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6月9日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「自民に勝たせたら万事休す 日銀・黒田大放言に庶民は鉄槌を」

 補正予算の中身は、つかみ金の予備費積み増しと、原油高で潤う石油元売り企業への補助金に消える燃油高騰対策だけ。1万品目以上の値上げに青息吐息の生活者目線に立っていない。

 「新しい資本主義」とやらも「分配」は消え去り、アベノミクス路線を堅持。「1億総株主」の「資産所得倍増プラン」で、いよいよ株価維持に庶民の虎の子にまで手を突っ込もうとしている。投資どころか、貯蓄できない家計は置き去りだ。

 「これだけ物価が上がっても年金は2年連続減額です。16年に『年金カット法』と呼ばれた法改正を安倍政権が断行。現役世代の賃金下落に年金支給額を連動させる仕組みが適用されたせいです。賃金が上がらず、年金も減れば消費が冷え込み、景気は悪化、また賃金が下落の悪循環です。断ち切るには医療・介護予算を充実させ、将来不安を打ち消し、累進課税を強化したうえで、消費税減税を断行。庶民の可処分所得を増やすしかない。ところが、岸田政権は防衛費増加で国民にさらなる負担を押しつけようとしています。来たる参院選は怒りの鉄槌を下す絶好のチャンス。自らの生活を救うため、庶民は声を上げるべきです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 参院選で自民を圧勝させたら「万事休す」と覚悟した方がいい。

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6月8日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月8日付に掲載されたものです。〕

*記事「物価高なのに年金減額…安倍元首相がすべての“元凶”だった! 2016年に法改正断行の大罪」

 18~20年といえば、安倍政権時代だ。アベノミクスの失敗で実質賃金が下がり、それがいま、年金にも影響してくる。4月、5月分の年金は今月15日に支給されるが、実際に受け取ったら、愕然とする高齢者は多いだろう。

 「そもそも、16年に『年金カット法』と呼ばれた法改正を断行したのも安倍政権です。アベノミクスは賃金が減っただけでなく、円安誘導でいまの物価高の原因にもなっています。安倍元首相は二重、三重の意味で年金減額の“元凶”だし、首相を辞めてからも国民に負担を強いる防衛費倍増を要求している。防衛費を倍増させるには、社会保障費を削るか、国債発行か、増税しかない。軍拡のために国民生活が痛めつけられる日本でいいのか、有権者は本気で考えるべきです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 安倍元首相は防衛費をGDP比2%以上に増額するよう訴えているが、それには5兆円規模の予算が必要だ。5兆円あれば、約4000万人の年金受給者全員に月額1万円を上乗せ支給できる。

 この物価高で年金が減らされる不条理に怒りや不安を感じるなら、選挙で与党以外に投票するしかない。参院選は絶好の機会だ。

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6月6日(月) 参院選の意義と民商・全商連への期待(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『月刊民商』No.745 、2022年6月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

3, 生活と営業を守るのか壊すのか―命と暮らしをめぐる対決

 コロナ禍が露わにした新自由主義の害悪

 中小業者にとって参院選での最大の争点は、何といっても生活と営業を守るのか、壊してしまうのかという問題です。コロナ禍が明らかにしたことは、まともな政権でなければ命も商売も守られないということでした。まさに命と暮らしをめぐる対決が、真正面から問われることになります。
 感染拡大への対策の遅れが国民生活を深刻な状況に追い込んできました。今後も新たな感染拡大に備えての医療体制の確保と対策が必要です。そのためにも、安倍内閣以降の対策がきちんと検証されなければなりません。
 とりわけ第6波ではPCR検査やワクチン3回目接種の遅れなどが繰り返され、成り行き任せで後手に回った不手際が目立ちました。自宅療養者も急増し、「医療崩壊」が生じました。病気になっても入院できずに自宅で死を待つなどということがあってよいのでしょうか。
 新自由主義的な政策のもとで医療や公衆衛生が切り捨てられてきた害悪が露呈しました。地域医療構想によって急性期病床削減を進めようとしているのは本末転倒です。社会保障の改悪を防ぎ、医療・介護や保健所機能の強化など、感染症対策の拡充を迫っていかなければなりません。

