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10月18日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「この政権は何をやりたいのか “党内御用聞き内閣”に風吹かず」

 国民の代表である国会軽視の政治も安倍・菅両政権から一歩も変わらず、投開票日を想定より1週間前倒しして、サッサと解散。ボロが出ないうちに大急ぎで衆院選になだれ込む党利党略と政権の延命重視。耳を傾けるのは、自分を総理にしてくれた党内でも一握りの重鎮だけ。「聞く力」どころか、もはや「党内御用聞き内閣」である。

 岸田が本気で「国民の声を聞く」というのなら、5年8カ月余りも金銭授受疑惑の説明責任を果たさない甘利の幹事長起用はあり得ない。強烈な「甘利ファクター」の破壊力によって、新政権発足のご祝儀ムードは一掃。内閣支持率は過去20年の政権の発足時と比べ最低水準でスタートを切ったのも、自業自得だ。

 各選挙区を取材しても、自民候補の陣営は「ちっとも地元は盛り上がっていない」と悲鳴を上げている。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「持論は後退、封印の連続でメッキがはげるのもスピード解散と同じ戦後最短ペース。早くも3A支配の地金が鮮明になっては、この政権に今後も上がり目はないでしょう。岸田首相は『未来選択選挙』とブチ上げましたが、2~3週間程度で有権者に『未来』を選ばせるなんて、ムチャな話。首相就任以降の言動を見る限り、衆院選公約も選挙に勝ちさえすれば、あとは野となれの粉飾公約に違いない。既に仕組まれた安倍カラーの軍拡路線を吟味せず、新しい資本主義なんて言葉に惑わされると、カーキ色の未来が待ち受けるだけです」

 この先、最長4年間も民主主義をぶっ壊すアベスガ路線に未来を拘束されるのはごめんだ。自公政権に未来は託せない。

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10月17日(日) 政権を変えるしかない 政策担当者として反省必要 [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、『連合通信・隔日版』No,9686、2021年10月14日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

〈五十嵐仁法政大学名誉教授に聞く〉下

――所信表明演説を見た感想は?

 私は「3ない演説」だと言っている。一つ目が、コロナ失政やモリカケ桜の問題、経済政策への反省がない。「新しい資本主義」と言いながら、格差を拡大させた「アベノミクス」と同じことをやると言っている。二つ目が、これらの「負の遺産」を変える覚悟がない。三つ目は具体策がない。演説では岸田色を出そうとする意図がうかがえるが、地金は安倍カラーだった。
 岸田色を出すのは簡単。「憲法9条を守る」と言えばいい。宏池会元会長だった古賀誠自民党元幹事長は「憲法9条は世界遺産」という本を出した。そこまでしろとは言わないが、「同感だ」くらい言えばいい。岸田氏自身6年前に「9条を変えない」と述べていたのだから。
 森友学園問題の公文書偽造を再調査する、核兵器禁止条約にオブザーバー参加する、日本学術会議会員への任命を拒否された6人を再任命するといえば、さらに岸田色が出るはずだった。
 だが、今の自民党ではそれは言えない。総裁選で高市早苗氏が河野太郎氏より多くの国会議員票を得るなんて、かつての自民党ではあり得なかった。自民党がいかに右傾化し、戦前回帰的な安倍カラーに染まっているかを良く示している。
 改憲問題でいえば、岸田氏はポストを得るために魂を売った。安倍政権で政調会長に就任してから改憲の地方行脚を始め、総裁選では「任期中に改憲のめどをつける」と述べた。
 今の政治を変える力は自民党から生まれてこないということが、総裁選と組閣人事で明らかになった。もはや腐りきった政権を丸ごと変えるしかない。

――岸田首相はコロナ対策の給付金の支給や、賃上げ促進を掲げています

 選挙を乗り切るための「まき餌」だろう。岸田氏は安倍政権の下で政調会長を務めていた。政策担当の責任者だった時に、なぜそれをしなかったのか。給付金の拡充を求めていた野党の要請を無視し続けていたではないか。
 賃上げ促進も同じ。選挙向けの餌だ。所信表明では最低賃金に一言も触れなかった。その点では安倍以下だ。本気なら覚悟を示すべき。これまでの政策的な失敗についての反省がないと説得力もない。
 安全保障についてはさらにひどい。総裁選では専守防衛の国是を踏みにじる「敵基地攻撃能力の保有」を主張していたし、米国からの「武器爆買い」も容認していた。軍事大国路線はそのまま維持する。どこがハト派か。「カーキ色」のハトに、幻想を抱いてはいけない。

 安倍氏らを喜ばせるな

――野党共闘と連合の動きについてはどう見られていますか?

