年とはまるで別人である。自民党が下野した直後で、当時のキングメーカーだった森元首相を「派閥のあしき勢力」とののしり、「森喜朗さんに派閥を解消すべきだと言って解消するか。絶対しない。しかし、河野総裁のもとで派閥の果たす役割はなにもない」と言ってのけていた。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「安倍・菅政権の9年間で自民党は変質してしまった。安倍1強支配の構造が仕組みとして出来上がり、最大派閥の細田派を実質支配する安倍前首相の支持なしには総裁選で勝てないことが『ポスト菅』をうかがう面々の動きで浮き彫りになりました。安倍前首相に恭順の意を示さないと、居場所を失いかねないほど自民党のアベ化は進んでいる。岸田、河野両氏が『らしさ』を失ったのは内向きの論理に迎合したからです。安倍直系の高市さんは、まさに『女性版・安倍晋三』。元気いっぱい、自信満々に振る舞っている点から見ても、自民党は極右勢力に乗っ取られていると言っていい」

 物言えば唇寒しでは、具体的な指示が下りてこない限り、官僚は動こうとしない。その結果、コロナ対策の多くが現場に届かない事態を招いているのだ。

 「3人の誰が勝っても、“同じアベノムジナ”。アベという毒が全身に回った自民党を政権から引きずり降ろさなければ、政治が国民生活を顧みることはないでしょう。総裁選の行方を判断材料にし、その先に控える衆院選で審判を下すほかありません」(五十嵐仁氏=前出)

 この先2週間は続くサル山のボス争いは、オンボロ自民党の見本市。ようやく終わりの始まりだ。


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9月11日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「自民党ボス争いはご勝手に 国民は野党連合の大転換に期待」

■安倍政治を続けるための総裁選

 「立候補予定者は、長期政権で政治を私物化してきた安倍前首相と麻生財務相のコンビから支援を得るために恭順の意を示し、安倍路線の継承を競っているように見えます。高市氏はもともと政治信条が安倍直系の右派だし、岸田氏も2人の支援を期待して“モリカケ桜”などの疑惑追及に後ろ向き。宏池会の領袖なのに憲法改正にも言及して安倍氏の歓心を買おうとしている。改革派を気取っていた河野氏も、持論だった脱原発や女系天皇容認論を封印し、安倍氏の軍門に下って出馬表明にこぎつけた。安倍氏にとっては、岸田、高市、河野の誰が勝っても疑惑を蒸し返されることはなく、影響力を行使できる状況です。つまり、誰が総裁になっても安倍支配は変わらない。この閉塞感を打ち破ることができるのは、森友問題の再調査の必要性も明言して安倍氏にスリ寄らない石破元幹事長だけですが、そういう人は党内で迫害され、総裁選に出られるかどうかも分からない。今後も安倍政治を続けるための総裁選になっています」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 平然と嘘を繰り返して国会を冒涜し、「桜を見る会」前夜祭の問題では捜査対象にもなっている希代のペテン師である安倍と、その盟友関係にある麻生財務相による支配の軛から逃れられない隷従集団が自民党の正体ということだ。それが、よく分かった。誰も「おかしい」と声を上げず、不法者を追放しようともせず、むしろ自ら進んで平身低頭、安倍・麻生支配に従う権力亡者の集まりに期待してもムダなのだ。

 大メディアはそんな猿山の争いを朝から晩まで実況し、「野党は埋没」「存在感がない」などと言っているが、あまりに国民をバカにしていないか。国民のこともサル扱いか。自民党議員と一緒にしないでもらいたいものだ。

■政権交代なら1日で政治が変わる

 今回の政策協定を土台にして、野党が候補者一本化を早急に進め、政権奪取後の具体的なビジョンを発信する。それで有権者の関心が高まって投票率が上がれば、政権交代は夢ではない。いま求められているのは忖度、隠蔽、恫喝、縁故主義で一部の上級国民だけがいい思いをする特権政治からの脱却なのである。

