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2月13日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「大メディアでは片隅 経済安保室長更迭やテレ朝社長辞任劇」

■民主主義の根幹を揺るがす問題もスルー

 「安倍政権以降の大メディアは、政権のスキャンダルはなるべく報じないという忖度体質が骨の髄まで染み込んでいるように感じます。経済安保官僚のスキャンダルもそうだし、同じく10日発売の月刊『文芸春秋』では自民党京都府連の組織的な選挙買収も報じられた。広島の河井夫妻の事件と同じで、組織的にやっている方が悪質とも言えるのに、テレビメディアはまったくこの問題を騒ぎ立てず、五輪と首都圏の大雪情報に明け暮れていました。民主主義の根幹を揺るがす問題をスルーしてしまうのだから、感覚が麻痺しているとしか思えない。大メディアはもはやジャーナリズムとしての存在意義を失っています」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 10日の衆院予算委員会では、「文芸春秋」の記事が事実かどうか、かつて府連会長を務めていた二之湯国家公安委員長が質問される場面もあった。

 二之湯は「府連が国会議員から寄付を受け、府議と市議に政治活動資金として配布したのは事実」と認め、しかし「個々の議員の選挙活動に使ってくださいということではない」と、買収の意図は否定。カネは配ったが買収ではないというのだ。

 公共放送がデマを流せば影響は甚大だ。NHKの他のドキュメンタリー番組の信用性も毀損しかねない。放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は10日、「放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯などについて詳しく検証する必要がある」として審議入りを決定したが、総務省は動かないのか?

 NHKの言い分を垂れ流して「誤った字幕」と報じる新聞メディアもどうかしている。悪気はなかったというストーリーにみんなで加担して、波風立てないようにしているのなら、社会の公器たる矜持を投げ捨てたも同然だ。

 「テロップ捏造のNHK番組は、東京五輪に反対する人は悪だという偏見からスタートしている。コロナ感染拡大による国民の不安を無視して五輪を推し進めた政権と一体化しているとも言えます。他の大メディアもこぞって五輪スポンサーになっていましたから、東京五輪の批判などできないのでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 飼いならされたメディアは、政権の広報機関に成り下がって恥ずかしくないのか。社内の権力闘争にウツツを抜かしている場合ではないはずだ。


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