 連合の新会長が、就任会見で野党共闘に水を差す発言をしていた。野党がまとまって「さぁ政権をとるぞ」と意気を挙げようとしている時に、水をぶっかけているのだから困ったものだ。
 女性で、中小企業労組であるJAMを基盤として抜てきされ、期待していただけに残念だ。民間大単産の顔色をうかがってポストを手に入れ、喝采を得たいための忖度(そんたく)発言だったとすれば、岸田氏と同じ構図ではないか。
 4月の3選挙、東京都議選、横浜市長選で連合は足を引っ張ったが、野党共闘の候補が勝利した。そんなことをしなければもっと容易に勝てたし、総選挙に向けても期待が高まっていただろう。
 政治を私物化し、憲法と民主主義を踏みにじって来たアベスガ政権の前・元首相や、その周りで甘い汁を吸ってきた連中を喜ばせてはだめだ。今回の総選挙の基準はそこにある。少なくとも、それくらいの判断ができる見識が必要ではないか。(おわり)

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10月16日(土) 安倍支配を継続する岸田政権 「ハト派」の幻想振りまく [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、『連合通信・隔日版』No,9686、2021年10月14日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 〈五十嵐仁法政大学名誉教授に聞く〉上

 安倍・菅の2代にわたる政権がコロナ対応への失政で退陣し、岸田政権が発足した。岸田文雄氏は、ハト派で保守本流と呼ばれる党内派閥「宏池会」の出身。説明責任を一切果たさなかった前政権と比べて、清新で穏健な印象が持たれがちだ。五十嵐仁法政大学名誉教授は「安倍支配は継続」と指摘し、「ハト派の幻想で、アベスガ政治の本質を隠す役割を担っている」との見方を示す。

――岸田政権発足後、安倍晋三元首相との距離感についてさまざまな見方が報じられています

 五十嵐 メディアの評価が分かれるのは、外見と中身が異なるから。岸田政権は基本的にアベスガ政権の路線を継承している。安倍元首相の影響力がより強まった面さえある。ただ、表面的にはこれまでと同じようにはできないというジレンマを抱えている。
 特に組閣から所信表明演説までは、アベスガ路線を引き継いでいるという本質を、見えにくくするためのコーティング(覆い隠す)作業が行われてきた。岸田氏自身、「保守本流」の宏池会出身でハト派・リベラルと見られていた人。そういう外見を利用する形で幻想を振りまいている。
 菅政権は違った。菅前首相は「アベ政治の継承」を堂々と公言していた。岸田首相はそうはせず、「人の話をよく聴く」「成長だけではなく分配を」「新しい資本主義をめざす」などと言う。宏池会的な幻想を生みだそうという意図が表れている。
 なぜ幻想が必要か。一つは、安倍政治が多くの問題を生み出してしまったからだ。説明しない、国会軽視など民主主義の破壊、批判に耳を傾けない、格差の拡大。岸田首相の主張は全て、安倍政治が生み出した問題の存在を暗に認めている。
 二つ目は菅政権の失敗。コロナ対応、「政治とカネ」、公文書改ざんや日本学術会議の問題など、説明責任を放棄していた。結果、世論の批判が高まり、退陣に追い込まれた。その轍(てつ)を踏みたくないのだろう。
 三つ目は、世論調査で明らかになったように、国民の多くがアベスガ政治を拒否していること。彼らの敷いた路線を「引き継がない方が良い」が多数だ。
これらの理由から、自民党は新政権でアベスガ政治の本質を覆い隠す作業が必要になったということだ。