 「長く続いた安倍1強支配で自公政権は変質し、劣化腐敗して国民の声を無視するようになった。それがコロナ対策の失敗にもつながりました。自公政権はもはや統治能力を失っていて、総裁を代えれば何とかなるレベルではない。1回リセットが必要です。立憲民主党は、次期衆院選に向けた公約第1弾として、政権交代したら最初の閣議で決定する事項も発表しました。新型コロナウイルス対策を盛り込んだ30兆円規模の補正予算や、森友・加計学園問題の真相究明チーム設置、菅政権で拒否された日本学術会議の会員候補6人の任命、出入国管理施設で収容中に死亡したスリランカ人女性の監視カメラ映像公開などです。安倍支配下の自民党総裁選では何も変わらないが、政権交代すれば1日で政治が変わる。自民党総裁選を『事実上、次の首相を決める戦い』と報じる大メディアも安倍長期政権で一種の不感症になり、自民党が常に与党だと思い込んでいるのではないか。総裁選の直後に行われる衆院選の結果によっては、野党党首が首相になるかもしれないのです。もっと大きな視点で、安倍政治継続の是非や与野党の政策争点を報じた方が、よほど国民のためになるでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 自民党総裁選は、しょせんは内輪の話であり、国民不在で安倍の傀儡を争う卑小なイベントにすぎない。国民のために働く政治を切望するなら政権交代しかないのだ。

 だいたい、このコロナ禍で国会も開かず猿山のボス争いに興じている政党に国と国民の命運を託せるか? 国民が総選挙で厳しい審判を下さないかぎり、自民党は変わらない。甘やかせばツケ上がり、ますます国民をナメてかかるだけだ。

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9月10日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月10日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「国民は辟易 馬脚を現した河野太郎、悪相になった石破茂」

 ワクチン対応そっちのけで、実績ゼロの薄っぺらな人物が「新総裁の最右翼」とは悪夢のような展開である。

 無批判に「改革派」の印象を垂れ流すメディアがつくり上げた「うわべの人気」にホイホイ乗っかる自民党内も正気を失っている。

 総裁選の投票権を持つ議員383人のうち、衆院議員は275人。その約45%に当たる126人が当選3回以下だ。選挙基盤が弱い彼らにすれば総選挙を間近に控え、勝てそうな「顔」なら誰でもいい。無定見な我利我利亡者の群れに派閥の締め付けは利かず、生き残りしか頭にない“若手”に担がれ、イキがっている河野のオメデタさ。

 こんな狂った状況に改革派を自称する石破もなびくのか。改革派とは程遠い二階幹事長の支持を得ようとしたり、エセ改革派の河野支持に回ろうとしたり。右往左往のたび、悪相になり、それに磨きがかかっている印象だ。

 「新総裁を目指す自民党議員のうち、9年にわたる安倍・菅政治を否定してきたのは石破氏だけ。今回の総裁選でも筋を通さなければ存在価値を失い、総理のイス欲しさにブレれば自己否定につながる。かつての国民の支持はどんどん離れるだけです。出馬に向け党内の支持を得られなければ、自民党は異論を許さない、それまでの政党でしかないということ。『身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ』です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 石破がブレれば総裁候補たちは見た目は変われど、中身はしょせん、安倍・菅の生き写し。国民無視の権力亡者どもには、もう辟易だ。

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9月9日(木) 自民党政治を終わらせ、青年の声が届く新しい政権を(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、民主青年同盟の機関紙『民主青年新聞』第3095号、2021年9月6日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます、〕

