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5月31日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』5月31日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「庶民はよく考えた方がいい 大増税の「軍事大国」を目指すのか」

■必要なのは大砲か、バターか

 増税ありきの防衛費増額もそうだが、大事な情報は国民には知らされない。朝日新聞デジタルの解説記事(28日)によれば、「敵基地攻撃能力」の保有については、すでに安倍政権下の13年の防衛計画大綱で布石が打たれていた。「敵基地攻撃」という言葉は使われなくとも<我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力のあり方についても検討の上、必要な措置を講ずる>と明記。

 実際に長射程巡航ミサイルの開発・導入の関連予算が既に計上されているというのだから、巧妙かつ狡猾だ。

 日本製兵器の輸出緩和も着々。岸田政権は、戦闘機やミサイルなど大型の攻撃型兵器でも、個別に協定を結んだ国なら提供できるよう検討を進めているという。来月まとめる「骨太の方針」に盛り込む方向だ。

 だが、敵基地攻撃は専守防衛を逸脱した先制攻撃になりかねない。日本が輸出した兵器が戦場で殺戮に使われる恐れがある。憲法9条が脅かされる。

 軍事大国化のための大増税。社会保障費や教育費が削られることにもなり、庶民生活はますます苦しくなる。世論調査では防衛費増額に「容認」が多数だが、そこまで分かったうえで、増額を是としているのかどうか。庶民はよくよく考えた方がいい。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「食料品や燃料費など値上げラッシュが続いている。国民生活のサポートこそが最優先されるべきで、そのために税金を使うべきでしょう。今、本当に必要なものは大砲なのか、バターなのか。野党は自民党がつくり出す好戦的な空気に巻き込まれることなく、冷静に問題提起して、国民に示すべきです」

 ウクライナ戦争を奇貨として、なし崩しの亡国政治が大政翼賛会で加速化してしまったら、参院選を前にして絶望しか残らない。

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