 「安倍背後霊内閣」

 特に、党人事にその本質が表れている。甘利明幹事長、麻生太郎副総裁、安倍元首相の出身派閥である細田派の優遇など、「3A」が党人事を通じて党内を支配できる仕組みが出来上がった。
 岸田首相が本気で政策転換をめざすなら、党政調会長の高市早苗氏はあり得ない。タカ派で極右。私に言わせれば仮面をかぶった安倍晋三だ。その人物を、選挙公約をつくる政策責任者に据えるのは、政策転換の意思がないということ。安倍支配が今も隠然と続く「安倍背後霊内閣」だといえる。
 閣僚人事も見栄えと滞貨一掃重視の「粉飾内閣」だ。組閣から選挙終了まで27日しかない。野党の要請を無視し、予算委員会を開かないので、答弁に立たせる必要もない。
 仮に国会で多数派を維持すれば、選挙後には内閣改造がある。だから実際は仕事をする必要のない「看板だけ」の人たちを並べた。若手や入閣待機の古参・中堅議員。若手は外見をよくするための「食品サンプル」だ。おいしそうに見えるが、食べられない。
 この点を見ても、総選挙で票をかすめ取るためだけのコーティングされた内
閣だといえるだろう。(続く)

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10月15日(金) 野党分断を狙った新たな反共攻撃 [論攷]

 〔以下の論攷は、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の機関紙『不屈』No.568、2021年
10月15日付、に掲載されたものです。〕

 9月10日放送のTBS系番組「ひるおび!」で、矢代英輝弁護士が共産党は「まだ暴力的な革命を党の要綱として廃止していない」と発言し、大きな批判を招きました。これについて矢代氏は13日と17日の二度にわたって謝罪し、「ご指摘の通り、現在の、共産党の党綱領にはそのような記載は存しません。選挙を間近に控えたデリケートなこの時期に、私の発言により多くの関係者の皆様方に多大なご迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げます」と謝罪しています。
 この矢代氏の再度の謝罪を受け、共産党の志位和夫委員長はツイッターを更新して八代氏の発言を引用した上で「謝罪・訂正したものと受け止めます」と投稿しました。

 反共主義に基づくデマ発言

 矢代氏の発言は典型的な 反共主義に基づく虚言(デマ発言)です。その根拠とされた「要綱(綱領)」には、「現在」だけでなく「過去」においても「暴力的な革命」をめざすような記述はありません。つまり、根拠なしの誹謗・中傷だったのです。だからこそ、一方的な謝罪という形になりました。
 また、矢代氏の「謝罪」が二度に渡ったのは、最初の謝罪の際、矢代氏が「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした」などと開き直り、それが新たな批判を招いたからです。これに悪乗りする形で、加藤勝信官房長官が「政府の認識は何ら変更するものではない」などとアシストしました。
 しかし、破壊活動防止法に基づいて共産党を監視対象にしている公安調査庁は、過去70年近くの間、破壊活動を裏付けるような証拠を一切示すことができませんでした。公安調査庁や政府の答弁書の根拠の一つにされてきた「敵の出方論」についても、共産党の志位和夫委員長は9月8日の中央委員会総会で「どんな場合でも平和的、合法的に社会変革事業を進める立場だった」と強調し、「ねじ曲げた悪宣伝に使われる。この表現は使わないことを明確にしたい」と述べています。

 正々堂々とした政権交代で反撃を

 矢代発言によって共産党の綱領に注目が集まり、暴力革命否定の立場がより明確に理解される結果になりました。また、野党国対委員長会談で共産党の立場を支えることが確認され結束が強まるなど、反共攻撃を加えた側にとってはかえって逆効果になったと言えます。
 矢代氏のデマ発言や総裁選をめぐる「狂騒曲」のように、菅首相の退陣という危機に陥った支配勢力は必死の巻き返しを図っています。事実に基づかないデマやそれに便乗した反共攻撃はこれからも繰り返されるでしょう。どのような攻撃や巻き返しがあっても結束を緩めず、跳ね返せるような体制の構築が求められています。
 デマに対する最善の反撃は事実を示すことです。腹を固めて市民と野党の共闘を強め、総選挙に勝利しようではありませんか。暴力とは無縁の正々堂々とした手段によって「平和的、合法的に」政権を獲得し、「社会変革事業を進める」ことこそ、矢代発言の誤りを正し最も効果的な鉄槌となるにちがいないのですから。

