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9月26日(日) 「活路は共闘」総選挙でも(その1) [論攷]

〔以下のインタビュー記事は『東京民報』2021年9月26日付に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 自民党総裁選 ラベル替えても中身同じ

 菅義偉首相が総裁選不出馬を表明したもとでの自民党総裁選が、29日に投開票を迎えます。11月までに必ず行われる総選挙を前に、政治情勢の大激動が続いています。政治学者の五十嵐仁さん(法政大学名誉教授)に、緊急インタビューしました。

 インタビュー 菅辞任と総裁選

 ―菅首相の突然の辞任をどう見ていますか。

 最重要課題としていた新型コロナ感染拡大の阻止に失敗し、政権運営に行き詰まった結果で、当然のことだと思います。
 感染拡大の背景にあるのは、反対を押し切って強行した五輪・パラリンピックによってある種の「楽観バイアス」を広げてしまったことです。
 支持率がじり貧状態に陥り、このままでは選挙をたたかえないという「菅離れ」が自民党内で拡大した。これに焦った菅首相は二階俊博幹事長を外す役員人事で挽回を策したものの逆に反発を広げ、〝策士策に溺れる〟結果になりました。人事介入によって事態を打開するという菅さん一流の手法が、かえって破綻を招いてしまったのです。

 ―辞任は、安倍・菅政権の9年間の行き詰まりでもあると思います。

 今回の政権投げ出しには、長期・中期・短期の背景があります。
 長期的には自己責任論の新自由主義的政策を、自公政権はずっととってきました。ケア軽視で効率優先、医療や福祉に力を尽くさない政策を続けてきた結果、コロナ禍によって必要な人に必要な医療が届かない、とんでもない事態が生じました。
 中期的には、安倍・菅政権の9年間続いた、国民の声を聞かず、官邸支配で問答無用の独善的政治の過ちがあります。そのことは、コロナ対策でも、専門家の意見を聞かず、国民に説明をせず、責任も取ろうとしない姿勢として現れました。
 菅首相も、安倍前首相の「アベノマスク」などの迷走のように、科学無視で後手後手の対応という「コロナ失政」を継承しました。これが短期的な背景です。

 ―現在、自民党総裁選がたたかわれています。

 立候補者は安倍・菅政権を支えてきた人ばかりで、誰が選ばれても大きな変化はありません。いくら「ラベル」を張り替えても、ビンの中身は腐っています。中身ごと取り換える必要があります。
 かつての自民党は、総裁の交代で「擬似政権交代」のような形で目先を変えることができました。でも、今は派閥の違いがほとんどなくなり、結束力も弱くなっています。「安倍一強」に支配され、異論や反対する者の居場所がなくなったのが、現在の自民党の姿です。
 メディアは総裁選で大騒ぎしていますが、これは自民党のねらい通りで、新内閣誕生で支持率が高いうちに衆院選になだれ込む戦略です。メディアへの批判も重要ですが、支持率が一時的に高まるだろう新政権とのたたかいを覚悟して、野党は準備しなければなりません。

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