 押し寄せてきた物価高騰と「四重苦」

 コロナ感染が収束しきらず経営危機が深まるなか、収入が増えない下での急激な物価高騰という新たな危機が押し寄せてきました。その背景にはコロナ禍による物流の混乱とその後の需要の高まり、ロシアのウクライナ侵略と経済制裁による資源不足などがあります。そして、もうひとつ重要な要因となっているのが、日銀の「異次元の金融緩和」による急激な円安です。
 東京外国為替市場で約20年ぶりの円安水準になりました。その原因は日米の金利差の拡大です。アメリカがインフレ対策のために金利の引き上げを行う一方で、日銀は超低金利政策を維持しているために円が売られやすくなっているからです。
 しかし、日銀の黒田総裁は安倍元首相に遠慮して、アベノミクスの3本柱の一つであった「異次元の金融緩和」を止めることができません。参院選では、このような政策を転換して経済と国民生活の危機をどう克服するのかが鋭く問われることになります。
 消費税の引き上げ、コロナ禍による経営危機、急激な物価高、そして来年秋からはインボイス制度が始まります。まるで「四重苦」ではありませんか。81の国と地域が「付加価値税」(消費税)の減税を実施または予定しています。日本でも消費税の減税、内部留保への課税、累進課税の強化などをめざさなければなりません。希望の持てる経済社会の実現に向けて、経済と暮らしの問題が参院選での重大な対決点になろうとしています。

4, 野党共闘の分断か再建か―危機打開に向けての対決

 翼賛体制の打破と野党共闘

 参院選は昨年秋に発足した岸田政権に対する中間評価の機会でもあります。岸田首相は「聞く耳」を売り物にリベラルな装いで登場しましたが、本質的には安倍・菅政権と変わりません。それどころか改憲・軍拡路線ではより積極的で、危険な姿勢を強めています。
 このような岸田政権の本質は十分に知られず、内閣支持率は比較的高いまま安定しています。維新の会は改憲を焚き付け、国民民主党は当初予算案に賛成するなど、自公政権にすり寄っています。労働組合の連合も反共姿勢を強めて自民党への接近を図ろうとしています。
 このような翼賛体制の形成を阻止し、野党共闘を再建する足掛かりを生み出すうえでも、参院選は重要な機会になります。昨年の総選挙では共産党を含む野党共闘が初めて政権にチャレンジして59選挙区で勝利し、33選挙区で接戦に持ち込むなどの成果を上げました。その教訓に学びながら、次の総選挙で政権交代に再挑戦できる条件を生み出すことが必要です。

 野党共闘の再構築を

 野党共闘を破壊し、その力を弱めようとする分断攻撃は総選挙後も続いています。連合政権樹立への道を切り開くためには参院選でそれを打ち破り、改憲派3分の2を阻止しなければなりません。国政選挙のない「黄金の3年間」での改憲発議を抑え込むためにも。
 野党の勝利にとって不可欠な条件は1人区での一本化です。32ある1人区で野党が競合している現状を打開し、共闘を実現する必要があります。野党の分断と競合は自民党を利するだけだということは明らかなのですから。
 立憲野党は政策の面でも自公政権とは異なる明確な選択肢を提供する必要があります。自民党にすり寄って翼賛体制づくりに手を貸している維新や国民民主党には、そのような選択肢を示すことはできません。新自由主義的なタカ派路線という本質では変わりありませんから。
 さまざまな障害をのりこえて候補者と政策の両面で与野党対決の構図を作り出し、共闘の力で立憲野党の勝利をめざすことが必要です。一致した政策の実現を追求する共闘の前進こそ、連合政権樹立の足掛かりをつくり出すにちがいないのですから。

