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9月29日(水) 野党連合政権の樹立で日本の食と農を救おう [論攷]

〔以下の記事は、農民運動全国連合会(農民連)の機関紙『農民』第1474号、2021年9月27日付に掲載されたものです。〕

 国の進路と農林水産業の命運をかけた歴史的な総選挙

 万策尽きた上での政権投げ出し

 「パンケーキ」の賞味期限がきたということでしょうか。菅義偉首相が自滅しました。自民党の総裁選挙に立候補しないと表明したのです。新型コロナウイル対策に失敗し、万策尽きたうえでの政権投げ出しでした。
 9年にわたる安倍・菅自公政権が破たんした結果でもあります。国民の多くが反対した五輪・パラリンピックの強行やコロナ感染の拡大、医療崩壊と生活破壊に加え、気候危機に対する無策も深刻です。異常な高温や豪雨などが農業に甚大な被害をもたらし、口先だけの温暖化対策では第1次産業の基盤を守ることはできません。
 脱炭素社会化の遅れ、原発再稼動と放射能汚染水の放出決定、デジタル庁発足による国民監視、モリ・カケ・桜など政治の私物化と腐敗、辺野古埋め立て強行と日米軍事一体化の強まりなど、自公政権の失政は数え上げればきりがありません。

 生命と農業を守るための選択

 この自公政権を打倒するチャンスが、間もなくやってきます。総選挙の結果次第で政治は一変し、日本は大きく変わります。まさに、国の進路と農林水産業の命運をかけた歴史的な選挙となるでしょう。
 国民にとっては生命を守る選択になります。自公政権によるコロナ対策の迷走に終止符を打ち、いのちと暮らしを守ることのできる政治を実現しなければなりません。病気になっても医者にかかれず、自宅で死を待つような事態になると、一体だれが予想したでしょうか。
 先手の感染対策を講じ、ワクチン接種を進めながら医療体制への支援を強め、自粛に対してはきちんと補償するべきです。国民の声に耳を傾け、丁寧に説明して責任を取らなければなりません。最大の問題点は、問答無用の「官邸支配」によって政治への信頼が失われたことではないでしょうか。
 農業従事者にとっては農業と農村を守るための選択になります。安倍・菅政権はコロナ禍で生じた農産物需要の減少と価格低下を放置し、新自由主義に基づく産業基盤の脆弱性を露わにしました。この自己責任論に基づく農業破壊に終止符を打たなければなりません。
 とりわけ、外食需要の落ち込みや学校給食の中止などによるコメ需要の激減と米価の暴落は深刻で、コメ農家を絶望の淵に追い込んでいます。長年の農業破壊によって昨年の食糧自給率は過去最低の37%に低下し、過去5年間で農業従事者は46万人も減少しました。危機に瀕している日本の食と農を守るためには、もはや政権を変えるしかありません。        

 政権交代に向けての「一票一揆」

 今度の総選挙の最大の意義は、政権交代が現実のものとなるかもしれないという点にあります。市民と野党の共闘で自公政権を倒せる可能性が大きくなっているからです。立憲・共産・社民・れいわ4党の共通政策の合意によって、その可能性はさらに高まりました。
 この政策合意には、憲法、コロナ対策、格差是正、エネルギー転換、ジェンダー平等、行政の透明化など6本柱20項目の対策が提示されています。その中には、「農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する」という項目もあり、この「政策を実行する政権の実現をめざす」とされています。
 このような政権は、市民と野党の共闘によって実現することができます。2016年の参院選では東北5県と長野・新潟の1人区で野党共闘の候補が勝利しました。これを上回る「東北の反乱」によって一票による「百姓一揆」を起こそうではありませんか。
 農民連と仲間の皆さんが政権交代に向けての「一票一揆」に立ち上がり、市民と野党の共闘の先頭に立たれることを期待しています。何よりも、日本の食と農を救うために。そして、破綻した農政と衰退しつつある農村を立て直すために。

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