 立憲主義・民主主義の破壊と政治・行政の私物化

 立憲主義・民主主義の破壊と政治の腐敗、私物化も深刻です。これは政・財・官の構造的癒着によるもので、自公の長期政権が背景にあります。国会を軽視し、憲法53条に基づく臨時国会の召集要求を拒み、内閣人事局などで官邸支配を強めて忖度をはびこらせてきました。
 「森友・加計」学園疑惑や「桜を見る会」、河井夫妻の選挙違反事件や1憶5000万円の資金供与などの問題では嘘やごまかし、言い逃れが相次ぎ、公文書の隠ぺいや偽造まで行われました。「森友疑惑」での公文書改ざんについてはその経過を記した「赤木ファイル」が公表され、「桜を見る会」前夜祭をめぐって検察審査会が「不起訴不当」と議決し、東京地検特捜部は改めて起訴するかどうかを判断することになっています。
 菅首相にも息子の「接待疑惑」が発覚しました。総務省官僚の接待事件、菅原一秀前経済産業相の略式起訴、秋元司衆院議員のIR汚職事件での裁判、菅首相の地元に本社がある太陽光発電会社のテクノシステムによる詐欺事件などのスキャンダルも続発しています。
 菅首相の異論排除の姿勢も前政権と変わっていません。典型は日本学術会議の会員任命拒否です。一刻も早く排除した理由を説明し、任命し直すよう求めていく必要があります。学術や科学技術、専門家に対する菅政権の軽視はコロナ対策でも大きな問題を生んでいます。

 改憲の野望と軍事大国化

 安倍前首相は改憲を最大の課題とし、「96条改憲論」や9条への自衛隊明記など、手を変え、品を変えて改憲発議をめざしました。それでも支持が広がらず、挫折させたのは運動の力です。菅首相も改憲手続き法案を成立させて安倍改憲路線を引き継ぎました。その背景には支持率低下への焦りや改憲の野望に燃える極右層へのすり寄りがあるように見えます。
 外交・安全保障面で、安倍前政権は従米政策を続けて軍事大国化を目指しました。特定秘密保護法や集団的自衛権の一部容認を定めた戦争法の制定、国家安全保障会議(NSC)の新設、武器輸出三原則の撤廃に米国製兵器の爆買いなどを強行し、アメリカとともに海外で戦争する国づくりを進めてきました。
 なかでも際立つのが、沖縄県民の民意を無視した名護市辺野古での米軍新基地建設です。県知事選挙や県民投票などで何度も示された「ノー」の声を無視し、歴代政権ではじめて土砂投入を強行したのが安倍前政権でした。
 ロシアとの北方領土問題を解決できなかっただけでなく事実上の「2島返還論」に後退し、中国にたいしては覇権主義的な行動や人権弾圧などに毅然とした批判をできずにいます。韓国とは徴用工問題と貿易制限をめぐって戦後最悪の状態となり、北朝鮮の核開発とミサイル実験を「国難」宣伝に利用するばかりで、日本人拉致問題について新たな進展はありませんでした。
 菅政権でも軍事費を増やし続けるなど、このような軍事大国化をめざす外交・安全保障政策は継続されています。高まる米中対立で独自の役割をはたせず、日米共同声明で「台湾」に言及することで米国追随の姿勢を示し、戦争法によって自動的に自衛隊が巻き込まれる危険性を高めました。台湾周辺海域で米中両国が軍事衝突した場合、「台湾有事」が「日本有事」に直結するリスクが増しているからです。