 むすび――中小業者、民商・全商連への期待

 全商連は昨年、創立70周年を迎えました。コロナ禍で中小業者は事業継続の危機に瀕し、命と生活を守るために苦闘を重ねています。中小業者の社会的・経済的地位の向上を目指して活動してきた民商・全商連の存在意義と活動の重要性は、これまで以上に高まっています。
 民商・全商連は「平和でこそ商売繁盛」を信条として活動してきました。これはウクライナ侵略の下で一段と切実なものとなっています。ウクライナでの戦争とロシアに対する経済制裁によって原油や天然ガスなどのエネルギー資源、小麦や材木、希少鉱物などの原材料の輸入が途絶え、その影響もあって急激な物価高となっているからです。
 戦争が長引けば、このような資源不足や物価高はさらに深刻な悪影響をもたらすにちがいありません。まさに「平和でなければ商売ができない」ということが実感される事態となりました。
 平和と安全を守るためにも、改憲と軍拡をめざし国民の命と暮らしを危険にさらす岸田政権に「ノー」を突きつけなければなりません。中小業者の苦難に立ち向かってきた民商・全商連の70年に及ぶ経験と運動を継承・発展させ、皆さんが参院選で大きな役割を果たして野党連合政権に向けての展望を切り開かれることを期待しています。「平和でこそ商売繁盛」なのですから。


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6月5日(日) 参院選の意義と民商・全商連への期待(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『月刊民商』No.745 、2022年6月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 7月に予定されている参院選が間近に迫ってきました。参院選は3年ごとに繰り返される国政選挙で、選挙の結果、政権が交代することはありません。しかし、今回の参院選はこれまでになく大きな意義を持ち、重要な選択が問われます。
 何よりも、ロシアによるウクライナへの侵略戦争が始まった後の選挙で、戦争か平和かという選択が問われることになります。これを契機に改憲機運を高め、軍事大国化への扉が開かれようとしています。憲法9条を変えるのか守るのかという選択肢も急浮上してきました。
 同時に、コロナ禍によって国民は疲弊し、急激な物価高騰の下で生活と営業はかつてない危機に瀕しています。健康と命、生活と営業を守るためにどうするべきかが明らかにされなければなりません。
 発足から約半年が経過した岸田政権は、これらの問題に対して効果的な対応を行ってきませんでした。しかし、内閣支持率は安定し、野党の足並みは乱れています。困難を打開し、立憲野党の勝利によって連合政権樹立への足掛かりを築くことも参院選の大きな課題になっています。

1, 戦争か平和か―ロシアによるウクライナ侵略の教訓

 武力対武力の罠にはまるな
 
 ロシアによるウクライナへの侵略は戦争の悲惨さ、むごさを改めて明白にしました。この戦争は「主権の尊重」などを義務づけた国連憲章や国際法に反する明確な侵略行為であり、一般の施設や民間人に対する無差別の攻撃は国連人道法に反する戦争犯罪です。核使用の恫喝によって核兵器は抑止力どころか威嚇の手段であることも明らかになりました。
 ウクライナでの惨劇を引き合いに出して「戦争になったらどうするのか」と問う政治家がいます。このような人を信じてはなりません。本来、問うべきなのは「戦争にしないためにどうするのか」ということであり、そのために知恵と力を尽くすことこそ政治家の仕事なのですから。
 どのような理由があっても、戦争を始めてはなりません。武力に対して武力で対抗しようとすれば、軍拡競争の悪循環に陥り対立を激化させます。重要なのは戦争を避けるためにあらゆる外交努力を行うことであり、最善の解決策は信頼を高めて緊張を緩和することです。
 相手より強い武力を持てば抑止できると考えて軍拡や軍事同盟に頼れば逆効果になり、緊張を高めて安全を損なってしまいます。すでに日本はこのパラドクス(逆説)の罠にはまりつつあります。大軍拡と日米軍事同盟の強化を図り、周りの国々の警戒心を高めて安全保障環境をますます悪化させているのですから。

