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10月21日(木) 10・31総選挙 政権を変えるしかない! [コメント]

〔以下の記事は、『連合通信』No.1307、2021年10月20日号、に掲載されたものです。〕

政権を変えるしかない!― 五十嵐仁法政大学名誉教授に聞く ―

 安倍・菅の両政権が二代続けてコロナ対応で批判を浴び、退陣に追い込まれました。その後を継いだ岸田政権をどう見るべきか。五十嵐仁法政大学名誉教授は「隠然とした安倍支配が今も続いている。政権を丸ごと変えるしかない」と指摘します。

 「安倍支配」隠しで総選挙

 岸田文雄首相は総裁選時から「人の話を聞く」「成長だけでなく分配を」「新しい資本主義をめざす」など、清新な印象を振りまいてきました。まるで野党が使うようなスローガンが並びます。
 その理由は、8年半続いた安倍・菅両政権の深刻な弊害があります。政治の私物化、説明責任の放棄、格差の拡大、富の一極集中。これらの弊害を覆い隠すために、新たな「幻想」が必要になった。それが岸田政権だと、五十嵐教授は説明します。
 9月に行われた自民党総裁選では、安倍氏や麻生氏が属する二大派閥が連携し、「ハト派」でリベラルとされる岸田氏を総裁に据えました。併せて、安倍晋三元首相や、盟友である麻生太郎副総裁らが、党内人事を使って裏から岸田政権を操る「隠然とした安倍支配」(同教授)の仕組みを作り上げたのです。
 安倍氏が属する派閥の優遇をはじめ、甘利明幹事長、麻生副総裁の「3A」が要所を押さえ、にらみを利かせています。
 政策づくりを担う党政調会長には、安倍氏肝いりの高市早苗氏を配置しました。このほど発表された衆院選公約には、防衛費の国内総生産(GDP)比2%以上への増強や、選択的夫婦別姓の検討取り下げなど、高市色が強く出ています。
 新政権と与党は、野党が求める予算委員会は開かず、議論をしないまま、解散から投票まで史上最短の17日という日程を組みました。若手を閣僚に抜てきして見栄えをよくし、本性がばれないうちに選挙を乗り切る魂胆です。

 自民党に政治を変える力なし

 岸田氏は総裁選で「金融所得課税強化」を掲げていましたが、首相に就任するやすぐに引っ込めました。米国のバイデン新政権が富裕層への増税を決めたように、コロナ感染拡大で傷んだ生活や事業を支える財源が必要ですが、早々に白旗を揚げたのです。森友学園問題での公文書改ざんの再調査についても極めて及び腰です。
 公約では、コロナ対応の給付金の拡充や、賃上げ促進も掲げています。しかし、具体策はなく、今までなぜできなかったかについての反省がありません。最低賃金の引き上げには触れずじまい。コロナ病床確保の掛け声の裏で、全国400超の公立公的病院の統廃合計画は推進の構えです。
 憲法改正についても、岸田首相は持論の護憲を捨てて「任期中に改憲のめどをつける」とし、軍事大国化や、専守防衛の国是に反する「敵基地攻撃能力」の保有に舵を切ろうとしています。
 憲法を無視し「戦争できる国づくり」を進めてきた安倍政治そのもの。五十嵐教授は「岸田さんは総理・総裁のポストを得るために魂を売った。今の政治を変える力は、自民党から生まれてこないということが、総裁選と組閣人事で明らかになった。もはや腐りきった政権を丸ごと変えるしかない」と話します。(了)

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