 政権交代で「新しい政治」の実現を

 以上のような「安倍・菅政権」による「古い政治」を一掃し、「新しい政治」を実現する絶好のチャンスが、来るべき総選挙にほかなりません。総選挙で自公両党に厳しい審判を下し、野党連合政権を樹立することが必要です。そのための準備はすでにできています。
 市民と立憲野党の共闘が実現し、多くの経験を積み重ねてきました。戦争法成立直後に日本共産党が提唱した「国民連合政権」の樹立は、今では相当の現実性を帯びてきています。妨害と分断の動きが激しくなっているのは「夢物語」ではなくなってきたからです。
 あきらめずに声を上げれば社会は変わるし変えられます。今年に入っても、東京五輪組織委員会の森会長が女性蔑視発言で辞任に追い込まれ、その後の不明朗な後継者選びもやり直しになりました。このような実例が次々に生まれています。
 4月の北海道と長野、広島での補選や再選挙、7月の東京都議選などで自民党は敗北し、立憲野党が勝利しました。次の総選挙でも野党共闘で勝利し、新しい政府を樹立すること――それが夢ではなく、現実となる可能性が生まれています。そのためにも、市民と野党の共闘を選挙だけでなく政権をともに担うものへと高めていかなければなりません。
 政権交代のチャンスは間もなくやってきます。総選挙こそ、国民無視の「古い政治」を続けてきた安倍・菅政権に厳しい審判を下す機会となるにちがいありません。
 若者の力で新しい時代の幕を開こうではありませんか。未来は青年のものですから。

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9月8日(水) 自民党政治を終わらせ、青年の声が届く新しい政権を(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、民主青年同盟の機関紙『民主青年新聞』第3095号、2021年9月6日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます、〕

 はじめに

 政治の機能不全と政府の統治能力の衰退が、今日ほど明らかになったことはありません。政治と政府が果たすべき最低限の役割は国民の生命と財産を守ることですが、新型コロナウイルスの猛威に直面してその最低限の役割が果たせなくなっているからです。
 しかし、このような政治の惨状はコロナ禍によって始まったのでもなく、菅政権になってからでもありません。国民と青年の暮らしや雇用の破綻、立憲主義や民主主義の破壊、議会政治とモラルの崩壊、政治や行政の私物化などは、第2次安倍政権が成立して以降、急速に進んできました。
 「安倍政権の継承」を掲げて出発した菅政権は、安倍政権が抱えていた「負の遺産」も引き継いでいます。この「安倍・菅政権」がどれほどひどい政権であったのか。改めて振り返ることで、来るべき総選挙での政権交代と「新しい政治」の必要性を明らかにしたいと思います。

 新型コロナ対策の大失敗

 新型コロナウイルスの全国的な感染爆発が続いています。全国の1日当たりの新規感染者は8月に2万人を超え、40都道府県でステージ4(爆発的感染拡大)相当となるなど、第5の波は以前にもまして大きなものとなりました。特に、デルタ株などの変異株は感染力が強く、若者なども重症化しやすいという特徴があります。
 病床利用率のひっ迫が深刻な状況となって入院できないケースも発生し、「自宅療養」する患者が7万人を超え、容体が急変して一気に重症化して死亡する事例も相次いでいます。救急車を呼んでも受け入れ先が見つからないケースも全国で発生するなど、まさに災害級の危機的な状況になりました。
 政府は8月17日に東京など6都府県に発令中の緊急事態宣言に7府県を加えて13都府県として期限を9月12日まで延長すること、まん延防止等重点措置も宮城や山梨など10県に追加適用して9月12日までとすることを決めました。このような新たな防止策が必要になったのは、これまでの対策が効果を挙げず、感染拡大の抑制に失敗しパンデミック(爆発的感染拡大)を招いたからです。
 安倍前首相は国民1人当たり2枚のマスクを配布したり、小中学校の一斉休校を打ち出したりするなど、思い付きで場当たり的な対策を講じました。まだ感染が抑え込まれていないのに旅行や外食を推奨する「GoTo キャンペーン」を前倒しして感染抑止の「日本モデル」を自慢しましたが、これらが全て誤りだったことは明らかです。
 菅首相も、PCR検査の数を増やさず、自粛や時短、休業に対する補償も不十分で、医療関係者に対する支援も遅れました。経済や五輪などへの配慮もあって感染防止対策に全力を注ぐことができず、緊急事態宣言下での五輪とパラリンピックを強行し、感染の拡大を招きました。
 このように、安倍・菅政権によるコロナ対策は大失敗に終わっています。その最大の要因は政権への信頼が決定的に欠けている点にあります。菅首相はコロナ対策の失敗を認めず、きちんとした説明によって国民との信頼関係を築こうとしていません。頼みのワクチン接種は進まず、さらに感染力の強いラムダ株が初確認され、出口が見えないコロナ禍の下で菅政権は迷走を続けるばかりです、