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10月15日(金) 野党分断を狙った新たな反共攻撃 [論攷]

 〔以下の論攷は、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の機関紙『不屈』No.568、2021年
10月15日付、に掲載されたものです。〕

 9月10日放送のTBS系番組「ひるおび!」で、矢代英輝弁護士が共産党は「まだ暴力的な革命を党の要綱として廃止していない」と発言し、大きな批判を招きました。これについて矢代氏は13日と17日の二度にわたって謝罪し、「ご指摘の通り、現在の、共産党の党綱領にはそのような記載は存しません。選挙を間近に控えたデリケートなこの時期に、私の発言により多くの関係者の皆様方に多大なご迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げます」と謝罪しています。
 この矢代氏の再度の謝罪を受け、共産党の志位和夫委員長はツイッターを更新して八代氏の発言を引用した上で「謝罪・訂正したものと受け止めます」と投稿しました。

 反共主義に基づくデマ発言

 矢代氏の発言は典型的な反共主義に基づく虚言(デマ発言)です。その根拠とされた「要綱(綱領)」には、「現在」だけでなく「過去」においても「暴力的な革命」をめざすような記述はありません。つまり、根拠なしの誹謗・中傷だったのです。だからこそ、一方的な謝罪という形になりました。
 また、矢代氏の「謝罪」が二度に渡ったのは、最初の謝罪の際、矢代氏が「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした」などと開き直り、それが新たな批判を招いたからです。これに悪乗りする形で、加藤勝信官房長官が「政府の認識は何ら変更するものではない」などとアシストしました。
 しかし、破壊活動防止法に基づいて共産党を監視対象にしている公安調査庁は、過去70年近くの間、破壊活動を裏付けるような証拠を一切示すことができませんでした。公安調査庁や政府の答弁書の根拠の一つにされてきた「敵の出方論」についても、共産党の志位和夫委員長は9月8日の中央委員会総会で「どんな場合でも平和的、合法的に社会変革事業を進める立場だった」と強調し、「ねじ曲げた悪宣伝に使われる。この表現は使わないことを明確にしたい」と述べています。

 正々堂々とした政権交代で反撃を

 矢代発言によって共産党の綱領に注目が集まり、暴力革命否定の立場がより明確に理解される結果になりました。また、野党国対委員長会談で共産党の立場を支えることが確認され結束が強まるなど、反共攻撃を加えた側にとってはかえって逆効果になったと言えます。
 矢代氏のデマ発言や総裁選をめぐる「狂騒曲」のように、菅首相の退陣という危機に陥った支配勢力は必死の巻き返しを図っています。事実に基づかないデマやそれに便乗した反共攻撃はこれからも繰り返されるでしょう。どのような攻撃や巻き返しがあっても結束を緩めず、跳ね返せるような体制の構築が求められています。
 デマに対する最善の反撃は事実を示すことです。腹を固めて市民と野党の共闘を強め、総選挙に勝利しようではありませんか。暴力とは無縁の正々堂々とした手段によって「平和的、合法的に」政権を獲得し、「社会変革事業を進める」ことこそ、矢代発言の誤りを正し最も効果的な鉄槌となるにちがいないのですから。

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10月14日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月14日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「詭弁にしか聞こえない 「成長も分配も」とは詐欺師の口上」

 この1週間で分かってきたことは、総裁選で「新しい資本主義」という大風呂敷を広げていたが、その中身は空っぽだったということだ。なにしろ、いつまで待っても具体策が出てこない。

 「すべて総裁選に勝利するためだったということです。国民の多くは“安倍政治”からの脱却を求めている。そこで、かつて所得倍増を掲げていた『宏池会』のイメージをふりまけば有利だと考えたのでしょう。でも、付け焼き刃だから底が浅い。予算委員会の開催を嫌がったのも、具体策がないと発覚することを恐れたからでしょう。そもそも、本気で格差是正や、分配重視といった宏池会らしい政策を実行しようと考えていたのかどうか。本気だったら、高市早苗さんを政調会長に就けないはずです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 どうやら、コロナ対策の目玉だった<予約不要の無料のPCR検査所の拡大>も断念してしまったようだ。

