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3月10日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月10日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「これが戦争の狂気 とまらない殺戮と憎悪の連鎖で交渉不能」

 いったい、この戦争はどうなってしまうのか。深刻なのは“仲介者”が見当たらないことだ。2014年、ロシアがクリミア半島を併合した時は、ドイツのメルケル首相(当時)が間に入って“ミンスク合意”を実現させたが、今回はメルケルのような仲介者がいない。

 「仲介役に必要なのは、それぞれの立場を理解し、双方のメンツが立つようにすることです。メルケル首相には、その手腕があったということです。ところが、いまどこにも適任者がいない。ロシア軍は、昨年からウクライナの国境沿いに集結していた。アメリカもEUも、いくらでも仲介できたはずなのに、動こうともしませんでした」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 もう、この戦争は止められないのか。出口が見えてこない。

■戦争に便乗する自民党議員

 戦争に興奮し、冷静さを失っているのは、日本も同じだ。

 安倍元首相などは、「ウクライナは核兵器を放棄したからロシアに侵略された」という理屈を持ち出し、公然と“核シェアリング”を訴える始末だ。自民党や維新からも、次々に“核シェアリング”論が噴き出している。突然、日本の国是である“非核三原則”を捨て去るべきだという主張が横行している。

 さらに、原油の高騰を受けて「原発再稼働論」まで高まっている状態だ。ウクライナの原発が、ロシア軍の攻撃のターゲットになり、原発を保有するリスクが明らかになったのに、目の前の原油高騰に慌てふためいている。

 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、日本国内も狂いはじめている。

 「政治家の本質は、非常時にこそ分かる。極端なことを主張して国民をあおる者、迎合する者、あるいは非常事態に便乗する者。“核シェアリング論”や“原発再稼働論”は、典型的な便乗です。世の中が浮足立ち、落ち着いた議論をやれそうにない時に一気に野望を実現させてしまおうということでしょう。でも、火事場ドロボーのようなやり方は、ロクな結果にならない。この状態は非常に危険です」(五十嵐仁氏=前出)

 プーチン大統領の狂気が、世界を一変させている。原油も食料も急騰し、世界中の株価 が暴落。どの国も軍備拡大に動こうとしている。

 一刻も早く、この戦争の出口を見つけないと、世界は破滅に向かってしまう。


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