 暮らしと雇用の破壊

 新型コロナウイルスの感染拡大の下で青年の生活苦が高まり、貧困化も進みました。アルバイトなどの職を失った青年や学生は各地での「食糧支援」などで何とか食いつないでいるという深刻な状況になっています。その背景には、安倍前首相時代に実施された経済再建策「アベノミクス」の失敗があります。
 安倍前政権の下で、たしかに1万円前後だった株価は2倍以上の2万3000円前後に上がり、大企業の内部留保は45%も増え、数字上は名目賃金が上昇して雇用も改善されました。しかし、その内実は年金積立金の運用による人為的な株価引き上げで大企業と富裕層をもうけさせたにすぎません。
 デフレ克服の2%の物価目標は達成されず、少子高齢化も止まらず、労働人口は減り、実質賃金と可処分所得は低下し続け、非正規雇用が増えました。消費税が5%から8%へ、さらに10%へと引き上げられ、国民の暮らしと経済を直撃して貧困と格差を拡大しています。
 また、高齢化に伴う社会保障費を削り、生活保護費も連続的に引き下げてきました。年金、医療、介護なども削られ、コロナ禍のもとで医療体制の脆弱性と高齢者福祉の劣悪さが露わになったのはこのためです。労働政策でも高度プロフェッショナル制度を含む「働き方改革一括法」を成立させました。
 菅政権下でもこのような路線は「継承」され、今年の通常国会では高齢者医療費2倍化法案や病床削減推進法案などの法律が成立しました。コロナ禍によって飲食・小売業、旅客や運輸業などは大打撃を受け、廃業や倒産も相次ぎ、個人消費が低迷し、失業者が増えて長期化するなど、日本経済は大きな試練にさらされています。

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9月7日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月7日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「“顔だけ替えて国民だまし”の総裁選 そうは問屋が卸さない」

 選挙で自身の生き死にがかかっているのだから、派閥の締め付けも利かない。それで、大メディアは「今回の総裁選は派閥の論理が通用しない」などと“したり顔”で解説しているのだが、茶番もいいところだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「能力不足でコロナ対策もマトモにやれない菅首相が辞めることは朗報ですが、彼がいなくなれば自民党が急に良くなるわけではない。事実上、次の首相を決める総裁選について報道することには公益性があるものの、報道の仕方が問題です。出馬が取り沙汰されている顔ぶれを見ても、ロクでもない人や怪しげな人物ばかりで、リーダーとしての資質が疑われる人がほとんどなのに、“誰が勝つのか”だけに焦点を当てて、競馬のように予想を立てることにどれだけの意味があるのか。人気投票ではなく、『この人が勝てばこういう政治になりそうだ』と報じるのがメディアの役目でしょう。それに、自民党総裁選の本質は国民不在の権力闘争です。今も派閥の親分が裏でコソコソ暗躍している。党内力学で新総裁が決まることに変わりはないのに、まるでガチンコ勝負のようにメディアが煽り、お祭り騒ぎを演出することは、自民党の目くらましに加担しているだけなのです」

 菅政権のデタラメなコロナ対応でワクチン担当を任された河野は、調整能力もないのに高圧的に命令するばかりで現場を混乱させただけだった。異論をシャットアウトし、説明責任を果たさないことでは菅に勝るとも劣らない。霞が関では河野のパワハラ体質を知らない者はいない。そういう実像を大メディアは伝えないのか?