 それにしたって、たった1週間でメッキがはげるとは、薄っぺらいにも程がある。


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10月12日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月12日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「騙されてはいけない 岸田の分配は「今だけ」「口だけ」」

 大企業が貯め込む内部留保を吐き出せ、従業員の給与に回せ、と迫られていれば蜜月なんてあり得ない。分配の財源に掲げる株式売却益などの金融所得課税強化も、岸田はあっさり先送り。10日に出演したフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で、「民間企業の従業員の給料の引き上げを考え、看護・介護・保育といった、国が主導して決められる賃金も引き上げていく。こういったことが先で、当面は金融所得課税について触ることは考えていない」と封印。「すぐやるのではないかという誤解が広がっている。しっかり解消しないと関係者に余計な不安を与えてしまう」と釈明したが、株価暴落の「岸田ショック」にオロオロして引っ込めたのはミエミエだ。

 来る総選挙では口利きワイロ疑惑が再燃中の甘利幹事長が陣頭指揮を執り、ウルトラ右翼ムキ出しの高市政調会長がまとめた公約で戦うというのも何をかいわんや。甘利は大臣室で現ナマを受け取った経済再生相時代、関税自主権を失う売国的なTPP締結に奔走。高市はアベノミクスを焼き直したサナエノミクスを主張している。

 新自由主義の信奉者に気持ちの入った弱者への目配りが期待できるわけがない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「岸田首相の所信表明演説の実質は『3ナイ演説』。過去の自民党政治に対する反省がない、問題に正面から向き合う覚悟がない、政策に具体性がない。総裁選を勝ち抜くため、『新自由主義からの決別』をブチ上げるなど大風呂敷を広げたものの、どんどん後退しています。要するに、これまでの発言の多くがまき餌だったのでしょう。コーティングされ、当初は見栄えの良かった岸田政権の実態が日を追うごとに明らかになってきています。宏池会の看板である『軽武装・経済重視』のイメージが先行していますが、安倍・菅路線の継承が地金。政権をブン投げた元首相が背後霊のようにまとわりついている政権なのです」


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10月9日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「党改革とは笑止 疑惑の幹事長が候補者調整と総選挙を仕切るのか」

 岸田首相はなぜ、こんな薄汚いカネまみれ男を幹事長に就けたのか。二階前幹事長を外すことを「党改革」だとエラソーにアピールしていたが、後任が甘利とは笑うしかない。

 それは、政権発足直後にもかかわらず、4~5割の低支持率にとどまった緊急世論調査でもクッキリ。「甘利幹事長」の人事について、毎日新聞では「評価しない」が54%、読売でも48%に上った。世論も呆れ返っている。甘利が説明から逃げ、幹事長でいる限り、政権のイメージは悪化の一途である。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「安倍・菅政権で続いてきた『説明しない政治』がいかに無責任であるかということと、納得できなければ意思表示すべきということを、多くの国民は学んだ。それが内閣支持率の低さや甘利幹事長人事への評価に表れたのだと思います。国民の健全な反応です。当時、大臣を辞任しているのですから、金銭授受に問題があったことを甘利氏自身が認めていたことになる。それでも潔白だと言うのなら、国民が納得できるように説明すべきです。疑惑を晴らすには、その方が本人にとってもいいのではないですか」

 「桜を見る会」の問題では、政治資金規正法違反容疑で告発されていた秘書ら2人が、新たに検察審査会から「不起訴不当」の議決を下されたことが明らかになった。「桜」問題では、別の検審案件で、安倍自身も「不起訴不当」となり、東京地検特捜部が再捜査を行っている。安倍が絡む疑惑は、いずれもまだ払拭されていないのだ。

 それにもかかわらず、岸田がやっていることは今に至るまで「安倍忖度」ばかり。「敵基地攻撃能力」や「改憲」に前のめりで、ハト派の宏池会の領袖とはとても思えない変節漢は、「モリカケサクラなんてウヤムヤでいい」が本音なのだろう。

