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2月6日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月6日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「空しいテレビ局の盛り上げ報道 冬季五輪また札幌など「悪い冗談」」

 それにしても、昨年夏の2020東京五輪も異常な大会だったが、この北京五輪も異例ずくめだ。チケットの一般販売も見送ってしまった。東京五輪よりも厳格な“バブル方式”が採られ、選手と市民が接触する機会はゼロ。選手同士の親交の場であるはずの選手村でも、食事は天井から機械経由で届き、個食を強いられるという。

 しかも、大会に政府関係者を送らない「外交ボイコット」が相次ぐなど、欧米と中国の対立が持ち込まれ、中国もアメリカも、公然とオリンピックを“政治利用”する始末だ。現地に祝祭ムードは、ほとんどないという。いったい、どこが“平和の祭典”なのか。

 ところが、案の定、日本の大手メディアは、「特別な舞台 限界の先へ」などと、はやくも“お祭り騒ぎ”なのだから、どうしようもない。NHKも昨夜7時30分から「開会式直前スペシャル」を大々的に放送し、9時からスタートした開会式を完全生中継してみせた。この調子では、大手メディアが最終日まで「日本人選手、またメダル獲得です」と大騒ぎするのは目に見えている。大事なニュースも後回しにされてしまうのではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「日本メディアの最大の問題は、もともとオリンピックに対して中立ではないということです。東京五輪の時は、スポンサーにまでなっていた。とくにテレビ局にとって五輪は、視聴率を稼げる重要なコンテンツなのでしょう。だから、少しでも盛り上げたい。
 でも、そろそろメディアは、オリンピックの在り方について議論すべきです。中国が国威発揚に使い、欧米が政治利用し、IOCがチャイナマネーを目当てにしている北京五輪は、五輪の在り方を考える格好のテキストになるはずです」

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