 火事場泥棒的軍拡論

 ウクライナでの戦争によって国民が不安を抱き、安全保障への関心を高めているのは当然です。しかし、それを政治的に利用して持論を押し付けるような対応は許されません。このような火事場泥棒的軍拡論の典型が安倍晋三元首相の発言や自民党安保調査会による提言です。
 この提言は相手国のミサイル発射拠点などを攻撃する「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換え、防衛費を国内総生産(GDP)比2%の11兆円以上に増額するよう要請しました。攻撃対象は「敵基地」にこだわらず「指揮統制機能等」も含むとしています。
 攻撃される前に「反撃」するなどというのは、大きなごまかしです。先制攻撃を正当化するための屁理屈にすぎず、「専守防衛」に反する明確な憲法違反です。攻撃的兵器の保有は軍拡競争を引き起こし、「自衛のための必要最小限度」を超えるのは確実です。
 安倍元首相や維新の会は「核共有」論まで主張しています。これは非核三原則、核の平和利用を定めた原子力基本法、核兵器の移転などを禁じた核拡散防止条約などに反し、核兵器禁止条約にも逆行する暴論です。米軍基地や自衛隊基地に核貯蔵施設が作られれば最初に攻撃目標となり、有害でしかありません。

2, 改憲か活憲か―憲法をめぐる対決

 9条改憲の新局面

 ウクライナでの戦争に便乗する形で、憲法9条に対する攻撃も強まってきました。憲法を変えるのか守るのか。9条をめぐる対決も参院選における大きな争点になります。
 昨年の通常国会で国民投票法が改定され、歯止めの一つが取り除かれました。総選挙で維新の会と国民民主党が議席を増やして改憲を煽るなど、野党内での歯止めも弱くなりました。動揺した立憲民主党が妥協的になって共産党が孤立し、憲法審査会がほぼ毎週開かれています。
 このような局面が訪れているなかでロシアによるウクライナ侵略が起こり、これを利用した改憲論も強まりました。容易ならざる情勢の下で、好戦的な方向での新たな危機が生じていることになります。国民の不安に応える形で憲法9条の意義をわかりやすく示していくことが、これまでになく重要になっています。
 同時に、憲法を変えればどうなるのか、具体的に示していくことも必要です。自衛隊を明記する目的は「国軍化」を実現し、アメリカによる対中国戦略の前線に立たせることにあります。緊急事態条項の新設は政府の緊急政令によって国会を無力化するためです。その狙いは戦争と独裁であり、日本を「戦争する国」に変えることにあります。

 9条でしか日本は守れない

 憲法9条は二度と再び日本の側から他国を攻撃したり戦争に加担したりすることはないという国際社会に対する誓いであり約束です。それを変えれば「いよいよ日本も戦争に乗り出すのか」と周辺諸国に警戒され、国際社会での立場を悪くすることは明らかです。
 極超音速ミサイルや巡航式長距離ミサイル、多弾頭化や変速軌道の採用など、急速度の技術開発によって軍事的な防衛は極めて困難になりました。日本を軍事力で守ることはできません。戦争してはならないだけでなく、戦争できない国だからです。
 日本の食料の自給率は37%で、エネルギー自給率は12%にすぎません。周りを海に囲まれていますから、輸送が途絶えればお手上げです。中国との相互依存度も高く、輸出入総額の24%で第1位ですから戦争などとんでもありません。
 現状の2倍以上もの大軍拡に転ずれば「9条の経済効果」が失われます。軍事ではなく民生に富をつぎ込んできたからこそ、戦後の経済成長が可能でした。それが失われれば国民の生活と社会・経済活動が破壊され、外から攻められる前に内から自壊することになりかねません。だからこそ、こう言わなければならないのです。「9条でしか日本は守れない」と。


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6月3日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月3日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「「一億総投資」は日銀の尻拭いか 岸田政権の魂胆は?」