 そんなリーダーに党改革なんてやれるわけがないのだ。口先だけ清新さをアピールしても国民は全てお見通し。内閣支持率の低さがそれを証明している。

 「人の話を聞くのが『特技』なのなら、『再調査して欲しい』『説明責任を果たして欲しい』という国民の声に耳を傾けるはずです。問題を克服すると『表明』すらできない中途半端な対応をしているから内閣支持率が低いのです。『政治とカネのスキャンダル』や『説明しない政治』は安倍政権時代からの負の遺産。岸田カラーを出すには、安倍カラーを塗り替えればいいだけなのに、それをできないのが岸田氏の限界。このままでは支持率はジワジワ落ちていくでしょう。総選挙では格好の追及材料を提供することになります」(五十嵐仁氏=前出)

 「甘利幹事長」はあまりに酷かった。「顔」を代えても、やはり、自民党は変わらない。

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10月8日(金) 野党共闘で新しい連合政権の実現を [論攷]

〔以下の論攷は、『全国商工新聞』第3477号、2021年10月4日付、に掲載されたものです。〕

命と暮らし、商売守る選択 自己責任政治と決別しよう

 コロナ失政での政権投げ出し

 菅首相が退陣を表明しました。新型コロナウイルス対策に失敗した末の政権投げ出しです。国民の多くの反対を押し切って五輪・パラリンピックを強行して感染の爆発的拡大を招き、10万人を超える自宅療養者を出すほどの医療崩壊を引き起こし、万策尽きての自滅でした。
 有効な対策を打ち出せず、後手後手の対応と迷走を繰り返してきました。無能で無策な政権の姿に失望し、飲食業をはじめとした業者が目の敵にされ「商売あがったり」で苦労された方も多かったにちがいありません。
 政治のあり方や政権の対応、政策の是非が、これほど身近に感じられたことはなったのではないでしょうか。同時に、無責任な菅首相の進退にも唖然とされたことでしょう。コロナ対策に「明かりが見え始めた」と言った直後に、「コロナ対策に専念するため」と言って逃げ出してしまったのですから。

 いのちと暮らし、商売を守るための選択を

 菅退陣後の自民党総裁選びが行われています。しかし、みな安倍・菅政権を支えてきた人たちで、誰が後継者になっても「同じアベのムジナ」です。表紙を変えても、安倍・菅自公政治という枠組みに変化はありません。ラベルを張り替えても、腐った中味はそのままなのです。総選挙で政権交代を実現し、ビンそのものを取り換える必要があります。
 今度の総選挙は、第1に、命と暮らし、商売をまもるための選択となります。病気になっても医者にかかれず、自宅で死を待つような社会や、政府のひと声で商売の道が閉ざされるような世の中が来ると、一体だれが予想したでしょうか。営業自粛や酒類の提供自粛などお願いを繰り返すだけで、事業者を救うための施策は全く不十分です。
 国民の声に耳を傾け、丁寧に説明して責任を取れる、まともな政権を実現しなければなりません。そのためには政治への信頼回復が不可欠です。専門家の言うことに耳を傾けず、楽観論ばかり振りまいて犠牲を押し付けるような政権とはおさらばしましょう。
 第2に、安倍・菅政治を始めとした自公政権の総決算でもあります。新自由主義的な効率優先でケア軽視の自己責任政治のツケが回ってきました。問答無用の「安倍一強」政治による独善的な政治、「モリ・カケ疑惑」や「桜を見る会」など政治の私物化と腐敗も目に余るものがあります。
 加えて、気候変動危機に対する無策、原発再稼動と放射能汚染水の放出決定、デジタル庁発足による国民監視、ジェンダー不平等の放置、沖縄県民を無視した辺野古埋め立て強行、米政権言いなりの軍拡と日米軍事一体化など、自公政権の失政は数え上げればきりがありません。その全てと決別し、根本から転換する絶好の機会が今度の総選挙なのです。

