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12月3日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月3日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「追及型野党の今後は? ワルを野放しにするのか、立憲民主」

■「反対ばかり」のレッテルは与党の策略

 「立憲が『反対ばかり』というレッテル貼りは、野党の牙を抜くための与党側の策略です。それに乗っかるメディアの問題もある。だからといって立憲が提案型をアピールすれば国民の支持を集められるわけではないでしょう。それに、すでに日本維新の会も、国民民主党も自分たちは政策提言型の政党だと主張しています。自民・公明の与党に加えて維新、国民も政策提言する補完勢力になり、そこに立憲までスリ寄ったら国会は完全に緊張感が失われてしまう。政権の監視は野党の重要な役割だし、大メディアがその機能を果たしていない今はなおさら、野党の追及が大事なのです。そもそも、政策提言をして与党に採用されたところで、それは野党の手柄にはなりません。教育無償化やコロナ禍での現金一律給付など、野党の提言を取り入れたり抱きついたりしてきたケースは枚挙にいとまがありませんが、それらはすべて与党の実績になるだけです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 野党が憲法53条に基づく臨時国会召集の要求をしても、与党側は都合が悪いと国会も開かない。開いたところで、政府はマトモに答弁しない。安倍元首相なんて、「桜を見る会」前夜祭の問題だけで118回も虚偽答弁していたことが衆院事務局に認定されている。国会のお墨付きを得た嘘つきなのだ。

 第2次安倍政権以降、国会は軽視され、形骸化してしまった。こういう現状を打破しないかぎり、国会論戦はセレモニーでしかなく、政策提言なんて野党の自己満足に終わる。相手の土俵に乗り、野党第1党がわざわざ負け戦をしにいってどうするのか。

■追及型からの転換より追及力を高めることが必要

 「立憲が選択すべき道は、提案型への路線変更ではなく、対決型で追及力を高めることです。共産党のような調査能力もなく、週刊誌報道に頼ったり、揚げ足取りのような批判ばかりしていたら、国民から愛想を尽かされても仕方がない。野党ヒアリングだって、官僚を吊るし上げているだけに見えることが問題であって、国会で政府がきちんと答弁しない以上、役所の担当者に直接ただすやり方があってもいい。そこで疑惑解明につながる重要な証言が出てきたこともあるのです。ただ難癖をつけているだけと見られないよう、調査能力を磨いて、理詰めで政権を追い詰めることが野党の矜持です。それを忘れたら、自公政権のデタラメを黙認する存在になってしまいます」(五十嵐仁氏=前出)

 立憲は、真摯な追及型だった辻元清美氏や川内博史氏が落選してしまったことが、つくづく惜しい。本会議の代表質問や、予算委の貴重な質問時間を自己満足の政策提言に充てているようでは、与党を喜ばせるだけだ。

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