 野党はコロナ対応の臨時国会召集を要求していたが、自民党は拒否。1カ月近くも総裁選で政治空白を生むことを選んだ。その間、コロナ対策は置き去りにされるのだ。

 立憲民主党の安住国対委員長は「総裁選をやっても自宅で療養している方を誰一人助けることはできないが、国会を開けば、財源が枯渇しているところに手当てできる」と訴えていたが、これは本来、政権与党側が言うべきことではないのか。

 「このコロナ禍に国会も開かず、内向きの権力闘争に明け暮れる自民党は、もはや統治能力を失っているとしか言いようがない。一体、どこを見て政治をしているのか。総裁選につぎ込むエネルギーの何割かでもコロナ対策に振り向ければいいのに、国民のことは眼中にないかのようです。大メディアは泥舟の上の茶番劇を一生懸命に報じていますが、船長の顔を代える国民だましはもう通用しない。船そのものを変えなければ沈んでいくだけという切実な段階に来ている。新総裁のご祝儀相場で秋の衆院選に自民党が勝つようなことになれば、国民は今以上にナメられ、虐げられる一方ですよ。野党も今度こそ腰を据えて、死に物狂いで挑まなければダメだし、ここで負ければオシマイです。国民の失望が野党批判に向きかねません」(五十嵐仁氏=前出)

 総裁が代わっても、安倍・菅政権で顕著になった自民党政治の体質は変わらない。忖度、恫喝、縁故主義の利権政治が続くだけだ。“モリカケ桜”疑惑に河井夫妻の1億5000万円、IR汚職、学術会議の任命問題、GoToやオリ・パラ強行と税金の中抜きなど、前回総選挙からの4年間で何があったかを忘れてはいけない。

 多くの一般国民は自民党総裁選に投票できないが、総選挙では自民党政治に審判を下すことができる。いったん下野させて、安倍・麻生・二階・菅の支配を終わらせる以外に日本再生の道はない。

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9月5日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月5日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「「自爆のぶん投げ」の全真相 万策つきた菅首相、辞任の必然」

 「首相となって1年、コロナ対策を中心とする課題に全力で取り組んできた。コロナ対策と総裁選の選挙活動には莫大なエネルギーが必要であり、両立できない。コロナ感染防止策に専念したいと判断した」

 この期に及んで「コロナに専念」とは、よく言えたものだ。一体いつ、全力でコロナ対策に取り組んだのか。

 肝いりの「GoToキャンペーン」で全国にウイルスをまき散らし、東京五輪強行で感染爆発を招いた張本人だ。ワクチン接種で感染拡大を抑え込めると信じ込み、抜本的なコロナ対策はおざなり。結果、医療崩壊をきたし、「自宅療養」の名目で放置され、医療を受けられずに孤独死するケースが相次いでいる。ゆるゆるの水際対策で感染力の強いデルタ株の流入を許したことから、菅政権下で約147万人が感染し、1万4000人超が命を落とした。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「内閣支持率が30%を割り込んで危険水域に突入したのは、菅政権が続けば命がいくらあっても足りないからです。菅首相は世論に追い詰められ、党内の求心力も失い、万策尽きて政権を投げだした。現職なのですから、総裁選の選挙活動をせずに公務に専念したとしても、世論に評価されていれば結果はついてきたはずです。弁解すべき内容すら持ち合わせていないから、不出馬表明もメチャクチャ。追い詰められたのは明白です」


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9月4日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月4日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「追い詰められた無能首相 ブン投げ辞任に至るデタラメの数々」

■根拠なき自信で差し出す「毒まんじゅう」

 自分の言葉でしゃべれない、発信しない、何をしたいのか分からない。昨年の総裁選のように「雪深い秋田の農家の長男に生まれ……」だけでは今回は乗り切れない。周囲が危ぶむ気持ちは日増しに強まる一方だったが、自分が見えない菅は「根拠なき自信」にあふれていた。党役員人事などの刷新で事態が変わると思っていたフシがある。

 「俺は勝負に強い」「俺には指導力がある」「総裁選をやれば携帯電話料金値下げなど成果を示せる」「誰が俺に勝てるんだ」――。漏れ伝わってくるだけでも、周囲にそう語っていたという。