 力を合わせてこそ政治は変えられる

 その最大の意義は、市民と野党の共闘で政権交代に本格的に挑戦する初めての選挙だという点にあります。そのための「陣立て」と「見取り図」はできあがりました。市民連合を仲立ちとして6柱20項目の政策が、立憲民主・共産・社民・れいわ新選組の4党によって合意されたからです。
 2009年の総選挙でも自民党が惨敗して民主党中心の連立政権ができました。今年と同じ任期満了前の選挙で、直前の都議選でも自民党は大敗しています。共産党は半数近くの小選挙区で候補者を取り下げて「1対1の構図」づくりに貢献しました。
 しかし、今回は共産党を含む共通政策での合意がなり、草の根での共闘の実績を積み重ねてきています。「風頼み」ではなく、準備が整ったうえで総選挙を迎えるという点で大きな違いがあります。
 政権合意では、この「政策を実行する政権の実現をめざす」としている点も重要です。これを選挙の公約とするだけでなく、各党が政権に加わって「実現をめざす」ものとしなければなりません。力を合わせてこそ、政治は変えられるからです。
 ここで警戒しなければならないのは、維新の党の動向です。総選挙の結果、自公で過半数を割れば維新が「助っ人」に駆けつけるかもしれません。これまでも野党の顔をしながら実は与党を助ける行動をとってきました。自民党以上のタカ派で新自由主義に凝り固まっています。「改革」のように見えて実は行政と生活、福祉や医療を「破壊」してきたことは、東京以上のコロナ感染拡大で医療ひっぱくを招いた大阪の実状を見れば明らかです。

 大きな意義とやりがい

 来る総選挙では、真に現状を改革し、新型コロナ感染の拡大によって危機に瀕している業者さんなどの命と暮らし、仕事と生業を守ることのできる政党と候補者を選ばなければなりません。これからの日本の進路と命運がかかっている重大な選挙になります。
 これほど大きな意義があり、やりがいのある選挙はあったでしょうか。まさに千載一遇のチャンスです。政権に挑戦し、共産党が協力する連合政権ができれば、全く新しい政治の可能性を開く画期的な時代が始まるのですから。


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10月7日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月6日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「前代未聞の目くらまし 電光石火の解散・総選挙に国民ア然」

 どんな内閣なのかも分からないのに、政権発足から1カ月足らずで有権者は一票を投じることになる。なぜ、投票日を前倒ししたのか、狙いはハッキリしている。政権発足に対するご祝儀の雰囲気が残り、政権のメッキがはがれる前に選挙をやってしまえ、と考えたのはミエミエだ。

 「新政権はスタート直後が一番支持率が高く、その後、低下するのが一般的です。選挙は早いほど得策だと計算したのでしょう。岸田内閣は新入閣組が13人と多く、手腕には不安がある。幹事長は“政治とカネ”を抱えた甘利明さんです。いつボロが出てもおかしくない。バケの皮がはがれる前に、ということでしょう。野党の選挙態勢も整っていない。投票日が11月7日や11月14日だと、新型コロナの感染がリバウンドしている恐れもあったのでしょう。昨年も11月上旬から感染が拡大している。いずれにしろ、党利党略なのは明らかです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 それにしたってこの日程は、いくらなんでも無理筋だ。通常、解散から投票まで最低でも20日間は必要だという。事務方の準備が必要だからだ。戦後最短は1983年の20日間だ。「11月7日投開票」が本命だったのも、20日間の確保が前提だったからだ。ところが、今回は17日間しかない。

 電光石火で“解散総選挙”の日程を表明した岸田は、これで勝てると踏んでいるのだろうが、はたしてこの“禁じ手”は吉と出るのか、凶と出るのか。

 計算通りにいくと思ったら大間違いだ。策士、策に溺れるのが政界の習いである。

 半分冗談で「公示日の10・19も、投票日の10・31も仏滅だ。縁起が悪い。かつて森喜朗首相が仏滅に総選挙をやった時も大敗した」という解説も飛び交っている。

 前出の五十嵐仁氏がこう言う。

 「岸田さんは策を弄したつもりなのでしょう。でも、岸田さんの良さは、誠実さやマジメさにあったはずです。どうして正攻法で勝負しようとしないのでしょうか。正々堂々と予算委員会での質疑に応じ、政界のコンセンサス通り、11月7日や11月14日を投票日にすればいいじゃないですか。党利党略で1~2週間、日程を前倒ししたために、岸田さんの良さが薄まり、イメージダウンにつながる可能性もありますよ」

 すでに多くの国民も岸田の思惑を見透かし始めている。ツイッターでは〈逃走解散〉〈ご都合主義〉〈慌てて解散〉といった批判が続出。今後、岸田の狙いを知れば知るほど、国民の批判はさらに大きくなっていくに違いない。

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