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11月24日(水) 総選挙の結果をどうみるか(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.820 、2021年12月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 漁夫の利を得た「第三極」

 今回の総選挙で注目を浴びたのは、与党でなく野党共闘にも加わらない「第三極」政党の健闘でした。とりわけ維新は11議席から30増の41議席へと4倍近くも躍進し、国民民主も8議席から3増で11議席へと前進しました。この両党は独自性をアピールすることで、「漁夫の利」を得たのです。
 与党が支持できなくても、直ちに政権交代をもとめない有権者がかなり存在していました。これまでとはちがった政治を望み、政治を変えたいと願っていても、政権が代わることには不安を抱いたのではないでしょうか。このような人びとの「受け皿」になったのが「第三極」だったと思われます。
 維新は「遅れてきた右派ポピュリズム」で、岸田政権に飽き足らない極右や「改革」の旗印に幻想を抱く反自民層をひきよせたようにみえます。コロナ禍によって全国的に知名度をあげた維新副代表の吉村洋文大阪府知事の「人気」や地元大阪での地方議員や首長を総動員した組織力の成果でもあります。
 維新はこれまで自公政権の補完勢力でしたが、総選挙では意識的に対決姿勢を示して政権批判の「受け皿」をめざしました。これが功を奏しましたが、基本的には新自由主義で右からの政権批判勢力にすぎません。今回の選挙でよせられた期待にどれだけ応えられるかが、これから問われることになるでしょう。

 次の決戦は来年の参院選

 今回の結果、決戦は来年7月の参院選と、その後の総選挙へと先送りされました。その決戦にむけて、野党共闘を本気の共闘へと質的に高めていけるかどうかが問われています。とりわけ、立憲にとっては連合の横槍を跳ね除けて本腰を入れた共闘にとりくめるかどうかが試されることになるでしょう。
 野党共闘は紆余曲折が避けられません。その発展によって政権交代が現実の課題となり、支配層は大きな危機感を抱いて必死に巻き返したというのが、現在の局面です。初めてのチャレンジで厳しい試練にさらされましたが、本格的な分断工作はこれからで臥薪嘗胆が求められます。共闘をまもり強化し、何が足りなかったのか、課題を明らかにして参院選での捲土重来を期さなければなりません。

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