 まるでお宝鑑定番組で偽物をつかまされたことに気づかず、「自己評価額は1000万円!」と言い張り、恥をかくオジサンと同じだ。

 菅が敗れれば、新総裁の下で人事は改めてやりなおしになる。数週間の短命に終わりかねない「危ない橋」だ。党内のドン引きも意に介さず「皆、俺についてくる」と言わんばかりの錯乱首相と心中するモノ好きが、はたしているのか。メディアは人事の目玉として月曜から4日連続で官邸に呼び出された進次郎、河野ワクチン担当大臣、石破元幹事長らの名を伝えるが、彼らにしても「いい迷惑」だろう。水面下で打診され、断った可能性がある。こうして菅の万策は尽きた可能性がある。

 「今なお菅首相が『人事で釣れる』と思っているのが大きな勘違いなんですよ。打診を受けたら、ポスト欲しさに『毒まんじゅう』を食べたと有権者に見なされ、後々まで禍根を残す。最悪、政治生命はオシマイです。総選挙を控え、そんな賭けに出られるのは、よほど選挙に自信があるか、菅首相と同じギャンブラー気質の議員だけでしょう。菅首相の楽観バイアスの極みのような新人事の狂騒曲に、このコロナ禍で党内抗争に入れ揚げている場合か、と国民は冷めた目で見ています」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 国会召集そっちのけで進む世にもバカげた新人事。どうして自民党は菅を羽交い締めにして引きずり降ろさないのか、摩訶不思議だったが、ようやく、菅も諦めた。


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9月3日(木) タウン紙『asacoco』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは、多摩地域を対象に朝日新聞と一緒に届けられるタウン紙『asacoco』第216号、2021年9月2日付、に掲載されたものです。〕

緊急出版『市民と野党の共闘で政権交代を』
政治を変える、今が絶好のチャンス

 先月末、あけび書房から『市民と野党の共闘で政権交代を』が出版された。今秋の衆議院総選挙と来夏の参議院選挙を控え、その選挙の争点や市民お手に政治を取り戻すための課題について、各界の第一線で活躍する7人の寄稿をまとめた一冊だ。

 政治を変えるしかない

 著者の一人、法政大学名誉教授の五十嵐仁さん(70=八王子市)は「まさに、そのものズバリの題名です。今こそ、政治を変える極めて大きなチャンス」と話す。
 「コロナ感染対策も後手後手になり、人々の命が守られない。こんな状況はもうガマンの限界です」と五十嵐さん。
 どうすれば政治を変えられるか。五十嵐さんは本書で、市民と野党共闘が今まで積み重ねてきた経験と実績を、具体的にわかりやすく解説する。また気候変動など、日本を含む世界全体が時代の転換期にあることを指摘。今そのことを自覚し、真剣に取り組むべきと主張している。

 「命を守る選挙」へ行こう

 「秋の総選挙や来年の参院選は、極めて重要な意義があるだけでなく、市民の力を最大限に発揮できる選挙」と五十嵐さん。「多くの市民に本書を読んで欲しい。そして『命を守る選挙』に行って欲しい」と五十嵐さんはコメントしている。


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9月1日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「国民の総意は菅NO 自民党総裁選は「浅ましさ」の見本市」

 菅政権がグラグラなのは〈自民党員や国民の皆様の十分な信任を受ける機会がなかったから〉などとサラッと片づけて、批判は一切なし。国民の最大関心事であるコロナ対策への言及も一切なし。この国の経済をズタボロにし、格差を拡大させたアベノミクスをもう一度とか言っているから度し難い。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「総裁選はコップの中の争い。国民の方を全く見ていない。その一方で、役者が揃わなくてもテレビなどが動向をそれなりに報じるので、権力闘争のドラマに世間は引きつけられてしまう。コロナ禍から国民の目を背け、批判を弱めようという意図も感じます。悪質なコロナ隠しです」

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