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2月1日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「すべて場当たり もう見えてきた「聞くだけ」首相の限界」

■後追い、丸のみ、丸投げで緊急事態宣言の支離滅裂

 「コロナ対策にかぎらず、岸田首相の手法はすべてが後追い、丸のみ、丸投げ、朝令暮改の連続なのです。現状は後手後手よりひどい。間違った政策をすぐに改めるのは悪いことではありませんが、正しいかどうかの熟慮もないまま、ただ流されて右往左往し、漂っている小舟のような政権です。感染拡大で自治体から『まん延防止等重点措置』の要請があれば丸のみし、専門家から何か指摘されれば受け入れる。それで具体的なことは自治体や役所に丸投げする。やってるフリと責任回避だけで、トップリーダーの指導力というものがまったく感じられません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 ワクチン接種も遅々として進まない中、東京都では、小池都知事が「病床使用率50%で緊急事態宣言を要請」と明言した基準が迫る。それで宣言発令を要請したら岸田政権は認めるのか。これだけ陽性者を野放しにしておいて、緊急事態宣言で行動制限をかけるなんて支離滅裂だ。岸田はオミクロン株に合わせて対処法を変えたように装ってその場しのぎを続けているが、実態は政策の破綻なのである。

■すべてが行き当たりばったり

 新潟県の「佐渡島の金山」について、一度は見送りながら、世界文化遺産への登録をユネスコに推薦すると決めた一件でも、岸田は「聞く力」を発揮して迷走している。

 日経新聞(30日付)によれば、官邸は当初、世界遺産問題に関心が薄く、外務省にも「韓国を無視して推薦すればユネスコ内で日本の信頼を損なう」との見方があって、推薦を見送る方向で検討していた。

 だが、韓国への強硬姿勢を求める安倍元首相や高市政調会長ら保守層から突き上げられて態度を一転、28日に自ら申請を明言した。

<「国内政局がある。保守派の離反を招くかもしれない」。首相は周囲に外交の観点だけでは判断できないとの認識を示した。夏の参院選を控えて自民党の岩盤支持層が揺らぐ懸念を抱いた>

<推薦するうえで首相が懸念したのは韓国ではなく米国だった。バイデン大統領は日韓関係の改善を期待している>

<首相は26日、安倍氏に電話し意見を聞いた。安倍氏は「米国は事前に言えば難色を示すのは当然だ。1年半は我慢するしかない」と訴えた>

 米国は日韓との協調でロシアや中国と対峙する方針で、それは岸田も承知しているはずだ。ところが、安倍の言いなりで韓国を刺激し、米国をもイラつかせた途端、北朝鮮から「ロフテッド軌道」のミサイルを撃たれたのは笑えない話である。

 「韓国の反発は必至で、米国も不快感を示す状況で、世界遺産に登録される勝算もない。安倍元首相らに言われた通り推薦したから、それで自分の役目は終わったということなのでしょうか。岸田首相の戦略が見えません。すべてが行き当たりばったりなのです」(五十嵐仁氏=前出)


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