■安倍や菅より危険

 「骨太」案には防衛力の抜本的強化も盛り込まれた。岸田はバイデン米大統領に防衛費の「相当な増額」を口約束し、自民党は現状のGDP比1%枠を取っ払って「5年以内にGDP比2%以上」を提言。防衛省の研究機関である防衛研究所は、先月31日に公表した2022年版「東アジア戦略概観」で、中国に対処する防衛費の水準は現状の倍近い「10兆円規模」だと示した。

 ところが、大幅増額が現実味を帯びてきているのに、岸田はその財源については絶対に答えない。31日の参院予算委員会で、共産党の小池書記局長が「『相当な増額』と言うのであれば、相当な社会保障費削減か相当な増税、国債発行しか選択肢がない」と追及したが、岸田は「具体的な(防衛力強化の)内容が決まらなければ予算について申し上げることはできない」と逃げの一手だった。

 挙げ句は財政規律も平然と放棄。「骨太」にほぼ毎年記載されてきた財政黒字化目標の「2025年度」が、今回の原案では削除されているのだ。安倍元首相を筆頭とする自民党内の「積極財政派」に配慮して玉虫色になったとされるが、防衛費倍増で国債を増発するための布石でもあるのではないか。

 岸田が財源を明確にしないのは、参院選対策で国民に不評な増税を隠し、選挙に勝てば「白紙委任」としたいからだろう。スウェーデンは国防費のGDP比2%に向け、酒税とたばこ税の増税を明示している。岸田も参院選前に財源を有権者に示さなきゃおかしい。

 岸田内閣は支持率が高いが、騙されちゃいけない。善人そうに見える岸田の正体は、庶民の財布に手をつっこんで虎の子まで奪おうとするのだから、むしろ悪魔だ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「リベラルでハト派の宏池会の看板を全面的に利用しているのが岸田首相です。しかし、分配重視と言っておきながら投資を優先したり、米国に言われるがままに軍拡路線を進めたり。甘い口当たりでコーティングしながらやるので、安倍元首相や菅前首相より危険です。参院選後は危うさが前面に出てくるでしょう。有権者は選挙前にそれをきちんと見極められるかが問われています」

 とんでもない首相にお灸を据えないと、「黄金の3年間」に庶民は身ぐるみ剥がされてしまう。


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6月2日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月2日付に掲載されたものです。〕

*記事「シャンパンタワーや公用車は氷山の一角…コロナ予備費“掴み金11兆円”はどこに消えた?」

 予備費は本来、災害など不測の事態に備え、国会審議を経ず機動的に対策を実施できるように計上する予算。使い道は政府の閣議で決める。近年は5000億円程度の計上に過ぎなかったのが、コロナ禍に対応すると称して急拡大。20年度補正予算で9.65兆円という破格の予備費を積んで以降、21年度と22年度の当初予算と合わせ3年で総額20兆円に達した。

 ところが、国会に使い道を報告した12兆円余りのうち約11兆円分が使途不明状態になっている。大半が不透明で、わずかに明らかになったのは“デタラメ使用”。これじゃあ「掴み金」も同然だが、あろうことか岸田政権は31日成立した補正予算で、掴み金をさらに1.5兆円も積み増したのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「国民の監視が及ばない予備費を拡充するなど、財政民主主義を無視した蛮行です。当たり前のように予備費を膨張させる岸田政権は、感覚がマヒしているのでしょう」

 大メディアは「4630万円誤送金」問題ばかりを追及

 テレビをはじめとした大メディアも的が外れている。「消えた掴み金11兆円」よりも、コロナ給付金4630万円が個人に誤送金された問題や、持続化給付金9億6000万円を詐取した親子が逮捕された事件に大騒ぎだ。ツイッターでは〈消えた11兆円の説明求めます〉というハッシュタグがトレンド入りするほど話題になっているのだから、“消えた11兆円”の闇を暴くのが先ではないか。

 「国民の税金がコロナ名目で不当に扱われている実態を暴くなら、小さな事件より、コロナ予備費の解明を優先するべきです。大手メディアも国民感覚からズレています」(五十嵐仁氏)

 放っておくと、また血税がシャンパンタワーに消えてしまいかねない。


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